建設専門紙記者という職業柄か、工事現場の仮囲いを見掛けるとつい気になってしまう。かつては許可関係の掲示があるだけの素っ気ないものが多かった。今は工事概要を分かりやすく記したり街の変遷を紹介したりと、バリエーションに富んでいる▼全国建設業協同組合連合会(全建協連)は、仮囲いを「工事中と人々を結ぶ装置」と位置付け、学生向けデザインコンテストを実施。57グループが応募するなど話題を呼んだ▼東京・渋谷では、知的障害があるアーティストの作品で仮囲いを彩る試みが始まっている。仕掛けたのは福祉を軸とした社会実験などに取り組んでいるヘラルボニー(岩手県花巻市、松田崇弥代表取締役)という企業だ▼建設会社がサポート費用として作品使用料を支払い、福祉施設とアーティストに還元される仕組み。渋谷の現場を皮切りに、全国で仮囲いプロジェクトを展開していくそうだ▼仮囲いは建設現場と市民との境界線に設置される。壁になるのか交流の入り口になるかで、意味合いは大きく変わろう。建設現場が幅広い人たちを結ぶ接点になる-。すてきな出会いの広がりを期待している。
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