新型コロナウイルスの影響で、東京都内の街づくり事業の停滞が懸念されている。感染拡大を受け、再開発準備組合などの会合が開けず、議論が進まない事業が出てきた。
事業を支援するコンサルタントを決める手続きも自治体が中止したり公告を延期したりする動きが顕在化しており、今後の事業スケジュールに影響が出てきそうだ。
7日の政府の緊急事態宣言の発令前後から、都内の自治体では感染リスクを抑えるため、会合の取りやめなどを検討する動きが目立ってきた。行政が主体で開く街づくり関連事業の説明会などは軒並み延期され、民間の街づくり組織でも、再開発準備組合の設立総会を開けないなどのケースが出てきている。
一方、事業が重要な局面にあり、会合の開催に踏み切った事例もある。3月末、ある再開発準備組合は総会を開き、本組合設立に向けた認可申請などについて審議した。「新型コロナへの懸念はある」(準備組合事務局)ものの、さまざまな事情から事業スケジュールを変更することは難しく、当初の計画通りに事業を進めていくことなどを確認した。
民間の街づくりをサポートするコンサルタントの選定作業も遅れが出始めた。新宿区は「飯田橋駅東口周辺地区(駅前地区駅直近ゾーン)における基盤整備の方針に関する調査検討業務」のプロポーザル案件の手続きを一時中止した。感染リスク抑制のため、月内に予定していたプレゼンテーション・ヒアリングなどの2次審査を延期した。
中央区では、築地市場跡地周辺の街づくりの方向性をまとめるためのコンサルタント業務の発注を延期した。担当者は「この状況なので仕方がない」とし、年度内にも方向性の策定を見込む事業スケジュールに「遅れが出るかもしれない」と、頭を抱えた。
都内の街づくり事業には、地元自治体や地権者、事業協力者、施工者など多くの関係者が携わる。コロナ禍で多くの関係者が集まって議論することは難しく、テレビ会議などもできる状況にない。感染予防のための3密(密閉・密集・密接)を避けながら、どう事業を進めていくのか、各事業者は難しいかじ取りを迫られている。
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