「世界一美しい響き」を目指してつくられたサントリーホール(東京都港区)。安井建築設計事務所が、創業90周年記念と、ホールの設計を手掛け今年3月に亡くなった佐野正一同社相談役(元社長・会長)の追悼で企画したトークイベントが10日、同ホールで行われ、音楽プロデューサーの眞鍋圭子氏、作家の北康利氏が、佐野吉彦安井建築設計事務所社長とホールへの思いなどを語り合った。
サントリーホールは、「音楽は演奏家と聴衆が一体となってつくり、共に喜び楽しむもの」というオーストリアの指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの助言を受け、日本で初めて客席が舞台を取り囲むヴィンヤード型のホールとして1986年に完成した。
建設前に佐治敬三サントリー社長(当時)や佐野正一氏らと共に海外を視察した眞鍋氏は「佐治氏と佐野氏がカラヤンの話に熱心に耳を傾けていた姿が印象的だった」と振り返った。カラヤンが演奏家と聴衆が一体となった空間づくりに必要な要素を教えると、両氏はそれを忠実に再現してサントリーホールをつくったという。
佐治氏に関する著書を執筆中という北氏は「佐治氏は企業の社会貢献に注力した経営者だ。彼がいたからこそ企業が芸術を支援する文化が生まれた」と強調。「彼がつくったホールや文化に対する思いを引き継ぐことが重要だ」と話した。
佐野社長は「5年ごとに改修を重ねており、今後も開館当初の輝きと響きを保ち続けたい」とホールに対する思いを語った。
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