その昔、病気の原因は怨霊の仕業と信じられ、神職による加持祈祷(きとう)が重要な医療行為の一つとされた。神仏に祈りをささげ、病などの災厄を払う風習は各地に残る▼異常気象や疫病などが毎年のように繰り返された平安時代。急病人には薬による治療よりも、まず加持祈祷を行うことが日常的だったようだ。そこで活躍したのが呪術や祭事を行う陰陽師(おんみょうじ)。なかでも安倍晴明の人気は高く、現代の小説や映画などにもよく登場する▼陰陽師は天文学に通じ、占術を専門とする官職の一つ。悪霊退治も職業として重視されるようになり、清明も式神を自在に操り、災いを取り払ったとされる▼東日本建設業保証の広報誌『EAST TIMES2022冬号』に掲載されている江口知秀氏のエッセーで、全国に残る晴明の伝承が紹介されていた。意外にも井戸に関する伝承が最も多いという。民俗学者の小松和彦氏の見解として、当時の陰陽師が井戸掘りなど土木工事にたけていたとの見方を示す▼異能者と土木技術者の意外なつながり。晴明人気にあやかり、建設業の魅力アップに一役買ってもらいたい。
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