社会人になってかれこれ30年近く。駆け出しの頃には当たり前だった仕事のやり方も随分と様変わりした▼記者になったばかりの1990年代半ば、記事は原稿用紙に手書きし、カメラに白黒フィルムを入れて写真を撮影していた。出先から原稿を送る場合は、記事を書く前にどこからFAXを送れるか電話局やホテルなどを探すのがひと苦労だった。そもそも殴り書きに近い状態の原稿を会社に送稿して、果たしてデスクは解読できるのかと心配するのが常だった▼時は流れて現在、技術の進歩は記者稼業にも影響を与え、国内外を問わずどこからでも記事や写真が即座に送れるようになった。速報性がより重視されるようになり、新聞を購読しなくてもネットでさまざまな記事が読めてしまう▼報道機関にニュースを提供する時事通信社がフィンテックベンチャーと提携し、配信した記事が企業経営に与える影響を予測するサービスを開始するという。過去のニュースや決算発表に含まれる情報を人工知能(AI)で解析し、収益への影響を提供するそうだ▼どのような記事を新聞に掲載するのか-。もう一度しっかり考えたい。
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