2014年12月26日金曜日

太田国交相/1月4日にベトナムの空港ビル・橋梁完成式典出席/総額1500億円超、日本企業が多数施工

ニャッタン橋
 太田昭宏国土交通相は、15年1月4日にベトナムの首都ハノイで開かれるノイバイ国際空港第2ターミナルビルと東南アジア最大規模の連続斜張橋ニャッタン橋、同空港~同橋間のアクセス道路の完成式典に出席する。総額1500億円超の大半を円借款でまかなったこれら事業には、大成建設やIHIインフラシステム、三井住友建設、東急建設など多数の日本企業が施工に携わった。式典には徳山日出男技監や田村明比古航空局長など同省幹部も同席。施工した日本企業の社長らが出席するほか、ベトナム側からズン首相が出席する予定だ。  ノイバイ国際空港第2旅客ターミナルビルの新設事業は、施工を大成建設とベトナム企業で組成するJV、施工管理を日本空港コンサルタンツが担当した。  ハノイ中心部を流れる紅河をまたぐニャッタン橋の本体(延長1500メートル)と北側の取り付け橋(1580メートル)の施工はIHIインフラシステム・三井住友建設JV、南側の取り付け道路の施工は三井住友建設とベトナム企業で組成するJV、北側の取り付け道路の施工は東急建設が担当。これらのコンサルタント業務は長大・大日本コンサルタントJVが担当した。  空港第2旅客ターミナルの新設は急増する旅客需要に対応したもの。東南アジア最大規模の連続斜張橋となるニャッタン橋と空港へのアクセス道路の完成で、ハノイ中心部と空港間の移動時間は現在の約1時間から35分程度に短縮できる見通しだ。  太田国交相は、式典出席前日の1月3日にベトナム入り。ズン建設相と会談し、今後のベトナムでの都市開発や下水道の整備、建設マネジメントを日本の官民で協力していけるよう協議する予定。「信頼関係を深めたい」(太田国交相)という。

災害多発の1年/関東甲信で官民が対策本腰/重機と操作員の融通体制構築

 2月の大雪に始まり、台風、噴火、地震など大規模な自然災害に次々と襲われた今年の関東甲信地域。災害対応に当たる公共事業の受・発注者双方の活躍が目立った一方で、一段と深刻さを増してきた問題が現場の人手不足だ。災害対応の遅れに危機感を抱いた関東地方整備局や自治体らは、本格的な対策に乗りだした。
 災害発生時に実際に重機を操作するのは、各発注機関と災害協定を締結している企業や、施工中の工事を中断して臨時に出動する企業のオペレーターだ。しかし、長く続いた公共事業予算の削減、技能労働者の高齢化、新規入職者の減少などにより、地域建設業の人手不足は深刻化している。
 群馬県内の除雪作業を長年担当してきた地元企業の作業員は、仮に新規入職者が増えても「熟練のオペレーターに成長するまでに10年はかかる」、建設機械メーカーの担当者も「重機の操作は車の運転と同じで、経験の年数が一緒でも実際のテクニックにはセンスの差が出る」と話し、誰もが時間をかければ熟練の技を身に付けられるわけではないと課題を指摘する。
 こうした人手不足への対応の一つとして、関東整備局は、各発注機関が管理区分の範囲を超えて人員と重機を融通し、相互に応急復旧作業を補完する「相互除雪」の取り組みに乗りだした。例えば、道路の場合、複数の道路管理者の路線が交わる区間の災害対応を1業者だけで実施し、オペレーターの配置の重複を避ける。
 2月の大雪で高速道路を含む42路線(55カ所)の通行が規制され、山間部で一時孤立状態となる集落が発生した群馬県と関東整備局は、関東の都県で初めて相互除雪を基本方針に掲げた「大雪時の群馬県道路除雪行動計画」を11月下旬に策定。災害対応の手が行き届かない地域をゼロにするための新たな除雪体制を打ち出した。
 相互除雪の取り組みは、同じく2月の大雪に襲われた長野県も取り入れた。長野県は、地元建設会社らが結成する共同企業体に、路線別ではなくエリア単位で災害復旧作業を委託する新たな発注方式も導入し、より効率的に地域の除雪作業を進められる体制を整えた。エリア単位で地元企業に委託する災害復旧の仕組みは、11月22日に長野県北部で発生した震度6弱の地震時にも、損壊した地方道の応急復旧作業で効果を発揮したという。
 11月の長野県北部の地震では、被災地で通行止めになる路線が多数発生し、交通誘導のためのガードマンが足りなくなるという問題が起きた。災害対応に当たった長野県建設業協会大北支部の記録には「白馬村などでガードマンの手配ができないため、通常工事の休止依頼」「ガードマン会社に災害対応を優先するようお願い」といったやりとりが残されている。長野建協の会員企業はこうした問題に迅速に対応し、ガードマンの配置計画を柔軟に調整。24時間体制で通行規制が敷かれた現場の安全を確保した。

きんでん姫路支店/姫路城周辺で外灯点検・清掃実施

 きんでん姫路支店は24日、地域ボランティア活動の一環として姫路城周辺の外灯の点検・清掃、ゴミ拾いを実施した。
 姫路城が93年に世界文化遺産に登録されたことをきっかけに、地域の方々への恩返しを行おうと毎年実施しているもので、今年で21回目。
 この日の作業には、同支店の各事業所から約40人が参加、午前9時30分から作業を開始した。姫路城東側に位置する東御屋敷公園を中心に、7台の高所作業車を活用して外灯の上蓋を外して球切れがないかを確認しながら、電球と外装ガラスの内外を1基ずつ丁寧に磨き上げた=写真。また、作業上付近を通行する歩行者や自転車に被害が及ばないよう、最新の注意を払いながら清掃を行い、約2時間で作業が終了した。
 作業にあたり、高谷孝きんでん常務執行役員姫路支店長は「姫路城マラソンや大天守のグランドオープンなど来年早々からさまざまなイベントがある。今年はさらに丁寧な作業をお願いしたい。焦らず、慌てず、作業場所周りの多くの市民に十分に配慮して作業してほしい」とあいさつした。

東京都八王子市/20年東京五輪BMX・MTB会場誘致へ/組織委に要望書提出

 東京都八王子市が2020年東京五輪の自転車(BMX・MTB)競技施設の誘致に名乗りを上げた。石森孝志市長は24日、政府の「東京五輪・パラリンピック組織委員会」の布村幸彦副事務総長に要望書を提出した。市によると、東京26市で五輪会場の誘致を表明したのは同市が初めてという。  候補地は、八王子市川口町・上川町一帯の民有地。敷地の東側に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、北側に秋川街道が通る緑地のうち5ヘクタールを会場用地として活用し、競技場とともに駐車場(収容数未定)や管理棟などを整備する方針だ。  市の担当者によると、組織委員会の予算を活用して会場を整備し、五輪終了後は市が会場を譲り受け、市営施設とする。国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルで65億円と試算された会場整備費の縮減も見込めるという。今後、市の施行で圏央道から会場につながる道路の整備も検討する。  自転車競技の関係団体は、羽田空港の航空路下にある現在の開催予定地(江東区・有明)で競技を実施する場合、空撮に支障が出るとの懸念を表明している。
BMX・MTB会場の完成イメージ

2014年12月25日木曜日

日建リース工業/東京・お台場でクリスマススイーツイベント開く

 日建リース工業(東京都千代田区、関山正勝社長)は、20~23日の4日間にわたり、東京・お台場で「ヨーロピアンクリスマススイーツストリート」を開いた。同社の社員が企画や仕入れの段階から携わり、欧州16カ国の伝統的なクリスマススイーツ30種類以上を販売した=写真。
 同社は、事業の一環で机やいすをイベント会社に貸し出しており、そのノウハウを生かして、これまでアメリカンバーベキューやターキッシュフェスタなど、外国の「食」に関するイベントを開催してきた。スイーツのイベントは今回が初めて。ドイツやオーストリアを中心に欧州で行われるクリスマスマーケットをイメージし、各国のクリスマススイーツのほか、ホットワインやスープも販売した。
 同社によると、関山社長自ら販売するスイーツを選定した。イベントには社内のイベント事業部を中心に各部署の社員が参加し、1日当たり40~50人の社員が販売ブースに立った。準備期間は2~3カ月。ブースのデザインや装飾も社員が一から作り上げたという。

日立製作所ら/伊豆大島でハイブリッド大規模蓄電システムの実証試験実施へ

 日立製作所とグループ会社の新神戸電機(東京都中央区、小西真社長)は15年度、伊豆大島(東京都大島町)で「1・5メガワットハイブリッド大規模蓄電システム」の実用化に向けた実証試験を開始する。事業費(開発費を含む)は約10億円。東京電力が管轄している島内の電力系統に同システムを接続し、電力のピークシフトや変動抑制の機能などを検証する。試験の場所や敷地面積、施工者などの詳細は非公表。15年夏までに試験に着手し、年度内に終了させる予定。
 両社が共同開発した1・5メガワットハイブリッド大規模蓄電システムは、電力を貯蔵する「高入出力・長寿命鉛蓄電池」と、電圧や周波数の変動を抑制する「リチウムイオンキャパシタ」で構成。短時間で大電力の充放電ができる。11年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択された。両社とNEDO、東京電力の4者が今月、実証試験の実施に合意した。
 日立製作所によると、伊豆大島では今後見込まれる太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電の大量導入により天候不順などによる電力系統への影響が大きくなるという。このため、蓄電システムで電流の入出力を制御し、電力の安定供給を図る。

第3次安倍内閣が発足/太田昭宏国交相、在任3年目に

 第3次安倍内閣が24日、発足した。再任を辞退した江渡聡徳防衛相の後任に中谷元・元防衛庁長官を起用した以外は、第2次安倍改造内閣の閣僚を全員再任した。12年12月の衆院選を経て誕生した自公政権で就任した太田昭宏国土交通相はこれで在任3年目に入る。安倍政権が取り組む経済再生や震災被災地の復興加速、防災・減災などの政策で引き続き重要な役割を担っていくことになる。  全閣僚の辞表を取りまとめた同日午前の閣議後に記者会見した太田国交相は就任からの2年間を振り返った。東日本大震災の被災地復興については、入札不調、人手不足、資材の高騰などが指摘される中、「スムーズに仕事ができるように神経を相当使った」と強調。生コン不足に対応した直轄プラントなどの設置、公共工事設計労務単価の引き上げ、発注ロットの大型化といった施策の効果も挙げ、「インフラの復興加速は前進した」と総括した。  一方、遅れがちとされる被災地のまちづくり、や、安全な高台への移転、災害公営住宅の建設などについては、「住まいの復興工程表」に沿って今後も着実に進めていく考えを示した。災害公営住宅については「来年3月に1万戸が出来上がっているところまでこぎ着けたい」と述べた。  安倍政権が最重要課題の一つに掲げている地方創生では、「7月に策定した『国土のグランドデザイン』で人口減少や少子高齢化、国際的な都市間競争など直面する大きな変化に対応した取り組みを提起することができた」と指摘。国交省として今後も、グランドデザインに沿った長期的な視点で政策を進めていく方針を示した。
太田国交相

2014年12月24日水曜日

日建連会員有志ら/多摩川河川敷(川崎市)で駅伝大会に参加/事務局チームも

 川崎市の多摩川河川敷にある古市場陸上競技場で21日、駅伝大会「ランナーズ・RUNNET EKIDEN in TAMAGAWA」(アールビーズスポーツ財団主催)が開かれ、日本建設業連合会(日建連)の会員企業や事務局の有志らでそれぞれ構成するチームが参戦した。=1面参照
 「日建連皇居ランニング会」のメンバーらが声を掛け合い、飛島建設、東急建設、西松建設などから複数のチームが参加。4回目の出場となる日連連事務局メンバーらのチームと共に健脚を競った。大会には同会のメンバーでもある東急建設の飯塚恒生社長、飛島建設の伊藤寛治社長も役職員と共に出場。1区間5キロを走り切って次のランナーにたすきを渡した。
 日建連皇居ランニング会は毎月1回、平日夜の仕事帰りに開かれ、会員企業や事務局、他団体のランニング好きが参加。それぞれが自由に走った後は反省会が毎回あり、親交を深めている。今回の大会エントリーもそうした場で話が盛り上がり実現したという。
 駅伝大会に初めて参加した東急建設の水谷景洋常務執行役員首都圏土木支店長は「部下たちから『支店長、速かったですね』などと言われると正直うれしいものです。マラソンを一人で走った時の充実感とはまた違う喜びを感じました」とレース後にコメント。
 このほか「リレーマラソンは運動会の気分で連帯感が高まり、終わった後の飲み会で再度盛り上がる充実感も最高です」(西松建設土木事業本部土木計画部の村井重雄さん)、「前日の雨も上がり、天気に・走りに・打ち上げにと本当に最高でした。チームで走る駅伝を楽しむことができました」(飛島建設首都圏建築支店営業部の鈴木健弥さん)などの声も寄せられた。
 □日建連皇居ランニング会・木村昌司会長(日建連常務執行役)の話□
 「少しでも体に良いことしようと始めた皇居ランニング。走った後にお風呂と反省会付きということもあり、参加者の輪が広がってきました。ランニングは個人競技なので、みんなで一緒に目標を持って走ろうと、団体競技であるこの駅伝大会に参加しました。たすきをつなぐことで、絆を一層深めることができました」。

大末建設/26年ぶりに作業服一新/赤と青を効果的に配色、15年1月から着用

 大末建設は、26年ぶりに作業服を一新し=写真、15年1月5日から着用する。ベースカラーはグレーとし、上着には同社のロゴマークに使用している赤と青を配色。胸元に二つのカラーを使ったラインを引き、襟とファスナーにも2色を使用し、スタイリッシュなデザインにした。ズボンには、小型のタブレット型端末が入るサイズのカーゴポケットを付けた。
 創業80周年を迎える17年3月に向け、社員の意思統一を図るため、作業服を見直した。社内に設けた人事検討委員会がデザインや費用などの方向性を定め、三つのデザインを立案。全社員の6割に当たる作業服を着用する社員と、設計・積算技術者を対象としたアンケートを今年6月に行い、8月上旬に最終的なデザインを固めた。
 機能性も重視し、従来はなかった夏用ズボンとネイビーカラーの防寒服も追加した。
 新作業服の「モデル」を務めた夫婦で勤務する牛島徹さん(工事部)と香織さん(経営企画部)は「動きやすい。ポケットが増えて使いやすくなった」と話していた。

巨大クリスマスツリー出現/NTT都市開発ら、建設中の品川シーズンテラスに

 NTT都市開発、大成建設、ヒューリック、東京都市開発が東京都港区で建設している大型複合ビル「品川シーズンテラス」の壁面に高さ約100メートルの巨大クリスマスツリーが現れた=写真。23~25日の3日間限定。作業を終えた午後5時から壁面の全4面で点灯している。  建設地は港区港南1の2の6。建物の規模はS一部RC造地下1階地上32階建て延べ20万5785平方メートル。大成建設の施工で、15年2月末の竣工を目指している。

2014年12月22日月曜日

駆け出しのころ/熊谷組執行役員首都圏支店副支店長兼建築事業部長・上田真氏


29歳のころに従事していた横浜市内のビル建設工事(JV)の現場で、低層棟の仕上げ(石工事)を担当していた
 ◇先輩に一日も早く追い付きたい
 学生の時に建築現場を見学し、活気のある職場だと感じて建設会社でものづくりに携わることを希望しました。しかし、大学を卒業したころは建設業が「冬の時代」であり、就職には厳しい環境でした。
 熊谷組の就職試験では、面接で「英語を話せるか」と質問され、本当はほとんど話せなかったのですが「日常会話くらいならできます」と答えてしまいました。当時の熊谷組は海外での仕事が多かったので、面接でそう聞かれた自分も入社したら海外に勤務するのだと思い、内定をもらってから夏休みを利用して英会話学校に通いました。
 そうして入社したのですが、最初に配属されたのは横浜支店の東戸塚工事所。そこで住宅工事を担当しました。以来、海外に勤務したことは一度もなく、現在に至っています。
 その最初の建築現場は若手の社員も多く、先輩に仕事を教えてもらいながら、少しでも早く先輩に追い付こうとがむしゃらの日々でした。携帯電話などない時代ですから、先輩から何か言われると現場を走り回っていたのを思い出します。
 新入社員だった当時、現場で職人さんと話がかみ合わず、けんかになりかけたことがありました。このことには学ばされ、今後はそうならないようにしようと強く思いました。自分からどう上手に話し、こちらの考えた通りに仕事をしてもらえるか、真剣に考え、悩んだものです。
 ゼネコンの現場監督というのは1年目でも管理者の立場です。現場で何か質問をされたら判断し答えるのも仕事であり、その判断を間違えると現場に損失を与えてしまいます。そういった意味では特殊な仕事といえます。必ず確認を怠らず、慎重にやることが必要です。これまで新入社員の研修でもその点を強調してきました。
 自分たちが手掛けた建物には愛着があります。現場で育ってきた人は皆、異動で現場を離れてからもまた戻りたいと思うのではないでしょうか。私もその一人です。01年から約1年間と、03~07年には本社建築事業本部に在籍しましたが、会社にお願いして二度にわたり現場勤務に戻してもらったこともありました。
 私たちの仕事に大切なのは、関係者とよくコミュニケーションを取ることです。そして施工者として言われた通りに造るだけでなく、必要に応じて使い方も含めていろいろなことを検討し提案する。そうでなければ一流の建設会社とはいえないと思っています。
 (うえだ・しん)1984年早大理工学部建築学科卒、熊谷組入社。03年本社建築事業本部建築部副部長、13年首都圏支店建築事業部建築部長、14年執行役員首都圏支店副支店長兼建築事業部長。東京都出身、52歳。

結/TOTOセラミック営業部・韓昭乙さん/清潔支える会社でもっと成長

セラミック営業部で光通信関連パーツの部品販売を担当している。中国向けを中心に英語を駆使しながら仕事をこなす。仕事で海外に出ると、「TOTOの知名度の高さに驚くし、誇らしい」。入社4年目を迎えるが、「周囲の環境にも恵まれており、仕事にもやりがいを感じている」と充実した日々を送っている。
 韓国での普段の生活の中で日本製品に触れる機会が多く、「日本のメーカーに興味を持った」。幼いころから父の仕事の関係などで何度か日本に訪れたこともあり、大学から本格的に日本での滞在を始めた。就職活動の際には他国で働くことも考えたが、日本企業の人材育成の方針に共感し、日本で就職することを決めた。
 「チームで何度も会議を重ね、注文から納品まで顧客を満足させる契約を成立させた時に達成感を感じる」という。今は勉強の毎日で、自己評価は「60点」。さらなるレベルアップを目指すため、「リーダーシップを身に付けることが必要。周りの人のことまで細かい配慮ができるようになる」のが目標だ。
 日本と外国の違いは「トイレの清潔さ」という。日本では「人に迷惑を掛けないようにしようという意識が浸透しているからでは」と分析する。その清潔さを支えているTOTOで「もっと成長したい」と笑顔で語る。(セラミック営業課、はん・そうる)(韓国出身)

サークル/日建設計ボランティア部/「社内の知識を応用し、顔の見える支援を」

 東日本大震災をきっかけに有志で始めた日建設計ボランティア部。「社内の専門的な知識を応用し、具体的に顔の見える支援を考える」をモットーに仕事で学んだノウハウを生かして、復興・防災に取り組む。
 10月時点でグループ会社の社員も含め40人が所属し、△逃げ地図△石巻△釜石・山田―の3チーム体制で活動中だ。
 逃げ地図チームは地域住民と共に避難経路と避難にかかる時間を可視化した「逃げ地図」をつくるワークショップを全国で開催。金沢21世紀美術館(金沢市広坂)で開催中の「ジャパン・アーキテクツ展3・11以降の建築」(15年5月10日まで)で逃げ地図の展示も行っている。
 石巻チームは、地元企業や住民と協力して岩手県石巻市の中心市街地活性化に取り組む。来春には市内に地元住民が買い物できるマルシェ(市場)をオープンする予定だ。
 釜石・山田チームは、東北沿岸部にある復興商店街の調査や設計支援するほか、復興計画の策定に向けた勉強会も開催。これからも住民と一緒に復興支援に取り組んでいく。

中堅世代-それぞれの建設業・77/女性活躍、可能性を信じて

性別にかかわらず生き生きと働ける職場環境作りが課題
ゼネコンに入って、とにかく大きい建物を造るところを目の前で見てみたい-。大学で建築構造を専攻した井上美紀さん(仮名)。勤めているゼネコンは、10年ほど前の就職活動中、「現場に出たい」という希望を前向きに聞いてくれた唯一の会社だった。これまで複数の現場に配属され、現場監督としての経験を積んできた。
 入社当時、現場で女性の存在は珍しかっただけに、「配属先の所長はすごく気を使ってくれた」と振り返る。ありがたいと思う半面、男性と変わらずに接してほしいという思いもあった。「トイレや更衣室だけ配慮してもらえれば、あとは怒られることも含めて男性と同等でありたい。逆に女性一人のために必要以上に気を遣われ、設備などにお金をかけられると心苦しさが増すばかりだった」。
 周囲から「おまえは所長になれ」ともよく言われた。女性の現場所長の誕生に期待をかけ、エールを送ってくれている…。そうは分かっていても、その一言が肩に重くのしかかったことも。「横道にそれず、現場一筋で生きていく選択肢しかないと自分を追い詰めるようになった」。
 これとは正反対に、現場に女性がいることを快く思わない所長も少なからずいた。会社が男女問わず若手技術者に現場をローテーションで経験させようと取り組んでも、「利益が上がらないから女性は要らない」と有無を言わさず拒絶する所長も。女性や外国人など異質の人材が現場に入ることを、単にコストアップ要因としか見ていないのだと思った。
 「残業ありき、体力ありきで評価されるような凝り固まった価値観や美学が現場に残っている限り、女性技術者の活躍の場は広がらない」と思っている。
 業界内では最近、女性活用の取り組みが盛り上がりを見せているが、違和感を覚えることもある。「活用」という言葉自体、今まで役に立っていなかったものを生かすといった「上から目線」を感じるからだ。
 「業界が女性技術者を必要な人材として再認識し、積極的に採用すること自体は大いに賛成だが、女性活用のキャンペーンを何のためにやっているかが不透明」と今の流れを素直には受け入れていない。「人手不足だが、外国人は扱いづらいのでとりあえず女性を入れる」。そんな目先の対応が先に立ち、「男女が一緒に働くことが現場にとっていいことだ」といった理念が感じられないという。
 言葉に踊らされず、老若男女が働きやすく、作業効率の高い現場の生産システムを構築する。こうした多様な人材を活用する本来の目的をきちんと示すことが必要だと思っている。
 体調を崩し、今は現場を離れて本社の管理部門に勤務する。最近、後輩たちのために何ができるだろうかとよく考えるようになった。建設会社では女性の活躍する場がまだまだ限られ、社内で自分の行き場を見いだせずにいる人も多い。
 「現状に縛られない現場技術者の働き方を見つけたい」。現場を経験した女性技術者の一人として、性別にかかわらず、より多くの技術者が現場の生産に関わり続けられる仕事の仕組みや制度をつくることをこれからの目標に掲げる。閉鎖的な職場環境が長く続いていた建設業界だからこそ、まだまだ可能性があると信じている。

下水道協会/女性向けに写真撮影講習会開く/広報スキルアップ講座で

 日本下水道協会は7日、下水道業界で働く女性社員・職員向けに「伝わる写真の撮り方」をテーマに広報スキルアップ講座を開いた。同協会が業界内の女性同士のつながりを支援する場として創設した「GJリンク」に参加するメンバーら18人が、講師に招いたカメラマンの白汚零氏から座学と実技で写真撮影の基礎を学んだ。  講座では、白汚氏がカメラの種類や特性、シャッタースピードや明るさの調整方法などを説明した後、参加者が持参した写真を見ながら撮り方を指導。白汚氏の解説を踏まえ、参加者は室内に用意されたオブジェなどを撮影し、技術を磨いた。  GJリンクは、男性が多数を占める下水道業界で働く女性同士の出会いと交流を支援する場として13年に発足した。参加資格は下水道関連部署で働く女性であること。女性のキャリアアップや人脈の形成などを後押しし、業界全体の活性化を図る。これまで女性のキャリア支援などに関するワークショップを重ねてきたが、今回のスキルアップ講座はGJリンクのメンバーが発案した初めての企画という。

2014年12月19日金曜日

国交省/一般向けに建設業PR映像作成へ/若者に仕事や魅力伝える

 国土交通省は、一般向けに建設業をPRする映像資料を作成する。技能者の高齢化や若年入職者の減少が続く中、建設業の仕事や魅力を知るきっかけにしてもらう狙い。「地域の守り手」「町医者」として重要な役割を担う建設業が総合建設業と多くの専門工事業で成り立っていることを分かりやすく伝えながら、業界のイメージアップと入職促進につながるような内容を想定している。
 映像資料は約15分の本編と数分のダイジェスト版を作る。実写映像やコンピューターグラフィックス(CG)、アニメーションを使い、小・中・高の児童や生徒、建設業を知らない人でも理解できるようなストーリーに仕立てる。
 本年度末までにDVDを200枚作り、各種説明会で使用するほか、インターネットの動画サイトへ投稿することも考えているという。
 国交省は18日、作成業務を外注するため一般競争入札の手続きを始めた。「役務の提供等」のB・C等級企業が対象。15年1月7日に入札を締め切り、8日に開札する。

ひと/技能五輪全国大会で金メダル/イワタプラスター・坂入竜司氏

 ◇地道な努力が実を結ぶ
 11月28日~12月1日に愛知県で開かれた「第52回技能五輪全国大会」の左官職種で金メダルに輝いた。
 「想像力と微妙なこてさばきを要求される難しい課題だったが、練習の成果を出すことができた」と受賞の喜びを率直に語る。
 左官職種には、全国から女性1人を含む13人が出場した。課題は、1800×1800ミリ(厚さ12・5ミリ)のボード内に焼石こうで三つの枠を作り、枠の中を左官の自然材料を使って、各自自由な壁を表現する。
 本番では8種類のこてを使い分け、絵柄の部分には名古屋のシンボル、金のしゃちほこを描いた。
 愛知県立緑丘商業高校を卒業し、水道設備工事に従事。その際に左官の仕事に魅せられたという。
 愛知県春日井市の左官工事業、イワタプラスターに入り、4年の実務経験を持つ。2級左官技能士の検定試験で抜群の成績が評価されたのが、全国大会出場のきっかけとなった。
 毎日仕事が終わったあと、疲れた体にムチを打ち、練習に励んだ。失敗を繰り返す中で、腕を上げていった。「誰からも認められる職人」を目指す。
 今月下旬に結婚する。三つ年下の彼女に「金メダルを獲ったらプロポーズするとひそかに決めていた」。
 愛知県出身、来年3月に24歳。来年8月にブラジルで開かれる第43回技能五輪国際大会には年齢制限で出場できないが、かけがえのないメダルを手に入れた。(さかいり・りゅうじ)

東京ステーションギャラリー/15年3月1日まで「東京駅100年の記憶」展

 開業100周年を記念し、東京ステーションギャラリー(東京都千代田区)で「東京駅100年の記憶」展が開かれている。日本の近代史とともに歩んできた東京駅を、さまざまな視点で紹介している。
 丸の内駅舎を設計した辰野金吾が残したスケッチや、丸の内周辺のジオラマ、完成当時の建築装飾などを展示し、東京駅のこれまでの100年を振り返る。17年に完成予定の駅前広場を模型で紹介し、東京駅の将来の姿も提示している。
 期間は15年3月1日まで。開館時間は午前10時~午後6時、金曜日は午後8時まで。月曜日と29日~15年1月1日、同13日は休館。入館料は一般900円。

JR東海/リニア新幹線が着工/27年開業へ、品川・名古屋で安全祈願式開く

JR東海は17日、リニア中央新幹線の東京・品川~名古屋間(路線延長285・6キロ)の建設工事に着手した。品川と名古屋の両ターミナル駅付近で同日午後に行われた安全祈願式には同社幹部、地元自治体、準備工事を担当する施工関係者らが出席し、計画全線で行われる工事の安全を祈願した。総工費5・5兆円を投じ、2027年の開業を目指す。
 名古屋で行われた神事に出席したJR東海の柘植康英社長は「リニア新幹線は二重系化による防災対応や老朽化した東海道新幹線のバイパス機能を担うなど、日本の将来にとって不可欠な国家的プロジェクトだ。(大阪まで延伸して)三大都市圏を一体化させ、経済の活性化など新たな付加価値が生まれる」と説明。続けて「リニア沿線にさまざまな施設・機能の誘致が促され、地域の発展にも貢献する」と述べた。
 品川の神事に出席した同社の山田佳臣代表取締役会長は「息の長いプロジェクトなので、円滑に引き継ぎながら成就させたい。一つずつ着実に前に進めるには、工事関係者らの安全と、周囲の環境保全の二つが非常に重要だ。地域との連携も密にし、丁寧に事業を進めていく」とあいさつした。
 既設駅舎の直下に開削工法で建設する品川、名古屋の両ターミナル駅では、15年度の本体着工に向け、自社所有地内での準備工事(フェンス設置、資材置き場整備、支障物の整理・撤去など)を先行して進める。施工は品川駅部が名工建設、双葉鉄道工業、新生テクノス、名古屋駅部がジェイアール東海建設、東海交通機械、シーエヌ建設、新生テクノスがそれぞれ担当する。
 名古屋駅では「来秋以降に(駅中心部で)本格的な土木工事に取りかかる」(柘植社長)。駅の東側と西側については本年度中に中心線測量を開始し、15年度に用地説明会の開催を予定している。

第1回関東学生景観デザインコンペ/最優秀賞を選定/実行委、東京・板橋区

最優秀賞の「伝う景水路から」
日本大学や東京芸術大学、埼玉大学の建築系学科などでつくる関東学生景観デザインコンペティション実行委員会(実行委員長・中澤公伯日大准教授)と東京・板橋区が共催する第1回「関東学生景観デザインコンペティション」の審査結果が発表された。応募27点の中から、最優秀賞に小林尭礼氏(千葉大大学院)の「伝う景水路から」を選出したほか、優秀賞1点、景観デザイン賞1点、佳作3点、板橋区長賞1点を選んだ。
 テーマは「崖線の地形を活(い)かした景観デザイン」。東京都板橋区の崖線周辺にある起伏に富んだ坂道や緑豊かな樹林地、板橋十景に選定されている赤塚公園、松月院など多くの歴史・文化的遺産を生かして地区の魅力をさらに高める景観デザインを募集した。
 区民の投票と、坂本健板橋区長、大内達史東京都建築士事務所協会会長、深堀清隆埼玉大大学院准教授、中澤公伯日大准教授、建築家の田村祐希東京芸大教育研究助手の6氏による審査で、入選作を選んだ。
 最優秀賞の「伝う景水路から」は、崖線を地域を分断するネガティブなものとして提案した作品が多い中、崖を断層から水が出る豊かな地形としてポジティブに捉えた点や地域特性を生かして「水」をテーマに提案した点が評価された。
 優秀賞以下の受賞作品と受賞者(敬称略、カッコ内は所属先)は次の通り。
 【優秀賞】崖のなかの居場所―まちと公園の2本の架け橋=小笠原智美(武蔵野美術大大学院)
 【景観デザイン賞】結ばれた公園は軸となる=夏井俊・手塚健太(法政大大学院)
 【佳作】ケモノミチ=嶂南達貴・伊奈ゆう子・西牟田章士・深町知貴(東大)▽崖線のPatchWalk=大林和磨(首都大学東京大学院)▽流れる風景=原功治・荻原真・南賢大・大下真央(東京電機大大学院)
 【板橋区長賞】ケモノミチ=嶂南達貴・伊奈ゆう子・西牟田章士・深町知貴(東大)。

高速道路整備-ネットワーク効果に関心/選択ルート激増、災害・平時とも貢献

 公共投資の水準をめぐる議論の中で、道路のネットワーク効果にあらためて注目が集まっている。東京~青森間を高速道路で移動する場合のルートは、現在24ルート(11年3月末時点)にとどまるが、高規格幹線道路網1万4000キロが整備された場合は1万4240ルートに増える。災害時の代替機能に加え、労働生産性の向上、青果や医療機器の搬送ルートの多様化など平常時にもさまざまな効果が期待される。  大石久和国土政策研究所長は「短区間のB/C(費用対効果)に追い立てられたのは過去の道路行政の失敗だ」と指摘する。  東京~青森の高速道路の供用延長は11年3月末時点で2523キロ。計画ベースの75%に達している。100%の3361キロに到達させるには、あと838キロの整備が必要になるが、この残り25%を増やすことで、最も一般的な東北自動車道を使うルートに加え、太平洋沿岸、日本海沿岸を通る選択肢が追加され、選択可能なルートは約600倍に増えるという。  同様に大阪~鹿児島間の移動では、11年3月末時点の高速道路の選択肢は20ルート(供用延長2870キロ、計画ベースの77%)だが、100%に向けてあと861キロの整備を行えば、1万2600ルート(約630倍)に増加する。  東北北部のほぼ中央、青森、岩手、秋田の主要都市に直線で150キロの位置にある秋田県大館市。青果物の加工・流通・販売を手掛けるフレッシュシステム(東京都千代田区)は6年前、ここに加工拠点を構えた。輸入品のバナナなどを食べごろに熟成させ、約2時間で主要商圏に出荷する。  大館市では、日本海沿岸東北自動車道大館北インターチェンジ(IC)~東北道小坂ジャンクション(JCT)間の延長16・1キロが13年11月に開通したのを契機に、12年以降、工場立地が活発化。国土交通省が確認しただけで27工場が立地し、206億円の設備投資が創出されたという。  現地では、高速道路のネットワーク効果が、熟成前の緑色のバナナを輸入・運搬し、熟成した上で鮮度の高いバナナを店頭に並べる「バナナ革命」としてPRされている。さらに大館市からは、東北道を通って関東へ、日本海側を関西へと、それぞれの利便性が高まり、医療機器の搬送ルートも拡大。国交省の幹部は「道路ネットワークの重心として、バナナ革命に加え、いのちをつなぐ効果が出ている」と強調する。  道路整備、特に有料道路の整備をめぐってはこれまで、短区間の収益性を重視した議論が交わされた経緯がある。現在は、移動時間の短縮に伴う労働生産性の向上とともに、ネットワーク効果の重要性が認知されつつある。「途切れない道路ネットワークを造ることの重要性を分かっていただきたい」と大石所長。ネットワーク化とともに、高規格幹線道路網1万4000キロの行方がもっと注目されてもよさそうだ。

2014年12月17日水曜日

レガシー共創協議会/40プロジェクトを提案/15年春以降に具体化へ

大成建設らが提案した「空中自転車・ランニング道路」のイメージ
 2020年東京五輪を契機に都市が抱える課題を解決する事業や施策を検討してきた産官学連携組織「レガシー共創協議会」(会長・間野義之早大教授)が最終提言をまとめた。提言では会員企業・団体らが40件のプロジェクトを提案し、今後具体化に着手するとしている。民間資金を活用するための事業モデルの検討などに入る。
 協議会は三菱総合研究所が設立。100社以上の民間企業のほか、行政機関、大学などが参画している。ゼネコンやデベロッパーなど建設関連企業も多く、提案されたプロジェクトの立案にも参加した。
 東急不動産ホールディングスや大成建設は、PFI制度を活用して既存の交通インフラの未利用空間に自転車専用道とランニングコースを設置する「空中自転車・ランニング道路『R-CYCLE CITY PROJECT』」を提案。都心の交通渋滞緩和や人々の健康増進を実現できるとしている。
 鹿島や清水建設は、エネルギーのスマート化の技術を応用した「持続可能なエネルギーネットワークの構築」を提案。エネルギーの定量化や蓄積の仕組みを使い、五輪施設などの省エネ状況をモニタリングし、人々の省エネ意識の向上に役立てる。五輪だけでなく全国のさまざまなイベントで活用できるようにシステムを構築する構想だ。
 16日に都内で開いた最終提言の報告会で、三菱総研の大森京太社長は「オリンピック・パラリンピック・レガシーを通し、社会の課題解決にオールジャパンで取り組むべきだ。来春からはプロジェクトの具体的な立ち上げに力点を移す」と話した。
 このほか、建設会社が参加したプロジェクトは以下の通り。
 ▽新たなボランティア制度の検討・提案プロジェクト(大林組)▽大丸有地区のポテンシャルを生かした健康都市の先進モデル研究会(高砂熱学工業)▽健康増進空間プラットフォーム事業に向けた勉強会(竹中工務店)▽スポーツ合宿誘致マッチングシステム(大成建設)▽自転車走行空間ネットワーク化事業(大成建設)▽オリパラにおけるスポーツファシリティマネジメントの確立とエリアマネジメント(竹中工務店、清水建設)▽自然エネルギーを利用した温泉地のリノベーション(高砂熱学工業、大成建設)▽エネルギートレーサビリティー・顔の見えるエネルギー(清水建設)▽臨場感あふれるエンターテインメントの実現(高砂熱学工業)。

リニア新幹線、12月17日着工/品川駅と名古屋駅で安全祈願式

 JR東海が東京・品川~名古屋間(路線延長285・6キロ)で2027年の開業を目指すリニア中央新幹線が17日着工する。午後に品川と名古屋の両ターミナル駅付近で同社幹部や地元自治体の関係者らが安全祈願式を開く。大深度地下や3000メートル級の山岳地帯でのトンネル工事など各所で難工事が予想される中、施工を担当する建設会社への期待は大きい。総工費は5・5兆円。  計画によると、既設駅舎の直下に開削工法で建設する品川、名古屋の両ターミナル駅は開業の27年までの工期を要する。15年度から本体工事に着手するため、自社所有地内で準備工(フェンス設置や資材置き場整備、支障物の整理・撤去など)を先行して進める。  路線全体の86%に当たる246・6キロをトンネルが占め、高架橋が8%の23・6キロ、路盤が2%の4・1キロ。南アルプストンネル(25キロ)は最大土かぶり1400メートルに及ぶ日本一の大深度トンネルになる。各エリアでは調査・測量、設計協議、地元説明などを経て15年度以降、順次着工する見通しだ。  工事の発注方式については、JR本州3社(東日本、東海、西日本)が10月に世界貿易機関(WTO)政府調達協定の適用対象機関から外れたことで自由度が広がった。  JR東海は、今後の発注方法などの詳細については明らかにしていないが、厳しい工期で技術的な難易度が極めて高い工事が相次ぐだけに、施工者選定では「高い技術力を持つ業者はもちろん、コスト削減に寄与する提案など、総合的な観点から決める」(関係者)としている。

2014年12月16日火曜日

西武プロパティーズ/「東京ガーデンテラス」に/赤プリ跡地の複合高層ビル名称

 西武プロパティーズは、東京都千代田区のグランドプリンスホテル赤坂(旧赤坂プリンスホテル)跡地で建設を進めている複合高層ビル「紀尾井町プロジェクト」=完成イメージ=の名称を「東京ガーデンテラス」に決めた。
 東京ガーデンテラス(千代田区紀尾井町1の2、敷地面積3万0400平方メートル)は、S造地下2階地上36階建てのオフィス・ホテル棟(施工=鹿島・鉄建・熊谷組JV、高さ180メートル)、RC造地下2階地上21階建ての住宅棟(施工=西武建設・大林組・前田建設JV、同90メートル)で構成する。総延べ床面積は22万7200平方メートル。設計・監理を日建設計、外装デザインをコーン・ペダーセン・フォックス・アソシエイツが担当。16年5月の竣工を予定している。総事業費は980億円。
 森ビルがビルマネジメントやタウンマネジメントなどを行うプロパティマネジメント業務を行っている。

東京スカイツリー/光の3原色特別ライティング/受賞記念し12月18日まで

 青色LED研究での日本人3人のノーベル物理学賞受賞を記念し、東京スカイツリーが光の3原色にライトアップされている=写真。スカイツリーを運営する東武タワースカイツリー(東京都墨田区、伊藤正明社長)がパナソニックと共同でデザイン・開発した特別ライティングで、18日まで行われる。
 青色LEDの誕生によって光の3原色(赤・緑・青)がそろい、LED照明器具が多くの分野で実用化されて省エネなどの社会貢献につながったことから、赤・緑・青の3色と、3色の掛け合わせにより生まれる白が美しく共演するデザインを表現したという。東京スカイツリーでは、開業以来毎日実施しているライティングにLED技術を活用し、大幅な省エネを図っている。

東鉄工業/上野駅構内の分岐器交換が完了/レール重量変更で、100人が深夜作業

 東鉄工業は、JR東日本東京支社上野保線技術センターから受注し、東京都台東区のJR上野駅構内で行っていた「特殊分岐器(DSS)の重軌条化工事」を完了させた。上野~東京駅間を結ぶ「上野東京ライン」の来春開業に伴い、主要路線を重軌条化する工事の一環。1メートル当たりのレール重量が50キロから60キロに変更されるのに合わせて分岐器を交換した。  工事は6日深夜から7日早朝にかけて実施。50トン軌陸クレーンで旧分岐器を撤去した上で、鉄道クレーンを使って新分岐器を設置箇所に挿入した。早朝時間帯の一部列車のホームを変更し、作業時間として午前0~6時の6時間を確保。JR東や信号関係者を含め総勢100人が作業に従事し、50トン軌陸クレーン2台、鉄道クレーン1台を使って予定通り作業を終えた。  同社東京線路支店上野出張所の鈴木孝主任は「多くの競合工事があり、厳しい工程の中で準備作業を行ってきた。DSSを60キロ化するという難易度の高いプロジェクトのため、困難な課題も多かったが一つずつ解決しながら工事を進めていった」と話している。


鉄道クレーンでDSSを設置

2014年12月15日月曜日

サークル/熊谷組ランニングサークル「ベアーズ」

 ◇「楽しく走り、たくさんの人と仲良くつながろう」
 熊谷組のランニングサークル「ベアーズ」は、2003年秋に国営昭和記念公園(東京都立川市)で開催された大規模な駅伝大会に、駅伝好きの有志でエントリーしたのがきっかけで発足した。同社とグループ会社の社員を中心に、OBや家族、友人なども加わり、現在約170人(延べ550人)が参加している。
 活動のモットーは「『楽しく』走り、たくさんの人と『仲良く』つながろう!」。毎年春と秋の大規模な駅伝イベントに十数チームを編成して出場している。今年5月には、皇居外苑(東京都千代田区)で駅伝大会を自主開催し、約60人が参加した。サークルに参加する人は年々増加しており、おそろいのTシャツも作った。春・秋の駅伝大会に加え、リレーマラソンなどへの参加も検討しているという。
 事務局を務める松田和繁経営管理本部CSR推進部CS推進グループ部長は「新入社員から経営層、グループ会社、そして家族、友人に至る幅広い人たちが一堂に会し、楽しく走り、応援をし、懇親会では飲み語り合う、そんな一体感をもっと多くの人たちに味わってほしい。そのためにも社内イントラなどで参加者の笑顔をもっと紹介し、たくさんの笑顔が増えていくことを期待しています」と話している。

中堅世代-それぞれの建設業・76/土木技術者の「DNA」を次世代に

現場で人を育てるためには、ゆとりも必要だ
 「建設需要の膨らむタイミングがあと5年遅かったら、現場の技術伝承は滞り、建設産業は荒廃の一途をたどっていたかもしれない」
 建設会社で土木プロジェクトを管理する野々宮健さん(仮称)は、東日本大震災後の復旧・復興事業、全国防災や国土強靱(きょうじん)化に向けたインフラ整備事業などが、建設産業再生への転機になることを期待する。
 「大きな現場に配属された若手技術者は、現場所長の背中を見ながら将来は自分も大現場をマネジメントしたいという夢や憧れを抱く」と話す野々宮さん。ここ数年、トンネルやダムなどの土木工事で大型案件が動きだし、次代を担う土木技術者をOJTで育てる最後のチャンスと意気込む。
 震災前は、道路やダムなど土木構造物の新設工事が激減し、公共投資の額も最盛期の半分程度にまで落ち込んだ。限られた仕事を多くの企業が奪い合う結果、ダンピング受注が横行。企業は利益確保に四苦八苦し、人材を育成する余力がない状況にあった。
 建設市場の風向きは変わった。しかし、これまで体力を削り、社員採用も抑えて疲弊しきった建設会社には、「工事量の急増は違う意味で負荷がかかっている」と感じる。
 バブル崩壊後の建設不況の10年間は、新入社員採用が抑えられた上に、数少ない採用者の中からも、給料など処遇環境の悪化で離職者が相次いだ。土木技術者として現場を長年見てきた野々宮さんは「今、現場への人員配置は、本来なら5人必要なところを4人、10人必要なところを8人にしている。理想と現実は大きく異なる。ゆとりのない現場では、昔のようなOJTはできない」。
 市場の先行きが不透明なために、会社は技術職を中心に人材不足などの問題があっても今ある仕事を可能な限り確保しようと無理をしがちだ。
 過去にダムやトンネルなど、さまざまな土木構造物の建設に携わった実績のある会社でさえも、技術者がいなければ、仕事は当然取れない。業界各社が注目する大型工事を受注したくても、社内の施工体制が整わないために入札参加を見送らざるを得ないこともあり、歯がゆい思いをする。
 組織力と資本力のある大手と無理に争えば、体力を消耗するだけだ。野々宮さんは「何でもかんでも手を出すのではなく、市場動向をよく分析しながら強みのある分野に特化して技術提案力や施工力を高める必要がある」と話す。
 発注者側ももっと意識を変えてほしいと思う。人材不足を補うために、国を中心に女性活用の動きが活発化しているが、「受け入れる現場に余裕がなければ女性技術者の活躍の場は広がらない。メリットと同時にデメリットもある。コストや工期などへのプラスアルファを発注者側が認めなければ、女性活用の施策も絵に描いた餅になる」。
 建設業の先行きを憂える気持ちは誰にも負けないと自負している。建設業の将来のためには、現場での人材育成を原点に返って見直す時期に来ていると感じる。
 これまで培ってきた技術・ノウハウを体系化し、現場のマネジメント力をいかに引き継いでいくか。難工事を乗り越え、豊かな国土を築き上げた先人たちの軌跡と、脈々と受け継がれてきた土木技術者としての「DNA」を次の世代に伝えることが、自分たち中堅世代の責務だといつも肝に銘じている。

凛/青木あすなろ建設東京土木本店・田村加奈さん/オン・オフを上手に切り替え

大学で土木工学を専攻していた10歳年の離れた兄の影響を受け、日本大学理工学部土木工学科に進学。道路や橋など身近な土木構造物がかっこよく目に映り、直接ものづくりに携わることのできる建設会社を就職先に選んだという。
 入社後3年間は土地造成工事の現場管理を担当した。「近くに住宅や学校があり、ほこりや音に注意を払った。分からないことだらけで、がむしゃらの日々だった」と振り返る。現場が休みになる日曜に勉強し、4年目に1級土木施工管理技士の資格を取得した。
 見積部に移って今年で6年目。主に官庁土木工事の予定価格を算出するサポートや見積書の作成などを担当している。「総合評価方式だと技術提案と入札金額の両方が問われる。努力が報われないこともあるけれど、受注が決まった時はうれしい。フロア全体に拍手が起こることもある」。
 2年前に出産し、現在は勤務時間を午前9時から午後4時までに短縮した中で働いている。「周囲の理解もあって子育てしながら働くことができている」と感謝。「散歩したり、ママ友と出掛けたり、子どもとの日常的なすべてに癒される」と笑顔を見せる。
 子どもの世話で急に休まないといけなくなることもあるため、一日一日を大切にし、次の日に仕事を持ち越さないように心掛けている。「前は細かいことを気にしすぎていた。オン・オフをうまく切り替えられるようにしていきたい。いろいろな部署も経験したい」。(見積部、たむら・かな)

駆け出しのころ/竹中工務店専務執行役員・岡本達雄氏/追い掛けられるよりも攻める

 入社して最初の1年間は見習いとして研修を受けました。その最初が作業所での研修で、大規模な集合住宅をプレキャスト工法で造るという先進的な現場でした。多くの職人さんたちとも接し、大変に新鮮な体験ができました。それから設計、見積もりの研修を経て、入社2年目に設計部に配属されて構造設計を担当しました。  当時の構造計算で使っていたのはそろばんと計算尺。しかし、私はそうした計算に慣れていなかったので手が動かず、最初のころはSRC柱1本の計算に1週間もかかっていました。私とは違い、先輩たちはものすごいスピードで、しかも正確に計算書を作成されていました。まさにプロの仕事です。その大きな差を痛感したものです。  そうして経験を積んである程度はできるようになったのですが、構造計算で使うのは段々と電卓とコンピューターに代わっていきました。タフな仕事はコンピューターがやってくれるようになったのです。でも後から考えると、自分の手で計算しながら設計した経験はとても貴重なものでした。  私が若いころは超高層建築の数が増えていく黎明(れいめい)期でもありました。超高層を設計するには特殊な解析が必要です。それは経験的に学んだことではなく、震動解析をどうやるのかなど大学で学んだことが生かせるものでした。そうした機会が増えていくうち、30歳のころに一つの超高層建築の設計を任せてもらいました。最初はどうしたらよいのかと迷い、いろいろな方に相談もしました。大変な経験でしたが、良いチャンスに恵まれたと思っています。  1985年に配属されたのは構造開発部門でした。当初は周りの人たちが生き生きと仕事をしていたのに対し、私には仕事がなかなか回ってきませんでした。それまではデッドラインに間に合わせるためにいつも時間に追い掛けられていましたから、仕事がないことにとても不安を覚えました。ですが、上司が「岡本は自分で何かを考えるだろう」と意図的にそうしてくれていたのだと思います。この部署では、自分が設計する時にあったら役立つという技術を考え、その企画や開発に当たらせてもらいました。  常に考え、工夫し、知恵を注ぎ込む。そして追い掛けられるよりも攻める。そう考えていると、いろいろなアイデアが出てくるものです。私の役割は今、そうやって出てきたものをバックアップすることです。かつての上司も、同じことをしてくれていたに違いありません。  (おかもと・たつお)1973年京大大学院修士課程建築学専攻修了、竹中工務店入社。88年大阪本店設計部構造課長、01年同設計部長、04年設計本部副本部長、06年技術企画本部長、08年取締役、10年執行役員、11年常務執行役員、14年専務執行役員。兵庫県出身、66歳。
見習い研修の最初に配属された作業所で、とび職の職長と(1973年7月撮影)

2014年12月12日金曜日

安井建築設計事務所/都内でトークイベント開く/サントリーホールへの思い語り合う

 「世界一美しい響き」を目指してつくられたサントリーホール(東京都港区)。安井建築設計事務所が、創業90周年記念と、ホールの設計を手掛け今年3月に亡くなった佐野正一同社相談役(元社長・会長)の追悼で企画したトークイベントが10日、同ホールで行われ、音楽プロデューサーの眞鍋圭子氏、作家の北康利氏が、佐野吉彦安井建築設計事務所社長とホールへの思いなどを語り合った。
 サントリーホールは、「音楽は演奏家と聴衆が一体となってつくり、共に喜び楽しむもの」というオーストリアの指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの助言を受け、日本で初めて客席が舞台を取り囲むヴィンヤード型のホールとして1986年に完成した。
 建設前に佐治敬三サントリー社長(当時)や佐野正一氏らと共に海外を視察した眞鍋氏は「佐治氏と佐野氏がカラヤンの話に熱心に耳を傾けていた姿が印象的だった」と振り返った。カラヤンが演奏家と聴衆が一体となった空間づくりに必要な要素を教えると、両氏はそれを忠実に再現してサントリーホールをつくったという。
 佐治氏に関する著書を執筆中という北氏は「佐治氏は企業の社会貢献に注力した経営者だ。彼がいたからこそ企業が芸術を支援する文化が生まれた」と強調。「彼がつくったホールや文化に対する思いを引き継ぐことが重要だ」と話した。
 佐野社長は「5年ごとに改修を重ねており、今後も開館当初の輝きと響きを保ち続けたい」とホールに対する思いを語った。

東急不ら/「東急プラザ渋谷」、15年3月閉館/一帯再開発に向け解体へ

 東急不動産と東急不動産SCマネジメント(東京都渋谷区、土屋光夫社長)は、東京都渋谷区のJR渋谷駅前にある商業施設「東急プラザ渋谷」を15年3月22日で閉館する。閉館後は「道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合」が計画している再開発事業用地とするため、15年度早期に建物の解体工事に入る。延べ約5・9万平方メートルの再開発ビル=完成イメージ=は16年1月に本体着工し、19年3月の完成を目指す。特定業務代行者として清水建設が既存建物解体や再開発ビルの建設を行う。
 東急プラザ渋谷(渋谷区道玄坂1の2の2)は、地下2階地上9階建ての建物で、1965年に開業した。現在は約90店舗が入る。
 再開発は、東急プラザを含む渋谷区道玄坂1の2、8の二つの街区(敷地面積3330平方メートル)で計画。新たなビルは地下4階地上18階建て延べ5万8900平方メートルの規模となる。低層部に商業施設、高層部にオフィスが入る。基本設計は日建設計、デザインアーキテクトは手塚建築研究所が担当。事業協力者として地権者でもある東急不動産が参画している。
 計画によると、ビルの1階に空港リムジンバスなどが発着するバスターミナルを整備。クリエイティブ・コンテンツ産業や外資系企業などのための産業支援施設や、国内外の来街者のための観光支援施設なども設ける。

大林組/ロボットスーツを現場に投入/運搬作業効率2倍、腰の負担軽減

 大林組は、重い物を持った時に腰にかかる負荷を軽減する作業支援用ロボットスーツ「HAL」を、現場実証として導入した東京都内の建設現場を11日、報道関係者に公開した。左官作業で25キロのセメント袋を台車に移し替える作業に使っていた伏見工業所の伏見晋二社長(54)は「HALのアシストでセメント袋を早く持ち上げられ、重さも感じない」=写真。別の作業員(67)も「これがあれば70歳までは働ける」と話していた。  HALはベンチャー企業のサイバーダイン(茨城県つくば市、山海嘉之社長)が開発。腰部分に装着し、かがんだ状態から持ち上げる動作をモーターの力で支援する。中腰になった時「後ろから人が腕を回し、支えてくれている感覚」と上田尚輝大林組技術本部技術研究所担当部長。同社は5台をレンタルし、現場での実証に協力している。  左官や鉄筋加工などの運搬を伴う作業を対象に、これまでに3現場や機械工場で試し、作業効率が約2倍に上がることを確認したという。  大林組は今後、実証結果を基に建設現場向けのカスタマイズをサイバーダインと検討。実用化が可能と判断すれば来年度から本格導入する。  建設現場で腰を痛める技能労働者は実際多く、職業病の一つともいえる。ロボットスーツで腰への負担が軽減されれば、生産性の向上と労働環境の改善にもなり、担い手確保にも役立ちそうだ。

2014年12月11日木曜日

関東整備局/川の写真コンクール受賞作品決定/12月13日に表彰式

 関東地方整備局は、第33回「川の写真コンクール」の受賞作品を決定した。今年は応募総数6258点(小中高生の部)の中から金、銀、銅の各賞と佳作の計57点を選出。13日にさいたま市中央区のさいたま新都心合同庁舎2号館で表彰式を開く。来年1月から各受賞作品の展示会を各都県で順次行う。
 小学生の部の金賞は、群馬県高崎市立長野小学校3年の反町天駿さんが応募した「ひとぼし」。群馬県南牧村の火祭りの中で演出された火炎の輪が、河川橋と重なる瞬間をカメラに収めた。
 中学生の部の金賞には、埼玉県春日部市立飯沼中学校1年の今井優花さんによる「太陽が顔を出す前に」、高校生の部の金賞には東京都立工芸高校3年の原田ひなのさんが撮影した「青い運河」がそれぞれ選ばれた。
 川の写真コンクールは、国による7月の「河川愛護月間」のイベントの一環として、関東管内に居住する小中高生を対象に毎年開催されている。

相模原市/水素エネ普及促進ビジョン策定/拠点開発地区で水素タウン形成検討

 相模原市は9日、水素エネルギー普及促進ビジョンを策定した。燃料電池自動車の普及と水素ステーションの整備促進、水素関連産業の集積・育成などが柱。橋本駅や相模原駅周辺などの拠点開発に伴う新たな街づくりで、水素エネルギーを活用したコージェネレーションシステムを導入した水素タウンの形成なども検討する。
 クリーンエネルギーの普及促進による二酸化炭素排出量の削減と、水素関連産業の育成・誘致による市内産業の活性化、水素を活用した街づくりなどを進める。
 水素エネルギーを活用した街づくり「水素タウン」の形成(27年度までの実施を検討)では、今後の拠点開発に伴うインフラ整備と併せて水素ステーションの設置などを図る。製造した水素を活用し、事業所や家庭に電気や熱を効果的に融通する燃料電池コージェネレーションシステムの導入も検討する。これから区画整理事業を行う当麻地区や麻溝台・新磯野地区、リニア中央新幹線の駅ができる橋本駅周辺地区や在日米軍基地の一部返還が予定されている相模原駅北口周辺地区、民間の大規模開発などでの導入を想定している。また、災害時のバックアップ電源としての活用も視野に入れている。
 このほか実施を検討する施策として、水素ステーションの整備促進(16~20年度の実施検討)、家庭用燃料電池・産業用燃料電池の普及、水素関連産業の集積・育成なども挙げた。

東洋建設、前田建設/小中学生がコンクリ製造/技研で体験講座、土木の日に合わせ

 東洋建設と前田建設は11月29日、共同利用している技術研究所「美浦研究所」(茨城県美浦村)で、研究所設立20周年と土木の日(11月18日)の記念行事を兼ねた体験講座を開いた。近隣への施設の公開は今回で10回目。地元の小中学生などが参加し、コンクリートの製造方法や浄水装置の仕組みなどを学んだ。  体験講座は「来て、見て、体験、コンクリート」「これで君も地震博士!」「みずみずしい水をつくろう!」の三つのテーマを用意。コンクリート編では、自分で材料を混ぜ合わせてコンクリートを練り、キャラクターの型に入れて人形作りに挑戦した。  水編では、ペットボトルに大小さまざまなサイズの石や砂を詰めた簡易な浄水装置を製作。生活排水や泥水を入れて浄水の過程を見守り、水をきれいにすることの難しさを体験した。  当日実施したアンケートでは、「コンクリートのでき方、地震に強い仕組みが分かった」「久しぶりに童心に帰って実験ができた」などの回答が寄せられ、子どもだけでなく大人の評価も上々だったという。

2014年12月10日水曜日

神奈川県/環境共生都市づくり事業/北里大学新病院整備など3件認証


北里大学病院新病院
 
藤沢商工会館
 
関西ペイント平塚事業所事務厚生棟



 神奈川県県土整備局は8日、県央・湘南都市圏環境共生モデル都市づくり推進要項に基づく環境共生都市づくり事業に「北里大学病院新病院整備事業」「藤沢商工会館整備事業」「関西ペイント平塚事業所事務厚生棟整備事業」の3件を認証すると発表した。17日に県庁で認証式を行う。今回の3件で認証事業は計17件になる。  北里大学病院新病院の所在地は相模原市南区北里1の15の1。事業実施者は北里研究所。施設規模はRC造地下1階地上14階建て延べ10万2402平方メートル。13年12月31日に竣工した。基本設計、設計・監理を日建設計、実施設計を日建設計・竹中工務店JV、施工を竹中工務店が担当。既存樹木を可能な限り保存・移植し、地域の生態系に配慮した緑地整備や、クールヒートトレンチ、エコシャフトなどによる空調負荷低減への取り組み、災害対策などが評価された。  藤沢商工会館の所在地は藤沢市藤沢607の1。事業実施者は藤沢商工会議所。施設規模はS造地下1階地上6階建て延べ5968平方メートル。14年3月23日に竣工した。設計は平山建築設計事務所、施工は門倉組・湘南営繕協会・ミヤマ建設JVが担当した。緑地の計画的配置やLED照明の導入などによる省エネへの取り組み、低公害車(電気自動車)サービスの拠点整備、災害対応などが評価された。  関西ペイント平塚事業所事務厚生棟の所在地は平塚市東八幡5の4の1。事業実施者は関西ペイント平塚事業所。施設規模はS造3階建て延べ3513平方メートル。14年4月23日に竣工した。設計・施工は鹿島が担当した。緑地の計画的配置やBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を導入した省エネ対策、地域環境への配慮、自然換気や自然採光の積極的活用などが評価された。








宮城県/スマイルロード・サポーターに県建設業青年会を認定/道路清掃活動で

鷲巣所長から認定証を受ける佐藤会長㊧
 宮城県は、道路の管理などに貢献する団体や企業などを対象とした「スマイルロード・サポーター」として新たに宮城県建設業青年会(佐藤渉会長)を認定した。5日に仙台土木事務所(仙台市宮城野区)で認定書授与式が開かれ、仙台土木事務所の鷲巣俊之所長から、佐藤会長に認定書が渡された。
 同会は、毎年7月28日に全国建設青年の日制定事業としてボランティアを行っている。環境保全を目的に、宮城スタジアム(利府町)の付近を清掃しているもので、その活動がサポート認定を受けた。具体的には、一般県道「利府停車場総合公園線」の八幡崎橋から総合運動公園までの区間がサポート対象となる。
 宮城県では、県が管理する道路や河川などでのボランティア活動を通じて民間とのパートナーシップや住民参加のまちづくりを推進させる狙いから、スマイルサポーター事業を展開している。同事務所管内では、スマイルロード・サポーターとして67団体が認定されている。

みずほ情報総研、静岡県ら/移動者向け災害情報提供プロジェクト実証実験実施へ

 みずほ情報総研(東京都千代田区、西澤順一社長)と静岡県、ひょうご震災記念21世紀研究機構(井戸敏三会長)、ITS Japan(渡邉浩之会長)の災害時/平常時ハイブリッド情報システム委員会に所属する企業5社で構成する移動者向け災害情報提供協議会は、15~19日の5日間、静岡市内で「移動者向け災害情報提供プロジェクト実証実験」を行う。旅行中のドライバーなどに、津波や大雨など災害時に現在位置に応じた避難に有用な情報を、カーナビゲーションシステムやスマートフォンアプリなどを通じて提供する。  実証実験では、みずほ情報総研が全体の取りまとめ役となり、静岡県が避難勧告や河川の水位情報などの公的な情報を提供。ITS Japanから参加する富士通、ホンダ、パイオニア、ウェザーニューズ、アジア航測の各社がシステムの構築・運用と実証実験の実施、有効性の検証を行う。ひょうご震災記念21世紀研究機構はアドバイザリー役を務める。  11年3月の東日本大震災では、車などでの移動者に対して避難の必要性が十分に伝達・周知できず被害が拡大したとされる。同プロジェクトでは、移動中に現在位置に応じた避難に必要な情報を提供することで、被害の軽減につなげる。  実験後は、地方自治体などが導入・普及を進めている災害情報共有システム(Lアラート)との連携を模索し、全国レベルでのサービスの実現を目指す。  プロジェクトは、国土交通省の14年度「G空間社会実証プロジェクト事業」に採択されている。

2014年12月9日火曜日

首都高速会社/レインボーブリッジをライトアップ/15年1月4日まで

 東京の都心部と臨海副都心エリアを結ぶ首都高速道路のつり橋「レインボーブリッジ」で、主塔部を虹色に照らすスペシャルライトアップが行われている。初日の6日には港区台場で点灯式があり、首都高周辺のドライブスポットの「ご当地キャラクター」が参加するなど、観光振興のライトアップイベントを盛り上げた。
 スペシャルライトアップは首都高速道路会社が主催。来年1月4日(日没~午前0時)まで実施する。24日は翌日の午前2時まで、31日は元日の日の出まで点灯する予定。

西松建設/修学旅行生が都内の現場見学/職業体験・研究の場を提供

女性技術者㊧が生徒を案内
 西松建設は、社会貢献活動の一環として、修学旅行生に職業体験・研究の場を提供した。3日に広島市立安佐北高校の2年生4人が東京都港区にある本社オフィスと建設中の超高層ビルの工事現場を見学した。建物がどのようにして造られていくのかを間近で見てもらいながら、気付いたことや疑問に現場担当者らが回答。「工事の途中は苦労の連続だが、出来上がった時の達成感は何ものにも代え難いものがある。本当に素晴らしい仕事だと思う」との言葉に生徒たちは真剣に聞き入っていた。
 同社は今後も、修学旅行での企業訪問や総合的な学習の場として、学生の見学・訪問を受け付ける。こうした体験を通じて、建設業界の魅力を身近に感じてもらい、入職を志望する学生の増加に寄与していく考えだ。

国交省/改正災害対策基本法を初適用/立ち往生車両を強制移動、迅速に除雪作業

 4日から降り続いた大雪の影響で最大約130台の車両が立ち往生した愛媛、徳島両県を通る国道192号で、国土交通省四国地方整備局は5日、11月に施行された改正災害対策基本法を全国で初めて適用し、同日中に約30台の立ち往生車両を強制的に移動させた。これに続き5~6日に約60台の車両が立ち往生した広島、島根両県を通る国道54号でも中国整備局が同法を適用し、3台の車両を強制移動した。いずれも除雪作業時間を大幅に短縮できたという。
 国交省によると、いずれも道路を管理する整備局が立ち往生車両を除雪車でけん引して移動させた。道路の維持契約を締結している地元の建設会社と連携して作業を進めたという。
 今回の大雪では、香川、徳島両県を通る国道32号も四国整備局が一時、改正法の適用区間に指定したが、立ち往生した車両はなかった。
 災害対策基本法は、今年2月に関東甲信地方を中心に降った大雪で道路上に大量の放置車両や立ち往生車両が発生し、被災地への救援物資輸送が遅れたのを教訓に先の臨時国会で改正された。
 道路管理者が所有者の許可なしに車両を強制撤去でき、その際には沿道の私有地も一時的に無断で使用できると定めている。

2014年12月8日月曜日

駆け出しのころ/大林組常務執行役員テクノ事業創成本部長・蓮輪賢治氏

 ◇成すべきこと見極めてゴールへ  最初の現場は、日生ニュータウン(兵庫県)へのアクセスとなる能勢電鉄日生線の新設工事でした。大規模な現場であり、私はいくつにも分かれた工区のうち、高架区間の工事を担当しました。  現場には前年に入社された大学院卒の先輩がおられ、この方が私の教育係でした。さらにその上の先輩方も含めていろいろ教えてもらいました。ですが、最初のころは学生時代に思い描いていた現場での仕事とは違い、毎日が単純作業の繰り返し。新入社員ですから当然なのですが、明けても暮れても測量や丁張り、事務所に戻ると出面の整理などと、とても工学的とは言えないものばかりでした。正直に言うと少しストレスを感じていましたが、現場は私も含めて5、6人のチームで所長の姿も近く、厳しいながらもそういう人間関係はとてもありがたかったです。  入社当時は現場にコピー機もなく、図面は青焼きでした。午後一番に行う打ち合わせのために昼飯を急いで食べ、参加人数分の青焼きを準備していたので、昼休みはほとんどありませんでした。それが当たり前の時代でした。  これまでの経験を通じ、一番に大事だと思うのはコミュニケーション力です。人にお願いする仕事の意味や意義というのは、普段から会話があればしっかり伝えられるはずで、何も大上段に構えてある時間を取って伝えるものではないと思っています。お客さまや協力会社との関係でも同じことが言えます。発注者の考えやニーズを、常に私たちからベクトルを合わせて的確につかんでいなければいけないと考えています。  私と同じように、駆け出しのころは仕事の意味や意義も分からず、単純労働が多いものです。でも、ものづくりのプロジェクトは必ず進行します。仕事というのは節目を考えて進めることが大切です。例えば正月休みまでにどこまでできるかなどと、抱えている仕事もそうした節目で捉えていくと、そうは苦にはなりません。つまり、メリハリを付けることです。  私は、これまで先輩たちの良いところだけを学ぼうと心掛けてきました。それが自分の宝になっています。取り巻く環境や立場は人さまざまですが、職責を果たすためには、お互いを認め合い、ベクトルを合わせていく必要があります。自らの成すべきことを見極め、周囲を巻き込みながらゴールに向かう中にこそ仕事の楽しみがあるはずです。  もちろん、楽しいばかりでは果実としての成果は得られませんが、若い人たちにはそのことを伝えていけたらと思います。  (はすわ・けんじ)1977年大阪大工学部土木工学科卒、大林組入社。07年東京本社土木本部本部長室長、10年執行役員東京本店土木事業部担任副事業部長、11年技術本部副本部長、12年常務執行役員、14年テクノ事業創成本部長。大阪府出身、61歳。
最初は学生時代に思い描いた仕事とは違っていたが、さまざまなことを吸収した

凜/成和リニューアルワークス・黒岩三恵さん/女性ならではのきめ細かさ、気配りを

子どものころに住んでいた地域で土砂災害があった。「どうすれば安全な街をつくれるのだろう」。そんな思いから建設業界を志した。大学で土木工学を学び、コンサルタント会社を経て10年前に成和リニューアルワークスに入社。高速道路の施工管理などを担当し、最大50人が働く作業現場で指揮を執る。
 「女性ならではのきめ細かさや気配り」を心掛けているという。分かりやすくまとめた書類や設計図面、イラスト入りの作業説明書は発注者や作業員に好評だ。さらに、現場に新しく入った作業員の顔と名前を覚え、声を掛けたり、体調を見て配置を換えたりなどの工夫も。「信頼関係が第一」と考え、積極的にコミュニケーションを取るよう努めている。
 入社以来、仕事一筋でやってきた。休日にドライブをしていても、落下物がないかなど、高速道路の状態が気になってしまうという。
 現在は独身で仕事に全力を注いでいる。もし家庭を持つとしたら「両方とも100%やりたい」が、「時間や場所が不規則な現場管理をしながらの両立は難しい」とも。最近は女性を意識した職場作りが進んできたが、「定時に仕事を終えることができたり、女性がもっと意見を言いやすい環境を整備したりすることが必要だろう」。
 この10年を「あっという間だった」と振り返る。「学ぶことがまだまだたくさんある。現場の安全性向上や、より効率的な管理方法を考え、良い現場を作っていきたい」。(技術・リニューアル統轄部、くろいわ・みえ)

サークル/戸田建設茶道部/「おもてなしの心が詰まった世界」

 1973年の創部以来、40年以上にわたって活動を続ける。会社公認の部活動として歴代経営陣の理解も深く、東京・京橋の本社ビルには茶室と水屋が造られている。「茶道はおもてなしの心が詰まった豊かで楽しい世界。始めればきっと新たな発見がある」と話すのは佐藤郁代表(価値創造推進室開発センターエネルギーユニット次長)。部員の小林彩子さんは「社内で本物のお茶をたてられるのはとても貴重なことで、先輩方に感謝しています」と語る。
 11人の部員の半数近くは男性で、年齢構成や所属先も幅広い。月2回の稽古では、仕事を忘れ、一服のお茶で心を落ち着けられるひとときを大切にしている。毎年7月1日の創立記念日には、お茶会を開いて訪れた社員にお点前を披露。秋には社外に出てOBや親しい仲間を招いてお茶会を催している。
 来年1月までは子ども茶道教室に部員が参加し、和室での作法、お茶やお菓子のいただき方など、茶道の基礎を指導。今後は「茶事」と呼ばれ、懐石料理から濃茶、薄茶までをもてなす正式な茶会の稽古も計画している。
 日本の総合芸術ともいえる茶道を学び、その素晴らしさを伝える。本社ビルに設けられた静寂の空間で、メンバーはしっかりと活動を受け継いでいる。

中堅世代-それぞれの建設業・75/人に優しい現場づくりが誇り

 田辺宏幸さん(仮名)は、10代で父親が経営するとび職の会社に入り、20代前半で跡を継いだ。一人の職人であると同時に経営者。二足のわらじを履いて必死に走ってきたこの10年を、「自分と近い世代の会社の仲間たちと一緒に、苦労しながらも楽しくやってこられた」と振り返る。
 人との出会いにも恵まれた。元請のゼネコンのある現場所長には、職長になった10年ほど前から目をかけてもらい、いろいろな現場を経験させてもらった。「経験が浅い自分たちを現場に呼んでくれ、いろんな仕事に挑戦させてくれたことが職人と会社の成長につながった」
 10人の職人を抱える会社のこれからを見据え、人材の確保・育成にも力を入れようと考えているが、最近は若い人が入ってもすぐに辞めてしまう現状に悩まされている。先日も19歳の若手が入社3カ月後に職場に来なくなった。
 「昔は賃金も含めて建設業に魅力を感じ、作業が大変でも職人に憧れる人はいた。今の時代はそこまできつい思いをしなくても同じぐらい稼げる仕事がたくさんある。若者は現実を目の当たりにして心が折れてしまうのではないか」と分析する。
 国や業界団体などでは建設産業の人材確保策の一環として女性活用を推進しているが、田辺さんは「とび職など専門職種によっては制限が多く、法制度や規制を変えないと男性に交じって同じような仕事をさせるのは難しい」と指摘する。一方で、この業界で働く女性が増えることは、旧態依然とした職人の世界を変える契機になるとも考える。
 田辺さんの10代半ばの妹はとび職を志望していたが、現在は会社の経理に役立つパソコン教室に通う。将来、現場で女性を受け入れる環境整備が一段と進み、本人のやる気も変わっていなければ、とび職人として妹を鍛えようと思案中だ。
 職人の雇用環境を改善する取り組みでは、技能労働者の社会保険加入を促進させる動きもある。未加入業者が現場から強制的に排除されることを見越し、田辺さんは会社の職人たちに社会保険に加入してもらっているが、「ばか正直にやっている会社が本当に生き残れるのか」と不安も口にする。周囲に社会保険加入に取り組む企業は少なく、現時点では、それがコスト競争力の面での格差となっているからだ。
 「日給月給の職人の世界では今の社会保険制度は成り立たない。たまたま今年4~6月に稼ぐと、翌年支払う保険料の額が大きくなる。先々の見通しを立てにくい建設業ではリスクばかりが増大し、このままのやり方では職人の賃金を減らすか、会社をつぶすしかなくなる」
 人に優しい現場をつくる-。田辺さんは懇意にしている現場所長から教わったこの言葉が、最近は他の元請企業の現場などで実践しづらくなったと感じている。
 「昔は下請と一緒に作り込もうと考える監督が多かったが、最近は頭ごなしに決められたことだけを指示する人も目立つ。元・下請間の関係がドライになった結果、現場作業の柔軟性がなくなり、手直しなどが増えている」と危惧する。
 先日、3歳になる息子に自分が働く工事現場を見せた。無理に3代目にしようなどとは思っていないが、息子たちの世代が自然に働きたいと思える建設産業になることを願い、これからも誇りを持ってとび職を続けていくつもりだ。

2014年12月5日金曜日

中部整備局/小里川ダムで「大人の社会見学会」開く/堤体内部の見学も


 中部地方整備局は3日、岐阜県の小里川ダム(瑞浪市、恵那市)で「旬な現場 大人の社会見学会」を開催した。社会資本整備に関心を持つ「名古屋大人の社会見学会」のメンバー約20人が訪れ、普段見ることができないダムの内部や発電所、操作室などを見学した。
 名古屋大人の社会見学会は、個人では見ることができない場所や大人になってからは行きにくかった場所へ、子供のころに帰ったように楽しむ大人の会。一方、中部地方整備局の「大人の社会見学会」は、社会基盤などの整備に関心がある人を対象としたもので、「旬な現場」の見学と、社会基盤整備の重要性や災害対応などの座学をセットで実施し理解を深めてもらう。両者の思惑が一致し開催の運びとなった。
 見学会後のアンケートでは、案内者の説明も分かりやすく、大雨や台風時の対応などの防災面、水利用や地域との関わりなどダムの役割が理解できたと全員が回答。ダム堤体内部や水の放流の様子は多くの参加者が興味をもったようだった。「ダムの水の力のすごさがもっと伝わる場所が見学できるとうれしい」とする意見もあり、今後に生かしていきたい考えだ。