2019年3月19日火曜日

建退共/予定運用利回り見直し検討/今後5年間の赤字試算

 勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部(建退共、稗田昭人本部長)は、18日に東京都内で開いた運営委員会・評議員会で財務状況を報告した。2019年度は、中小企業退職金共済法で定められた5年に1度の財政検証の年に当たる。財務状況報告では、今後5年間で毎年約81億円の赤字が見込まれると試算した。安定的な収入源である自家運用と国内債券の運用収入が金利の低下に伴い減少するのが要因で、予定運用利回りと資産構成の見直しが必要とした。=2面に関連記事
 2月時点の試算によると、19~23年度の5年間の平均の自家運用収入は35億円、金銭信託運用収入は50億円で支出が上回り、毎年度約81億円の赤字になることが分かった。
 現在の予定運用利回りは3・0%、掛け金日額は310円。過去2回の利回り引き下げ時にはいずれも、掛け金日額の引き上げを同時に実施している。6月の運営委員会・評議員会でたたき台を示す。
 財政検証は労働政策審議会(労政審、厚生労働相の諮問機関)で審議され、予定利回りなども議論を経て決定される。
 1月末時点の建退共制度の概況は、共済契約者が17万2032カ所(前年比0・5%増)、被共済者は223万5456人(0・7%減)となった。
 18年4月~19年1月の掛け金収納額は457億71百万円(前年同期比1・6%増)、退職金支払総額は416億37百万円(0・3%増)で収納が支払いを上回る。資産の運用残高は1兆0127億円(0・0%減)となっている。
 18年4月~19年1月に退職金を支払ったのは4万6153人(1・0%減)、平均額は90万2000円(1・3%増)。最高支給額は昨年4月の1264万7000円で、過去最高だった11年10月の1099万円を上回った。
 建退共事業の19年度収支案は、主体の給付経理の収入が613億44百万円(前年度607億84百万円)で、うち掛け金収入は550億79百万円(537億16百万円)。支出は573億58百万円(581億39百万円)で、退職給付金が527億74百万円(536億39百万円)。19年度の新規加入被共済者数の目標は11万人以上(18年度は11・2万人)に設定した。

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