2022年9月20日火曜日

カスリーン台風から75年/関東整備局が慰霊・継承式典開く、記憶を次世代に語り継ぐ

 関東地方整備局利根川上流河川事務所は16日、「治水の日」の慰霊・継承式典を埼玉県加須市のカスリーン公園で開いた。1947年9月のカスリーン台風による被害者の魂を鎮め、教訓を将来に伝える式典。関東整備局や埼玉県の関係者、周辺自治体の首長、遺族など約40人が参加。今年で75年の節目を迎え「水害の記憶を次世代に語り継ぐ」(廣瀬昌由関東整備局長)ことで、防災施策をさらに強化しようと誓い合った。
 冒頭、利根川上流河川事務所の津森貴行所長は「災害の激甚化で、カスリーン台風より大規模な洪水が起きてもおかしくない。私たちがどう行動すべきかを確かめる機会だ」と式典の意義を説いた。
 廣瀬局長は「流域住民の安全安心を実現するため、堤防や調節池の整備、河道掘削を着実に進める」と力を込めた。角田守良加須市長は「被害を後世に伝え、治水対策に生かしたい」と述べた。続いて、遺族代表が決壊地点の石碑に花を手向けた。
 カスリーン台風では、埼玉県東村新川通(加須市)の堤防が決壊した。利根川と江戸川を下った水が東京都東部のゼロメートル地帯に達し、2300平方キロに及ぶ区域が浸水。死者約1100人という甚大な水害となった。
 こうした被害を起こさないよう、関東整備局は利根川流域のダムや調節池の整備を進めている。八ツ場ダム(群馬県長野原町)など上流域のダム群に水を貯留することで、水害時の水位を約1メートル下げられると試算。渡良瀬遊水地は約1・6メートル、田中と稲戸井、菅生の3調節池は約1・1メートルの水位低下効果を見込んでいる。
 水害の経験を伝承するため、利根川上流河川事務所は利根川が決壊した9月16日を「治水の日」と制定。1992年から慰霊・継承式典を開いている。新型コロナウイルスの影響で今年は3年ぶりの開催。式典に毎回参加している遺族の中野登さんは「教訓を生かして避難方法を適切に判断し、命を守れるようにしたい」と語った。



source https://www.decn.co.jp/?p=146221

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