東京大学や清水建設らによる研究グループは9月30日、大気中の二酸化炭素(CO2)と廃コンクリートから生成した炭酸カルシウムによる「炭酸カルシウムコンクリート(CCC)」を用いて、建築物などを建設できるめどが立ったと発表した。CCC硬化体で従来のコンクリートと同等強度を実現。CCC硬化体による柱部材も開発した。今後、国土交通大臣認定を取得し実建築物への適用を目指す。セメントを使わないコンクリートを作り、永久的に循環させていく道を開くプロジェクトとなる。
新エネルギー・産業技術総合研究機構(NEDO)のムーンショット型研究開発プロジェクト「C4S研究開発プロジェクト」(プロジェクトマネージャー・野口貴文東京大学大学院教授)の成果となる。東京大学、北海道大学、東京理科大学、工学院大学、宇都宮大学、太平洋セメント、清水建設、増尾リサイクル(東京都荒川区、増尾光彦代表取締役)による研究グループが手掛けている。
ミスト状にした水分を廃コンクリ粒子に一定間隔で供給した後、乾燥を繰り返すなどして大気からのCO2回収を従来の50倍に加速化し、カーボンネガティブを実現した。低温で微粉末材料を加圧することにより、高密度化してCCC硬化体を製造する手法を採用。直径10センチのCCC円柱体で圧縮強度38メガパスカルの品質を確保した。
建物への活用に向け、薄肉鋼管で被覆したCCC硬化体を鋼板を介して5層連結し、プレストレストを導入したCCC柱部材を開発。耐震性評価試験を行い、全体の剛性を確保した上で建築物に活用できることが分かった。CCC壁部材などの開発も進めている。接合部などの検討が必要だが、3、4階建て程度の建築物は実現可能とみている。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で模擬構造物を展示する予定。東京都内で会見した野口教授は「確実に数年後には普及できるめどが立った」と述べた。
from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167521
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