「○○く~ん」。先日、会社前の横断歩道を渡っていると、ふと誰かに呼ばれた気がした。足を止めて振り返ると、今度ははっきりと自分を呼ぶ声が聞こえる。目を凝らすと、向かってくる人たちの後ろで手を振っている男の人がいた◆前職でお世話になった取引先の社長だった。肌着の卸会社を経営している2代目。年齢は70を超えているはずだ。「いやー、会う気がしてたんだよ」。ひょうひょうとした感じは以前と全く変わらない。聞くと、近くの会計事務所へ打ち合わせに行くところだという◆繊維関連企業は厳しい経営環境が続いている。嗜好(しこう)の多様化やネット通販の台頭、百貨店の不振、供給過多など要因は複数ある。加えて中小企業で深刻なのが後継者問題だ。先行きが不透明な中、跡を継ぎたがる人は少ない◆社長には元プロフットサル選手の息子がいる。引退後は父親の会社に入社したが、繊維とは無関係の仕事をしている。不安定な本業とは別のことをした方がいいと判断したのだろう。悩みは尽きないはずだ。久しぶりに顔を見て、また連絡を取ってみようと思った。(W)
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