2015年1月22日木曜日

建設コンサル各社/働き方改革進む/職場環境改善、人事評価制度も相次ぎ見直し

 長時間労働の解消などが長年の懸案事項になっている建設コンサルタント業界で、職場環境の改善や人事制度の改革に取り組む動きが活発化している。市場環境は比較的安定し経営状態も好調な一方で、各社の技術部門は消化しきれないほどの仕事を抱え、労働環境の悪化は深刻な状況。20~30代の離職に歯止めが掛からない中、各社はオフィスの移転や改装による環境改善、人事評価制度の見直し、多様な働き方を可能にする社員制度の導入などを進めている。
 職場環境の改善を図る動きでは、最大手の日本工営が東京・四谷にある本社ビルの建て替えを計画している。周辺に分散するオフィスを集約し、業務効率を高めることが最大の目的だが、築後30年余り経過して老朽化が進む現在のビルを建て替えることで規模を拡大。社員一人一人の執務スペースを広げ、快適なオフィスを提供する狙いもある。
 長大は、東京・日本橋蛎殻町にある本社ビルの全館改装を昨年末から進めている。一足先に東京支社の移転を実行しており、勝ちどき地区の隅田川沿いにあるオフィスは、環境の良さが勤務する社員に好評という。
 社員制度では、建設技術研究所や国際航業、エイト日本技術開発、オリエンタルコンサルタンツなど多くの企業が、地域限定社員の導入などを検討している。
 パシフィックコンサルタンツは、オフィスの使い方や生産体制をどうするかなど、働き方の改革に取り組む。3月をめどに人材マネジメントの全体像と具体策を盛り込んだ計画を立案する方針だ。
 女性社員の活躍の場を広げる制度、60歳を超えても豊富な知識や経験を第一線で発揮し続けられる制度など、各社は持続的な成長を支えるための改革に力を注ぐ。
 業界の受注環境は、東日本大震災の復興関連や国土強靱(きょうじん)化、既存インフラの維持管理などを背景に、ここ数年は追い風が吹く。技術者単価の見直しもあり、受注だけでなく利益水準も上昇基調にある。ただ震災関連業務の受注はピークを超え、現状を踊り場と見る経営トップは多い。
 事業領域の拡大、海外展開の加速などは、各社に共通する事業戦略のキーワード。もう一段階上のレベルに事業展開を引き上げるには、より多様な人材を確保・育成することが不可欠で、現状に危機感を募らせる声は強い。年度末に成果品の納期が集中し、極端な繁忙に追い込まれる状況は、社員のワークライフバランス(仕事と家庭の調和)を考える上でも問題で、改善の重要性が増している。
 新年度の予算執行が始まる4月以降、どのような施策が講じられるのか、各社の動向を注視する必要がありそうだ。

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