◇母からのバトンを娘に◇
研究事業課で委員会業務を担当する。この課に配属されるのは2度目。論文集の編集・発行にも携わる。小学4年生の娘を持ち、子育てと仕事を両立する。「毎日が時間との戦い」というが、朝は必ず娘を送り出してから自宅を出る。
大学で土木を専攻し、卒業後はコンサルタント会社で働いた経験もある。「学会の仕事は実務と違い、道路や橋が完成した時のような感動はない。それでも任された委員会の運営が滞りなく進み、お礼を言われるとうれしい」と話す。
一般の方々に土木の魅力を体感してもらうイベントに携わった。1年目は主催者側として、2年目は娘を連れて参加した。「子どもが土木に興味を抱くようになり、夏休みの宿題で一緒に液状化の実験にも挑戦した。ここで働いていて良かった」と笑顔を見せる。
働く母親を見て育ち、出産後も仕事を続けようと決めた。「今は育休や時短など支援制度が充実しているが、母の時代は苦労したと思う」。感謝の気持ちを抱きながら「当時の女性の頑張りが今の環境整備につながっている。娘が就職するころにはもっと女性が働きやすいようにしてあげたい」。
東京・四谷にある職場は直前で80メートルほどのなだらかな坂を通る。「下りと上りで仕事とプライベートの切り替えにちょうどいい」。きょうも「切り替え坂」でモードを整える。
(まるはた・あきこ)
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