「払拭(ふっしょく)したかった」。25日に開かれた大阪国際女子マラソンで日本勢最高の3位に入賞した重友梨佐さん(天満屋)がそう語った▼払拭したかったのは、前回大会で64位に終わった失敗。12年大会では優勝し、ロンドン五輪代表になった力のある選手だけに、前回の成績によほど悔しい思いがあったのだろう▼失敗には「よい失敗」と「悪い失敗」の2種類がある-。工学者の畑村洋太郎氏が、ベストセラーとなった自著『失敗学のすすめ』(講談社文庫)にそう書いている。個人の無知やミスが原因で起きた失敗でも、その人の成長過程で必ず通過しなければならない失敗なら「よい失敗」と認めるべきだという▼どんな仕事にも失敗は伴う。重要なのは小さな失敗経験を知識化し、どう大きな失敗を防ぐか。本紙インタビューで聞く会社役員の話からも、若手時代の苦い経験がいかに大きな糧となっているかがよく分かる▼「絶対に粘れると思った」「やっと自分の殻を破ることができた」とレース後の重友さん。周りの人の協力を得られたとしても、失敗にめげることなく自分の背中を押すのは自分でしかない。
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