兵庫県と兵庫県まちづくり技術センターは14日、阪神・淡路大震災30年事業「巨大地震・津波に備えるシンポジウム」(共催・淡路市、洲本市、南あわじ市)を淡路市の淡路夢舞台国際会議場で開いた。2025年1月に迎える震災30年を前に、近い将来発生するとされる南海トラフ巨大地震に備え、いま一度防災意識を高めようと開催。来賓や一般など約200人が参加し、地域防災の在り方などを学んだ。
冒頭、主催者を代表して服部洋平副知事が「ハード対策などの事前防災を行うことで、被災後の生活再建と経済復旧に早期につなげることができる。県民の命を守るために一人一人が災害に対する正しい知識を身に付け、行政が分かりやすく情報提供していくことが不可欠だ」とあいさつした。
続いて京都大学防災研究所の森信人教授が「南海トラフ地震に備える」をテーマに基調講演。海溝型地震の特徴を説明する中で「東南海地震は歴史的に100~150年間隔で繰り返し発生し、現在もプレート同士の固着でひずみが蓄積し続けている」と警鐘を鳴らした。地域別の津波被害想定は「湾形から一定程度の判別が可能」とし、東日本大震災では岩手県釜石市の湾口防波堤が防御効果を発揮し、津波高さを低減していたことを紹介。津波から命を守るために「自分がどのような地形の場所にいるかを認識することが重要」と説き、「ハード対策は防御のための第一歩。その上で住民が理解を示しソフト面で防災行動を心掛けていく必要がある」と強調した。
パネルディスカッションでは森教授がコーディネート役を務め、阪本真由美兵庫県立大学教授と菅原茂宮城県気仙沼市長、高橋伸輔近畿地方整備局企画部長、上原泉南あわじ市教育委員会教育次長補、新井田浩兵庫県技監が登壇した。阪本教授は「地域住民が南海トラフ地震の危険性を認識しつつも事前準備が進んでいない」現状を指摘。防災拠点整備などを事例に「『もしも』に備えるのではなく『いつも』をより良くする『フェーズフリー』の考え方の下、普段から地域で連携していくことが大切」と話した。菅原市長は「ハード対策だけで安心せず住民が防災意識を醸成しておくことが必要」と述べ、「避難訓練では避難所まで生きてたどり着くことに意識を集中しなければいけない」と語った。
高橋部長は能登半島地震を受けてインフラ設計基準や、自治体による道路啓開体制の見直しが進みつつある現状を紹介した。上原次長補は子どもたちが主体に防災行動を先導する「南あわじ市防災ジュニアリーダー」など防災教育の取り組みを説明。新井田技監は兵庫県内で最も津波が早く到達する南あわじ市で進めてきたハード対策や、道路管理者と建設業の連携による道路啓開タイムラインを紹介した。
from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167988
via 日刊建設工業新聞
0 comments :
コメントを投稿