2022年9月30日金曜日

内閣官房/国土強靱化基本計画見直しへ、考慮項目を再整理

 内閣官房は国土強靱化政策の根幹となる「基本計画」(2018年12月改定)の見直しに当たり、考慮が必要な項目を再整理した。被災自治体を企業が援助するなど官民連携の強化を観点の一つに挙げた。水害と震災に同時に備えるといった「複眼的防災対応」も課題とする。基本計画の施策立案の前段となる脆弱(ぜいじゃく)性の予備評価も実施しており、23年1月をめどに結果を取りまとめる予定だ。同年度の基本計画改定を目指している。
 29日に東京都内で「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長・藤井聡京都大学大学院工学研究科教授)を開いた。冒頭、谷公一国土強靱化担当相が「(防災・減災、国土強靱化のための)5か年加速化対策後を見据えながら、社会経済情勢変化を踏まえて、基本計画の改定に向けた検討を進めている」と説明した。
 懇談会では有識者意見の中間整理を踏まえ、議論をさらに深めた。藤井座長は「国土強靱化を推進する上で大切なのは予算の裏付けの下での合理的、科学的な対策実施と、行政の縦割りを乗り越えることだ」と指摘。国土強靱化基本計画は政府の国土強靱化に関する政策の大本となるため「アンブレラ計画」とされ、省庁連携が可能な仕組みになっている。「これまでの連携が不十分だとすれば、次の5年間(基本計画の期間)に向けてしっかり進められる体制を整えてほしい」と注文を付けた。
 懇談会には、今月の台風14号で甚大な被害を受けた宮崎県の河野俊嗣知事がオンラインで出席。県内の被害状況とともに「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」で整備したインフラ施設による減災効果を説明した。日之影町中心部は05年の台風14号によって111戸が床上・床下浸水した。3か年緊急対策で水防災事業を実施し、台風14号では床下浸水3戸にまで被害を抑え込むことができた。
 河野知事は強靱化対策が必要な箇所が県内にまだあるとし「強靱化はいまだ道半ばだ」と強調。「5か年対策後も継続的かつ安定的に必要な予算を確保していく必要がある」と訴えた。



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不動協・菰田正信理事長/スライド条項適用「難しい」、総価契約になじまず

 不動産協会(不動協)の菰田正信理事長が29日に東京都内で開いた理事会後に会見し、建設資材価格の高騰に対応した請負金額の変更は難しいとの見解を示した。民間工事は従来の商慣習で総価一式の契約形態が前提になっていることを改めて説明。「(工事価格の設定で)資材価格などを細かく仕分けて積み上げているわけではない。どうやって物価スライドをするのか難しい状況」と述べ、建設業界が求めているスライド条項の適用には消極的な姿勢を見せた。=2面に関連記事
 菰田理事長は総価契約の性質を取り上げ「いったん値段を決めたものを、物価上昇に応じてさらに上げるという契約方式にはなじみにくい部分がある」と指摘。その上で「(受発注者が)互いに資材や労務費の上昇を見込んで契約するというのが今までの商慣習。それで問題はないと理解している」と話した。
 現状のマンション分譲価格は「歴史的に見てもかなり高い」と強調。上昇した資材価格が分譲価格に与える影響にも触れ「購入者にサウンディングしながら決めていくことになるが、転嫁が難しくなっている価格帯だ」と述べた。
 現在の資材価格に関しては「足元で鋼材や労務費が上がっている」と分析。現在見積もり中の工事も価格が上昇傾向にあるとした。今後も「先行きがまだまだ不透明。ここから1年は上昇が続くのではないか」と展望した。民間工事の資材高騰対応を巡っては、建設業界から公共工事のようにスライド条項の適用を求める声が相次いでいる。



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大林組/シールドマシン摩耗検知カッタービット開発、色と匂いで摩耗判断

 大林組は、トンネル工事で使用するシールドマシンカッタービットの摩耗状況を色と匂いで知らせる「摩耗検知ビット」を開発した。染料や香料を噴出する機構をカッタービット付近に集約。摩耗が進むと染料や香料を地山に噴出する仕組みで、掘削土砂に付着した色や匂いで摩耗状況を把握できる。シールドマシンから離れた位置でも、カッターの健全度を容易に確認できる。シールドトンネル工事に積極的に活用し、トラブルの未然防止につなげる。
 摩耗検知ビットはカッタービットの摩耗量が設定値を超えると、染料と香料が噴出する。染料には蛍光塗料を、香料の溶媒にエタノールなどの有機溶剤を使用。色や匂いを確認するための機器は不要になる。ベルトコンベヤーやずり鋼車上にUVライトを照射した画像を分析したり、坑内の空気中に含まれる有機溶剤の成分を計測したりすれば、機械を使った確認も可能となる。
 摩耗検知ビットを装備するためのケーブルや配管は不要。噴出機構を多数装備でき、多くのカッタービットの摩耗状況を把握、評価る。装備場所や摩耗量の設定値に応じて、異なる染料や香料を使用すると排出される色や匂いから、異常のあるカッタービットの位置と摩耗量を区別できる。
 一般的に摩耗状況の把握は電気の導通により把握する導通式や、油圧の低下で把握する油圧式の摩耗検知ビットを採用している。ただ摩耗情報をシールドマシン内に伝達するためのケーブルや配管が必要になる。小口径シールドマシンでは、配置スペースの制約から摩耗検知ビットを多数装備できない。ビットの摩耗が想定以上に進行しカッタービットやカッターの損傷で掘進不能となるケースもあった。



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ベガルタ仙台/スタジアムパーク実現へ構想会議開く、七北田公園との一体活用議論

 Jリーグ・ベガルタ仙台は、仙台市泉区にある本拠地「ユアテックスタジアム仙台」と七北田公園エリアの一体的な活用策などを議論する組織を立ち上げた。試合開催日以外もスタジアムを含めた公園周辺ににぎわいを生み出し、地域との連携も深める方策を検討。事業計画や中長期的な収支、資金調達方法などを具体化する。
 「スタジアムパーク構想未来会議」のメンバーは、クラブ関係者や学識者、地元企業の代表ら9人構成する。27日に仙台市内で初会合を開いた。昨年実施した市民代表による意見交換会の成果を踏まえ、ユアテックスタジアム仙台を中心とする七北田公園エリアをスタジアムパーク化し、にぎわいを生み出す方策を議論する。
 ユアテックスタジアム仙台の所在地は泉区七北田柳78。市が建設した球技専用スタジアムで4階建て延べ2万8193平方メートルの規模。収容観客数は1万9526人で、1997年6月に完成した。七北田公園(敷地面積2万2036平方メートル)の敷地内にある。公園にはテニスコートや野球場、ホール、体育館、広場、池、遊具などもあり、周辺住民らの憩いの場になっている。
 昨年の意見交換会では、スタジアム自体の機能を高めストレスフリーで観戦できるアイデア以外に、試合がない日でもスタジアムや周辺エリアににぎわいを生み出す意見が寄せられた。公園エリアとスタジアムの境にある地下鉄南北線の高架下に飲食店などを誘致したり、南北線泉中央駅とスタジアム、スタジアムと公園の動線をバリアフリー化してスムーズにしたりする案が出ていた。
 今後は1カ月か2カ月に1回のペースで会合を開き、実現可能性調査や事業計画、中長期収支計画、資金調達などを議論する。会議は非公開で開くが、内容や議事録は後日公開する。



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水資源機構/南摩ダム(栃木県鹿沼市)堤体盛立100万立米突破、本体施工は大成建設

 水資源機構が栃木県鹿沼市内で建設している「南摩ダム」の堤体盛り立てが28日に100万立方メートルを突破した。今後1次・2次盛り立て、遮水壁打設などと続き、2024年度の試験湛水を目指す。南摩ダムの型式はコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)。近代的な施工方法を用いる本格的なCFRDは国内で初めて。ICTを導入し施工効率を高める取り組みが注目され、全国から多数の視察が訪れる現場となっている。ダム本体の施工は大成建設が担当している。
 南摩ダムは洪水調節や水道用水の供給などを目的とした思川開発事業として整備する。堤体をロック材で盛り立て、上流側を被覆するコンクリートフェーススラブが遮水機能を担うCFRDとなる。
 28日時点で、ダム本体の盛り立ての進捗(しんちょく)率は44・1%(ブランケット部除く)。ダム下流側からダム堤体の構築を進める1次盛り立てを実施中。併せて遮水壁のへり部分に当たるRC造の「プリンス」の構築や、止水ラインとなる基礎岩盤部へのグラウチングの施工も進む。
 現地では、原石山からダムサイトを結ぶ2・5キロの専用道路を最大13台の55トン級ダンプトラックと40トン級アーティキュレートダンプが休みなく走る。ダンプの位置情報はWi-Fiを使って常時監視し、効率的な土砂運搬を可能にしている。
 南摩ダムは完成すると、堤高86・5メートル、堤頂長359メートル、堤体積約240万立方メートル(ブランケット部含む)。総貯水量は5100万立方メートルとなる。思川最上流部に建設されるが、導水・送水管を使って鹿沼市内を流れる黒川、大芦川と結ばれ水を融通し、利水や渇水時の対応を最大限に効率化できる。
 本体工事のほか、奥村組が送水路トンネル(約4キロ)、鹿島が導水路(約9キロ)と取水・放流工(2カ所)の整備を進めている。



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2022年9月29日木曜日

NTT都市開発ら/難波宮跡公園整備運営(大阪市中央区)、協力法人に竹中工務店ら

 NTT都市開発ら3者グループが、大阪市のPark-PFI(公募設置管理制度)で行う「難波宮跡公園(北部ブロック)整備運営事業および難波宮跡(南部ブロック)管理運営事業」に、協力法人として竹中工務店と鳳コンサルタントが参画することが明らかになった。建物や園地の設計・施工などを担う。2023年12月の着工を目指す。
 計画地は大阪市中央区にある歴史公園「難波宮跡」。府と市が50年の難波宮遷都1400年に向け、にぎわい機能を強化し魅力あふれる公園づくりを進めている。8月にはNTT都市開発・NTTアーバンバリューサポート・NTTファシリティーズグループを公園の整備・運営事業者に決めた。
 事業では公園の「北部ブロック」(約2・3ヘクタール)と「南部ブロック」(約11・7ヘクタール)の運営を担う。北部ブロックでは遺構の位置を表示するなど、史跡の価値を伝える施設を整備。歴史に関連したイベントなどを開催する憩いの空間も併設し、来園者が歴史を学べる環境づくりを目指す。市民が利用する施設や緑地も整備し、にぎわいを創出する。南部ブロックは23年4月、北部ブロックは25年4月の管理運営開始を目指す。



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2022年9月28日水曜日

久光製薬/佐賀県鳥栖市に新研究所、施工は竹中工務店JV

 久光製薬は、佐賀県鳥栖市と茨城県つくば市の2拠点にある研究機能を鳥栖市で新たに建設する研究所に集約すると発表した。同市姫方町の社有地に、S造6階建て延べ2万3893平方メートルの新研究所を建設する。建設費用は約120億円を見込む。設計は安井建築設計事務所、施工は竹中工務店・松尾建設JVが担当。28日に起工式を行い、2024年2月の完成を目指す。
 26日に同社と佐賀県、鳥栖市が立地協定を締結した。新研究所は建築面積5669平方メートル。長崎自動車道の鳥栖IC付近に建設し、九州自動車道や大分道、長崎道など九州の主要幹線道路の結節点である鳥栖JCTからも近い。
 研究機能を集約することで研究者間の連携と協調の強化を図り、研究開発スピードの向上につなげる。同社が取り組む皮膚に貼って薬を送りこむ経皮薬物送達システム(TDDS)製剤の開発に対応した技術拠点としての機能強化を進める。
 建物は省エネルギー対策や二酸化炭素(CO2)排出量の削減など環境に配慮した設計にした。自家発電設備を備え、大規模災害時には地域住民も含めた避難施設としての利用も想定している。



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2022年9月27日火曜日

東京・墨田区/隅田川沿川地区(蔵前橋~駒形橋)街づくり推進、年度内に方針策定

 東京・墨田区は隅田川沿川地区の街づくりに力を入れる。来春に移転するライオン本社の敷地で計画される開発事業を契機に、周辺の一体的な街づくりを誘導。災害対策の強化に向けハード整備にも注力する。街の将来像などを取りまとめた「隅田川沿川地区(蔵前橋~駒形橋周辺)まちづくり方針」を2023年3月に策定する。
 街づくりの対象区域は横網2、石原1、本所1、東駒形1。面積は約46・8ヘクタール。本所1にはライオンの本社があり、来春に台東区へ移転する。土地(敷地面積6465平方メートル)は20年に長谷工コーポレーションへ売却済みで、跡地では大規模開発事業が計画されている。
 区はライオン本社跡地の開発事業と連動し、周辺の街づくりを進めたい考えだ。まちづくり方針では各地域ごとに「住まい・産業」や「医療・教育」「活力・交流」といった利用方針を定め、地域の特性に合った開発を誘導する。隅田川緑道公園などの公園整備にも力を入れる。
 開発事業の予定地には「多様な世代が快適に暮らし続けられる住宅整備の推進」を利用方針として盛り込む考えだ。地区計画の策定や都市開発の制度の活用を視野に、土地の高度利用を後押しする。事業は年度内にも基本計画をまとめ、来年度に設計に着手する見通し。25~28年度を工事期間に充てる。
 災害対策の強化に向けて、ハード整備も推進していく。開発事業と連動し、東京都が進めるスーパー堤防の整備事業を後押しする。蔵前橋通りは災害時の物資輸送路として活用するため、無電柱化を検討。春日通りや国技館通りでは、歩道のバリアフリー化や自転車の走行環境の整備に力を入れる。



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2022年9月26日月曜日

土木学会/働き方改革推進へ産官学の検討組織設立、より良いシステム実現へ

 土木学会(上田多門会長)は時間外労働の罰則付き上限規制が2024年4月から建設業に適用されるのを見据え、働き方改革の推進策の検討に入った。産官学連携の検討組織を立ち上げ、13日に東京都内で初会合を開いた。ヒアリングなどで現状を把握し課題を抽出。重要な問題はワーキンググループ(WG)を設置して議論を深め、具体の解決策を立案する。上限規制への対応にとどまらず、関係者が連携し建設生産管理システム全体をより良くするための働き方改革を模索。建設産業の魅力を高め、担い手の確保につなげる考えだ。=2面に関連記事
 建設マネジメント委員会(委員長・加藤和彦清水建設常務執行役員土木営業本部大型プロジェクト推進担当)の下部組織として「2024働き方改革に関する特別小委員会」(委員長・堀田昌英東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授)を設けた。小委員会では働き方改革に関する課題解決に向けた今後の方向性や対応案のたたき台を年度末までに策定。23年8月に中間報告、同11~12月に最終取りまとめを行う。同12月に建設マネジメント委員会に結果を報告し、報告書を公表する。
 WGのテーマは未定。ただ課題や論点として、働き方改革を前提とした積算の在り方や、受発注者間の連携による生産性の向上、建設キャリアアップシステム(CCUS)の蓄積データなどを活用した労働状況の実態把握が想定されるという。契約変更や設計変更も大きな課題となる。
 小委員会では既存資料やヒアリングなどを通じて情報収集し、長時間労働の原因など課題を洗い出す。ヒアリングは▽労働集約型▽不確実性が高い(天候の影響など)-といった特徴を持つ建設土木分野と親和性が高い産業を中心に行う。課題を踏まえ実効的な対策を確立し、政策への反映を狙う。



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建設技能人材機構/特定技能の新試験22年内開始、職種別の講習・訓練を支援

 建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)は、建設分野で特定技能外国人を受け入れる際の業務区分の再編・統合を踏まえ、刷新する試験の実施概要を固めた。年内に開始する特定技能1号の試験に合わせ、専門工事業団体が実施主体となる職種別の講習・訓練プログラムを早ければ年内に順次始動する。各団体の取り組みをJACが費用面で支援する。特定技能2号の試験内容も検討中で2023年度の早い段階から実施したい考えだ。
 テキストや試験問題は新たな業務区分の▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の3区分ごとにJACが作成する。1号、2号ともに試験実施には試行試験と法務省の確認などの手続きが必要になる。1号ではテキストやサンプル問題を既に公表し、10月に試行試験を行う。試験開始以降は週1回程度の実施頻度を想定している。
 試験内容は3区分ごとの一般的な知識を確認する程度にとどまるため、これを補完する形で各専門工事業団体が実施主体となる講習・訓練を充実させる。講習・訓練の実施経費をJACが負担する支援事業を立ち上げ、各団体の申し込みを10月中旬から受け付ける。各団体は講習・訓練の事業計画を開始2カ月前までにJACに提出し承認を得る必要がある。講習・訓練の実施判断は、職種ごとの事情を踏まえ各団体に委ねる。
 支援事業の対象は特定技能外国人のスキルアップを目的とした技能研修など。就労希望者向けの研修・講習や採用活動でも支援を申し込める。JAC賛助会員の建設会社に所属する特定技能外国人が技能講習などで資格取得した際の支援メニューも用意する。



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日建連/建設ハンドブック電子化10月上旬公開、提供情報も充実

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、会員企業の経営状況や市場動向などをまとめた「建設業ハンドブック」をホームページ上で電子化する。多岐にわたるユーザーの使い勝手を高めつつ、建設業の最新情報をより多くの人に理解してもらうのが狙い。これまで冊子として1年ごとに発刊してきたが、今後は電子ハンドブックの運用に限定。10月上旬の公開を予定する。おおむね3カ月サイクルで最新のデータに更新していく。
 通称は「デコハン」。建設業デジタルハンドブックの英語表記(Digital Construction Handbook)の頭文字をつなげた。
 掲載情報も一段と充実。新たに▽主要国の建設投資推移▽公共工事一般会計歳出の構成▽建設業許可業種の一覧▽入職・離職者数の推移▽外国人材の受け入れ状況▽労働賃金、公共工事設計労務単価の推移▽世界の二酸化炭素(CO2)排出量標▽最終エネルギー消費と実質国内総生産(GDP)の推移▽日本の温室効果ガス排出量および吸収量の推移▽建築物の耐震化▽社会資本の老朽化▽建設産業関連データ一覧-などの項目を加えた。
 デコハンは無料で誰もが利用できる。中央省庁などが公開しているデータを一覧表にまとめ、各提供元のページにリンクできるようにした。グラフ画像やデータ表などのダウンロードも可能。紙媒体の利用者にも配慮し印刷機能も付けている。



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大成建設/車両と作業員接触防止、AIで位置分析し警告

 大成建設と状態監視技術の高度化などを手掛けるIIU(東京都台東区、宮達夫代表取締役)は、搬出入車両と作業員の接触防止システムを共同開発した。AIが車両と作業員の位置を分析し、近接時に音声や回転灯で警告する。クラウドに近接状況の判定結果や画像を蓄積でき、記録したデータは効果的な安全教育にも使える。
 両社はカメラ画像とAIで安全監視を行う技術プラットフォーム「T-iSafety(ティー・アイ・セーフティー)」を構築。さまざまな監視対象を追加できる。開発済みの入り口安全装備確認システムと建機オペレーター見守りシステムに続き、シリーズとして搬出入車両と作業員の接触防止システム「T-iSafety Truck(トラック)」を追加した。
 現場にはカメラとAIエッジ端末、通報装置を設置する。あらかじめ搬出入車両周囲に危険エリアを設定。現場のカメラ画像を基にAIが車両と作業員の位置を分析し、危険エリアで作業員を検知すると回転灯などで近接状況を知らせる。
 誘導員をその他作業員と区別し個別に近接検知も行える。誘導員が身に着ける反射チョッキと誘導棒をAIに学習させることで自動的に判別。誘導員は車両との一定離隔距離内で、その他作業員は危険エリア内で警報を出すなど別々の安全基準を設定できる。
 アプリを使って過去の警告件数や期間ごとの推移などが可視化できる。記録データを不安全事例として周知することで効果的な安全教育も可能だ。今後車両と作業員が往来する条件下で搬出入作業が必要な現場で優先的に導入していく。



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北海道白老町/国保病院建て替えへ基本設計概要、津波想定しピロティ形式に

 北海道白老町は、町立国民健康保険病院改築の基本設計概要をまとめた。新病院の規模はRC造4階建て延べ6951平方メートル。津波の浸水被害を想定して1階はピロティ形式とするなど今後想定される自然災害に備えて安全性を確保するほか、機能的で経済性に配慮した施設とする。2023年3月までに実施設計を完了し、同4月の着工を予定している。
 同病院は築50年以上が経過し、老朽化が著しいことから日の出町3の1の1の現在地で建て替える。基本設計からの設計・施工一括(DB)方式で事業を進めており、公募型プロポーザルで選定したフジタ・久米設計・岩倉建設・岩崎組JVが基本設計、実施設計、新病院建設、外構・解体工事を担当している。
 基本設計概要を見ると、新病院はRC造4階建て延べ6951平方メートルの規模で敷地の南東側に配置。診療科目は内科と整形外科、小児科、出張医による専門外来診療(循環器内科、呼吸器内科、皮膚科)で、病棟は40床、現在院内に開設している介護老人保健施設から転換した介護医療院は19床を設ける。
 津波の浸水被害を想定してピロティ形式とし、1階に外来のサブエントランスや車椅子駐車場、職員らの出入り口を設ける。2階がエントランスで外来や救急など、3階に病棟や介護医療院、リハビリ室、4階に機械室をそれぞれ配置する。駐車場は外来用67台、車いす用4台、職員用92台など計179台分を整備する。
 防災計画では、津波の一時避難場所として2階エントランスデッキに約310人、3階のリハビリテラスに約110人、4階屋上避難テラスに約1100人が避難できるスペースを確保。停電時でも電源を確保できるよう非常用発電機を設置する。備蓄倉庫を4階部分に設置し、屋上避難テラスには非常用コンセントも設ける。
 現在は実施設計を行っており、23年3月までの完了を予定している。同4月に着工し、24年3月の完成、同5月の開院を目指す。開院後に現病院の解体や外構を行い、25年10月ごろの全面運用を見込んでいる。



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2022年9月22日木曜日

鹿島ら/屋外再現オフィスの効果検証、知的生産性と集中力が向上

 鹿島が開発した自然環境の要素を取り入れた屋内空間「そと部屋」が、作業者の知的生産性や集中力を高めることが分かった。そと部屋の設置前後で知的生産性の変化などを実験。設置後に「集中力が高い」「知的生産性が高い」と回答した人の割合が設置前と比べ55~60ポイント上昇し約80%に達した。一方、疲労感やストレスは軽減する傾向が見られた。
 そと部屋は室内の光や音、風、香りを制御し、屋外の心地良さや開放感をオフィス内に再現する空間。時間帯で変化する自然光が再現できる天井装置「スカイアピアー」などで空間を構成する。
 実験は働きやすいオフィスづくりに向けたシステムを開発するACALL(神戸市中央区、長沼斉寿代表取締役)と共同で実施。期間は2021年12月から22年4月までの40日。ACALLの社員延べ26人が参加した。
 被験者はまず都内の同社オフィスでそと部屋設置前に個人作業と対面打ち合わせを行い、休憩を取る。その後、同じ空間にそと部屋を設置し、同じ作業に取り組む。実験後、アンケートのほか、心拍センサーで自律神経活動を測定し生理面の変化を評価。作業のパフォーマンスを比較し知的生産性の変化を検証した。
 設置後に「集中力が高い」との回答割合は79%(設置前17%)、「知的生産性が高い」も79%(25%)だった。79%が「設置後にモチベーションが向上した」と回答した。



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2022年9月21日水曜日

大林組/コンクリ圧送で先送りモルタル不要に、独自プラグで流動性維持

 大林組とエコスティック(埼玉県春日部市、出口秀夫社長)は、コンクリート圧送時の先送りモルタルが不要な「ノンモルタル工法」を共同開発した。コンクリートポンプ車の配管内を満水、密閉する先送りモルタルの代わりに、独自のプラグを採用し生コンの流動性を維持する。実証実験でコンクリ圧送の品質や施工性を確認した。これまで必要だった先送りモルタルの準備作業や、廃棄のための運搬作業がなくなり、コスト削減や生産性向上につながる。
 同工法は強力な摩擦抵抗と遮断力を持つゴム製の「圧送整流プラグ」(ボール状)と、同一内径で統一された段差のない「ハイブリッド配管」を組み合わせる。圧送整流プラグは配管抵抗が強く、疑似的に配管内を満水状態にできる。圧送整流プラグの後に生コンを流す。水やセメント、砂、砂利といった材料が分離することなく、生コンを圧送できる。
 ハイブリッド配管は接続部の伸縮やブームの揺れを防げるため、配管内が詰まらず高品質なコンクリートを打設できる。
 先送りモルタルの準備作業が不要で、生コン圧送がすぐに始められる。200メートル程度の配管打設で従来方法と比較した場合、打設開始が30分程度短縮できた。
 大林組は福島県いわき市の生コン工場敷地内で実証実験を実施。品質や施工性に問題がないことを確認し、開削道路トンネル建設工事に適用した。
 両社は今後、ノンモルタル工法を建設現場へ積極的に導入する考え。エコスティックは、ハイブリッド配管とハイブリッド配管を装備した特殊ポンプ車「ジェシカ」の販売、サポートを行う。
 ポンプ車で圧送する生コンは配管の詰まりを防ぐために、モルタルを先行材として使う。使用した先送りモルタルは産廃処分されるため、国内建設現場全体で年間60万立方メートルのモルタルが処分されているという。原料であるセメントの生産時に排出する二酸化炭素(CO2)量は、年間23万トンにも上っている。



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2022年9月20日火曜日

カスリーン台風から75年/関東整備局が慰霊・継承式典開く、記憶を次世代に語り継ぐ

 関東地方整備局利根川上流河川事務所は16日、「治水の日」の慰霊・継承式典を埼玉県加須市のカスリーン公園で開いた。1947年9月のカスリーン台風による被害者の魂を鎮め、教訓を将来に伝える式典。関東整備局や埼玉県の関係者、周辺自治体の首長、遺族など約40人が参加。今年で75年の節目を迎え「水害の記憶を次世代に語り継ぐ」(廣瀬昌由関東整備局長)ことで、防災施策をさらに強化しようと誓い合った。
 冒頭、利根川上流河川事務所の津森貴行所長は「災害の激甚化で、カスリーン台風より大規模な洪水が起きてもおかしくない。私たちがどう行動すべきかを確かめる機会だ」と式典の意義を説いた。
 廣瀬局長は「流域住民の安全安心を実現するため、堤防や調節池の整備、河道掘削を着実に進める」と力を込めた。角田守良加須市長は「被害を後世に伝え、治水対策に生かしたい」と述べた。続いて、遺族代表が決壊地点の石碑に花を手向けた。
 カスリーン台風では、埼玉県東村新川通(加須市)の堤防が決壊した。利根川と江戸川を下った水が東京都東部のゼロメートル地帯に達し、2300平方キロに及ぶ区域が浸水。死者約1100人という甚大な水害となった。
 こうした被害を起こさないよう、関東整備局は利根川流域のダムや調節池の整備を進めている。八ツ場ダム(群馬県長野原町)など上流域のダム群に水を貯留することで、水害時の水位を約1メートル下げられると試算。渡良瀬遊水地は約1・6メートル、田中と稲戸井、菅生の3調節池は約1・1メートルの水位低下効果を見込んでいる。
 水害の経験を伝承するため、利根川上流河川事務所は利根川が決壊した9月16日を「治水の日」と制定。1992年から慰霊・継承式典を開いている。新型コロナウイルスの影響で今年は3年ぶりの開催。式典に毎回参加している遺族の中野登さんは「教訓を生かして避難方法を適切に判断し、命を守れるようにしたい」と語った。



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2022年9月16日金曜日

美術協会/高松宮殿下記念世界文化賞、建築部門受賞者はSANAA

 日本美術協会(総裁・常陸宮さま)は15日、世界の優れた芸術家に贈る第33回(2022年)「高松宮殿下記念世界文化賞」の受賞者6人を発表した。建築部門は、建築家ユニット「SANAA」として活躍する妹島和世氏(65)と西沢立衛氏(56)に決めた。受賞者にはメダルや賞金1500万円が贈られる。10月19日に東京都港区の明治記念館で受賞式典を、同20日に東京都港区の鹿島KIビルで妹島、西沢両氏による受賞記念講演会を開く。
 妹島氏は日本女子大大学院を修了後、伊東豊雄建築設計事務所を経て、1987年に独立。西沢氏は横浜国立大学大学院修了後、妹島氏の事務所に入所した。両氏は95年にSANAAを設立。公園のような建築を志向し、建築の新たな地平を切り開くような透明感あふれる作品を多数生み出してきた。
 代表作は「金沢21世紀美術館」(2004年)や米ニューヨークの「ニューミュージアム」(07年)など。「建築界のノーベル賞」とも評されるプリツカー賞や、ベネチア・ビエンナーレ国際建築展の金獅子賞など多数を受賞している。
 15日に東京都内で受賞者発表記者会見が開かれた。妹島氏は「建築分野でいただけることを本当にうれしく思う。これからも頑張って建築を造っていこうと思っている」、西沢氏は「素晴らしい芸術家の方々と共に受賞できることに感動している。これからも良い建築を目指したい」と受賞の喜びを語った。



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2022年9月15日木曜日

東北新幹線復旧の1カ月・1/JR東日本、早期の運転再開へ総力結集

 福島県沖で3月16日に発生した地震による影響は各地に広がり、JR東日本の鉄道施設も大きな被害を受けた。特に東北新幹線は走行中の車両が脱線し、高架橋の損傷や軌道変位、電柱の傾斜・圧壊など構造物、設備の被害も多く、被災箇所が広範囲に及んだ。同社は2004年の新潟県中越地震、11年の東日本大震災、昨年2月の福島県沖地震といった過去の経験を生かしながら、建設会社や設備工事会社、建設コンサルタントなどと総力を結集して復旧に当たり、約1カ月という短期間で全線運転再開にこぎ着けた。明日16日で地震発生から半年、東北新幹線復旧までの軌跡を追った。 
 (東北新幹線復旧取材班)
 宮城、福島両県で最大震度6強を観測した今回の地震で、東北新幹線は那須塩原・盛岡駅間で運転を見合わせた。JR東日本によると、東北新幹線の被害は土木設備約60カ所、軌道変位・損傷約300カ所、駅設備約10カ所、電柱約90本、架線断線2カ所、架線金具等の損傷約550カ所など、計約1000カ所にも上った。  
 「福島・仙台間で部分的に東日本大震災の最大値を超えるような揺れ方をした箇所があった」
 JR東日本の鉄道事業本部設備部門土木ユニット(大規模改修プロジェクト推進センター)マネージャーの久保木利明は、地震波の伝わりやすさなどが被害の大きさと関係していると推測する。
 土木構造物に桁・スラブの落下や柱の破断といった「損傷度・大」レベルの被災はなかったものの、桁・スラブの沈下や鉄筋はらみ出しなど「損傷度・中」レベルが福島・仙台駅間の高架橋部2カ所で発生。「中程度の損傷を受けた2カ所と脱線現場の復旧が、土木部門としての大きなミッションだった」と久保木は話す。
 新幹線統括本部新幹線設備部保線ユニットリーダーの小田和美は、発災直後にメールで送られてきた震度や点検範囲の情報から「半月ほどで全線運転再開した1年前と同じぐらいの地震規模ではないか」とイメージした。ところが、その後に車両の脱線や高架橋の被害などの情報が続々と入り、復旧には相当の時間を要すると予測。被害状況の調査を終えると、保線部門が担当する軌道の復旧規模は「昨年2月の地震被害と比べて約1・4倍」(小田)に上ることが分かったという。
 不幸中の幸いだったのは、車両が緊急停止してから脱線したことで、その現場周辺で軌道の損傷が抑えられたこと。小田は「走りながら脱線すれば、レールを固定する治具などがすべて破壊されていただろう」と説明する。
 昨年の地震と同様、電柱の傾斜や折損、架線を支持する金具など電気関連設備の被害も目立った。同本部新幹線電気ネットワーク部電力ユニットマネージャーの濱田貴弘は「揺れが昨年より大きかったからか、架線にパンタグラフの微妙な曲がりによるくせが付いた箇所が倍以上も多かった」と話す。
 運転見合わせを余儀なくされた東北新幹線は、迅速に点検と復旧工事が進み、3月22日に損傷規模の小さな区間から順次運転を再開。最後に残った福島・仙台駅間が4月14日に運転を再開した。架線関係の修繕などには時間を要したことから、全線運転再開後も郡山・一ノ関駅間でしばらく徐行運転が続き、5月13日から通常ダイヤによる運行に戻った。
 =敬称略
 東北新幹線復旧の約1カ月にわたる軌跡を、事業者であるJR東日本の対応に続き、最前線で復旧に携わった関係各社の取り組みにスポットを当てる。(次回から2面に随時掲載します)



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2022年9月14日水曜日

四国整備局/愛の森トンネル(愛媛県大洲市)が貫通、延長2128m・施工は五洋建設

 四国地方整備局が愛媛県大洲市で建設している「愛の森トンネル」の貫通式が13日、現地のトンネル坑内で開かれた。施工を担う五洋建設が主催。地元や工事の関係者約60人が出席し、貫通点の通り初めや鏡開きを行って貫通を祝った。
 山鳥坂ダム建設事業に伴う県道の付け替え工事(延長6・2キロ)の一環で、トンネルは見の越地区と上鹿野川地区を結ぶ延長2128メートル。片側1車線で断面積は45平方メートル。NATMを採用し2019年3月に掘削を開始した。急線形・急勾配に加え、発進側付近は月野尾地区直下、到達側付近は見の越地区直近の掘削となるため、防音扉や制御発破などで発破作業の騒音や振動の対策を講じた。
 式典では、冨永幸広大洲市肱川町見の越区長と河上清和五洋建設常務執行役員四国支店長が貫通発破のスイッチを押し、無事貫通が確認されると同支店見の越トンネル工事事務所の下江昌稔工事所長が貫通を報告した。掘削工事で活躍した西行建設の西行拓人代表取締役の発声で万歳三唱も行われた。河上支店長は「持てる技術を誠心誠意発揮した。協力会社と一致協力し、無事故・無災害で竣工できるように全社を挙げて取り組む」と決意を述べた。
 工期は23年3月31日まで。設計は国際航業が担当した。付け替え県道の1次切り替え区間(4・2キロ)の半分を占める。25年度の供用開始を目指す。今回の貫通で同年度を目標とする山鳥坂ダムの本体着工に向け大きく前進することになる。



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2022年9月13日火曜日

国交省/地域建設業の災害対応力強化へ資機材DX化押し、概算要求で新規計上

 国土交通省は地域建設会社が災害対応で用いる資機材のDX化などを後押しする。地域建設会社の設備投資余力などリソースが限られていることを考慮し、ICT機器などの効率的・効果的な活用で災害対応力強化と生産性向上を両方とも実現する方策を検討。現状の課題やニーズ、優良事例の実態調査を踏まえモデル事業に取り組む。2023年度の新規事業として同年度予算の概算要求に関連経費7500万円を盛り込んだ。
 実態調査と課題抽出に3000万円を充てる。備蓄品の整備や資機材のDX化の現状やニーズを調査。発災時の現場対応や関係機関と連携する際のボトルネックを探り、優良事例を収集する。国や地方自治体、建設業団体による支援・補助の有無や内容も確認する。
 課題抽出と並行して行うモデル事業の実施経費として4500万円を計上。地域建設会社の災害対応力強化につながる促進策や、災害対応のDX化の方策などをモデル的に実施する。これらの成果を今後の政策立案に生かし、事例集作成による優良事例の横展開など普及啓発につなげる。
 資機材のDX化の具体例として、発災時の現場対応ではドローンを活用した被災状況の遠隔確認などが想定できる。地元自治体などとの連携でもより円滑な情報共有手段を求める声が挙がっている。ハード対策とソフト対策の両面で、さまざまなアイデアの有効性を検証していく予定だ。
 予算要求にはDXへの投資などに重点配分する特別枠「重要政策推進枠」を活用した。日本各地で大規模災害が多発する中、現場にいち早く駆け付け応急復旧活動を担う地域建設会社の重要性が高まっていることも背景にある。
 20年9月には台風10号で宮崎県椎葉村で土砂崩れが発生し、台風後の復旧作業のために待機していた地域建設業者が被災する事故が起きた。こうした事例も念頭に置き、地域建設会社が災害対応に当たりやすい環境整備を急ぐ。



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全建/建設業の社会貢献周知へ戦略的広報検討委設立、表彰制度創設など検討

 建設業の社会貢献を一人でも多くの人に知ってもらいたい--。全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)が業界関係者や学識者らで組織する「戦略的広報検討委員会」を立ち上げ、12日に東京都内で初会合を開いた=写真。▽災害および緊急事態時などに地域建設企業の活躍をどのように広報するか▽都道府県建設業協会や会員企業の広報の取り組みをどう支援するか▽情報発信ツールの活用方策-などを話し合う。来年3月までに議論の報告書をまとめ、具体的な取り組みに移行していく。
 全建の山崎篤男専務理事は災害・防疫対応報道の現状について「警察や消防、自衛隊の活動は幅広く報道され強い共感を呼んでいる。発災直後から道路啓開などに取り組む建設業の対応は人々の通常生活の『外側』で行われ、一般に広く理解されていると言いがたい」と指摘した。
 同委員会の委員長に選出された東洋大学の浦江真人理工学部建築学科教授が「新たなステップ」と表現し、建設業広報の進化に意欲を見せた。
 今後の議論では建設業が災害・防疫対応などで「地域の守り手」として果たす役割や活躍を周知するため、行政・報道機関と連携した災害対応時の写真撮影を課題に挙げた。都道府県協会・会員の広報活動を支援する方策では表彰制度の創設を探る。次回11月の会合を経て来年1月の会合で報告書案を作成。最終的に同3月の全建理事会で報告書を決定する。
 浦江委員長を除く委員は次の通り。敬称略。
 ▽西村博英(宮城県建設業協会専務理事)▽若田部純一(群馬県建設業協会常務理事)▽小島祥圓(徳島県建設業協会専務理事)▽豊後謙藏(熊本県建設業協会常務理事)▽井戸田高明(奥村組社長室広報課課長)▽河東田豊昭(戸田建設広報部担当部長)▽遠藤奨吾(日刊建設工業新聞社取締役待遇編集局長)▽佐藤俊之(日刊建設通信新聞社編集局長)
 〈オブザーバー〉御手洗哲郎(国土交通省不動産・建設経済局建設業課建設業政策企画官)。



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新潟市ら/除雪オペレーター確保へイベント実施、サッカースタジアム来場者にPR

 新潟市は、除雪オペレーターの担い手が不足していることを広く市民に知ってもらおうと10日に、中央区のデンカビッグスワンスタジアム前の広場でPRイベントを開いた=写真上。市が除雪オペレーター担い手確保関係のPR活動を行うのは初めて。新潟県除雪オペレータ担い手確保協議会との共催で、サッカーJ2のアルビレックス新潟の協力で実現した。
 この日はスタジアムでアルビレックス新潟がFC琉球と対戦するということで、多くの家族連れが来場。会場に設営したテント周辺に担い手不足の深刻さを伝えるポスターを設置したほか、アルビレックス新潟のマスコットの白鳥の「アルビくん」をラッピングしたロータリー除雪車、除雪ブルドーザー、除雪グレーダーの3台を並べた。
 市の担当者が除雪車に「乗ってみない」と呼び掛けると、運転席に座ってみたいと、保護者にせがむ子どもたちがたくさん。ニコニコ顔で運転席に座り両親に手を振る姿が見られた。
 乗車した子どもたちには、それぞれの除雪車を描いた「缶バッジ」がプレゼントされた。
 新潟県除雪オペレータ担い手確保協議会は、新潟市、新潟県、北陸地方整備局、建設業界団体が連携して高齢化が著しい除雪オペレーターの確保策や的確な除雪体制の構築を目指して昨年3月に発足した組織。
 除雪オペレーターの担い手不足は深刻さを増している。日本建設機械施工協会北陸支部が1998年度からおおむね5年に1回実施している「道路除雪オペレーターの実態調査」の結果によると、除雪を担う30歳以下の割合が減少し続けている。98年度は30歳以下が2割以上を占めていたが、2009年度、15年度は1割を割り込んだ。10年間で10ポイント以上減ったことになる。
 半面、51歳以上の割合は98年度の約3割から15年度は約4割に上昇している。



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五洋建設/水中歩行式捨石ならし機新造、重錘落下機能を世界初搭載

 五洋建設は12日、港湾工事などで基礎捨て石マウンドのならし作業が効率化できる水中歩行式ロボット「SEADOM-7」を建造したと発表した。8本の脚を持ち、レーキ(熊手)装置と重錘(じゅうすい)による締め固め装置を搭載。ICTを駆使し自動化施工を可能にした。波浪の影響を受けにくく、海象条件の悪い海域でも高い稼働率を発揮する。重錘落下機能を持つ水中作業ロボットは世界初という。
 同社は1986年に水中歩行式捨て石ならし機の1号機を建造。これまでに5機建造し実績を重ねてきた。最新機は長さ18・5メートル、幅10・8メートル、高さ6メートルで重量(気中)は163トン。対象は1個当たり500キロ以下の石材で構成する基礎捨て石マウンドとなる。
 レーキ装置で高精度に敷きならし、従来のローラー転圧方式に代わる重錘装置(水中重量18・1トン、底面積4平方メートル、最高落下高さ2メートル)で堅固に締め固める。水中ソナーでマウンドの形状や高さをリアルタイムに確認し、AIシステムを使って最適な重錘落下高さと回数を導き出す。
 自動化施工技術として高精度なセンサーと自動制御システムを搭載。BIM/CIMクラウドから捨て石投入後の測量結果やマウンドの3D設計データを読み込み、平面的な凹凸の差分量を算出し、作業手順を計画・実行する。作業完了後、超音波センサーで計測したマウンドの3D出来形データをクラウドに出力すれば、リアルタイムの進捗(しんちょく)管理などが可能になる。



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大阪市/長吉長原東第3住宅跡地(平野区)に集客施設誘致、開発予定者を公募

 大阪市は、地下鉄「長原駅」前の市営長吉長原東第3住宅跡地(平野区、約2・2ヘクタール)に集客施設を誘致する。駅前の立地を生かしたにぎわいの拠点を目指すもので、施設計画の提案と土地の購入価格を審査する2段階方式で開発予定者を選定する。9日に公募型プロポーザルの募集要領を公表した。2023年1月31日まで応募申込書や提案書を受け付ける。計画提案の審査結果は同3月13日、価格提案の審査経過は同3月22日に公表する。
 市は、市営住宅の建て替えで高層化や集約化を進めており、新たに発生した土地の有効活用を進めている。今回の対象地では18年1月に「長吉ウェルカムタウン計画」を策定。地域の魅力向上と再活性化を目指し公有地の活用を中心とした土地利用の方向性を示している。
 それによると、子育て層に魅力のあるにぎわい施設を誘致するとともに、歩行者空間やみどりを感じるオープンスペース、憩いの場などを整備する。住宅や地域貢献施設、商業・サービス施設などの導入も想定している。
 対象地は、長原駅に近接する西側用地(9900平方メートル)と東側用地(1万1599平方メートル)。西側では個人施行による土地区画整理事業が行われ、保留地として土地の引き渡しを受ける。北側には開発事業者が自転車歩行者専用道路を整備する。用途地域は近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率300%)と第1種住居地域(同80%、同200%)。予定価格は29億6210万円。
 応募できるのは、土地を取得して提案を行い、公共施設の整備や施設の完成および維持管理まで責任を負える個人か法人。
 学識者らで構成する選定会議が事業コンセプトや土地利用計画、導入機能、事業スケジュール、資金計画-などを評価して優秀提案を決める。23年3月17日に価格提案を受け、同日開封の上、最高額を提案した事業者を開発予定者にする。
 土地引き渡しから2年以内に着工し、5年以内に工事を完了させなければならない。
 現地見学会は10月11~14の4日間実施する。22日まで大阪市平野区役所安全安心まちづくり課宛のメール(tw0002@city.osaka.lg.jp)で参加申し込みを受け付ける。



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2022年9月12日月曜日

愛知県武豊町/庁舎整備計画案、中央公園南側に移転新築へ文化施設と複合化

 愛知県武豊町は、庁舎整備計画の案を公表した。老朽化が進む現役場庁舎(長尾山2)を武豊中央公園(中根)の南側に移転新築する。今後、街の拠点である知多武豊駅周辺の整備と並行して検討を進める。ロードマップによると2025年度に基本構想、26年度に基本計画を策定し、27年度から設計に入る。29年度に着工、31年度の完成を予定している。
 現庁舎は1962年に完成した北庁舎と89年に増設した南庁舎で構成。規模は地下1階地上3階建て延べ7029平方メートル。手狭で老朽化や耐震性の確保などが課題になっている。町は候補地として現敷地と武豊中央公園南側を比較検討し、敷地活用の自由度や防災性、仮庁舎が不要なことなどを踏まえ、移転する方針を固めた。
 新庁舎の整備方針として、利便性を向上するため立体駐車場の設置や交流の創出として文化施設などとの複合化などを盛り込んだ。災害本部として使用するスペースの確保や免震構造の案も示した。
 庁舎移転計画を踏まえ、名鉄知多武豊駅やJR武豊駅を含む中心市街地のまちづくり方針も併せて示した。対象区域は約85ヘクタール。区域を駅前居住、生活利便施設集積、にぎわい創出、緑豊かな住宅地、武豊中央公園北側、公共機能集積の6エリアに分けて整備する。このうち、新庁舎が入る公共機能集積エリアでは、保健センターの集約なども検討する。交流、防災、コミュニティーなどの機能を備え、多くの人が行き交う空間の形成を目指す。



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2022年9月9日金曜日

岐阜県/新庁舎行政棟・議会棟定礎式開く、施工は前田建設JVと大日本土木JV

 岐阜県が来年1月4日の開庁に向け建設を進めている新県庁舎行政棟・議会棟の定礎式が8日、岐阜市藪田南の建設地で開かれた。建築工事を担当する前田建設・大日本土木・TSUCHIYA・岐建JVと大日本土木・TSUCHIYA・岐建・青協建設JVの主催。収納品と古田肇知事の揮毫(きごう)による定礎石が披露された後、古田知事と平岩正光県議会議長が行政棟1階の西玄関に定礎石を設置した。
 古田知事は、構想からこれまでを振り返り「感慨無量だ」と述べるとともに、施工者に対し「コロナ禍でも頑張っていただき、度重なる設計変更にも的確に対応していただいた」と感謝の意を表した。新庁舎の特徴として暮らしと命を守る防災拠点、タイルや美濃和紙など県の魅力発信、環境負荷の低減を挙げ「新たな県政を迎えるためにも最後まで丁寧に進め、12月中旬の完成を目指したい」と話した。平岩議長も「職員の職場環境改善など工夫を凝らし、県産材を使用するなど県の魅力を発信する庁舎。県民が集い親しむ場になる」と期待を寄せた。
 前田建設JVの現場代理人の小高直也氏と大日本土木JVの現場代理人の宮川忠士氏が、収納品である行政棟と議会棟の完成図、令和4年銘の硬貨セットなどを披露し定礎箱に収納。古田知事と平岩議長、若林亮日建設計フェロー役員デザインフェローも加わり定礎石を披露した。その後、行政棟1階の西玄関に定礎箱を収納し、古田知事と平岩議長が掛け声に合わせ定礎石を打ち固めた。
 施工者を代表し稼農泰嘉前田建設常務執行役員中部支店長は「無事にこの日を迎えることができた。施設の重要性、施設に対する思いや期待を改めて感じた。事業に携われたことを誇りに思う」と述べるとともに、「コロナ禍や資材高騰などさまざまな課題に直面しても乗り切ることができたのは、地元をはじめ多くの関係者の理解や支援のたまもの。あとわずかだが、気を緩めることなく進めていきたい」とあいさつした。
 前田建設JVが施工する行政棟の規模はS造21階建て塔屋2階延べ6万8329平方メートル。免震構造(一部耐震)。2019年7月に着工した。大日本土木JVが施工する議会棟はS造6階建て延べ1万3029平方メートル。耐震構造。20年3月に着工した。



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2022年9月8日木曜日

建設技術研究所/大気汚染物質濃度予測サービス開始、19時間先まで定量予測

 建設技術研究所は7日、AIを活用した再現性の高い大気汚染予測モデルに基づき、局地的、短期的な大気汚染物質濃度の情報提供サービスを開始したと発表した。汚染物質が滞留しやすい、高層ビルなどに挟まれた道路空間にも適用できるのが特長。汚染物質の発生・拡散傾向などを、19時間先まで定量的に予測できる。今後は道路交通管理者などを対象にサービスを提供し、効果的な交通需要マネジメントの運用につなげる。
 同社は常時観測されている大気汚染物質濃度などの公表データを基にAI予測モデルを構築。局地的な大気汚染物質濃度の変動を高精度に再現した。予測モデルは大気汚染物質濃度を観測・公表している全地点の汚染物質の発生、拡散傾向などを19時間先まで定量的に予測できる。
 予測精度は、12時間先までの1時間値で平均誤差0・01ppm以内。午前5時までの実測値と19時間先までの予測値を組み合わせた日平均値は、平均誤差0・005ppm以内の精度を確保した。
 今後は道路交通管理者などを対象に、市街地の交差点などの局地的、短期的な大気汚染物質の将来濃度の提供サービスを開始する。道路交通管理者は大気汚染物質の濃度予測に基づく交通需要マネジメントが運用できる。例えば高濃度が予測される日は沿道環境対策をしたり、迂回(うかい)誘導したりして汚染物質の過剰な排出を抑えられるようになる。
 自動車などが排出する大気汚染物質濃度の予測手法は従来、開放空間で大気汚染物質が十分に拡散することを前提としている。道路両側に高層ビルが並ぶ半閉鎖空間では適用が困難だった。



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2022年9月7日水曜日

大阪府/安威川ダム(茨木市)試験湛水開始、ダム本体と貯水池周辺の安全性確認

 大阪府は5日午前10時10分から、茨木市生保・大門寺・安威で建設を進めてきた安威川ダム=写真(大阪府提供)=の試験湛水を開始した。1967年に発生した北摂豪雨災害が契機となり計画した中央コア型ロックフィルダム。本体工事に2014年に着手し、建設を進めてきた。施工は大林組・前田建設・奥村組・日本国土開発JV。
 ダムの本格運用に先立ち実施する試験湛水で、実際に水を貯めてダム本体と貯水池周辺の安全性を確認する。
 ダム本体の工事を行うため、安威川の水を転流用のトンネルで迂回(うかい)させ下流へ流してきたが、トンネルの入り口に設置したゲートを閉じて試験湛水を行う。今後、試験湛水の計画に基づき、大雨も貯留しながら、貯水可能な最高水位(サーチャージ水位)まで水を貯めた後、最低水位まで下降させる。
 堤高は76・5メートルで、堤頂長は337・5メートル。総貯水容量は1800万立方メートル、有効貯水容量は1640立方メートル。18年6月にダム本体基礎掘削を終え、今年1月にダム堤体の盛り立てが完了していた。



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2022年9月6日火曜日

近畿整備局、京都府/舞鶴港国際物流ターミナル整備事業が起工

 近畿地方整備局と京都府は3日、「京都舞鶴港国際物流ターミナル整備事業」の起工式を京都府舞鶴市の市商工観光センターで開いた。舞鶴港の国際競争力強化を目的に2021年度に事業採択されたもの。外貿コンテナやバルクなど貨物需要の増大や船舶の大型化に対応するため、和田地区(下安久ほか)で新たな国際ふ頭用地と水深マイナス12メートル岸壁を整備する。27年度の完成を目指す。事業費は約190億円。
 同事業は京都府が進める和田地区II期整備と合わせて、国と府が共同で行う。補助事業で府が12ヘクタールに及ぶふ頭用地と港湾関連用地の埋め立て造成を行い、直轄事業で近畿整備局が同地区第2バース岸壁(水深マイナス12メートル、延長210メートル)の整備などを担当する。事業効果として、背後地の企業進出など新規投資の促進や、臨港道路「上安久線」の整備と合わせた輸送ネットワークの向上などが期待される。
 直轄工事では現在、既存岸壁の地盤改良が進められており、21年度に若築建設、22年度に東洋建設がそれぞれ工事を担当している。
 起工式には国土交通省や京都府をはじめ、地元商工関係者、国会議員ら約200人が出席。京都府の西脇隆俊知事が「舞鶴港は関西で唯一の日本海側に開かれた物流・観光拠点として重要な役割を担っている。舞鶴港振興促進協議会からコンテナバースの新規整備を要望してきたが、皆さんのご支援のおかげで今日を迎えることができた。舞鶴港が関西経済圏の日本海側のゲートウエーとして進化し、地域発展に寄与していくと確信している」とあいさつした。
 続いて国交省の堀田治港湾局長が「個人的に京都府の舞鶴港振興官として出向していた経験があり、舞鶴港には特別な思いがある。22年の和田地区の供用開始の時も、地元の大きな期待を肌で感じた。海上輸送や地域産業の国際競争力強化のため、国交省として全力で事業に取り組んでいく」と決意を述べた。
 国会議員の祝辞などに続き、関係者による鍬入れとくす玉開披が行われ、事業の安全な進捗(しんちょく)を祈願した。



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2022年9月5日月曜日

NTT都市開発ら/築地二丁目再開発(東京都中央区)延べ5・7万平米、25年着工へ

 東京都中央区の「築地二丁目地区」で新たな再開発事業が動き出す。同地区の地権者であるNTT都市開発と日鉄興和不動産が中心となり、東京メトロ日比谷線築地駅に直結する延べ約5・7万平方メートルのビルを整備する。事業は個人施行になる見通し。来年8月にも区から都市計画決定の告示を受け、2025年の着工を目指す。竣工は28年を予定している。
 計画地は築地2の11の一部(区域面積約0・6ヘクタール)。築地駅の北西側に隣接する。現地には「アーバンネット築地ビル」や「みずほ銀行築地支店」などが立地している。地権者は4者。17年に検討組織を立ち上げ、再開発に向けた協議を深めてきた。
 再開発ビルは地下2階地上20階建て延べ5万7000平方メートルの規模になる。高さは約110メートル。主用途はオフィスで、低層部に店舗が入る。地下1階には築地駅との連絡通路も整備する。
 同地区の北西にある「築地一丁目地区」(築地1の7ほか)でも、17年から再開発準備組合が活動している。事業協力者は住友不動産。電通の旧本社「電通築地ビル」などが立地していたエリアで、昨年から住友不が解体工事を進めている。



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2022年9月2日金曜日

三田小山町西地区再開発(東京都港区)、特定業務代行者は戸田建設JVに/組合

 東京都港区の三田小山町西地区市街地再開発組合は、特定業務代行者を戸田建設・大成建設JVに決めた。2棟総延べ約18万平方メートルの再開発ビルの施工や、保留床の処分などを担う。2024年度後半に工事に着手し、28年度末の全体竣工を目指す。
 事業の計画地は三田1の3ほか(区域面積約2・5ヘクタール)。東京メトロ南北線・都営地下鉄大江戸線の麻布十番駅の東側に位置する。木造住宅が多く、防災性の向上などが課題になっている。
 再開発では敷地を北、南の2街区に分け、高層と低層のビルを1棟ずつ建設する。北街区には地下1階地上44階建て塔屋2階延べ10万9380平方メートルのビルを整備。高さは約165メートルの規模となる。住宅やオフィス、店舗の機能を入れる。
 南街区は地下1階地上29階建て塔屋2階延べ7万1750平方メートルの規模になる。高さは約125メートル。住宅や店舗、保育園を設ける。2棟の合計戸数は約1450戸。南街区は27年度末、北街区は28年度末の竣工を予定している。
 総事業費は約1081億円。組合には三井不動産レジデンシャル、日鉄興和不動産、三菱地所レジデンス、首都圏不燃建築公社の4社が参加組合員として参画している。再開発ビルの設計と事業推進コンサルタントはアール・アイ・エーが務める。



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2022年9月1日木曜日

東京都/共同溝の大規模修繕推進、31年までに8カ所調査・設計へ

 東京都が都道の地下に埋設している共同溝の大規模修繕を推進する。主に大きな損傷がある八つの共同溝を対象に、2031年度までの10年間で補修・補強に向けた調査や設計のほか、工事などに着手する。初年度に当たる22年度は日比谷通りの地下にある芝共同溝(延長3150メートル)が対象。他の共同溝は優先順位を決めた上で順次着手する。予防保全型管理の考え方を取り入れ、長寿命化と工事費平準化、総事業費の縮減を図る。
 共同溝は電気ケーブルや電話線のほか上下水道管などのライフラインを集約・収容し、地下に埋設したコンクリート構造物。都は芝共同溝の修繕に向け電話線を管理するNTTと協議に入った。年度内に電話線を一時的に移設する。その後、電気ケーブルを管理する東京電力や上下水道管を管理する都の関係部局と協議。各管路を移設後、共同溝本体を工事する。延長約3000メートルと長いため、複数の工区を設定する予定だ。関係機関との調整を含め完了までに10年以上かかる見通しだ。
 都内には▽日比谷▽港▽芝▽靖国▽九段▽汐留▽淀橋▽新宿西口▽東池袋▽西池袋▽白山▽立川▽平山陸橋-の13の共同溝がある。高度経済成長期の1960年代から80年代に多くが建設された。使用開始から50年を経過する共同溝は20年度末で4施設だが、40年度末には11施設と、全体の8割に上る見込みだ。
 都は、5年に一度の定期点検で共同溝の健全度を把握している。損傷が大きいか、道路利用者への影響が懸念される共同溝を「ランク1」と判定。3月に策定した「共同溝予防保全計画」に基づき、今後10年間でランク1と判定された8共同溝(日比谷、港、芝、靖国、汐留、東池袋、西池袋、白山)で修繕のための調査や設計のほか、工事に着手する。
 ランク1の主な損傷は、コンクリートの浮きや剥離、鉄筋露出のほか、漏水など。修繕した後は5年ごとの定期点検などで検証。最新の補修技術を踏まえて優先順位や事業費を見直す。



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許可・経審電子申請システム、5都府県は当初導入見送り/国交省調べ

 国土交通省が構築した建設業許可・経営事項審査(経審)の電子申請システムで、大臣許可の受け付けを開始する2023年1月時点で42道県が知事許可の受け付けを開始することが分かった。10月ごろから各許可行政庁でシステムを試行。建設業者や代理申請を担う行政書士など申請者向けにビデオ配信などを用いた説明会も予定している。残りの5都府県は電子化に伴う受け付け業務の再検討や体制構築、システム運営経費の予算確保などの課題を踏まえシステム導入を引き続き検討する。
 電子化の対象となる手続きは、建設業許可関係で▽許可申請▽変更などの届け出▽廃業などの届け出▽決算報告▽許可通知書などの電子送付。経審関係では▽経審申請▽再審査申請▽結果通知書などの電子送付。このうち通知書などの電子送付に対応せず紙媒体での取り扱いを続ける行政庁も数箇所ある。全行政庁で電子化以降も紙媒体による申請を受け付ける。
 都道府県知事許可の電子化対応について国交省がまとめた現時点の意向聴取によると、東京都は23年度中の受け付け開始を予定。大阪、京都、兵庫、福岡の4府県は受け付け開始時期を未定としている。
 23年1月開始を見送った理由として、許可申請時などに必要となる確認資料の取り扱い方を検討する必要性などが挙がっている。許可申請時などの提出書類は統一的に指定されているが、それ以外の確認資料は各行政庁が独自指定している場合があるからだ。
 一部の行政庁では申請受け付け場所が管内の複数事務所に分散しており、電子化以降のバックアップ体制の構築などに苦慮している。システム運営経費を許可業者数の全体割合などに応じ各行政庁で分担する仕組みのため、予算確保に内部調整が必要になっているケースもある。



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山口県山陽小野田市/LABVプロジェクトが本格始動、産官学金の合同会社設立

 山口県山陽小野田市が、新たな官民連携手法で取り組む「山陽小野田市LABVプロジェクト」が本格始動する。地元の産官学金と公募型プロポーザルで選定した合人社計画研究所を代表とする事業パートナーによる山陽小野田市LABVプロジェクト合同会社が発足。合同会社は8月30日に記者会見を開いた。
 合同会社の出資者(出資予定者含む)は、市、山陽小野田商工会議所、山口銀行と合人社計画研究所・大旗連合建築設計・前田建設・富士商グループホールディングス・長沢建設・エヌエステクノで構成する事業パートナー。今後、合同会社が中心となり連鎖的に事業を展開し、エリアのまちづくり全体を見据えた整備を段階的に進めていく。
 同プロジェクトは、商工センター跡地での新たな官民複合施設(リーディング施設〈1〉)の整備と山口銀行小野田支店跡地利活用(リーディング施設〈2〉)をリーディングプロジェクトとし、中央福祉センターや高砂用地など周辺1キロエリアの複数の事業候補地で連鎖的に事業を行う。居住・交流人口の増加やまちに活気を生み出すことを目指す。
 リーディング施設〈1〉には公園通出張所、中央福祉センター、市民活動センター、地域職業相談室、交流広場、小野田商工会議所、山口東京理科大学学生寮、山口銀行小野田支店、民間テナントなどを配置する予定。



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キヤノン/RFID位置情報ソリューション開発、大林組と実証実験

 キヤノンは、人や物を効率的に管理し見える化する「Canon RFID位置情報ソリューション」を開発した。電波を用いてRFIDタグを非接触で読み取る。RFIDリーダーを腕に取り付けて使用でき、読み取り作業をせずに通常の現場巡視を行うだけで、RFIDタグを貼り付けた人や物の位置情報を収集できる。大林組との実証実験も実施。DXを推進する建設業界や位置情報の管理が必要な業界を視野に、2023年中に提供を始める。
 キヤノンが独自開発したRFIDリーダーは、360度方向に電波を発信するアンテナで、移動量検知機能を搭載しているのに加え小型・軽量を実現。一般的なスマートフォンと同程度の大きさで持ち運びしやすく作業の邪魔にならない。
 ユーザーは、専用アプリをインストールしたスマホやタブレットを通じて位置情報を自動アップロードする。新たなタグの発行依頼や現場マップの登録、タグを貼り付けた人や物の位置把握など、さまざまな作業を一つのウェブアプリで行える。クラウド登録した現場のマップ上に位置情報を表示できる。
 導入時にアンテナ設置などの工事が不要。導入に際しての作業負荷やコストも抑えられる。
 同社は大林組の建設現場で、8月上旬に実証実験を実施。建設現場での建設資材や機材、作業員の正確で効率的な所在把握の実現性を検証した。現場施工管理者の作業管理の効率化や、リソースの適切な配置によるコスト削減などが見込まれる。



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グッドマンジャパンら/茨城県つくば市の高エネ研南未利用地、80万平米の施設整備

 茨城県つくば市はグッドマンジャパンなどがデータセンターなどを整備する高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)南側未利用地について、同社らの事業計画を明らかにした。施設規模が約80万平方メートルとなるデータセンター、物流施設主体のビジネスパークを開発する。平常時は広場となる防災拠点やアメニティー施設、野外シアター、ドッグラン、フットサルコートなども造る。段階的に整備を進め、一部は2023年度から3年以内に供用を開始する。
 事業計画によると、防災拠点は平時は広場として利用する。市民の憩いの場となる「グリーンルーフ」を設け、非常時は雨をしのげるシェルターになる。アメニティー施設は生活支援や交流などの機能を導入し、周辺施設を踏まえて提供するサービスを決める。2面から物資を搬出入できる防災備蓄倉庫も整備し、市が借り受ける。
 高エネ研南側未利用地は、高エネ研の南側にある約46万平方メートルの未利用地。つくば市土地開発公社が売却するに当たり、市は土地利用方針を定めた上で、売却先を選定する公募型プロポーザルを行った。4万平方メートル以上の防災多目的利活用広場などの整備を求めた。同社、NTTグローバルデータセンター、つくばDC、フジタがデータセンターをはじめとする用途と買い取り価格(110億2924万8000円)を提案し、候補者となっていた。このほど提案価格で売買契約が締結された。



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