政府は観光振興の一環で、外国人が個人所有する超大型クルーザー「スーパーヨット」の受け入れ環境の整備に向けた議論を開始した。
省庁横断の「スーパーヨットの受入拡大に関する関係省庁連絡調整会議」を設立し、8日に東京都内で初会合を開いた。スーパーヨットの誘致を巡る課題を整理し、港湾施設の機能増強による長期係留の実現など今後の方向性を検討。富裕層を中心としたインバウンド(訪日外国人旅行者)の取り込みを狙う。寄港地での消費拡大による地域経済の活性化や地方創生にも期待している。
スーパーヨットの明確な定義はないが、一般に外国人富裕層などが個人所有する全長24メートル以上の大型クルーザーを指す。連絡調整会議では主な課題として、港湾施設の機能増強が挙げられた。
現在、スーパーヨットが係留可能な施設規模を持つマリーナは少ない。公共の岸壁も使用できるが、スーパーヨットは長期停泊する傾向があるため、貨物船など本来岸壁を使用する船舶との調整が難しい。既存施設の有効活用を念頭に、施設増強を図る。
対策として、港湾の中で利用頻度が低い岸壁を浮桟橋で延伸することなどを想定している。港湾管理者が設備投資することになるが、政府として財政面での後押しも検討する。
スーパーヨットは寄港地での食事や観光、宿泊、土産物の購入などで大きな経済効果を生む。スーパーヨット誘致会議(横浜市、小谷昌会長)によると、16年に全長54メートルの船が3日間停泊し、1200万円を消費した事例もあったという。日本への来訪実績は2018年が10隻で、19年は10~15隻程度を見込む。
連絡調整会議は内閣官房のほか、法務、財務、厚生労働、農林水産、国土交通(観光庁、海上保安庁含む)各省で構成。国交省の港湾局海洋・環境課が事務局を務める。
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