国土交通省は改正建設業法で規定された「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとする見積もり・契約規制の施行に向け、民間建築工事での運用を想定した基準作成や実効性確保に向けた検討を深める。標準労務費の計算方法を「公共工事設計労務単価×歩掛かり」とした場合、個人住宅などの設計労務単価が設定されていない職種や、公的な歩掛かりが存在しない工種の扱い方が課題になる。当事者団体などとの意見交換を進めながら、2025年度には民間建築工事の請負金額に占める労務比率などの調査・分析に乗り出したい考えだ。
標準労務費を巡っては先月、作成や運用の検討主体となる中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)が始動。法規制の施行前となる25年11月ごろまでに作成・勧告する方向が示された。一方、初会合では全職種・工種で一斉の作成は困難との認識から準備が整った職種から順次、検討する方針で合意した。
国交省直轄工事で施工実績がない個人住宅の建築などは検討材料に乏しく、準備が難航する可能性がある。まずは民間建築を主体とする職種で労務比率などを明らかにするため、国交省は25年度予算で調査業務の委託費用70百万円を新規要求した。先行的に設定する職種の基準改定の在り方も併せて検討する方向だ。
WGに参加する建設業団体の一部は設計労務単価について民間工事の実勢価格との乖離(かいり)を指摘。標準労務費に反映する上で妥当性の検討が必要だと主張した。国交省はWGと別に、前向きに取り組む意思のある職種の団体から意見交換の場を持つ考え。現行の契約慣行を把握した上で具体的な検討に当たる必要性を示す。建築分野の学識者からは、標準労務費の設定前でも躯体や内外装、設備など大きな枠組みで目安をつくり、暫定的な運用を可能とすべきと訴えた。
国交省は官房官庁営繕部による積算基準の見直しに向けた動きと連携し、建築関係職種の標準労務費を具体化していく手順を選択肢に挙げる。同部は材工一式の市場単価で積算している工種の歩掛かり調査に順次取り掛かり、労務費などの内訳が把握可能な積算単価の設定方法を検討する考え。22年度以降、▽鉄筋▽型枠▽コンクリート▽配線▽ダクト設備▽左官▽保温-の各工種で調査を推進しデータが集まってきている。
from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167738
via 日刊建設工業新聞
0 comments :
コメントを投稿