2024年10月11日金曜日

建築へ/四街道市庁舎建替1期完成「人にやさしい」新築棟、10月15日から供用

 千葉県四街道市が進めていた第1期庁舎整備工事が8月に完了し、市の新たなシンボルとなる新築棟が姿を見せた。デザインに市の花である「サクラソウ」を取り入れるなど、市民に親しまれる建物を目指した。利用者が多い窓口や議会、災害対策室などの機能を集約している。既存棟を減築、改修する第2期工事は11月にスタート。2026年2月の全庁開庁に向け、着実にプランを進めていく。
 現庁舎は鹿渡無番地(敷地面積1万8284平方メートル)に所在する。本館と新館、分館、新分館で構成する。本館と新館は施設の老朽化や耐震性の不足が課題となっていたことから、新庁舎の整備に踏み切った。基本・実施設計はINA新建築研究所が手掛けた。施工は大成建設が担当している。
 第1期工事として敷地北側にあった駐車場に新築棟を建設した。設計を担当したINA新建築研究所の加藤朋行社長によると、設計方針は「時代のニーズに対応するため、長寿命化を目指した」。建物はRC一部S造4階建て延べ8040平方メートルの規模。コンパクトにし既存庁舎も活用することで、建設事業費や維持管理費を縮減。メンテナンスコストを抑えることも考慮したという。
 新築棟の階高は既存棟に合わせている。大成建設の梅村英樹千葉支店作業所長は「現代の建物にしては階高が低く感じるかもしれない」とした上で、「設備などを含め、苦労して設計されたように感じる」と述べた。
 建物外観はシンプルにまとめ、スタイリッシュな意匠にした。内観は白を基調とした明るい雰囲気。エントランスにつながる歩行者専用道路「サクラ街道」も整備する。サクラ街道に面した場所と新築棟北側に新たに駐車場を設ける。
 エントランスから庁舎内に入ると、開放感のあるまっすぐな1本道が迎えてくれる。ここに利用者が多い窓口を集約した。プライバシーに配慮した相談室や、バリアフリートイレ、視覚・聴覚障害者をサポートする設備などを設け「すべての人にやさしい庁舎」を目指した。
 防災拠点としての機能にも力を入れた。現庁舎では、災害時に対策本部を設置した後、各課で個別に議論しており、情報共有や連携の面で課題があったという。新築棟は3階に災害対策室や危機管理室、特別会議室をまとめ、スムーズな連携を可能にした。地震や浸水に備え、サーバー室は3階に、非常用発電機や受変電設備は屋上に設けた。
 4階は議会機能を配置した。議会関連諸室を1フロアに集約。議員は控室や会派室から議場に移動できる。議場はオーソドックスな対面型レイアウトにした。傍聴席は車いす利用者や子ども連れの人に対応した席を設けた。誰でも訪れやすい開かれた議会エリアにした。
 環境との調和も図った。真夏の直射日光を抑える庇(ひさし)や、高断熱性のエコガラス、高効率空調設備などを採用。太陽光発電設備も設置するなど、エネルギー使用量の削減に努めた。
 第2期工事は、既存の新館の4、5階部分を取り壊し、RC造地下1階地上3階建て延べ2207平方メートルの規模に減築する。S造2階建て延べ427平方メートルの分館とRC一部S造地下1階地上3階建て延べ867平方メートルの新分館は改修する。市内に分散している庁舎機能も新庁舎に集約するという。
 「市はまさに歴史の転換期を迎えている」。役割を静かに終えようとしている現庁舎を前に鈴木陽介市長は語る。半世紀を超える55年もの間、市政運営の拠点として市民に親しまれてきた現庁舎が生まれ変わろうとしている。新築棟は15日に供用開始となる。




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大阪府/中小向け官公需確保基本方針、適切な価格転嫁へ年内改定

 大阪府は建設工事や委託業務、物品役務などを対象とした「中小企業者向け官公需確保のための基本方針」を年内に改定する方針を固めた。資材価格などの上昇が続く中、中小企業の安定経営を支援するため、受注者から発注者への価格転嫁に関する協議条項を追加する。現在、商工労働部が各部局に意見照会している。
 中小企業は大企業と比べ価格交渉の影響力が弱く、経営資源も限られる中で資材費や人件費の急騰に伴う適切な価格転嫁が切実な問題となっている。公共を含む発注者の対応が不十分なケースもあり、企業の収益が不当に圧迫されている実態が少なからずある。
 国が定める「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」には「受注者から契約価格の変更の申し出があった場合、発注者は迅速かつ適切に協議を行う」とする条項が4月の改定(閣議決定)で明記された。
 こうした背景を踏まえ、9月25日に開かれた府議会では議員から「府としても国の方針に基づく対応が必要だ」と指摘する声が上がった。府の馬場広由己商工労働部長は「中小、小規模事業者が契約変更の申し出を行いやすくするよう、同様の協議条項を府の基本方針にも盛り込む」と述べ、中小企業の経営基盤の強化を後押しするとした。
 吉村洋文知事も「中小企業の安定した経営を支えるためには発注者と受注者が価格転嫁を協議できる環境が不可欠だ」と強調。府の官公需の基本方針を速やかに改定する決意を表明した。さらに民間企業間でもコスト上昇分が適切に価格に反映されるよう、経済団体などへの要請を行うとともに、国とも連携して受注者への支援を強化していく考えを示した。




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鴻池組JV/広瀬川第3雨水幹線工事1、下流工区でシールルド機の掘進完了

 鴻池組・西武建設・あおみ建設・鎌田建設JVが仙台市青葉区で施工している「広瀬川第3雨水幹線工事1」で、内径2600ミリ、延長828メートルのトンネルを構築する下流工区のシールド掘進が完了した。昨秋に掘進を開始し、曲線半径100メートル以下7カ所、縦断曲線2カ所など複雑な線形を計画通り掘り進め、広瀬川左岸に近接する立坑へ9月25日到達。今後はシールド機の解体、人孔の構築などを進め年度末までの完成を目指す。
 仙台市が発注した同工事は「仙台駅西口地区大規模雨水処理施設整備事業」を構成するプロジェクトの一つ。同地区は都市化の影響で地面の浸透率が低下し、下水道に流れ込む雨水の量が増えたため、大雨時の浸水被害が発生していた。市は10年確率降雨(1時間当たり52ミリ)に対して浸水被害を解消する目標を立て、雨水幹線の構築を進めている。
 工事場所は花京院1の241~土樋1の198の1。五橋公園に設けた発進立坑から仙台駅方面に向かう上流工区(内径1800ミリミニシールド工、延長1612メートル)と、広瀬川方面に向かう下流工区で構成。契約時の工期は2021年3月19日~24年9月30日、金額(税込み)は46億5597万円だった。現時点で工期は24年12月27日まで、金額も51億5748万9700円に変更。工期は年度末まで延長する予定になっている。
 五橋公園を発進して東二番丁通の共同溝をくぐり、愛宕上杉通の地下鉄をまたぐトンネル構築では、ほぼ直角に曲がる箇所をシールド機の巧みなコントロールで克服。地下鉄連絡通路との交差部は地下にH形鋼が残置されていたため、カッターヘッドの回転速度を落としながら押す力を調整してH形鋼を削り、大きな振動を出さずに無事通過した。
 同事業は18年度に計画を策定し、20年度から詳細設計に入った。事業完了は25年度末を予定している。事業区域内に配置する17カ所の人孔から雨水を取り込み新しい管路に流す。既存の合流管が排水能力不足になり道路に雨水があふれる事態を解消することで、仙台駅西口地区の浸水被害を防止する。




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丹青社/空間づくりの知見生かし新事業創出に注力、ポイントゼロ参画企業らと課題解決

 丹青社がデザインや演出、施工など空間づくりのノウハウを生かし、新事業の創出に注力している。これまでにコワーキングスペース「point 0 marunouchi」(東京都千代田区)で資料共有システムやアートレンタルサービスなど16件を実証してきた。今後、ウェルビーイングやサステナビリティなどを対象に、従来の事業領域を拡張したクライアントの課題解決に挑戦する。
 異業種企業間の協創を通じた新しい価値創造を目的に、ダイキン工業らが出資したpoint0(ポイントゼロ、東京都千代田区、石原隆広社長)が10日に都内で開いたカンファレンス「point0 ignite2024」で、丹青社の小林統社長が新事業創出について説明した=写真。小林社長は「さらに新しい取り組みを創造していきたい。ウェルビーイングやサステナビリティ分野の社会課題は単独でクリアできない。ポイントゼロと一緒に展開して、社会に対して提言できるように取り組みたい」と意気込んだ。
 ポイントゼロは、ダイキン工業らが出資し現在17社が参画している。参画企業らはpoint 0 marunouchiで112件の実証実験を行い、25件を事業化している。丹青社は空間づくりのノウハウを、参画企業の最新技術やデータなどと掛け合わせ、多様な働き方に合わせたより豊かなオフィス空間づくりの実現を目的に参画している。
 資料共有システム「saguroot」は実証実験を経て2023年5月にサービス化。同7月に生成AIを使った要約機能を付加しアサヒビールのR&D部門に試験導入した。アートレンタルサービスは、アートなどの美術作品がオフィス内で働く人にどう影響するかを実証したエビデンスを基に、22年3月から展開している。23年から拡充に向けた検証を進めている。
 小林社長は「空間づくりの技術を蓄積しているが、プラスアルファの要素を各メーカーがプロダクトアウトでシーズを生み出している。ジョイントさせてもらい顧客ニーズとマッチングすることが必要不可欠だ」と指摘。その上で「デジタルソリューションやインターネットサービスなどの分野を始めているが、さらに広い領域と分野をポイントゼロを通じていろいろな企業と一緒に広げ、事業拡大していきたい」と述べた。




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2024年10月10日木曜日

全鉄筋/第5回TETSUー1グランプリ、新潟代表の廣田直木選手が日本一に  

 日本一の鉄筋技能者が新潟に誕生--。全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)主催の第5回全国鉄筋技能大会「TETSU-1グランプリ」が6日、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターで開かれ、新潟県鉄筋業協同組合代表の廣田直木選手(42、佐藤鉄筋)が1位に輝き、「最強鉄筋工」の称号を手にした。出場したのは各地区予選会を勝ち抜いた精鋭35選手。限られた時間内で日頃現場で鍛え上げた技を披露し、熱い戦いを繰り広げた。
 大会は、鉄筋工の技能向上を目的に2015年から隔年で開催している。会場となった富士教育訓練センターには早朝から各選手の応援団が駆け付け、競技開始前から選手の名前の入った横断幕を壁一面に貼り付けるなどし、応援態勢を整えていた。
 開会式の冒頭、新妻尚祐大会実行委員長は「われわれの仕事は普段仮囲いの中で行うので、一般の方が見ることは少ない。鉄筋工の技能や技がどれほどすごいのか、この大会を通じて多くの人に見てもらい、鉄筋工の格好良さを知ってもらう」とあいさつした。
 競技は国家技能検定鉄筋組み立て1級の問題にはら筋一段を追加した課題の製作を、作業時間と精度の両方で競い合う。午前の前半組、午後の後半組に分かれて競技が行われ、標準時間は1時間20分。打ち切り時間は1時間40分。選手は多くの観衆が見守る中、やや緊張した表情で黙々と鉄筋を組み上げていた。
 作業時間は回を重ねるごとに早くなり、前半組は40分台で作業を終える選手が続出。プロの職人が見せる手際の良さに会場から大きな拍手が送られた。競技終了後は採点員がそれぞれの出来栄えや精度を細かくチェックし、作業時間と出来栄えの両方でそれぞれ採点を行った。
 ある大会関係者は「作業終了時間がどんどん早くなってきており、どの選手もかなり練習を積んできていると感じた。上位に入るには作業スピードだけでなく、出来栄えや精度が求められる。それを両立できる職人が、1位に選ばれるだろう」と競技を振り返った。
 採点結果は、富士教育訓練センターの加賀美武専務が発表。1位は廣田直木選手、2位は関西鉄筋工業協同組合代表の高木昌弥選手(29、KANO CENTER)、3位は群馬県鉄筋工業組合代表の萩原大地選手(31、小椋工業)が入賞した。
 閉会式で岩田会長は「まず大会の準備に当たってもらった各スタッフにお礼を申し上げたい。各県を代表されて出場された選手の方々には、誰が優勝してもおかしくないと思うほどの迫力と熱量を感じた。大会終了後も一層技能を磨き、またこの大会に挑戦してもらいたい」と締めくくった。

 □「これが最後」3度目の挑戦でつかんだ栄冠/新潟県鉄筋業協同組合代表の廣田直木選手□
 3度目の挑戦。「これが最後」と心に決めて挑んだ今大会。終わってみれば、念願の「日本一の鉄筋工」の称号を手中に収めた。「練習時間の確保など、家族や会社の人たちがこれまで応援してくれたおかげ。感謝の気持ちを伝えたい」。
 練習は大会の2週間前に開始。「何度も組み立てを行い、計50回ぐらいはやった。作業スピードも上げながら、精度に気を付けながら練習した」。ただ、競技本番になると会場の雰囲気に飲まれ、緊張のあまり思うような動きができなかった。
 練習の時よりも5分程度遅い48分で組み立てが終了。その後出来栄えなどをチェックし、正式なタイムは52分。既に何人かの選手が競技を終えており、タイム的には後れを取った。「練習時のタイムよりもかかったが、精度は納得できた」と、内心では「いける」という気持ちもあった。
 鉄筋工になって約20年。会社はコシヒカリで有名な米所、新潟県南魚沼市にある。就職先として建設業に進もうと考えていたが、鉄筋業に入職したのはたまたま職業安定所の紹介だった。「鉄筋の仕事は好きだし、やりがいもある。自分が携わった建物が完成すると、達成感もある」という。
 今回の優勝を契機に「日本一に恥じないよう現場でも精度の高い仕事をしたい」。実母と妻、子ども2人の5人家族。大会前には「子どもたちに技能者としての父の背中を見せたい」と語っていたが、きっと大きな背中が見えたことだろう。

 □外国人選手やママさん選手も参加□
 今大会に出場したのは全国の予選会を勝ち抜いた35選手。その中には外国人選手やママさん選手もいた。関西鉄筋工業下請連合会代表のレー・ヴァン・トゥン選手(41、田村工業)は、大会初の外国人参加選手となった。既に1級鉄筋技能士の資格を取得済みで、今大会では「これまで培ってきた技能を発揮し、日本で活躍する礎にしたい」と意気込みを語った。
 岡山県鉄筋協同組合代表の岸田彩花選手(27、出井興業)は3人の子どもの母親。実家が鉄筋工事会社で、鉄筋工になって約10年。「朝、保育園と小学校に子どもを送り、その後現場に行っている。鉄筋の仕事は楽しく、体力が続く限り続けたい」という。競技後の感想を聞くと「結束のスピードなどレベルの高さを感じた。もっと技能を高めていきたい」と語った。




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埋浚協/10月15日から地方整備局らと意見交換、働き方改革の内容充実

 日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)は、国土交通省地方整備局などとの2024年度意見交換会を、15日の関東地区を皮切りに全国10地区で開く。4月に時間外労働の罰則付き上限規制が建設業にも適用されたことを受け、規制順守だけでなく働き方改革の内容充実を訴えていく。関連産業の上限規制が港湾・空港建設現場に影響するなど新たな課題も浮上しており、これらの対応策も探る。
 テーマは▽時間外労働の実態と上限規制順守のための課題▽担い手確保のための処遇改善▽港湾工事のDX推進、GX推進-の三つを大きな柱とする。上限規制順守では、資材の運搬業者や生コンクリート調達業者といった関連産業で稼働時間や搬出日時の制約が生じている現状を示し、働き方改革の新たな課題として議論する。
 担い手の確保に向けた処遇改善では若手技術者の活用を促す新制度の拡充や、建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入促進などを求める。CCUSは港湾工事などに従事する技能者を対象とした新たな職種「海洋土木工(案)」の創設へ協力を呼び掛ける。
 意見交換会の日程と会場(所在地)は次の通り。
 ▽関東整備局=15日、ロイヤルホールヨコハマ(横浜市中区)▽北海道開発局=16日、札幌グランドホテル(札幌市中央区)▽九州整備局=21日、八仙閣(福岡市博多区)▽中国整備局=28日、メルパルク広島(広島市中区)▽中部整備局=30日、KKRホテル名古屋(名古屋市中区)▽四国整備局=31日、リーガホテルゼスト高松(高松市)▽近畿整備局=11月1日、オリエンタルホテル神戸(神戸市中央区)▽北陸整備局=同6日、新潟グランドホテル(新潟市中央区)▽内閣府沖縄総合事務局=同12日、ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城(那覇市)▽東北整備局=同18日、ホテルモントレ仙台(仙台市青葉区)。




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堺市/旧高倉台西小跡地民間活用、24年度内にも公募要領検討着手

 堺市は泉北ニュータウンの泉ケ丘駅前地域の一角にある旧高倉台西小学校跡地(南区高倉台1)の一部約1・6ヘクタールの民間活用に向け、早ければ2024年度中に公募要領の検討に入る。公募型プロポーザル方式による事業者公募を予定しており、市場調査を実施した上で検討業務を発注する。25年度中の事業者の公募・選定を目指す。
 旧高倉台西小は15年3月に閉校となった後、跡地全体約2・2ヘクタールの活用を段階的に進めている。これまでに跡地中央部の敷地(6711平方メートル)でみどり学園が大阪健康福祉短期大学キャンパスを開設し運営中。その東西両側に残る二つの活用地(4856平方メートルと1万0710平方メートル)の計1万5566平方メートルが今回の公募地となる。
 活用方針では売却か定期借地を想定する。▽子育て世帯や高齢者に配慮したマンション(必須)▽介護・障害者向け福祉施設▽人口増加を想定した避難所機能、交流機能-などの導入を求める。
 市場調査は地域経済研究所が担当し面談方式で実施する。民間事業者10者以上にヒアリングし、市場ニーズや具体的な活用案、実現可能性を探る。
 泉ケ丘駅前地域はまちびらきから50年以上が経過し、公共インフラの老朽化やコミュニティー機能の低下が課題となっている。特に旧高倉台西小跡地を含むエリアで市は「教育・交流コアゾーン」と位置付け、駅前と住宅地をつなぐ立地を生かしたまちづくりに取り組む方針を打ち出している。




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ゼネコン/スタートアップとの連携加速、建設テック協会が初のオープンイベント

 ゼネコンとスタートアップとの連携が加速している。建設テック協会(代表理事・中島貴春フォトラクション代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)は8日、東京都内で会員以外も参加するイベントを初めて開催した。清水建設、戸田建設、東急建設の3社が取り組み状況を報告。清水建設は5年間で21億円を出資し、戸田建設は12社と6ファンドに対して出資済みだ。東急建設も、グローバル・ブレイン(東京都渋谷区、百合本安彦社長)と運用総額50億円のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を組成し、出資を続けている。
 デロイトトーマツベンチャーサポート(東京都千代田区、斎藤祐馬社長)との共催。建設会社やスタートアップなどから100人が参加した。
 清水建設の担当者は、2020年4月に100億円規模の出資枠を設定したことを紹介。地理空間情報アプリプラットフォームサービス「mapry」を提供するマプリィ(兵庫県丹波市、山口圭司代表取締役)と土量計測システムで協業し、計画的なシールド掘進に役立てているとした。
 戸田建設の担当者は、20年にスタートアップ企業への投資活動を開始し、45件以上のPoC(概念実証)を行ったと報告した。出資先であるBH(東京都新宿区、澤規仁代表取締役)との連携では、スマートフォンから操作できる分電盤を開発。同社新社屋ビルの作業所で運用し、時間短縮に寄与したことを紹介した。
 東急建設の担当者は、米ブランチ・テクノロジー(テネシー州、ライアン・ラスクCEO)との連携を例示した。同社は、3Dプリンターを用いて多孔質マトリックス構造を作成し、強度を維持しながら意匠性の高い外壁を製造できる。東京都内の現場で波打った壁を取り入れる予定という。
 国土交通省の担当者らが登壇するパネルディスカッションも行われた。中島代表理事は「コミュニケーションをとって建設テックを盛り上げていきたい」と語った=写真。




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2024年10月9日水曜日

関東整備局、川崎市/横断歩道橋で芝生緑化社会実験、全国都市緑化フェア開催に向け

 関東地方整備局横浜国道事務所と川崎市は8日、川崎市川崎区のエレベーター付き立体横断歩道橋「川崎ハローブリッジ」で、芝生緑化の社会実験をスタートした。川崎市市制100周年記念事業「全国都市緑化かわさきフェア」の開催に向けた社会実験。国道15号と川崎市役所通りの交差点を先駆的な緑化技術の植栽とモニュメントで装飾する。国道横断歩道橋の芝生緑化は全国で初めて。
 川崎駅から緑化フェア「富士見会場」へのアクセスルートにある同歩道橋に薄層芝生緑化技術と芝改良品種を使ったモニュメントを設置する。設置には南出、富士科学、よみうりサポートアンドサービス、西武造園、伊藤商事が協賛する。
 同日、ハローブリッジで宮本久仁彦横浜国道事務所長、福田紀彦川崎市長、華道家で緑化かわさきフェア国道花のボランティア応援団長を務める假屋崎省吾氏が出席してキックオフセレモニーを行った。
 宮本所長は「市と連携して全国初の取り組みを成功させたい」とあいさつ。福田市長は「19日から始まる緑化フェアに向け、わくわくする緑のスポットができた」と期待を述べた。假屋崎氏は「緑は幸せと結びつく。この活動は未来につながる」と花と緑の大切さを訴えた。




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回転窓/新内閣と地方創生

 江戸時代に津山藩(岡山県津山市)の藩医、洋学者として活躍した宇田川榕庵。外国語の翻訳にも携わり、現在も使われている多くの新しい価値ある言葉を世に出した▼その一つが「珈琲」。諸説あるもののコーヒーの木の赤い実と枝から発想し、髪の玉飾りの「珈」と飾りのひもの「琲」を組み合わせたとされる▼この当て字が生まれた地でもある津山市の職員は「コーヒーは推しの一つです」と説明する。9月29日には市内の城東町並保存地区の一帯で珈琲フェアが催され、地元住民や観光客ら大勢の人でにぎわった▼市は同地区に所有する町家の一部をPFI法のコンセッション(公共施設等運営権)方式でホテルに再生した。これまで維持費を支出していた建物から、市は民間に付与した運営権の対価を受け取れるようになった。谷口圭三市長は「新たな価値を創造する」と話す▼新内閣発足から1週間が過ぎた。地方創生を政策方針の一つに掲げる石破茂首相が検討を指示した経済対策には、まちづくりの支援が盛り込まれる公算が大きい。大きな後押しとなり、地域の熱意とアイデアから新しい価値が広がるよう期待したい。




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国交省/トルコ貿易省と共同建設事業実現へ覚書、民間企業間ビジネスマッチングも

 国土交通省とトルコ貿易省は、第7回「日本・トルコ建設産業会議」をトルコのイスタンブールで1日開き、ウクライナの戦後復興やアフリカ市場への進出を念頭に置いた建設分野の協力関係を確認した。両国の建設関連企業が共同参画する建設プロジェクトの具体化を目指す。当日は日本から大手ゼネコンなど民間企業約30社も参加し、現地の建設関連企業とのビジネスマッチングなどを行った。
 会議では国交省の天河宏文国交審議官とトルコ貿易省のムスタファ・トゥズジュ副大臣が協力覚書に署名した。既に失効した覚書を再度交わした形で、両国が共同参画する事業の実現に向けたワークショップや技術の共有などの内容を引き続き記載。両国企業間の交流・情報交換を促進すると新たに明記し、以前より民間事業者の参画を後押しする。有効期限は5年。
 進出先としてトルコ側で長く事業展開する会社も多いウクライナとアフリカ諸国を想定する。会議にはウクライナ復興担当副首相兼地方・国土・インフラ発展大臣がビデオメッセージを寄せた。
 会議には海外建設協会(海建協、佐々木正人会長)とトルコ建設業協会など、両国から官民合わせ約60機関・140人が参加。民間企業は日本から大手ゼネコンや専門工事会社、建設関連のメーカー・商社などが現地に同行し、トルコの建設関連企業約20社と情報交換した。国際協力機構(JICA)や国際協力銀行(JBIC)など多数の政府系機関も出席した。
 会議前日にはトルコ国内で日本企業が参画した建設プロジェクトのバシャクシェヒル松桜都市病院や第2ボスポラス橋ハンガー交換工事などの現場を視察した。




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大阪府/東大阪春宮住宅跡地の事業者再公募へ年内に方向性、早ければ25年春先に公告

 大阪府は2023年の開発事業者公募で該当者がなかった府営東大阪春宮住宅跡地(東大阪市荒本北2)約1・8ヘクタールについて、東大阪市と合同で都市計画(地区整備計画)変更の検討を進めている。12月までに再公募の時期を含め民間活用の方向性を改めて示す。跡地には大阪モノレール延伸の新駅も設置される予定で、新たな交通結節点としてふさわしいにぎわい機能などの導入が急がれる。再公募は早くても2025年春先になる見通しだ。
 9月27日に開かれた大阪府議会の代表質問で由井聖太議員(自民)が再公募への検討状況を質問。谷口友英都市整備部長が今後の見通しを答えた。
 跡地は府の所有地で、東大阪市役所の東側、近鉄けいはんな線荒本駅の北西約350メートルに位置する。敷地面積は1万8169平方メートル。用途地域は商業地域で建ぺい率が80%、容積率が400%。21年3月までイオン東大阪店が定期借地で出店していた。
 閉店後、23年に提案内容と提案価格で事業者を決める二段階審査方式で開発事業者を公募。1者が提案書を提出したが有識者による審査会で審査基準を満たしていないと判断され「該当者なし」となった。府は4月に改めて民間活用に向けた意見募集を実施。複数の事業者から容積率の緩和など都市計画の見直しを求める声があった。
 谷口部長は「7月には東大阪市と合同で都市計画変更案に対する意見を民間事業者にヒアリングした。現在、意見を踏まえた協議を市や関係者と進めており、年内に再公募への方向性を示したい」と説明。由井議員は「再公募に当たっては多くの事業者から提案を受け、にぎわいのあるまちづくりにつながるよう条件を検討してほしい」とした。




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太平洋マテリアル/床コンクリ用膨張材の一般販売本格化、冬季仕上げ時間3割減

 太平洋マテリアル(東京都北区、岡村隆吉社長)は、冬季の床コンクリートの仕上げ時間を約3割削減する初期反応促進型膨張材「太平洋NーEX neo」の一般販売を本格化する。コンクリートの凝結時間を低温環境下でも短縮できる。ひび割れ低減やブリーディング(浮き水)抑制といった効果が見込めるため、コンクリート表面品質の向上が期待できるという。
 同製品は、石灰系早強性膨張材にセメントの初期反応促進機能を付与した新型の膨張材で、特に打設空間5~15度の環境で効果を発揮する。コンクリートに投入することで早期強度発現や耐久性向上にもつながる。日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明も取得している。
 2022年に大和ハウス工業と共同開発し、一般販売に向け同社の現場で実施工を通じてデータを収集を進めてきた。気候や温度条件の異なる6現場で検証を行い、長期耐久性が良好であることを確認した。総打設時間や技能者の使用感、費用対効果なども調査。現場アンケートでは「通常であれば深夜に及ぶ作業を回避できた」「深夜作業がなくなったことで周辺対策・環境対策が低減された」といった回答が寄せられた。
 床コンクリートの施工は、コンクリートの硬化に合わせて仕上げていく。大型空間を有する施設などでは作業が深夜まで及ぶケースもある。特に冬季はコンクリートの初期強度発現まで時間を要するため、4月から建設業に時間外労働の上限規制が適用された中で、生産性の向上が求められていた。
 太平洋マテリアルの亀岡篤雄混和材営業部副部長は、「生産性向上と品質向上につながる点をさらにPRしていきたい」と話す。




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2024年10月8日火曜日

安井建築設計事務所/100周年記念コンサート開く、サントリーホールで

 安井建築設計事務所は1日、創業100周年記念コンサートを東京都港区のサントリーホールで開いた。すてきな音楽や素晴らしい建築のある平和な社会であるよう願いを込めつつ、20世紀につくられた音楽を選曲。藤岡幸夫氏の指揮による関西フィルハーモニー管弦楽団が、シベリウスの「交響曲第2番ニ長調op.43」などを演奏した。
 建築主ら招待者や社員など約1500人が来場。オープニングトークも実施し、藤岡氏は「世界でも指折りの素晴らしいホール」と、タレントのサヘル・ローズ氏は「音が全ての人々にとって居心地の良い世界であってほしい」と話した。佐野吉彦社長は「建築も音楽も人を幸せにする」と語った。
 同ホールはサントリーを率いた佐治敬三元社長から依頼を受け、佐野社長の父である正一氏(元社長)が設計を手掛けた。関西フィルも佐治、正一両氏が生みの親であり、記念の場として同ホールを選んだ。




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回転窓/「かっこいい」への遺志

 働き手にとってきつく、汚く、危険な場所や環境を言い表す「3K」。これまで建設業の職場環境を端的に示す言葉として使われるケースが多かった▼そういう面は否めないが、だからこそ現場の美化や安全対策など環境改善への意識は、他業界よりも高いと言える。建設業界では「新3K(給与・休暇・希望)」を合言葉に、魅力ある職場づくりが進む。さらに“かっこいい”を加えた「新4K」をアピールする▼技術者・技能者は災害発生時に被災地での啓開、復旧作業の最前線に立つことも。旧3Kのイメージを拭い去るのは容易でないが、地域のために過酷な現場で働く姿は頼もしく、多くの人が共感を覚えるのではないか▼1月に能登半島地震の復旧現場を取材した際、大変お世話になった現場関係者が先月の豪雨災害で亡くなられた。発災直後から休む間もなく懸命の作業が続く中、懇切丁寧に取材対応いただいた方の訃報に言葉を失った▼「被災地での経験を成長の糧にしてほしい」。復旧現場の若手技術者らへの優しいまなざしが思い浮かぶ。かっこいい現場技術者の遺志は、悲しみを越えて後進に受け継がれるだろう。




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国交省/民間建築で標準労務費の運用準備推進、労務比率把握へ実態調査

 国土交通省は改正建設業法で規定された「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとする見積もり・契約規制の施行に向け、民間建築工事での運用を想定した基準作成や実効性確保に向けた検討を深める。標準労務費の計算方法を「公共工事設計労務単価×歩掛かり」とした場合、個人住宅などの設計労務単価が設定されていない職種や、公的な歩掛かりが存在しない工種の扱い方が課題になる。当事者団体などとの意見交換を進めながら、2025年度には民間建築工事の請負金額に占める労務比率などの調査・分析に乗り出したい考えだ。
 標準労務費を巡っては先月、作成や運用の検討主体となる中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)が始動。法規制の施行前となる25年11月ごろまでに作成・勧告する方向が示された。一方、初会合では全職種・工種で一斉の作成は困難との認識から準備が整った職種から順次、検討する方針で合意した。
 国交省直轄工事で施工実績がない個人住宅の建築などは検討材料に乏しく、準備が難航する可能性がある。まずは民間建築を主体とする職種で労務比率などを明らかにするため、国交省は25年度予算で調査業務の委託費用70百万円を新規要求した。先行的に設定する職種の基準改定の在り方も併せて検討する方向だ。
 WGに参加する建設業団体の一部は設計労務単価について民間工事の実勢価格との乖離(かいり)を指摘。標準労務費に反映する上で妥当性の検討が必要だと主張した。国交省はWGと別に、前向きに取り組む意思のある職種の団体から意見交換の場を持つ考え。現行の契約慣行を把握した上で具体的な検討に当たる必要性を示す。建築分野の学識者からは、標準労務費の設定前でも躯体や内外装、設備など大きな枠組みで目安をつくり、暫定的な運用を可能とすべきと訴えた。
 国交省は官房官庁営繕部による積算基準の見直しに向けた動きと連携し、建築関係職種の標準労務費を具体化していく手順を選択肢に挙げる。同部は材工一式の市場単価で積算している工種の歩掛かり調査に順次取り掛かり、労務費などの内訳が把握可能な積算単価の設定方法を検討する考え。22年度以降、▽鉄筋▽型枠▽コンクリート▽配線▽ダクト設備▽左官▽保温-の各工種で調査を推進しデータが集まってきている。




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奥村組ら/山岳トンネル現場の覆工コンクリを自動打設、安定した品質確保に貢献

 奥村組と北陸鋼産(富山県滑川市、酒井正社長)は山岳トンネル工事現場の生産性向上策として、覆工コンクリートの自動打設システムを開発した。奥村組が保有している「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を組み合わせ、これらに圧送ポンプ機のリモコンとバイブレーターの制御盤を接続。あらかじめ設定した打ち上がりの高さに応じ、ポンプの圧送速度や部位ブレーターの稼働、停止を自動制御する。打設口の切り替え作業を除き覆工コンクリを自動で打設できる。
 同システムは1系統の打設ルートを移動式型枠(セントル)の左右に分岐させ同時に打設する技術と、コンクリをセントル内の打設口高さに到達するまで流入した後も配管を切り替えず打設空間の上方へ圧入する技術を組み合わせた。配管切り替え作業の回数削減や同作業に伴う打設中断時間を短縮する。
 セントルに設置した圧力計で計測したコンクリの圧力から打設高さを算出。一定の高さに達したことを感知するセンサー設置による従来の計測方法に比べ、少ないセンサーの数で正確に打設高さを把握する。
 一般的に多くの熟練技能者が必要となる覆工コンクリの打設作業を省人化、省力化し、安定した施工の品質を確保する。奥村組によると、慢性的な人手不足で十分な熟練技能者の人数を確保するのが難しくなっている。技能者のスキルも異なるため品質にばらつきが生じやすい。狭い場所で繰り返しの作業も多く技能者にかかる負担が大きいことも課題だった。
 茨城県つくば市にある同社技術研究所で同システムの有効性を確認し、現在は実際の道路トンネル工事で試行中。今後は試行結果をフィードバックし技術のさらなるブラッシュアップを目指すとともに、移動式の鋼製型枠据え付け(セントルセット)やコンクリ養生など他の工程でも自動化を推進する。山岳トンネル工事のさらなる生産性向上に努める。




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2024年10月7日月曜日

回転窓/地中のナマズが動くと

 作家・池波正太郎の人気時代小説シリーズ『剣客商売』にナマズ料理が登場する。主人公の秋山小兵衛は、届けてもらったナマズ2匹を鍋やみりん醤油(しょうゆ)で付け焼きにしてぺろりと食べた(「鰻(うなぎ)坊主」より)▼日本で伝統的に食されてきたナマズは、見た目と違ってやわらかい白身で淡泊な味が特徴。農林水産省のウェブサイト「うちの郷土料理」では、群馬県の「なまずの天ぷら」を紹介している。天ぷらで食べればサクサクの衣とふっくらとしたくせのない身がおいしい▼ナマズと地震予知の説は江戸時代に生まれたと言われる。1855(安政2)年の安政江戸地震について書いた「安政見聞誌」には、地震の前にナマズが騒いだと記載されている▼古い書籍から引くと、地震で揺れることを表す古語「なゐふる」の「なゐ」は、「魚(な)振る」の転じたものとの一説もある。これが「鯰(なまず)が振る」となり、地中のナマズが動くので地震になるとかなり昔から信じられていたようだ▼小説で小兵衛は味のいいナマズを食べ過ぎて体調が悪くなってしまう。何ごとも過ぎてはいけないが、災害への備えは過ぎるくらいがいい。




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石破茂首相/経済対策指示し補正予算案提出へ、国土強靱化など安心・安全を柱に

 石破茂首相は4日の閣議で、災害対応をはじめとする「国民の安心・安全の確保」などを柱とする総合経済対策の取りまとめを閣僚に指示した。27日投開票の衆院選後、速やかに閣議決定し、その実施に必要な財源の裏付けとなる2024年度補正予算案を国会に提出する方針だ。能登半島などを襲った自然災害からの復旧・復興や、防災・減災、国土強靱化の推進に向けた施策を盛り込む。
 経済対策の柱は安心・安全の確保に加え、「物価高の克服」と「日本経済・地方経済の成長」の三つ。災害対応の一環で国の防災体制の強化や、避難所環境の改善にも取り組む。
 物価高対策は、特に影響を受ける低所得者世帯向けの給付金の支給や、地方自治体向けの交付金の拡充を想定。エネルギーコストの上昇に伴う対応にも当たる。
 石破内閣が掲げる「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現に向け、新たな地方創生施策の展開を目指す。中堅・中小企業の賃上げ環境の整備や、経済成長力の強化につながる国内投資の促進などの施策も講じ、「成長と分配の好循環」が確実に回っていく経済構造をつくる。
 同日の閣議では能登半島の被災地支援に充てるため、今月中旬をめどに追加の予備費支出の決定に向けて取り組むことも指示した。




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西日本高速四国支社/徳島道4車化で超高耐久橋梁第2弾を計画、施工は三井住友建設

 西日本高速道路四国支社は、徳島自動車道土成IC~脇町IC間の4車線化事業で新設する「指谷川橋」(橋長113メートル)について、非鉄製材料を用いた超高耐久橋梁とする方針だ。鉄筋やPC鋼材に代わり、腐食しない新材料を緊張材として用いる。超高耐久橋梁の技術は西日本高速道路会社と三井住友建設が共同開発した。導入は同区間に2021年1月に完成した別埜谷橋(同27・5メートル)に続く第2弾となる。
 超高耐久橋梁「Dura-Bridge」は腐食しない新材料「アラミドFRPロッド」を採用。構造物の耐久性を向上し、将来の維持管理の負荷低減を図ることができる。別埜谷橋は、新設の高速道路本線橋として初めてこの技術が導入された。
 三井住友建設が設計・施工を手掛け、20年度土木学会田中賞、21年度プレストレストコンクリート工学会賞など多くの受賞歴がある。
 第2弾は「徳島自動車道指谷川橋(PC上部工)工事」。PC3径間連続バタフライウェブ橋の上部工を新設する工事で、橋面積は約1000平方メートルとなる。工事場所は徳島県阿波市土成町秋月。工期は25年1月10日~28年8月21日。9月6日に三井住友建設と随意契約した。契約金額は26億6970万円(税込み)。
 別埜谷橋で技術的なモニタリングを続けてきた結果、100メートルを超える橋梁にも適用できる見通しが立ったことから導入を判断した。




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2024年10月4日金曜日

回転窓/目的意識が生み出す差

 「DXをとにかく進めろと指示されているが、何から手を付けたら良いのか分からない」。ある企業でDX推進のリーダーに着任した方がぼやいていた▼感じたのは手段と目的の乖離(かいり)。高いレベルの成果をより効率的に浸透させ、社会貢献と利益獲得の両立が目指す方向だろう。DXは有効な手だてだが目的ではない▼多くの産業で生産性向上が問われる中、付加価値を生み出す力のある経営企画人材のニーズは高まる一方だ。リクルートが先週発表した調査では、2024年1~6月期の経営企画関連の求人は、15年同期の10倍に増えた▼転職者数の伸びは3倍にとどまり、ニーズに見合う人材は不足気味。「事業成長のための課題解決を幅広く任せる」など要件が曖昧で、マッチングに至らないケースも多いそう。解決すべき課題を言語化し、求職者に訴求することが重要と同社は指摘する▼「三人寄れば文殊の知恵」と言うように、複数のアイデアが融合し新たな道が開けることは多い。未来を創造する人を自社に呼び込むには目的意識が大切。その追求心の有無が、人材の集まる側と出て行く側に分けるのだろう。




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大阪府・市/夢洲アクセス鉄道整備へ検討会設置、4路線の優位性比較

 大阪府と大阪市は、市内中心部から人工島・夢洲へのアクセス鉄道の整備に向け、有識者や鉄道事業者らで構成する検討会を立ち上げる。夢洲にはカジノを中核とするIR(統合型リゾート)が開業予定で、鉄道利用の拡大が期待されている。検討会で中之島(北区)や桜島(此花区)などと結ぶ4路線を比較し、今後の課題などを整理する。11月にも初会合を開く予定だ。
 検討会の委員は学識経験者のほか、JR西日本、京阪電気鉄道、大阪港トランスポートシステム、大阪メトロ、阪神電気鉄道と大阪府、市の関係者が入り、近畿運輸局と近畿地方整備局がオブザーバーとして参加する。
 対象となる路線は、1989年の運輸政策審議会答申第10号に盛り込まれた北港テクノポート線(コスモスクエア~夢洲~舞洲~此花方面)と2004年の近畿地方交通審議会答申第8号の中之島新線延伸(中之島~西九条~千鳥橋~新桜島)。JR西日本が検討している桜島線延伸(桜島~舞洲~夢洲)、京阪電鉄が検討している中之島線延伸(中之島~九条)の四つの区間を予定。
 IRには国際会議場や展示場、ホテル、レストランなどの整備を計画し、大阪・関西万博開催後の跡地開発も予定され、検討会で答申路線と検討路線の優位性を比較し、鉄道によるアクセス整備の方向性を議論する。今後の課題整理なども行い、25年度前半に検討結果をまとめる。会議は非公開とする。




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高松市/JR端岡駅周辺整備基本構想策定業務、パシコンに

 高松市は3日、「令和6年度JR端岡駅周辺整備基本構想策定業務委託」の委託先をパシフィックコンサルタンツに決めたと発表した。提案公募方式で同社を選定した。今後、契約手続きを進める。提案上限額は2103万円(税抜き)に設定していた。
 JR端岡駅は国分寺町新居に立地する市西部南地域の交通結節拠点。今回の業務ではマリンライナーの停車化を見据え、整備計画検討や事業スキームの整理などを担う。
 ホームや線路の改修はバリアフリー化を視野に検討する。駅舎を含む周辺の全体計画案を3案程度作り、概算工事費を算出する。施設整備の懸念事項の洗い出しも行う。履行期間は2025年3月31日まで。




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安藤ハザマ、日特建設/AIで地盤工事の地中施工情報可視化、アプリを共同開発

 安藤ハザマと日特建設は地盤工事の地中施工情報をAIで評価し、可視化するデジタルツインアプリケーション「GeOrchestra(ジオケストラ)」を共同開発した。地盤削孔で排出されるスライムからAIが解析評価した削孔位置の地質区分を、現場全体のCIMモデルに3Dデータとして反映。複数の工事関係者が同時に施工地盤内地質を360度視点で確認し、共有できる。現場実証では精度の高い予見によりリスクを回避。コミュニケーション支援ツールとして施工性向上も確認している。
 アプリでは、AIによる削孔スライムの解析から地質評価による3Dモデルの作成、モデリング情報を更新する一連の作業をクラウド上で全て自動化。新規のスライム情報がアップロードされると自動検知し、AIによる解析評価は数秒程度で完了する。3Dモデルの空間情報はユーザーが任意設定した時間間隔で自動更新し、地盤の削孔機械情報も施工進捗に応じて自動で反映する。
 3Dで可視化した施工情報は現場に通信環境があれば、複数の工事関係者がパソコンやタブレット、スマートフォンといったIoTデバイスで簡単かつ同時にアクセスし共有。360度任意の視点から確認できる。ユーザーごとの操作干渉も発生しない。
 アプリは、最長80メートルのグラウンドアンカーを計798本施工する国土交通省近畿地方整備局発注の高原トンネル上部斜面対策工事(奈良県川上村)に適用。このような大規模工事では削孔時の孔曲がりを抑制する管理が重要になる。アプリにより先行施工の地質評価結果を3Dで可視化し、孔曲がりが発生する遷移領域を確実に予見。事前の施工方法見直しや丁寧な削孔によって孔曲がりのリスクを回避した。施工地盤内地質を専門技術者と同程度の精度で評価できるようになり、現場判断も効率化した。
 安藤ハザマは今回現場で実証したグラウンドアンカーに加え、不可視地盤の施工管理が必要になる杭工事や地盤改良工事、トンネルの先行ボーリングなどでも適用を視野に入れる。




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2024年10月3日木曜日

安井建築設計事務所/10月15日~11月2日に都内で展覧会、100周年記念事業で

 安井建築設計事務所は100周年記念事業の一環として、「安井建築設計事務所100周年企画『まちなか展』」を15日~11月2日に東京都内で開く。東京都千代田区の同社東京事務所や、同社が設計を手掛けた作品の見学やワークショップなどを実施。同2日には、「まちにひらく、どうひらく?」と題したトークセッションを行う。
 同社が設計した「まちなか」にある建築を会場に、建築のディテールや設計プロセスを体感してもらう試み。対象は▽同社東京事務所(美土代クリエイティブ特区)▽東京国際クルーズターミナル、サントリーホール▽日本大学芸術学部江古田キャンパスアートギャラリー▽みらいステップなかの+中野東中学校。日程は施設によって異なる。
 対談・トークセッションには、佐野吉彦社長と西田司氏(オンデザイン代表、東京理科大学准教授)、田中仁氏(ジンズホールディングス代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)が登壇する。業界の垣根を越えて、これからのまちづくりについて意見を交わす。場所は東京事務所内。時間は午前9時30分~11時。定員は80人で、事前申し込みが必要。参加無料。
 詳細は同社100周年記念サイト(https://www.yasui-archi.co.jp/100th/)へ。9月には大阪会場で展覧会を実施していた。




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回転窓/読書で活字に触れる

 1カ月に1冊も本を読まない人が6割超に--。文化庁が先月発表した2023年度「国語に関する世論調査」で明らかになった。読書離れがこれほど進んでいるのかと改めて思わされる▼同庁は読書に関する調査を08年度から5年ごとに行っている。1冊も読まない人はこれまで4割台で推移していたが、23年度調査で急増。電子書籍も含む本を1カ月で何冊読むか聞いたところ、「読まない」が62・6%と最多で、「1、2冊」が27・6%、「3、4冊」が6・0%と続いた▼読書量については69・1%が「減っている」と回答。理由は「スマホなど情報機器で時間が取られる」が43・6%と最も多い。本を読まなくても、SNSの投稿やインターネット記事を読む機会が「ほぼ毎日ある」は75・3%に上った▼確かに小欄も電車内や寝室などでついついスマホを触ってしまい、気が付くと多くの時間を割いている。仕事上読むものを除けば、読書量が減少傾向にあるのは否めない▼子どもたちに大切なのはもちろん、大人にも想像力や集中力の向上、ストレス解消などの効果が期待できる読書。今秋は読書量の挽回といきたい。




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現場の残業時間ほぼ全てが上限規制内に、4週8休割合も上昇/全建会員調査

 建設現場の長時間労働が是正されてきている。全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が会員企業に実施した調査によると、現場従事者(技術者、技能者)で1カ月当たりの平均残業時間が45時間以下の割合は2023年に98・1%となり、前年と比べ2・0ポイント上昇した。4週8休を実現した現場は前年から13・4ポイント上昇の43・3%に達し、休日確保も広がっている。労働時間を短縮するための取り組みでは、「週休2日モデル工事の受注」などが挙がった。
 「働き方改革の推進に向けた取組状況等に関するアンケート調査」を7月に実施。会員企業2367社が回答した。時間外労働の短縮や休日確保の取り組み状況などを聞いた。
 現場従事者の残業時間を見ると、「15時間以下」が64・0%(前年比2・9ポイント上昇)と最も多く、次いで「16~30時間」が24・0%(0・6ポイント上昇)、「31~45時間」が10・1%(1・5ポイント低下)となり、45時間以下は計98・1%(2・0ポイント上昇)に達した。ほぼ全ての現場で時間外労働の上限規制に収まっていることが分かった。
 技術者と直接雇用している技能者で分けると、技術者の方が若干長くなる傾向がある。「45時間以下」の割合は技能者が98・7%(0・8ポイント上昇)に対し、技術者は97・0%(2・3ポイント上昇)となった。
 「おおむね4週8休」を実現している現場は43・3%となり、前年と比べ13・4ポイント上昇し大幅に改善した。「おおむね4週7休」は14・7%(0・4ポイント低下)、「おおむね4週6休」は33・2%(9・3ポイント低下)、「おおむね4週5休」は6・3%(2・2ポイント低下)、「おおむね4週4休以下」は2・5%(1・5ポイント低下)となった。
 全建は「4週8休の割合は前年からは伸びているものの、週休2日が当たり前の他産業と比べると決して高い数値とはいえない」と指摘。休日確保に向けて引き続き「目指せ週休2日+360時間(ツープラスサンロクマル)運動」などを推進する。
 労働時間を短縮するために実施している取り組み(複数回答)を聞いたところ、公共工事などの「週休2日モデル工事の受注」(50・0%)が最も多く、次いで「労働時間の適正管理」(44・7%)、「経営トップによる声かけ」(42・4%)と続いた。時間外労働が多くなる理由では「作成書類が多過ぎる」(71・5%)と「人員が不足している」(69・4%)が突出。書類作成の負担を抱えながら少ない人員で現場を稼働している実態が見えた。




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奈良県五條市/イオン敷地内に交流施設、対話で支援業務内容検討

 奈良県五條市はイオン五條店(今井2)の敷地内に、図書館を中心に子どもの遊び場やホールなどを備えた「(仮称)市民交流施設」の整備を計画している。イオンリテールの商業施設と合築または併設を予定し、市と同社が共同で事業を進める。同社が基本計画と基本・実施設計の各業務を発注する。市はアドバイザリー業務の委託を予定しており、サウンディング(対話)型市場調査の結果を踏まえ、業務内容を検討する。2日に市場調査の参加申し込みの手続きを始めた。
 計画では図書館やホールなどに加え、子育て支援施設、ギャラリーなどを整備する。図書館はカフェや書店を設け、憩いの場を提供する。ホールは音楽イベントや映画の上映などに対応し、観客席を設置する。ギャラリーでは芸術・文化活動の発表や観光情報などを発信する。
 イオン五條店は建て替えを予定し、新設する商業施設にはスーパーマーケットや直売所、物販店、飲食施設が入り、敷地内にバスターミナルの整備も計画している。
 事業手法はEOI(アーリー・オペレーター・インボルブメント、運営候補者先行選定)方式を採用。計画段階から運営の視点を取り入れることで、施設の利用価値や満足度を最大限に高める。2025年度までに設計をまとめ、26~27年度に建設工事、28年度からの運営開始を目指す。
 市場調査はアドバイザリー業務の受注希望者と意見交換を行い、委託業務の内容に反映するのが目的。25日まで参加申し込みを受け付け、28日に個別で対話を行う。対話項目は▽事業アイデア、実施する事業内容▽事業期間▽発注に当たって配慮すべき事項-など。30日に対話結果の概要を公表する。
 対象案件は「(仮称)五條市市民交流施設整備事業(EOI方式)アドバイザリー業務」。施設を最大限活用するための提案や助言を受けるほか、基本計画や設計業務の受託先に図書館、ホールなど各施設の規模や配置、商業施設との最適なゾーニングや動線を提案してもらう。受託者は指定管理者として施設の管理運営を行う。
 業務期間は24年度末~29年3月末。工事期間中は情報共有など連絡調整だけ行う。




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大林組ら/地下コンクリ躯体の防水工法開発、短工期で湧水浸入防止

 大林組は地下水が原因の漏水を短工期で未然に防ぐ、地下コンクリート躯体の防水工法を開発した。特殊な立体繊維を一体化させたエチレン酢酸ビニール樹脂(EVA)系の防水シートを、地下コンクリート躯体の内側から専用のセメント系張り付け材で接着する。短工期、省人化を実現しながら、地下水由来の湧水の浸入を確実に防ぐ。同工法を積極的に提案し、短工期で優れた地下コンクリート空間を構築することで、高品質な建設物を提供する。
 「インナーシャット工法」は、防水工事や防水シートの販売などを手掛けるハセガワシート(千葉県八千代市、長谷川壽一代表取締役)と共同開発した。
 防水シートに一体化させた立体繊維がセメント系張り付け材に絡み付き、下地面に強固に接着。地下コンクリート躯体に浸入した地下水の水圧(背面水圧)による防水シートの膨れ、剥がれを防ぐ。防水シートは伸びに強く、コンクリート躯体の挙動やひび割れに対して追従し、剥離や破断が生じない。
 地下の内壁側から施工できるため、安定した作業環境が確保できるとともに、建物供用後の点検や補修も簡単にできる。主な工程は防水シートの張り付けだけなので、防水性を求める場合、最短1日で工事が完了する。
 防水シートに防食性があるため、防食性能を求める場合でも防水シート張り付けとシート接合部処理の最短2日で施工可能。湿潤面にも施工できる。コンクリート下地の養生や乾燥を待たずに施工でき、躯体構築から防水・防食工事完了までの工期を短縮できる。




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2024年10月2日水曜日

業界一丸で上限規制に対応、発注者の柔軟な対応不可欠/本社調査

 日刊建設工業新聞社がゼネコンや道路建設業、設備工事業に9月実施したアンケート(有効回答56社)では、時間外労働の罰則付き上限規制に苦慮しながらも懸命に残業削減に努める現状が浮き彫りとなった。魅力ある持続可能な産業を実現するため、1日発足した石破政権でも、建設業の働き方改革に最大限配慮した公共工事の強力推進や民間発注者への呼び掛けなどが求められる。
 「誰一人取り残されない働き方改革が必要だ」。あるゼネコンの幹部は建設業が若者に振り向いてもらうためにも、時間外労働の削減が欠かせないと訴える。
 アンケートでは4~6月に原則月45時間を超過した非管理職の割合を聞いたところ、土木職と建築職で6割超が低水準の「20%以内」だった。単純比較はできないが、1割程度にとどまった原則年360時間を基準とした2023年度から大幅に改善。法律で定められた年720時間、複数月平均で月80時間という特別条項に照らし合わせると、各社のさまざまな努力によって非管理職の大半が着実に残業や休日出勤を削減し、上限規制の順守に取り組んでいることが予想できる。
 国土交通省の23年度「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」(回答1302社)によると、上限規制適用前の1月1日時点で直接雇用する技術者の時間外労働が特別条項を超過すると回答した企業は17・2%だった。本紙のアンケートでは、発注者に対して現場の実情への理解を求める社が多かった。
 「上限規制適用の初年度ということで、年度末に向けて現状では想定できていない問題が発生することも十分に考えられる」と指摘するのは別のゼネコン関係者。予期しない災害対応による通常工事への影響などを見越し、発注者には「工期延伸の協議、適正工期確保に対し柔軟な対応をお願いしたい」と強調する。
 石破政権の発足を受けて同日、建設業団体トップがコメントを発表。日本建設業連合会の宮本洋一会長と全国建設業協会の今井雅則会長、全国中小建設業協会の土志田領司会長は、引き続き国土強靱化対策を推進するよう求めた。建設業が働き方改革を推進しながら国土や地域の守り手としての役割を果たし続けていくためにも、発注者には現場に寄り添う柔軟な対応が不可欠となる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167556
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新社長/飛島ホールディングス・高橋光彦氏、成長に向け仲間呼び込む

 飛島建設が持ち株会社体制に移行し、1日付で「飛島ホールディングス(HD)」が発足した。複雑化する社会ニーズや社会課題に機動的に対応。既存事業を効率的に運営しつつ将来の成長を見据えたイノベーションとビジネスモデルを追求する。HDをプラットッフォームと位置づけ、これまでの建設事業とシナジー(相乗効果)を創出する「グロース事業」や、デジタル技術で建設生産プロセスを変革する「イノベーション事業」で企業間連携を加速させ事業領域の拡充に取り組む。
 --就任の抱負を。
 「時代の潮流や先を読む力が経営者に求められる。時代の変化を敏感に捉えることが私の一番の役割だろう。平時から危機意識を持ち、社会の変化や動きを見定めながら着々と布石を打つ。時代が移り、環境が変われば戦略も変わる。トランスフォーメーショナル経営の発想で全体の指揮を執っていく」
 --HD化の狙いは。
 「新たなビジネスモデルや新たな成長フィールドを探すために自前主義を捨てる。新たな仲間を迎えるストラクチャーを持って事業ドメインや戦略、経営のオペレーションを改革することが狙い。HD機能を活用して全体最適の考え方で経営戦略の統合と経営資源の分配を効率的に行う。事業ポートフォリオを見直し収益基盤の拡大に取り組む」
 --経営方針は。
 「既存事業の稼ぐ力を維持しながら新たな成長戦略を描く。人手不足や働き方改革への対応も不可欠だ。従来のビジネスモデルでは限界があり、新たな戦略との乖離(かいり)をどう補正していくか。建設という単一サービスだけでは社会ニーズには応えられない。創業の精神を時代の変化と社会に合わせて『New Business Contractor』と再定義した。自らが新しいビジネスを創造するとともに、多様な他者のビジネスの創造を支援し、実現を約束するビジネスパートナーとなる。変革の道筋を示し、従来の枠組みや方法にとらわれずに新しい価値観、可能性を創造していく」
 --注力分野は。
 「27年度までの中期経営計画を策定し、未来の建設産業の姿を『インフラアンチエイジング産業』と捉え直した。建設事業のリスキリングを推進しつつ、川上から川下までを一括でサービス供給できるグループを目指す。スクラップ&ビルドには限界があり、社会インフラにかかわる各事業をライフサイクルコストまで含めた形で提案することが理想だ。建設事業やリニューアル事業という単一のものではなく『面』で捉える。一連の複合事業でグループの趣旨に賛同する方々と仲間となって取り組みたい」。
 (10月1日就任)
 (たかはし・みつひこ)1985年中央大学文学部卒、飛島建設入社。2014年執行役員、19年常務執行役員、20年取締役兼専務執行役員。神奈川県出身、63歳。事業戦略や経営企画畑を歩き、仕事の息抜きは社員を含めて「人と話すこと」。経営者としては自身を「ストラテジスト型」と認識し、SX経営(両利きの経営)を推進する。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167538
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群馬建協/CCUSと建退共の連携強化を提言、上限規制アンケート受け

 群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、建設キャリアアップシステム(CCUS)と建設業退職金共済(建退共)制度のさらなる連携強化を国土交通省などに求める。CCUSの就労履歴と建退共の就労実績、労務安全書類を電子化し「通門管理機能」(現場へ入場する作業員の入退場履歴を管理できる機能)で連携。協調領域をDXして現場管理の効率化、省力化につなげるのが狙い。2日に行う関東地方整備局との意見交換会などで質疑テーマに挙げ、積極的に提言する。
 群馬建協は時間外労働の上限規制適用を受け、8月26日~9月9日にアンケートを実施。会員276社中244社が回答した。
 規制適用後に明らかとなった課題として「工事コスト上昇」と「生産性低下」が挙がった。生産性低下の理由としては「後片付けを勤務時間内に行うため日当たり作業量が低下した」「工事書類を作る時間がなくなってしまった」「時間外労働をしないため工事工程が延びた」の三つが大半を占めた。
 アンケート結果を受け、群馬建協の若田部純一常務理事は「建設システムの生産性をどう高めるかが今後の課題となる」と指摘。青柳会長は「地域の企業が力を合わせる協調領域で働き方改革を進めることが大事だ」と訴え、▽協調領域のDX拡張と加速化▽労務単価の引き上げと歩掛かりの見直し▽受発注者間の業務の洗い出しとスリム化の徹底-の3点を提言した。
 群馬建協は2日の関東整備局との意見交換会に続き、8日には全国建設業協会(全建、今井雅則会長)関東甲信越ブロック会議も控える。青柳会長は「今後はデータ管理で業務を棚卸しして実際にどう業務を効率化するかをしっかり提言したい」と強調。「これから現場管理の問題点が出てくるだろう」とし、年数回の調査を継続する方針だ。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167553
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大成建設/「やわらかい木」を構造部材に利用、壁や屋根を曲線的なデザインに

 大成建設は、人の手で簡単に曲げたりねじったりできる高弾性の木質材料「やわらかい木」を、構造部材として使う新構法を開発した。一定間隔で並べた木製の柱に帯状のやわらかい木を格子状に編み込み、曲線的なデザインの壁や屋根を構築できる。建築物の木造化や木質化の需要が高まる中、強度が低い木材の使い道を広げられる。同社は独創的な意匠の木質空間をつくり出せる構法として、積極的に提案していく。
 やわらかい木は、2008年に東京大学の足立幸司特任助教(現秋田県立大学教授)が開発。薄い板をシート状の粘着剤で貼り合わせて積層し、従来の合板と比べ10倍以上の曲率を持つ。容易に滑らかな曲面をつくれる意匠性の高さから家具材などに利用されてきたが、柔らかさゆえに自重や人力で変形しやすく、自立させるのが難しかった。
 開発した木質網代構法「T-WOOD Goo-nyaize」(グーニャイズ)では帯状のやわらかい木を柱や梁に編み込み、表裏に平面部分を規則的に配置することで、外部からの力に対して抵抗を生み構造性能を発揮させる。柱には曲げながらビスで留め付けて形状を維持。ビスを抜くと形が板状に戻るため運搬、保管がしやすい。やわらかい木の形や配置などを変えることで採光量も調整できる。
 横浜市戸塚区の大成建設技術センターに同構法でパーゴラを建て、加力・荷重実験を実施。木造耐力壁の強さを表す壁倍率換算で約0・5~1・0倍と、従来の耐震壁と同等の性能を備えることを確かめた。同社と足立教授が共同で特許を申請している。
 これまで低密度の木材は製材後の強度が低く構造部材として使いにくかったが、やわらかい木が構造部材に適用できることで未利用材の有効活用を期待できる。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167542
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東京都/谷沢川の洪水対策で分水路整備が終盤、26年度の完成めざす

 東京都が世田谷区内で進めている谷沢川分水路の整備工事が終盤に入った。谷沢川近くの環状8号線などの地下にトンネルを構築。河川の増水時に取水し、下流へと分散して流す。トンネルの掘削工事を終え、9月に下流で分水路の水を谷沢川に戻す水路工事が始まった。施工をフジタ・ホープJVが担当している。今後、取水施設の工事なども行い2026年度の完成を目指す。
 谷沢川は世田谷区の南東部を流れ、最終的に多摩川と合流する1級河川。過去には大雨によって氾濫し、道路の冠水や家屋の浸水被害が発生していた。1時間当たり75ミリを超える豪雨時に分水路に洪水を流し、沿岸の被害を防ぐ。
 分水路の工事は18年度に始まった。21年5月に下流部に位置する都立園芸高校玉川果樹園(世田谷区玉堤2)の発進立坑からシールドマシンで掘削を開始。世田谷区道や環状8号線、国道246号の地下を通り、到達立坑のある上流部の区立玉川台広場(玉川台1)に24年5月に到着した。
 トンネルは内径5・5メートル、延長3・2キロ。地下16~30メートルの位置に構築した。都の河川では初となる「ふかし上げ構造」を採用。下流ではポンプを使わず、高低差によって生じる圧力によって水を地上に上げ、谷沢川に放流する。トンネル本体工事は安藤ハザマ・東鉄工業・京急建設JVが担当した。
 上流の玉川台広場に整備する取水施設では、谷沢川のほか、地下にある雨水幹線とも接続する。現在、雨水幹線と取水施設をつなげる工事事業者を選定中だ。河川と下水道管両方の水を取り込むことで外水氾濫と内水氾濫の両方の被害を防ぐ。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167551
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2024年10月1日火曜日

宮城県/米グーグルと地域課題解決へ基本合意、生成AI活用などで連携

 宮城県は地域が抱える課題の解決や行政のDX推進に向け、米グーグルと共同で取り組むことで基本合意(MOU)した。今後2年、同社のAIサービスの無償提供などを受け、職員事務の分析や自動化、行政手続き申請などのサービス効率化に役立てる。グーグルが国内自治体と協定を結ぶ初の事例になる。
 両者は▽行政サービスの効率化▽高齢者のデジタルリテラシー向上▽生成AI活用-の3プロジェクトに着手する。宮城県でモデルを構築し、将来的には全国の自治体に展開していく可能性もあるという。
 行政サービスの迅速化に向け、AIサービス「ノートブックLM」を活用し膨大な量の行政データを分析。プライバシーを保護しながら戸籍登録や育児申請などの手続きを効率化する。県庁職員が書類作成に費やす時間を減らし、県民サービスを向上する。グーグルが講師の育成プログラムを提供する形で、高齢者がインターネットを安心して利用できるようデジタルリテラシーの向上にも取り組む。
 9月30日、グーグル本社のクリス・ターナー政府渉外・公共政策担当副社長が宮城県行政庁舎を訪れ、村井嘉浩宮城県知事と協定書に署名した。
 村井知事は「人口減少と少子高齢化が進行する中、複雑・多様化する課題に対応するにはDXの推進が不可欠だ」と指摘。「デジタル分野で世界のトップランナーであるグーグルとの協定は、県の取り組みを大きく前進させる」と期待を込めた。ターナー氏は「(MOUで)AIの恩恵が県民に直接もたらされ、日常生活の向上と未来への新たな機会が創出されると確信している」と述べた。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167523
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回転窓/国づくりの議論の場

 きょうから10月。「神無月」とも呼ばれ、旧暦の10月は島根県にある出雲大社に日本全国からやおよろずの神々が話し合いのために集まることが言葉の由来とされる▼神様たちの会議ではその年の報告や来年の相談を行うそう。人の計り知れないことが中心で、主な議題は来年の収穫の良しあしや国の繁栄など。国づくりの神様で知られる出雲大社の御祭神・大国主大神は良縁祈願の神様でもあり、人と人の縁結びも重要な議事のようだ▼出雲大社のウェブサイトによると、国土を開拓した大国主大神は農業・漁業といったなりわい、医薬などさまざまな知恵を人々に授け、日々の暮らしのすみずみに至るまで幸せの種まきに励んだ。その後、天照大御神に国を譲り(国土奉還)、自身は神々の世界を治める大神になったとしている▼政治の世界から現代の国づくりに携わる連立政権の自民、公明両党のトップが交代した。1日召集の臨時国会で第102代首相が選出され、新内閣が発足する▼月内の衆院解散・総選挙に向け周囲は騒がしい。多くの問題が山積する中、国会が空転せず、建設的な議論が進み、政治空白が生じぬように。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167520
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静岡県富士市、インフロニアHD、前田建設/漏水調査実証実験、非開削で管路状態把握

 静岡県富士市とインフロニア・ホールディングス(HD)、前田建設の3者は、水道管の漏水調査に海外の新技術を活用した実証実験を行っている。市が実証フィールドを提供し、非開削による管路の状態監視技術「ePulse(イーパルス)」の有効性を検証する。調査期間は9月30日から2日までの3日間。有効性が確認できれば、市水道事業の喫緊の課題である有収率向上と維持管理の効率化に向け、積極的に新技術を活用していく。
 有収率は、浄水場や配水場から市内に送り出す給水量に対する、料金など水道事業の収入として計上される有収水量の割合。数値が高いほど効率良く利用者に水を供給できる。市は管の老朽化などで漏水が多く、有収率が低い。
 官民共同研究は、前田建設らからの提案で水道管路の維持管理の効率化や有収率向上などをテーマに2023年度から実施している。漏水記録のデータやAIなどを活用した管路の劣化予測とリスク影響を評価するとともに、管路の予防保全で有用な技術などを調査・検証する。フィールド実証ではエコロジクス社(カナダ)の技術であるイーパルスを使う。
 管厚による音響圧力波の速度の違いにより劣化度合い(配管の残存厚)を計測する。富士水系と神谷水系で計約1キロの管路10カ所で調査する。実施実験では、データの分析と並行して調査区間の管路を掘り起こし、実際の状況と比較する。
 イーパルスによる調査診断が実現すれば、地面を掘り返すことなく管路の漏水や破裂の要因である管厚を把握できる。設置時の設計管厚に対する減少率を解析することで、将来的に漏水や破損が発生する可能性の高い老朽管を特定し、優先的な更新が可能になる。市は従来の事後保全を中心とした管路管理から、予防保全管理を実現するため積極的に民間の保有する先進技術などを活用する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167518
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戸田建設/TODA BUILDINGが竣工、11月2日開業

 戸田建設は9月30日、東京都中央区で建設していた超高層複合ビル「TODA BUILDING」が竣工したと発表した。同社の新本社ビルになり、文化発信施設や商業施設も併設。日本橋エリアに新たなにぎわいが生まれる。耐震性能の強化などを通じ、地域の防災性向上にも貢献。建物は延べ9・5万m2の規模で、設計・施工は自社で手掛けた。11月2日に開業する。=3面に関連記事
 計画地は京橋1の7の1。中央通りに面している。建物は地下RC・SRC地上RC・S造地下3階地上28階建て塔屋1階延べ9万4912m2の規模。1~6階が「芸術文化施設」や商業施設で、8~27階がオフィスとなる。同社の本社は8~12階に入る。
 6階はポップカルチャーを発信するミュージアムが開業。大空間の展示で作品の世界観を体感できる。建物はコアウオール免震構造を採用して国内最高水準の耐震性能を実現。中央通りに面した広場は大規模災害時の一時避難場所として提供する。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167512
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京急行鉄、トヨタ/品川駅西口地区A地区(東京都港区)、延べ31万平米に

 ◇25年5月着工、設計は大成建設
 京浜急行電鉄とトヨタが、東京都港区の品川駅西口で推進している「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」の概要をまとめた。建物は延べ31・3万平方メートルの規模で計画。高さは154メートルで、オフィスやホテル、商業施設、MICE(大規模なイベント)施設などが入る。現在は大成建設に実施設計を任せている段階。2025年5月の着工、29年1月の竣工、同年度の開業を目指す。
 計画地は高輪3の417の31(地名地番、敷地面積2万3584平方メートル)。21年に閉館した複合商業施設「シナガワグース」の跡地に当たる。新たな建物はS一部SRC造地下5階地上28階建て延べ31万3100平方メートルの規模で計画。基礎工法は直接基礎で、一部に杭基礎を採用する。
 低層部に商業施設が入り、中層部にMICE施設やオフィス、高層部にはホテルが入る。オフィスにはトヨタの東京本社が入る予定だ。トヨタは20年、開発に共同事業者として参画。24年4月には京急から土地の譲渡を受け、地権者としても関わっている。竣工後の建物は両社が共同で運営する。
 事業は22年10月に政府から国家戦略都市計画建築物等整備事業の認定を受け、11月には地区計画の変更が決定(都決定)された。
 品川駅西口では約14・7ヘクタールのエリアを対象に再整備が進む。京急らの計画は駅に最も近いA地区に当たり、他にB、C-1、Dの3地区がある。エリア内の土地区画整理事業は都市再生機構が手掛けている。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167514
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東大、清水建設ら/カーボンネガティブCCC、実建築物適用にめど

 東京大学や清水建設らによる研究グループは9月30日、大気中の二酸化炭素(CO2)と廃コンクリートから生成した炭酸カルシウムによる「炭酸カルシウムコンクリート(CCC)」を用いて、建築物などを建設できるめどが立ったと発表した。CCC硬化体で従来のコンクリートと同等強度を実現。CCC硬化体による柱部材も開発した。今後、国土交通大臣認定を取得し実建築物への適用を目指す。セメントを使わないコンクリートを作り、永久的に循環させていく道を開くプロジェクトとなる。
 新エネルギー・産業技術総合研究機構(NEDO)のムーンショット型研究開発プロジェクト「C4S研究開発プロジェクト」(プロジェクトマネージャー・野口貴文東京大学大学院教授)の成果となる。東京大学、北海道大学、東京理科大学、工学院大学、宇都宮大学、太平洋セメント、清水建設、増尾リサイクル(東京都荒川区、増尾光彦代表取締役)による研究グループが手掛けている。
 ミスト状にした水分を廃コンクリ粒子に一定間隔で供給した後、乾燥を繰り返すなどして大気からのCO2回収を従来の50倍に加速化し、カーボンネガティブを実現した。低温で微粉末材料を加圧することにより、高密度化してCCC硬化体を製造する手法を採用。直径10センチのCCC円柱体で圧縮強度38メガパスカルの品質を確保した。
 建物への活用に向け、薄肉鋼管で被覆したCCC硬化体を鋼板を介して5層連結し、プレストレストを導入したCCC柱部材を開発。耐震性評価試験を行い、全体の剛性を確保した上で建築物に活用できることが分かった。CCC壁部材などの開発も進めている。接合部などの検討が必要だが、3、4階建て程度の建築物は実現可能とみている。
 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で模擬構造物を展示する予定。東京都内で会見した野口教授は「確実に数年後には普及できるめどが立った」と述べた。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167521
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