2024年11月21日木曜日

回転窓/つながりを広げるために

 公共の場に設置されているピアノをよく目にする。ストリートピアノや街角ピアノなどとも呼ばれ、プロ顔負けの演奏を披露する人もいる。日本では2011年ごろ鹿児島県の商店街で置かれたのを皮切りに広がった▼ストリートピアノの発祥は、英国のアーティストが考案した「Play Me, I’m Yours(私に触れて、私を弾いて)」というプロジェクト。音楽を通じて知らない者同士をつなげる狙いがあるそう▼当然ながら名刺だけで相手がどういう人なのかは分からない。次に会う時に会話のきっかけなどにしようと、話した印象を名刺にメモしたり、その名刺を持ち歩いたりする人もおられる▼インタビュー記事では、略歴と共に趣味や座右の銘を記載していることが多い。以前に取材した経営者に趣味を聞いたところ、スパイスの調合にこだわりがありインド料理と教えていただいた。それが記事に盛り込まれると気さくに声を掛けられることが増えたという▼趣味や特技は人間関係を円滑にする上でも役に立つ。インタビュー記事を注意深く読んでいただければ新たな発見があり、人とのつながりが広がるかもしれない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169091
via 日刊建設工業新聞

香川経済同友会/香川県知事と高松市長に提言、高松環状道整備機に新幹線誘致を

 香川経済同友会は、国による計画段階評価中の高松環状道路(高松市福岡町~檀紙町間)の整備を契機に、サンポート高松地区に新幹線の高松駅を誘致するよう求める提言書をまとめた。
 1964年の東海道新幹線開業から今年で60年を迎えた。四国の新幹線は73年に基本計画路線に定められてから50年間進展がない。香川県をはじめ四国では人口減少による地域経済の地盤沈下が課題となっている。
 提言書では、企業誘致など本格的かつ持続的な経済活動を生み出す施策を進め地域を活性化するには、高速で大量輸送が可能な新幹線の整備が不可欠と訴えた。高松環状道路整備に向け、概略ルートの比較検討が進む中、三つのルート案はいずれもサンポート高松周辺を通る案となっている。このルートを検討する際には、新幹線駅をはじめとした将来の公共交通ネットワークの検討も必要不可欠と指摘している。
 代表幹事の松村英幹高松商運社長と関谷幸男四電工社長らが19日に香川県庁、20日に高松市役所を訪ね、池田豊人知事、大西秀人市長宛に提言書を提出した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169100
via 日刊建設工業新聞

大阪府大阪狭山市/福祉施設集約整備、25年度に基本計画検討

 大阪府大阪狭山市は狭山池公園の西側に位置する今熊地区とその周辺にある福祉施設の計9施設を集約整備する計画で、2025年度に基本計画の検討に入る。現在、「令和6年度今熊地区周辺エリア複合施設基本構想策定支援業務」をパスコに委託し進めている。最適な事業手法を見極め、25年度当初予算に基本計画の委託費を盛り込む。
 複合施設は「大阪狭山市公共施設再配置計画第1期計画」に基づき、今熊地区(今熊1ほか)に建設する。複合化で共有部分や利用率の低いスペースなどを整理し、9施設の総延べ床面積を現在の1万0766平方メートルから約6200平方メートルに圧縮することで、将来の維持管理コストの縮減を目指す。
 基本構想策定後は25年度に基本計画、基本・実施設計を進め、26~29年度に工事、30年度初めのオープンを目指す。設計・施工一括(DB)方式の導入を視野に入れるが、基本計画、基本・実施設計、工事のどの範囲を一括発注するかは未定。
 基本構想策定支援業務では資料収集・整理、施設整備の基本理念・基本方針・コンセプトへの助言と検討、必要な機能、性能と規模などの整理・検討、維持管理・施設運営の考え方の整理、事業手法、スケジュール、概算事業費の算定などを行う。履行期限は25年3月31日。
 対象施設は今熊地区にある▽老人福祉センター(さやま荘)▽心身障害者福祉センターと母子・父子福祉センター▽公民館▽図書館▽障害者地域活動支援センター▽保健センター-の6施設、周辺地区にある▽社会教育センター▽旧狭山・美原医療保健センター▽旧くみの木幼稚園-の3施設の計9施設。いずれも1970~80年代に完成した。周辺地区3施設の跡地は集約後に活用方法を検討する。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169099
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安藤ハザマら/山岳トンネル工事で吹き付けコンクリ自動施工、3Dデータで必要量算出

 安藤ハザマとニシオティーアンドエム(大阪府高槻市、北俊介社長)は山岳トンネル工事の生産性・安全性向上策として、吹き付けコンクリートの自動施工技術を共同開発した。▽切羽出来形取得▽位置情報演算処理▽油圧制御-の三つのプログラムを導入して実現。オペレーターは吹き付け機本体に付属するタブレットの簡単な操作だけで吹き付けコンクリの自動施工が可能になる。2024年度に安藤ハザマが施工している山岳トンネルの現場に適用する予定。
 模擬トンネルを用いて実証。吹き付けコンクリの必要数量算出や自動施工、施工後の厚さ特定など、一連の機能が想定通りに動作することを確認した。
 新技術を構成する三つのプログラムのうち、切羽出来形取得は吹き付け機前方に設置したLiDAR(ライダー)で取得した切羽の3Dデータを基に、吹き付けコンクリの必要数量を算出。施工前後の3Dデータ差分から吹き付けコンクリの厚さを特定し、出来形を確認する。
 位置情報演算処理プログラムは、切羽出来形取得プログラムで取得した3Dデータから吹き付けコンクリの施工範囲を選択し、自動で施工するための吹き付けノズルのルートを算出する。さらに吹き付けノズル先端の位置目標を決定し、吹き付けノズルの角度と位置を制御する。
 油圧制御プログラムは、位置情報演算処理プログラムで決定した吹き付けノズル先端の位置情報を踏まえ、吹き付け可能範囲を判定し、吹き付けロボットの油圧制御を行う。吹き付け機の油圧回路に比例電磁弁を追加し、コントローラーから出力電力を可変させることにより、エネルギーを機械的な往復運動や回転運動に変換するアクチュエーターの速度、ストロークをコントロールする。
 安藤ハザマは、ICTで山岳トンネル工事の生産性や安全性を大幅に高める「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM)」の開発を推進中。将来的に山岳トンネル施工の完全無人化を目指している。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169087
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2024年11月20日水曜日

土木学会/創立110周年記念式典開く、「土木の核とひろがり」テーマに

 土木学会(佐々木葉会長)は19日、「創立110周年記念式典」を東京都豊島区のホテルメトロポリタンで開いた=写真。「土木の核とひろがり」をテーマに、識者の記念講演、土木技術者の将来像に関する検討の成果発表、パネルディスカッションを行った。会場では「伝わる土木、伝える土木」と「20年後の土木技術者像を描く」の記念展示を実施。各地の見学会の様子と、産官学の若手が描いた土木の仕事・担い手の将来についてのパネルを見学できるようにした。450人が参加した。
 冒頭、佐々木会長は「式典はのびのびと自由に計画し、気楽に来ていただけるようにしてくれたらうれしいとお願いした」と説明した。その上で「110歳の誕生日を皆さんとお祝いするとともに、これからも元気に年を重ねられるよう、土木のアイデンティティーを考える機会にしてほしい。一人一人が土木の核と広がりを発見、再確認、アップデートする時間になれば」と話した。
 記念講演は法政大学の湯澤規子教授が「胃袋と土木の関係史-産業革命期の景観変化」の題目で行い、農業と土木の関係などを土木の世界の外からの視点で話した。会場では土木の仕事や技術者の将来などに関する検討成果が発表された。パネルディスカッションは、京都大学の勝見武氏、中央復建コンサルタンツの兼塚卓也氏、八千代エンジニヤリングの高橋悠太氏、東京科学大学の成毛悠樺氏、同大学の真田純子氏(コーディネーター)が参加した。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169061
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回転窓/たくあんも並ぶ漁港

 東京湾に面した海岸に、今年も収穫したばかりの大根が並び始めた。緑と白のカーテンが重なるように見え、地域の冬の風物詩として知られる▼大根干しが最盛期を迎えるのは12月から。近くの農園が風通しのいい砂浜で1週間ほど干した後、ぬかに入れ、浅漬けのたくあんとして販売する。低カロリーでビタミンが豊富な大根は葉もミネラルが多く、捨てるところのない食材と言われる▼海岸の先には毎週日曜の朝市が人気の漁港がある。新鮮な魚介類のほか、地元産の野菜や果物も並び、早朝から多くの人でにぎわう。年末にかけてあら汁を先着順で無料配布する日も▼風光明媚(めいび)な漁港でもあり、過去には集客力を高めようと官民連携の再開発が計画された。残置物や空き地の扱いなどが問題となり、漁港側の合意形成が進まず計画は頓挫したまま。近年のにぎわいを受け、開発機運が再び高まってきたと聞いた▼多くの地域で今週から寒さが増し、周囲の景色も冬へと足早に移り変わる。先日訪れた漁港の朝市では、寒風で干されたたくあんが早速売られていた。今ある良さを残しつつ魅力が高まる再開発を願う。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169060
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週休2日交代制を30都道府県で導入、政令市含め増加/国交省調べ

 建設工事の現場従事者が交代しながら4週8休以上を確保する「週休2日交代制工事」が地方自治体発注工事にも広がっている。国土交通省による直近の調査によると、都道府県では30団体が導入済み。1年前より11団体増加し、全体の半数を超えた。政令市も1年前から倍増の12団体が導入している。連続作業の必要性などから現場閉所が困難な工事などを原則、発注者指定型で交代制とする自治体もあり、柔軟な休日確保に取り組む動きが活発になっている。
 交代制は各自治体で、通年の維持管理業務や庁舎・学校の改築工事、現場閉所が難しい工事、完成時期の制約が厳しい工事、早期完成が求められる災害復旧工事などで採用されている。導入を検討中の自治体も都道府県で6団体、政令市で2団体ある。
 運用面の課題は「休日取得の確認に手間がかかる」「交代要員を確保できる業者がいない」「業界団体からの要望がない」といった声が多い。自治体によっては休日率算出用の様式を作成し、休日確保の確認作業の負担軽減に取り組む。業界団体と意見交換し、積極的に交代制導入の必要性を見極める動きもある。
 名古屋市は2022年10月に交代制を導入し、23年10月には原則、発注者指定型とした。現場閉所が困難な工事などで採用しており、23年度完了工事のうち交代制として公告した全47件で週休2日を達成した。発注者指定型への変更前後で業界への周知にも努めた。
 国交省は休日確保の確認方法として、現場従事者の休日日数の割合が分かる一覧表を活用する北陸地方整備局の事例を紹介する。施工体制台帳上の元請・下請の技術者・技能者を対象とし、下請は台帳上の工期を基本に休日率を算出。全従事者の休日率を平均化すれば現場全体の休日率が分かる。これ以外に建設キャリアアップシステム(CCUS)の発注者支援機能を活用し、現場閉所率や平均就業日数を算出する方法も自治体に紹介している。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169047
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全建/政府・与党への要望11項目を決定、公共事業予算確保や国土強靱化

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は19日、東京都千代田区の経団連会館で全国会長会議を開き、政府・与党に対して公共事業予算の確保や国土強靱化実施中期計画の早期策定など、11項目を要望することを決めた。10月に全国9地区で開いた国土交通省との2024年度地域懇談会・ブロック会議の意見を集約。時間外労働の上限規制を踏まえた適正工期の周知徹底なども盛り込んだ。=2面に関連記事
 冒頭あいさつした今井会長は地域懇談会・ブロック会議について「公共事業の推進、働き方改革、価格転嫁、建設キャリアアップシステム(CCUS)などについて各ブロックで議論を展開した」と振り返り、「皆さまからいただいた声が国政の場や建設行政に的確に反映され、地域建設業が魅力ある憧れの産業となるよう、全力を尽くしていく」と語った=写真。
 要望11項目のうち、国土強靱化実施中期計画の早期策定では資機材価格の高騰や人件費の上昇を踏まえ、5年間で25兆円程度の事業量確保を求めるとした。時間外労働の上限規制を踏まえた適正な工期設定では、猛暑日を考慮した歩掛かりの設定や熱中症対策経費の計上などを盛り込んだ。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169063
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大和ハウス工業/大阪マルビル(大阪市北区)建替概要を発表、25年冬着工

 大和ハウス工業は19日、大阪市北区で推進している「(仮称)大阪マルビル建替プロジェクト」の概要を発表した。新たな建物は延べ7・4万平方メートル、高さ192メートルの規模で計画。梅田エリアで最高の建築物の一つになる。旧来の建物の円筒形の意匠を継承しつつ、延べ床面積はおよそ倍に広がる。設計を日建設計・フジタJV、施工はフジタが手掛け、2025年冬の着工、30年の竣工を目指す。
 建物にはオフィスやホテルのほか、コンサートホールや、球体のエンターテインメント施設も設ける予定。大阪駅前に、複合用途の新たなランドマークが誕生する。
 計画地は梅田1の9の20(敷地面積3246平方メートル)。JRなどが乗り入れる大阪駅の南側に近接する。新たな建物は地下SRC一部S一部RC造、地上S造地下4階地上40階建て延べ7万4000平方メートルの規模で計画。9月に地上部の解体が完了した旧大阪マルビル(延べ約4万平方メートル)のおよそ倍の規模になる。
 特徴的なのが地下から低層部までを貫く「球体デジタルアトリウム」だ。球体の内面にLEDディスプレーを張り巡らせ、全面に映像を投映する。球体の空間は大阪駅周辺の地下街ともつながり、新たな結節点としても機能する。
 低層部にはコンサートホール・舞台も設ける。主にクラシックコンサートで利用し、さまざまな演目に対応できる設備を用意する。中層部にはオフィスや都市型ホテルが入り、高層部はラグジュアリーホテルとなる。ホテルは合計約280室。最高層部にはミュージアムや展望スペースも設ける。
 旧大阪マルビルの頂部には回る電光掲示板があり、梅田エリアの風景の一つとして親しまれた。新たな建物でも意匠を継承し、特徴的なスカイラインを形成するよう検討を進めている。
 都市基盤整備の面では、大阪メトロ四つ橋線西梅田駅に接続する地下通路を新設。新たな改札口も設置する。低層部の壁面や外構部は積極的に緑化する。
 旧丸ビルは1976年、日本初の円筒型超高層ビルとして竣工した。建て替えに向け、23年に閉館していた。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169052
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2024年11月19日火曜日

利根沼田テクノアカデミーが初の2拠点教育/国交省職員と意見交換

 利根沼田テクノアカデミー(群馬県沼田市、桑原敏彦校長)は、国土交通省が進める二地域居住の取り組みと連携して将来の建設業を担う人材を育てる「2拠点教育」に乗りだした。葛西工科高校(東京都江戸川区)と豊田工業高等専門学校(愛知県豊田市)の2校から選抜された生徒ら9人を16、17日に招き、木材の伐倒や製材など林業の現場体験などを実施=写真。国交省入省3年目の職員を交えたディスカッションなどを通じて、二地域居住などへの理解を深めた。=4面に関連記事
 国交省から講師を招いた人材育成企画はアカデミーで初めて。二地域居住の実現可能性についての議論では、参加した学生から乗り合いバスの活用が提案されるなど、講師ら関係者と活発な意見交換が行われた。
 「工科高校と高専という環境が異なる学校の生徒らが関わることで、新しい発見があるだろう」と桑原校長。2025年度は都内の建築・土木科がある高校、26年度は関東圏などへと参加対象を広げたい考えだ。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169014
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回転窓/スポーツと社内交流

 運動会などスポーツ関連のイベントで役職員らの親睦を深める企業の取り組みが活発だ。近年のコロナ禍で対面による接触が制限されたこともあり、同じ企業で働く社員らの一体感の醸成、他部署との人脈づくりといった狙いがあるようだ▼取材先への道すがら高層ビルの公開空地で大縄跳び大会が先日行われていた。ビルの管理会社がテナント同士の交流を促すとともに、地域活性化の一環で実施。昼休みの時間帯で参加チームの関係者以外の人たちも観戦し、大変盛り上がっていた▼実際に体を動かす競技だけでなく、eスポーツを社内イベントとして開催する社も目立つ。体力に自信のない人や若者の参加促進など、誰でも気軽に参加できるよう工夫を凝らす▼グローバルプロデュース(東京都渋谷区)が企業運動会の参加者らへ5月に行った調査によると、8割以上が実施に賛同。良かった理由では「同僚や上司の仕事中とは違う一面を見られた」ことが最も多かった▼一方で良くなかった理由の最多は「休日に開催されたから」。働き手の価値観が多様化する中、コミュニケーションの取り方も柔軟に考える必要があろう。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169030
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小型無人機環境整備官民協議会/ロードマップ原案公表/ドローンレベル4飛行盛り込む

 産学官でドローンなどの利活用促進を議論している「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」は15日に会合を開き、「空の産業革命に向けたロードマップ2024」の原案を示した。「環境整備」「技術開発」「社会実装」の3項目を中心に、今後の取り組みや目標を整理。社会実装ではレベル4(有人地帯、補助者なし、目視外飛行)による飛行を含む利活用拡大へ向けた支援策のほか、能登半島地震を踏まえた災害時の活用推進を盛り込んだ。
 原案では3項目ごとに各種施策を整理し、2026年までの各分野での到達目標を示している。このうち社会実装では、離島や山間部でのドローンによる配送事業の実用化や発災直後の迅速な無人での被災状況調査などを目標に掲げ、体制・制度面での整備を急ぐ。
 巡視・点検分野でも▽河川巡視や河川施設点検の手引き案改定▽ダム・砂防施設のドローン巡視点検の実証点検要領の改訂▽SBIR制度(中小企業技術革新制度)を活用した技術開発や技術カタログの充実-などに取り組むほか、測量分野ではICT施工の普及に伴い3D計測技術のさらなる活用促進を図る。
 環境整備に関しては、運行管理システム(UTM)ステップの導入に向けた動きが本格化する。「認定UTMプロバイダ」による同一空域での複数運行者による近接ドローン飛行であるUTMステップ2の本格実装に向け24年度中に要件定義などの検討を進め、25年度の実現を目指す。さらに指定空域全域での運行管理を目指すステップ3実現に向けた検討を進める。
 このほか河川や送電線上空のドローン航路化を目指した制度検討や運航調整省力化のためのガイドライン整備、型式認定ガイドラインの英語化、監査の高度化など多岐にわたる目標を盛り込んだ。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169031
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栃木県小山市/中央市民会館建替/基本構想・基本計画策定支援業務を近く発注

 ◇25年2月ごろ委託先決定
 栃木県小山市は老朽化が著しい中央市民会館(中央町1の1の1)の建て替えへ向け、基本構想・基本計画策定支援業務(正式な業務名は未定)を近く発注する。発注方式は公募型プロポーザル方式を軸に検討する。2025年2月ごろの委託先決定を目指す。移転建て替えを想定する。JR小山駅前西口の再開発ビル「ロブレ」の再々開発と連動して事業化したい考えだ。
 市は今月5日、市議会にロブレを中央市民会館の移転候補地とする案を報告。市議会や関係者らとともに今後、検討を進めていくことを表明した。
 中央市民会館は1978年に竣工した。施設は▽文化センター▽中央公民館▽中央図書館小山分館-の三つの機能で構成する。建物はSRC造地下3階地上2階建て延べ9759平方メートルの規模。設計・監理はカトー設計事務所(宇都宮市)と小山市、施工は大成建設が担当した。
 ロブレの所在地は中央町3の7の1。建物は、商業施設や映画館が入る「ロブレ」(SRC造地下2階地上8階建て延べ4万1712平方メートル)と、駐車場(632台)と駐輪場がある「ロブレ632」(SRC造地下1階地上8階建て延べ2万5156平方メートル)で構成する。オープンはともに1994年。2棟は連絡通路で結ばれている。
 施設の老朽化から市はロブレを閉鎖・解体し、跡地で再々開発事業を行う方向で検討している。25年度初頭以降に準備組合を立ち上げ、最短で26年度の都市計画決定、27年度の本組合設立認可を想定。29年度着工、32年度完成を目指す。
 基本構想・基本計画策定支援業務の委託費は24、25年度の債務負担行為として1450万円を設定済み。再々開発ビル内での新たな中央市民会館の規模、施設内容などを固める。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169028
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日建設計/社会起業家との共創プログラム始動/社会課題解決目指す仕組みづくり

 日建設計は18日、Zebras and Company(Z&C、東京都港区、阿座上陽平代表取締役)と共に、共創型社会環境デザインプログラムを開始すると発表した。日建設計の持つ専門性を生かして地域の社会起業家と共創し、より広く社会課題解決を目指す仕組みづくりに取り組む。暮らしの潜在的ニーズを見つめるスキルなどプログラムを通じて得た知見や経験を未来の都市に生かす。未来の都市における新たな価値創出の実現につなげる。
 共創型社会環境デザインプログラム「FUTURE LENS(フューチャーレンズ)」では、地域とつながりのある社会起業家が取り組む事業の価値の体系化や、社会課題の可視化を推進し、未来への視点を社会に広げるための仕組みとして展開する。実証研究費を提供するとともに、日建設計が進める共創の場「PYNT(ピント)」のチームやZ&Cが伴走支援する。募集事業者数は3者程度を見込む。金額は1事業者当たり年間最大500万円とし、原則2年継続する。
 エントリー期間は12月中旬~2025年1月中旬を予定。書類選考や審査会を経て同3月末~4月上旬にも選考結果を通知する見通しだ。日建設計の大松敦社長は「社外の人を起点として共創していくことで、これまでできなかった地域の価値の定量化や、より価値を高める機会が創出できると期待している」とコメントしている。
 説明会は12月18、19日に実施する。詳細はホームページ(https://futurelens.peatix.com)に掲載している。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169023
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2024年11月18日月曜日

建設業関係11団体/秋の叙勲祝賀会開く、受章者の功績たたえる

 建設業関係11団体が主催する2024年秋の叙勲祝賀会が14日、東京都港区の東京プリンスホテルで開かれた=写真。中野洋昌国土交通相ら同省や11団体・会員企業などから計約200人の来賓、関係者が出席。受章者のうち、11団体関係の39人の功績をたたえた。=2面に詳しく
 受章者を代表してあいさつした元埼玉県建設業協会会長で元伊田テクノス社長の伊田登喜三郎氏は「受章者はそれぞれの分野で当然なすべきことをしてきただけだが、このような名のある叙勲を受章できたのはみなさまのご指導、ご支援によるものだ。引き続きご指導いただきたい」と感謝を述べた。
 その上で「受章者一同、これを契機に今まで以上に心を引き締め、建設業の振興・発展へ努力していく」と今後の業界への貢献に向けて決意を語った。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168987
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100年に一度への貢献-パシコンと渋谷大改造・1/鉄道再編が懸案解決の契機に

 ◇公平な最適解を求める姿勢で
 東京を代表する繁華街の一つ、渋谷駅周辺が変貌を遂げている。約20年前から構想されてきた駅周辺5街区の建築計画のうち、最後に着工したShibuya Sakura Stageが7月に全面開業し、全貌が見えつつある。建物に注目が集まりがちだが、「100年に一度」と評される大改造は交通基盤の整備・再編が起点。膨大な調整と検討が求められる中、多くの業務を手掛けたのがパシフィックコンサルタンツ(パシコン)だ。建設コンサルタントの視点から渋谷大改造をひもとく。
 大改造は、東京メトロ副都心線の開業に併せて、東急東横線の渋谷駅周辺区間が地下化され、相互直通運転を始めることがきっかけだ。東横線渋谷駅跡地という巨大空間が生まれることから、未来に向けた基盤整備や街の魅力を高める民間開発を進めることとなった。
 東京都や渋谷区、都市再生機構ら公的機関、地域住民、JR東日本や東京メトロ、東急電鉄ら関係者は緊密に連携。「渋谷駅周辺整備ガイドプラン21委員会」(2001~03年)や、現在も続く「渋谷駅中心地区まちづくり調整会議」などさまざまな検討組織を通じて議論を重ねてきた。
 有識者として参画してきた岸井隆幸氏(計量計画研究所代表理事、日本大学名誉教授)は「渋谷は谷地形で大雨時に浸水する。昔の基盤を相当造り替える必要があった」と説明する。中心部を流れる渋谷川の浸水対策はもちろんのこと駅施設の老朽化への対応や交通機関間の乗り継ぎの改善も課題だった。安全性、利便性、快適性のすべてで抜本的な対応が必要だった。
 パシコンは、渋谷駅周辺の地下から地上4階の高さに至る基盤部分を中心に多数の業務を受託してきた。久保寿社会イノベーション事業本部総合プロジェクト部長は「最適な形を考えるために何度も街を歩いた」と振り返る。生かすべき魅力や解決すべき課題を考えるため、渋谷を知ることから仕事は始まった。
 「未来を支える都市基盤の再編・整備を支援するため、公平に最適解を求める気持ちで臨んできた」。小脇立二社会イノベーション事業本部総合プロジェクト部拠点まちづくり室渋谷エグゼクティブプロジェクトマネージャーは自らの立ち位置をこう説明する。建設コンサルタントは、業務ごとに1者の発注者を支えるのが一般的だが、同社が網羅的に手掛けられるが故に、官民の垣根を越えて多くの業務に取り組んだ。
 「ある発注者の投げ掛けを、別の発注者の立場で自ら受け取るようなこともあった」(小脇氏)。シビアな検討や協議は今も続く。それを支える技術力と調整力こそが、建設コンサルタントの真骨頂とも言える。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168998
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凜/東日本高速道路関東支社・戸部那奈美さん、立場超えて考えられる技術者に

 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)で、暫定2車線を4車線に拡幅するための技術検討や予算管理などに当たる。これまで3カ所の事務所で建設現場をじかに見てきた。この経験を踏まえ、「施工会社の立場で物事を考えられる技術者になる」と目を輝かせる。
 人が生きていく上で建設の「存在が不可欠」と強く感じ、大学では土木を専攻。道路好きが高じて2016年に入社した。湯沢(新潟県)や千葉の現場事務所を経験し、8月に現在の部署へ。圏央道・板東IC~大栄JCTの一部区間を所管する茨城県のつくば工事事務所から上がってきた技術的な課題への助言や予算管理などに携わっている。
 現場事務所に在籍していた当時、頻発していた局地豪雨などの対応が「難しかった」と語る。事前に準備していても急なアクシデントはつきもの。「第三者被害を生まない」ことを最優先に考え、施工会社と協力しながら災害対応に当たった。
 各地を結ぶ高速道路は利便性の向上に伴う拠点整備などで地域に潤いをもたらす。そのため、地元住民から「早くつくってほしい」と声を掛けられるたび、仕事にやりがいを感じている。
 安全・安心、快適な道路を整備するには「建設会社なしでは語れない」。働き方改革など受注者が抱えるさまざまな課題を「自分事のように捉えられる技術者」になるため、日々研さんに励む。
 東日本高速道路関東支社建設事業部(とべ・ななみ)




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168991
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建専連/全国大会で寸劇や鼎談、サブスクで元下契約のアイデアも披露

 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)が14日に東京都内で開いた全国大会で、若年層から選ばれる魅力的な産業への変革が求められる建設業界の今後を展望する寸劇と鼎談(ていだん)が行われた。改正建設業法に基づく「労務費に関する基準(標準労務費)」の勧告を契機に、賃金原資となる適正な労務費の確保と行き渡りに期待が集まる中、業界に根付いた旧来的な商慣行など課題は多い。専門工事会社の経営者や職人、元請の所長それぞれの苦悩を寸劇で表現し、それらの立場を超え業界関係者全員で取り組むべき方向性について討論した。
 寸劇は建設工事の下請となる専門工事会社の立場で、標準労務費の必要性を訴える内容だ。アンケートや取材で専門工事業界の生の声をストーリーに反映させ、建専連傘下団体の会員企業の経営者などが自ら演じる。請負価格が仕事量の繁閑に左右される実態などをリアルに表現。発注者を含むサプライチェーン(供給網)全体で適正な労務費を行き渡らせるにはどうすればいいか、問いを投げ掛ける。
 鼎談には平田研国土交通省不動産・建設経済局長と蟹澤宏剛芝浦工業大学建築学部教授、浜田紗織ワーク・ライフバランス取締役が参加。いずれも標準労務費が発注者から一人一人の働き手まで参照できる「相場観」として機能することの意義を語った。
 平田氏は寸劇で描かれた元請との価格交渉について言及し「(下請には)現場で改正業法の条文を示して武器にしてもらいたい」と呼び掛ける。労務費ダンピングや価格転嫁拒否を禁じる新たな規制措置を、交渉時に無理を要求された際に盾として活用してほしいと訴える。
 交渉の中で元請に相見積もりをされる場面に触れ、蟹澤氏は品質や待遇が優良な企業とそうでない企業が「玉石混交の中で比べられるのはおかしい」と指摘。改正業法に基づき見積もりを行うことが浸透することで「フェアトレード」に近い形になり、こうした取引環境の変化を「もっとエンドユーザーに訴える必要がある」と話した。
 実際の職人への取材を基に、寸劇では年単位などの定額料金を支払う「サブスクリプション」で元下契約を行うアイデアも披露した。コンスタントにタイミング良く仕事を受注できれば元下双方のメリットになる仕組みだ。蟹澤氏は技能者が今後も減少する中、元請側が施工力を常時確保したい思惑から「実際にサブスクのような発想も出てくるのではないか」と予測。建設キャリアアップシステム(CCUS)をベースに企業間で社員を「貸し借り」できるような制度も繁閑調整に有効として「業界で制度化に向け声を出してみては」と提言した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168993
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明治大学/山の上ホテル(東京都千代田区)を取得、ホテル機能維持し再整備

 明治大学は15日、東京都千代田区にある歴史的建造物「山の上ホテル」=写真=の土地・建物を取得したと発表した。2031年の創立150周年を見据え、記念事業として再整備する。ホテル機能を維持したまま学生支援や地域・社会連携の機能を入れる考え。改修工事や再オープンのスケジュールは明らかにしていない。
 同日付で取得した。施設を保有・運営していた山の上ホテル(千代田区、三科徹社長)も同日、「歴史と伝統を継承いただき、さらに発展していくことを願っている」とするコメントを発表した。
 所在地は神田駿河台1の1(敷地面積1597平方メートル)。JR・東京メトロ御茶ノ水駅から徒歩約5分に位置し、四方を明治大学のキャンパスに囲まれている。
 建物はRC造地下2階地上6階建て延べ5233平方メートルの規模。米建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964年)が設計を手掛け、清水組(現清水建設)が施工した。中央の塔や垂直方向を意識した窓配置、アールデコ風の装飾などが特徴だ。
 出版社が集まる神保町エリアに近く、川端康成(1899~1972年)や三島由紀夫(1925~70年)ら多くの作家に親しまれた。




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西松建設/設計・施工案件でBIM活用を加速、S造物流施設で全面展開目指す

 西松建設は、設計や施工を手掛ける国内建築プロジェクトでBIM活用を加速する。作業の品質や生産性を高めるとともに、発注者との合意形成を円滑化するツールとして他社とのさらなる差別化や競争力向上を図る。まずは同社が得意分野とするS造の物流倉庫に重点化。設計・施工一括(DB)で受注する案件のうち、2024年度に設計着手する全プロジェクトで施工も含め全面展開を目指す。S造のオフィスビルやRC造の共同住宅や寮、中大規模の木造建築物にも拡大していく。
 建築事業本部内にBIM関係の組織を集約した「デジタルコンストラクションセンター」を4月1日付で立ち上げた。設計BIM、建築生産設計、設備生産設計、施工BIMの4課で組織する。担当者は狙いについて「社内でBIMに関する窓口をより明確に一本化した」と話す。
 これまでにBIMを活用し設計段階での施工検討や納まり検討といったフロントローディングの仕組みを構築し、発注者への提案力強化に努めている。今後は施工計画、施工管理の精度をさらに向上。数量算出や検査での活用、遠隔化や自動化を見越したICT建機とのツール連携など、BIMのデータ活用に着目した実務レベルでの活用を推進する。
 BIM活用を先行するS造物流施設では、23年度に同社が設計を手掛けた全12件でBIMを活用したものの、生産設計では8件で展開し施工での全面活用には至っていない。今後はDBで受注する全プロジェクトでBIMの全面展開を目指す。
 BIM活用の対象用途も拡大する。例えば中大規模の木造とS造のハイブリッド建築では、集成材の柱や梁と鉄骨部材の接合部など精緻な図面確認が必要になる。従来は2次元で行っていたが、BIMによる総合的な管理システムを構築する。
 西松建設は23年5月に発表したDXの将来像「西松DXビジョンver2・0」の一環として、さまざまな業務で社員一人一人のBIM活用を推進する。建築プロジェクトでは超高層建築への活用も視野に入れる。




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2024年11月15日金曜日

国交省/24年秋の叙勲伝達式開く、輝かしい功績に対し敬意と感謝

 国土交通省関係の2024年秋の叙勲伝達式が14日、東京都港区の東京プリンスホテルで開かれた。中野洋昌国交相の代理として、吉岡幹夫事務次官が勲章を伝達した=写真。出席者は中綬章以下の叙勲を受けた216人。大綬章・重光章の受章者には、6日に皇居で親授式と伝達式が行われた。
 受章者を代表し、旭日双光章を受章した高橋敏幸元全国賃貸住宅経営協会会長、旭日中綬章を受章した石塚由成元西日本高速道路会社社長、瑞宝小綬章を受章した森田康志元北海道開発局事業振興部長、瑞宝双光章を受章した枝川眞弓元関東地方整備局広報広聴対策官らが伝達を受けた。
 吉岡次官は中野国交相の祝辞を代読し「国土交通行政の各分野における輝かしい功績に対し敬意と感謝を申し上げる。国交省が進める施策の推進に、引き続き支援をお願いしたい」と受章者をたたえた。
 14日には、建設関係11団体が主催する叙勲祝賀会が東京プリンスホテルで開かれた。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168902
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建築へ/日建連が木造建築の普及後押し、木造・木質プロジェクトデータ298件を公表

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は木造建築の普及や木材の活用をさらに進める。会員企業が施工した木造・木質建築プロジェクト298件のデータを10月に公表。建物の用途や耐火性能、主な木造採用部位などをまとめた。市場分析などの活用が可能という。一覧には「新国立競技場」や「名古屋城本丸御殿」といったランドマークプロジェクトも多数掲載。木材を多彩に取り入れた建築の誕生に期待がかかる。
 公表したのは会員企業が施工を手掛けた木造・木質建築プロジェクトのうち、公開可能な298件。日建連のホームページで確認できる。
 298件を用途別で見ると、最も多かったのが「学校施設」(53件)で、全体の18%を占めた。次いで「事務所ビル」(34件、11%)、「福祉施設」(31件、10%)と続く。このほか「スポーツ施設」や「研究所」「駅・空港・ターミナル」「歴史的建造物」など幅広い用途に木材が使われている。
 298件のうち新築プロジェクトが256件と大多数を占め、増築は25件、改修は13件、その他は4件だった。その他は「四阪日暮別邸移築計画」「旧広瀬邸煉瓦書庫・茶室ほか保存修理工事」(いずれも愛媛県)といった歴史的建造物が含まれる。竣工年が最も古かったのは2001年竣工の「白石市立福岡中学校体育館」(宮城県)で、集成材を梁や屋根の構造材として用いた。
 木材使用量を公表しているプロジェクトのうち、最も多かったのは「南陽市文化会館」(山形県)。3570立方メートルの木材を柱や梁、ブレースなどに使った。「流山おおぐろの森中学校」(千葉県)は3518立方メートル、「流山市立おおぐろの森小学校」(同)には2420立方メートルを使用。同小学校は、木材の利用促進に貢献した優良な施設を顕彰する「木材利用優良施設表彰」(主催・木材利用推進中央協議会)で環境大臣賞を21年に受賞した。
 樹木が二酸化炭素(CO2)を吸収・固定する特性に着目し、脱炭素化の一環で木材を活用する動きも見られた。環境に配慮して適切に管理された森林で生産された木材(森林認証材)を活用したプロジェクトを認証する制度を8件のプロジェクトで活用していた。
 具体的には「マルチモビリティステーション」(東京都)など4件が国際的な森林認証制度に基づく「SGEC/PEFCプロジェクト認証」を、「Port Plus大林組横浜研修所」(神奈川県)など3件が森林管理協議会の「FCS認証」をそれぞれ取得していた。
 木材の積極活用が進む中、適切に管理された木材の認証を得ることで、プロジェクトの付加価値をさらに高めようとする動きも出てきそうだ。
 木造・木質建築の情報提供の一環として、日建連はプロジェクトの公表に合わせて木造情報をまとめた独自パンフレット「もくネタ!」も発行した。中大規模建築物の木造・木質化に関する情報に特化したのが特徴。
 木造建築の経験が少ないゼネコンなどの活用を想定しており、「発注者から相談を受けた際、情報を得るためのファーストステップの『ネタ帳』のような使い方をイメージして作成した」(日建連)という。
 「耐火」や「耐震」「維持管理」といった木材活用に関する基本的な情報のほか、「法解釈」「科学的根拠」「経済効果」など、木造・木質についてさまざまな切り口から資料を整理。木造・木質建築に関する技術や法律、メリットをまとめた国や地方自治体、団体が発行する冊子を紹介している。
 脱炭素化や植林サイクルへの貢献、快適な室内環境の創出によるウェルビーイングといった付加価値を生み出す木材活用に関心が高まっている。日建連は木造・木質化に関する積極的な情報提供を通じて、これらニーズに応えていく。




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23年度都道府県発注工事の週休2日達成率、全国平均63・4%/国交省調べ

 国土交通省の調査によると、都道府県発注の2023年度完了工事のうち週休2日を実際に達成した割合は全国平均で63・4%だった。初の調査だった21年度は30・7%、22年度は46・5%と全国平均は年を追うごとに着実に良化。全国的な底上げが顕著で、達成率が75%以上の団体も前年度から倍増した。時間外労働の上限規制の適用を踏まえ、法定労働時間・休日や猛暑日による不稼働を考慮した工期の適正化が一層求められる。
 各都道府県に23年度に完了した工事実績を提出してもらい、国交省が独自に集計した。災害復旧工事を除き、団体内の土木、建築、農林の各部局が発注した全案件を対象とした。公告時点で週休2日の対象となっていても実際には4週8休に満たなかった工事は達成したとは認めず、最終的な達成状況を確認した。
 達成率が75%以上は13団体(22年度7団体、21年度3団体)、30%以上75%未満は33団体(27団体、15団体)、30%未満は1団体(13団体、28団体)。上限規制の適用が迫る中、週休2日達成への環境整備を各団体が急ピッチで進めたことが見て取れる。一方、達成率が5割を下回るのは依然11団体あり、24年度以降も完全達成に向けた継続的な取り組みが必要だ。
 国交省は政令市の週休2日達成率も初めて調査。23年度完了工事の達成率が75%以上は3団体、30%以上75%未満は14団体、30%未満は3団体だった。都道府県と比べ達成率は低い傾向があり、より発注規模の小さい市区町村で週休2日を浸透させていくことが今後の課題となりそうだ。
 20政令市の23年度完了工事の週休2日達成率は、▽札幌市=78・6%▽仙台市=48・1%▽さいたま市=41・5%▽千葉市=51・9%▽横浜市=22・8%▽川崎市=68・8%▽相模原市=38・9%▽新潟市=51・5%▽静岡市=79・0%▽浜松市=63・4%▽名古屋市=37・9%▽京都市=81・0%▽大阪市=51・4%▽堺市=18・5%▽神戸市=70・4%▽岡山市=26・9%▽広島市=35・4%▽北九州市=59・9%▽福岡市=51・1%▽熊本市=35・0%。




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主要ゼネコン25社/24年4~9月期決算、17社増収・13社営業増益

 主要ゼネコンの2024年4~9月期決算が14日に出そろった。決算発表日を延期した奥村組を除く25社の連結売上高は、手持ち工事の順調な消化によって増収が目立った。資材価格や労務費が高止まりするものの、本業のもうけを示す営業利益は受注時採算の改善や選別受注の徹底で13社が増益。工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は公表22社のうち15社が前年同期を上回り、底打ち感の出ていた建築の粗利益率も回復基調が見られた。
 連結売上高は17社が増収した。鹿島や大林組、大成建設、インフロニア・ホールディングス(HD)、五洋建設、安藤ハザマなどが上半期として過去最高を更新。大型案件を含む手持ち工事が順調に進捗した。減収となった社の多くは前年同期とほぼ同水準を維持した。
 営業利益は、主にコスト上昇分が転嫁された建築工事の採算改善が増益に寄与。多くのゼネコンが民間発注者の理解が進んでいると実感している。引き続き受注時採算や選別受注をより徹底することで利益確保を最優先する。
 単体の粗利益率は、前年同期に比べ4社多い9社が二桁を維持。底打ち感のあった建築の粗利益率は15社が上向いた。三井住友建設は国内大型建築工事で追加損失を計上し赤字に転じたものの、同案件を除く建築全体で7・3%と前年同期から2・7ポイント上昇した。
 業績の先行指標となる単体受注高は13社が増加した。多くのゼネコンが今後も防災・減災、国土強靱化対策、防衛施設などの公共投資とともに、工場やデータセンター(DC)、物流施設といった民間設備投資が堅調に推移すると見る。
 手持ち工事は今後1~2年で適正な利益や工期が確保された案件に入れ替わり、本格的な回復基調に入る見通し。ただ設備工事を念頭に「サブコンを含め供給力確保がポイントになる」(インフロニアHD)として、多くのゼネコンは施工能力に応じた無理をしない選別受注の継続方針を打ち出す。持続可能な産業として発展するためにも、引き続き適正な利益や時間外労働上限規制を順守するための工期確保を追求していく。




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大阪府/泉州山手線名越工区、25年度着工へ設計進む

 大阪府都市整備部は泉北と泉南の両地域をつなぐ主要地方道大阪和泉泉南線(都市計画道路泉州山手線)の名越工区の道路改良事業で、2025年度の着工を目指している。東側の橋梁部から設計がまとまりつつあり、担当課は25年度当初予算に工事費を盛り込み、工事発注に備えるとしている。
 同工区は貝塚中央線との交差部付近(貝塚市名越)から水間鉄道を高架橋で立体交差し、河池付近の水間和泉橋本停車場線に至る延長約1440メートル区間が対象。標準幅員31メートル(最大54メートル)の一部側道付き片側2車線道路を整備する。両側に歩道と自転車道、植樹帯を設ける。高架区間は約500メートル。うち東端から水間鉄道の手前までの延長152メートル(鋼4径間連続少数鈑桁橋)の設計作業を先行している。詳細設計は協和設計が担当。工期は25年1月29日まで。
 鉄道との立体交差区間の詳細設計は別途作成する予定で、現在、鉄道運営会社(水間鉄道)と委託時期なども含め協議を進めている。
 泉州山手線は大阪和泉泉南線のバイパス道路として、堺市から泉佐野市までの総延長18・5キロを結ぶ。これまでに堺・和泉市境付近から和泉・岸和田市境付近に至る延長4・4キロの暫定整備が完了。名越工区はその南側に続くルート中に位置する。
 19年度に実施した事前評価の調書によると、全体事業費は約111億50百万円を概算。うち調査費に約4億40百万円、工事費に約71億60百万円を見込む。今後、残る橋梁設計と用地買収を進めつつ、25~29年度に工事を行い、29年度の完成を目指す。
 市が所管する防災広場「せんごくの杜」へのアクセスが強化されるため地域一帯の防災機能向上が期待される。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168913
via 日刊建設工業新聞

大林組/CO2排出量削減効果とコストの比較検証システム開発、仕様や予算検討を支援

 大林組は、建物計画の初期段階で二酸化炭素(CO2)排出量削減効果と、コストの増減率を瞬時に比較検証できるシステム「カーボンデザイナー E-CO BUILDER(エコビルダー)」を開発した。計画地を地図上で指定し、仕様設定を切り替えて瞬時にシミュレーション。敷地や計画案の情報を基に、仕様や予算などの検討を支援する。
 同システムは、CO2排出量予測システム「カーボンデザイナー」と建築物省エネ化設計ツール「ZEB Ready簡易評価システム」を連携させた。建築物の幅・奥行き・階数を指定することで、延べ床面積やZEB認定の基準ビルの数値などを算定する。
 建築仕様、設備仕様を設定すると、基準ビルに対しての省エネ効果やCO2排出量の削減効果を算出。同時に基準ビルに対してのコストの変動も割り出す。
 建築仕様は、メインファサード方向、ガラス種別、庇(ひさし)の有無、躯体の仕様を設定可能。躯体の仕様は、同社開発技術の低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」やハイブリッド木造といった低炭素型資材の設定もできる。設備仕様は、空調仕様、換気、照明、給湯に加えて、太陽光発電といった創エネ設備の有無を設定できる。
 効果とコストの見える化で顧客の方針決定を支援する。シミュレーション結果は、建設時と建築物運用時のCO2排出量の削減効果、建設時のコスト、運用時の年間コスト、エネルギー消費性能(BEI)値として表示。各種仕様の設定を変更すると、瞬時にシミュレーション結果が算出され、さまざまなパターンでの検討が可能になることで、顧客の事業計画に基づいた迅速な方針決定を支援する。
 現在、カーボンデザイナー エコビルダーはオフィスビルだけが対象。今後、開発を継続し適用される建物用途を拡大するとともに、カーボンニュートラルにつながるソリューションを拡充していく。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168904
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2024年11月14日木曜日

建設技術展2024関東が開幕/190者超が出展、未来の創造者ら集結

 日刊建設工業新聞社が主催する「建設技術展2024関東(C-Xross2024)」が13日、東京・東池袋のサンシャインシティ展示ホールC・D(文化会館ビル2、3階)で開幕した。190者超の企業・団体が出展。「集まれ!未来の創造者たち」をテーマに最先端の技術・工法やサービスを紹介する。会期は14日まで。入場無料。
 開会式では、主催者を代表し飯塚秀樹日刊建設工業新聞社社長が「未来を創造する建設産業の姿をアピールし、わが国の建設技術を理解する貴重な機会にしてほしい」と呼び掛けた。
 来賓の廣瀬昌由国土交通省技監は「i-Construction2.0」を打ち出し、建設工事の担い手の減少やインフラ老朽化に対応し省人化・生産性向上を目指すと強調。建設技術展を通じ「技術をどう現場適用し、マッチングできるか議論し、熱く語り合ってほしい。土木・建設の世界は人の連携が大事だ。裾野を広げ、相互に連携し、より良いインフラ整備・管理につながっていくことを期待する」と述べた。
 続いて、国土政策研究会会長で芝浦工業大学客員教授の谷口博昭氏が開幕を宣言。建設関連団体や行政機関の幹部を交えてテープカットを行った=写真。
 建設技術展は関東地方整備局の「建設技術フォーラム」と併催。特設ステージでは14日にも行政機関の技術系幹部が講演し、建設関連団体によるセミナー、学生向けの業界紹介イベントなどが開かれる。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168871
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回転窓/本気の事前防災へ

 2024年の「新語・流行語大賞」の候補となる30の言葉が先日発表された。もう今年を振り返る時期になったのかと驚きながら、12月2日発表の年間大賞を楽しみに待ちたい▼30の言葉のうち時事問題に関する言葉も少なくない。日向灘を震源とする8月の地震を受け次の巨大地震への注意を呼び掛けるため、気象庁が発表した「南海トラフ地震臨時情報」もその一つ▼初めて出された臨時情報を巡っては、自治体も手探りの中で判断を迫られ対応が分かれた場面もあった。解除まで不安は続いたが、一方で警戒心が高まり地震への備えを見直すきっかけになった▼政府は「防災庁」設置に向け準備室を立ち上げ、石破茂首相が「本気の事前防災のための組織」を整備する考えを示した。将来の「防災省」を見据えて各地に拠点を置き、地域単位で産官学の連携強化を促す組織になることを期待したい▼人口減少と高齢化で災害発生時の支援者は減り、要支援者が増える。被害を抑えるには国民を巻き込んだ議論が不可欠。大規模災害への備えは国の取り組みだけでは不十分であり、国民一人一人の防災意識の醸成が求められる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168875
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中野洋昌国交相/建設業の担い手確保に注力、現場第一主義で施策推進

 中野洋昌国土交通相は13日、日刊建設工業新聞など専門紙各社の就任インタビューに応じた。建設分野は「将来的な担い手の確保」を課題に位置付け、処遇改善と働き方改革に取り組む考えを示した。人口減少や資材価格の高騰で、建設だけでなく住宅や不動産も苦境に立たされていると指摘。「現場第一主義」をモットーに「(業界の)声に耳を傾けながら、国土交通行政を全力で進めていきたい」と話した。
 災害時の応急対策や平時の社会資本整備を担う建設業の役割に触れ「役割を将来にわたって果たし続けていくために担い手の確保が必要だ」と指摘する。6月に成立した第3次担い手3法を踏まえ「労働費をしっかり確保し、現場まで行き渡るようにする取り組みが必要」と強調した。資材価格高騰による労務費へのしわ寄せを防ぐため、価格転嫁の方策も整える。働き方改革に向けた工期の適正化や、ICT活用など生産性向上策もさらに推し進める考えだ。
 2025年度の予算編成に当たっては、能登半島地震や豪雨災害の復旧復興を最優先としつつ、国土強靱化や地方創生といった政策課題に取り組んでいく方針を示した。防災・減災分野では、河川の流域全体で水害を防ぐ「流域治水」の加速やテックフォース(緊急災害対策派遣隊)の機能強化に力を注ぐ。
 持続的な経済成長に向け、「24年問題」に直面する建設業や物流業の担い手確保に向けた施策を強化する。働き方改革や生産性向上に「攻めの姿勢」としてインフラの海外展開も推進していく考えを示した。
 石破茂首相が重点を置く地方創生にも意欲を見せた。にぎわいあるまちづくりや、安心して暮らせる住まいの確保を推進。交通空白地域の解消に向け、交通ネットワークの再構築に取り組む方針も示した。




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神奈川県厚木市/本庁舎跡地等活用で市民対話の結果公表、アリーナ導入など要望

 神奈川県厚木市は、現本庁舎敷地の跡地活用で10月に実施した意見交換会の結果をまとめた。厚木市本庁舎敷地跡地等活用検討委員会(委員長・中村幹夫厚木商工会議所会頭)が4月、山口貴裕市長に提出した「本庁舎敷地跡地等活用に関する提言書」を踏まえた対話。市は12月~2025年1月ごろ各自治会を対象に説明会を開き24年度中に基本方針を策定する。27年度の新庁舎移転に合わせた事業着手を想定している。
 提言書では音楽やスポーツなどのイベントが開催できるアリーナ機能の導入などを求めている。敷地は売却せず、市が保有した上で責任を持って活用の検討を行うことも要望している。意見交換では市の財政負担増や周辺交通量への影響、新庁舎建設や本厚木駅北口再開発など近接する大規模再開発事業とのスケジュール調整、アリーナで想定する実施競技などについて質問や提案があった。
 市は小田急本厚木駅前の中町第2-2地区に複合施設を建設し、27年度中に庁舎などを移転する計画。移転に伴い現本庁舎敷地(中町3の17の17、8686平方メートル)の活用策を検討している。同じく老朽化した厚木消防署本署(寿町3)の再整備なども想定している。
 提言は本厚木駅北口周辺全体の持続的発展に寄与するため、回遊性やにぎわい、市民サービス向上などにつながる機能の導入を求めている。音楽興行、スポーツ、展示会といった多様な活動に対応する多目的ホールやアリーナなどの導入を提唱。災害時の地域防災拠点機能も必要と指摘している。
 敷地は将来的な行政需要なども見据え、単に売却して民間開発を誘致するのではなく、引き続き市が保有した上で責任を持って活用することを想定している。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168876
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情報通信設備工事大手3社/24年4~9月期、全社が過去最高の売上高

 情報通信設備工事大手3社(エクシオグループ、コムシスホールディングス〈HD〉、ミライト・ワン)の2024年4~9月期決算が13日に出そろった。連結ベースで全社が増収営業増益。3社とも売上高と受注高が過去最高を更新した。社会的なデジタルシフトや再生可能エネルギー普及の進展に伴い、堅調に推移する国内需要を反映。ミライト・ワンは23年12月の国際航業の子会社化も寄与した。各社はDXによる業務効率化や事業体制の最適化により、さらに収益性を高めたい考えだ。
 売上高を見ると、エクシオグループではエネルギー(電気、環境など)や公共基盤(鉄道通信、都市土木など)分野など都市インフラ事業の手持ち大型工事の進捗が寄与した。コムシスHDはNCC(ニュー・コモン・キャリア=NTTグループ以外の通信事業者)の不調を、NTTや社会システム関連事業がカバー。ミライト・ワンは発電設備やビル設備を担う環境・社会イノベーション事業の伸長が貢献した。
 本業のもうけを示す営業利益は全社が増益。エクシオグループは通信キャリア事業でアクセス・モバイル分野の一体運営など利益率改善が奏功した。ミライト・ワンも既存事業のDX推進などで利益を伸ばした。
 先行指標となる受注高は全社が増加。エクシオグループは半導体工場の電気設備や都市インフラなど幅広く受注して繰り越し工事高を大きく伸ばし、選別受注を強化するなどして収益性を高めたい考え。コムシスHDはNCCで受注を減らしたものの、NTTから着実に案件を獲得した。
 各社は10Gインターネット光回線に向けた開通工事や都市部の通信品質対策工事などで通信キャリアの投資継続に期待を寄せる一方、成長分野への人員配置や事業体制の見直しによる効率改善により、収益確保に注力する方針。エクシオグループとコムシスHDでは通期の受注高見通しで前期比減を見通す。
 今後は「25年には4兆円を超える」(エクシオグループ)と予測される国内データセンター(DC)市場の旺盛な需要を取り込むため、DC間相互接続やサーバーの設置など対応範囲の拡大を図る。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168864
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2024年11月13日水曜日

回転窓/モラルある経済成長を

 ドナルド・トランプ氏が勝利した米大統領選に関連し、物価高の止まらない米国でホームレスが急増している実態が相次ぎ報道された。ほぼ右肩上がりで成長してきた米経済の裏側に広がる巨大な影が透けて見える▼日本にとっても対岸の火事ではない。バブル期のような高水準で推移する株価とは裏腹に景気回復の実感は乏しい。物価高に追い付かない賃上げや社会保険料の増加、将来の生活不安などが要因だろう▼物価高は企業経営も直撃している。東京商工リサーチが11日発表した統計では、物価高を起因とした10月の企業倒産発生件数が45件。うち建設業は産業別で最多となる12件に上る。同社は不安定な為替推移の中で増勢に転じる可能性も指摘する▼与党が過半数割れした衆議院選挙では、裏金問題に伴う非公認候補者の政党支部などに活動費を渡した、いわゆる「2000万円問題」が一般感覚とのずれを浮き彫りに。これが議席の大幅減に追い打ちをかけた▼市場経済で成果主義を否定できないが、過度な格差は分断や対立を招く。国の成長・発展を目指すリーダーには一定のモラルを守り、秩序を保つ責務がある。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168839
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大阪市港湾審/夢洲にIR専用桟橋設置承認、海上アクセスで利便性向上

 大阪市は11日、第75回大阪市港湾審議会を同市役所で開き、此花区の夢洲にIR(統合型リゾート)専用の桟橋を設けることを承認した。関西国際空港や神戸空港などと結ぶ海上アクセスを実現し、IRへの利便性を向上する。2025年度に準備工事などに着手し、30年秋ころの供用を予定する。夢洲の土地利用計画も変更し、交流厚生用地の面積を広げる。
 専用桟橋は米国MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人やオリックスが出資する大阪IRの要請に基づき、新たに専用埠頭計画と外郭施設計画に位置付ける。ウオーターフロントを生かした水辺空間を形成するため、土地利用計画も一部変更する。
 夢洲周辺にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や海遊館などの大型集客施設もあり、高速船など小型の旅客船が接岸できる係留施設を設置することで水都大阪にふさわしい海上交通ネットワークの構築を目指す。
 計画によると、小型桟橋は浮体式で延長約40メートル、幅約10メートル。桟橋と護岸とつなぐ延長約30ヘクタール(幅3メートル)の連絡橋を設置する。外郭施設計画には延長90メートルの防波堤(ジャケット式)を位置付け、桟橋の西側に整備する。桟橋は全長20~30メートルの高速船や連絡船の利用を想定する。
 このほか大阪府の要請に基づき、小型桟橋4基を計画する。
 護岸背後の交流厚生用地は約5・2ヘクタール拡大する。当初は緑地を予定したが、施設計画の具体化に伴い土地利用計画を変更し、桟橋付近に交流厚生用地を確保する。
 審議会では「今回の計画が環境に及ぼす影響は軽微である」とし、原案通り承認した。
 今後、国土交通大臣に計画を送付し、年内にも港湾計画の概要を公示する予定。




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春日部駅西口地区再開発、24年度内に事業協力者選定/準備組合

 ◇25年度以降都市計画決定へ
 東武鉄道春日部駅(埼玉県春日部市)西口で再開発事業を計画している「春日部駅西口地区市街地再開発準備組合」(村田勧理事長)は、年度内に事業協力者の選定手続きを行う。準備組合は7月に交通再編計画業務の受注者を日本工営都市空間に決定しており、地区計画などの都市計画手続きを進めるため、計画区域への自動車導入路の配置案も年度内に固める。2025年度以降の都市計画決定を目指す。本組合設立認可や着工、完成などのスケジュールは今後決める。
 計画地は春日部市中央1(区域面積2・6ヘクタール)。区域内を4街区に分割し、それぞれの街区で再開発ビルを段階的に建てる方針だ。区域内で活動していた「中央一丁目地区市街地再開発準備組合」が2月に解散。4月に現行の準備組合を立ち上げ直し、街区を分けたまちづくりの在り方を議論してきた。
 現行の準備組合の前身となる「春日部市中央一丁目地区世話人会」が23年12月にまとめた区域再編案によると、区域西端にある第1街区は4階建て延べ3400平方メートルと27階建て延べ2万0790平方メートルのビルを整備。物販や住宅などの機能を設ける。東側にあり駅西口広場に接する第2街区は、商業や事務所、住宅からなる4階建て延べ2800平方メートルと20階建て延べ2万2400平方メートルのビルを建てる。
 第3街区は3階建て延べ1860平方メートルのビル2棟と、27階建て延べ1万9980平方メートルのビルを建設する。第4街区は27階建て延べ1万9980平方メートルのビルを建設。総合病院や住宅を入れる。駅とロータリーをつなぐ通路もつくる。




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セメント大手3社/24年4~9月期決算、値上げ効果で3社増収

 セメント関連大手3社(太平洋セメント、UBE三菱セメント、住友大阪セメント)の2024年4~9月期の連結決算が12日、出そろった。太平洋セメントは、国内でのセメント値上げ効果や原価改善、米子会社のセメント・生コンクリート価格の引き上げ効果などにより増収増益。UBE三菱セメントと住友大阪セメントも、セメント価格の引き上げ効果により、連結ベースの営業利益が増収となった。
 太平洋セメントの売上高は、前年同期比6・0%増の4436億76百万円。営業利益は105・0%増の363億89百万円となった。国内需要の減少によりセメントの販売数量が減少したが、セメントや固化材の販売価格の引き上げと原価改善により、営業利益が増加した。
 UBE三菱セメントは、国内の環境エネルギー事業の販売数量減少や石炭価格の下落による外部販売の売り上げ減が影響し、3・4%の減収。営業利益はセメント価格の引き上げや、国内事業で熱エネルギー価格が低下したことでセメント事業の収益性が改善。28・7%の増益となった。
 住友大阪セメントは、セメント事業や新材料事業の売り上げ減少などにより減収。営業利益は、セメント価格の引き上げに加え、石炭価格の低下もあり増益となった。
 25年3月期の業績予想は、太平洋セメントと住友大阪セメントが、セメント需要の減少による販売数量の減少を理由に下方修正した。2社は売上高、営業利益、経常利益、純利益の全てを下方修正。太平洋セメントは北米での需要の停滞や、フィリピンの新ライン稼働の遅れなども影響するとした。UBE三菱セメントは、セメント価格の引き上げ効果により営業利益を上方修正。他を下方修正した。
 セメントの国内需要減少に歯止めがかからない中、国土強靱化の推進や、防衛関係工事の増加などによる需要回復を期待する向きが強まりそうだ。




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2024年11月12日火曜日

回転窓/気になる市政・国政の動向

 尾張名古屋は城でもつ--。江戸時代に流行した俗謡の一節で、城下町など地域一帯の繁栄を支えている城を自慢したものだ▼城郭建築での国宝第1号(1930年)に指定された名古屋城は、天下分け目の合戦に勝利した徳川家康が大阪の豊臣方に備えるために築城。1615年にほぼ完成し、御三家筆頭である尾張徳川家の居城として栄えた▼戦時中の空襲で本丸のほとんどを焼失したが、1959年に天守閣(SRC造)を再建し、2018年には復元した本丸御殿が全体公開された。現在は耐震性の問題などで天守閣内部を閉鎖。名古屋市は木造天守の復元計画を進めている▼国政に復帰した前市長の自動失職に伴う名古屋市長選挙が10日告示され、無所属新人の7人が立候補を届け出た。投開票は24日。これまで進められた市政の評価などが争点となり、各候補者が示す名古屋城を巡る今後の対応方針にも注目が集まる▼先月の衆院総選挙を経て、特別国会が11日に召集された。第103代首相が選出され、新内閣も発足。国際情勢が大きく変化する中、与野党は互いに歩み寄り、内政の安定化に努めることが求められよう。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168819
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東北整備局/技術者の「地域精通度」を総合評価に追加、若手育成など後押し

 東北地方整備局は地域建設会社の維持や若手技術者の育成に向けた施策を強化する。工事の総合評価方式で評価項目に配置予定技術者の「地域精通度」を加え、県内居住者に3点を加算。施工経験や工事成績評定点の配点は引き下げることで、ベテラン技術者の固定を解消し若手技術者が活躍できる機会を増やす。2024年度第4四半期(1~3月)から施工能力評価型i、ii型で公告する工事に適用する。
 配置予定者の居住地は監理技術者資格証内に住所項目を設けることで確認する。主任技術者には身分証明書の提出を求める方針だ。
 現状の技術審査では配置予定技術者の同種・類似工事経験や工事成績評定点など実績が重視され、若手技術者の配置を妨げているといわれる。「技術者の能力等」の施工経験と工事成績評定点の配点を最大7点から5点に変更。「企業の能力等」も見直し、地理的条件で「本店、営業所の所在」の配点を最大2点から3点に引き上げる。各出先機関に周知し、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを適切に回しながら必要があれば見直していく。
 6月に改正された第3次担い手3法に「地域における対応力強化」などの記載が盛り込まれたことが背景にある。建設業団体などから技術者不足や若手技術者の育成への要望があったことにも対応している。
 仙台市青葉区の仙台合同庁舎B棟で8日に開催した総合評価委員会(委員長・京谷孝史東北大学大学院教授)に審議事項として提出し了承を得た。




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大林組/都市型DC参入で新会社設立、1000億円投資・28年度に初弾開設

 大林組は、データセンター(DC)の開発と運用を目的とした子会社「MiTASUN(ミタサン)」を設立し、都市型DC事業に参入する。AIなどの進歩やクラウドサービスの利用拡大に伴い、市場規模が拡大することを見込み、これまでに培った建設事業でのノウハウや技術力と、開発事業のネットワークや知見を生かす。2028年度には第1弾となるDCを東京都港区に開設する。既に都内で第2弾の用地も確保しており、今後10年以内に総額約1000億円を投資する。
 新会社は大林組のDC事業を分割、継承して11月下旬に発足する予定。本社を東京都港区三田3の12の14に置く。資本金は4億95百万円で大林組が全額出資する。社長には綱脇彰則氏が就く。大規模オフィスの大量供給などにより慢性的な空室を抱える既存ビルを中容量の電力消費に抑えたDCに改修、建て替えることで都市に新たな価値を創出し社会基盤の充実に貢献する。
 大林組は、東京都心で総額約1000億円を投じ「ハイパースケール」と呼ばれる大規模DCに匹敵するDC群の構築を目指す。今後、国内外多方面のパートナーとのアライアンスを積極的に進め、他社が保有するビルのDC化や、ほかのDC事業者との相互接続により、31年度までに40メガワット級のDC群を構築し、持続的に成長させる。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168825
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福岡市/RO方式の博物館リニューアル事業、12月に実施方針・要求水準公表

 福岡市は、「福岡市博物館リニューアル事業」のうちPFIのRO(改修・運営)方式で行う本館や駐車場などの改修と、施設全体の維持管理・運営について、12月に実施方針と要求水準書の案を公表する。有識者らでつくる同事業の事業者検討委員会を1日に設立しており、今後開く会合で実施方針と要求水準書の案を諮る。
 RO方式で行う福岡市博物館(早良区百道浜3の1の1、敷地面積5万0648平方メートル)の本館SRC造3階建て延べ1万6920平方メートルの改修は、老朽化した設備の更新や1階の浸水対策の増強、体験学習室の拡充、キッズスペースの設置、文化財の保存・保管機能の増強などを想定している。2025年度からの設計・改修工事を経て、28年度の供用開始を目指す。維持管理・運営を含めた全体の事業期間は18年。
 民間負担分を除く公共負担額は約169億3000万円(うち施設改修費約78億5000万円)。早ければ25年度当初予算案に債務負担行為も含めた事業費を計上する予定で、25年度早期に事業者選定のための公募型プロポーザルを公告したい考えだ。
 実施方針の作成などPFIアドバイザリー業務の担当は三菱UFJリサーチ&コンサルティング。
 同事業では北側ゾーンの収蔵庫棟増築、南側ゾーンの広場改修も行うが、整備要件の特殊さなどを背景に、民間ノウハウの活用が難しく、市の直接整備方式で進める。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168824
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2024年11月11日月曜日

水資源機構/南摩ダム(栃木県鹿沼市)で試験湛水、施工は大成建設・25年3月完了

 水資源機構が栃木県鹿沼市で建設を進めている南摩ダムで8日、試験湛水が始まった。周辺河川が渇水した場合の水量補給と下流域への洪水調整機能を持ち、総貯水容量は約5100万立方メートル。ダム本体の施工は大成建設が担当し、2025年3月の工事完了を目指す。試験湛水はダムへ注ぐ利根川水系・南摩川の水をせき止める閉塞(へいそく)ゲートを締め切り、26年度まで行う予定だ。
 南摩ダムは「思川開発事業」として建設され、堤高86・5メートル、堤体積約240万立方メートル。工期短縮を目的にコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)を採用し、降雨時には南摩川への流量を抑制する。同時に南摩川や周辺を流れる大芦川、黒川へと水を相互融通し渇水対策に貢献する。
 試験湛水ではダムに注ぐ南摩川の流れを切り替えるために設けた仮排水路トンネルに鋼製ゲート(幅4・2メートル、高さ5・1メートル)を締め切って行った。ダム底から約80メートルの高さに位置する洪水時最高水位まで水を張って安全性を確認する。試験期間は26年度までを予定する。黒川や大芦川からの水をためる導水路など関連工事を27年3月に終える予定だ。
 同日は水資源機構や大成建設の職員ら関係者約100人が出席。約10分かけてゲートを閉め切った後、工事の無事完了を記念して関係者が万歳三唱を行った。同機構の長谷見智久思川開発建設所長は「利水者や施工を担当した大成建設を含む関係者の尽力で試験湛水を迎えることができた」と感謝の意を表した。
 思川開発事業は1969年に開始した。総事業費は約2100億円を見込む。ダム建設では住民約80世帯(300人)が移転している。同機構が新規でダムを建設するのは南摩ダムが最後という。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168796
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回転窓/三内丸山遺跡の保存30年

 三内丸山遺跡(青森市)の発見は、縄文時代に対する歴史観や文化観を大きく変えたと言われる。1994年に遺跡の保存が決まり、今年で30周年となる▼縄文時代前期~中期(紀元前約3900~2200年)の大規模な集落跡で、1992年からの青森県運動公園整備事業に伴う発掘調査で見つかった。調査開始2年後の94年、後に縄文タワーと称される大型掘立柱建物跡が出土し大きな注目を集める▼このタワーが何のために造られたのかは分かっていない。諸説ある中で、海洋史と土木史を研究する長野正孝氏(元国土交通省港湾技術研究所部長)が立てた仮説は「狼煙(のろし)台」。著書『古代史のテクノロジー 日本の基礎はこうしてつくられた』で築造当時の建て方や必要な人員、工期なども考察している▼縄文ブームが巻き起こるなど古代史に関心を持つ人は多い。調査研究でどのようなことが解明されるかに興味は尽きないが、自分なりに想像して古代の謎に迫るのも楽しい▼三内丸山遺跡では発掘調査が毎年行われている。これからも新たな発見が期待され、縄文人たちの暮らしにまた少し近づけるかもしれない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168791
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凜/野原グループ・神谷友里絵さん、BIM認識の平準化目指す

 2020年に中途入社し、BIM活用ソリューション「BuildApp」のサービス企画とシステム開発に携わる。転職前はハウスメーカーとマンションデベロッパーで内装設計や監理業務などを担当していた。
 近年、業務を効率化、高度化するツールとしてAIが注目されている。「自分の仕事がAIによって減るかもしれないと考えた時に、『それなら(AIのようなツールを)作る側に回ってみたい』と思ったのが転職したきっかけの一つ」と振り返る。
 現在の業務で大切にしているのは、誰もが直感的に使えるシステムを構築して提供できるようにすること。人によって異なるBIMの認識や使い方の平準化を目指す。「根幹であるBIMとさまざまな最新の業務支援ツールを柔軟に連携させれば、BuildAppをさらに成長させられると思う」。
 9月から芝浦工業大学大学院に進み、建築生産を学ぶ。BuildAppをより良くしていくため、「大学院で研究されている最先端技術を吸収し、日々の業務に生かしていきたい」。働きながら大学院に通うケースは「社内でも初の試みと聞いている」として、「新しい道を切り開き、後輩のキャリアプランの選択肢を広げる一助となりたい」と力を込める。
 「技術が進化する中で次々と生まれる『新しい常識』を建設業界に根付かせていくのが夢だ」と笑顔で話す。
 野原グループBuildAppサービス開発統括部プロダクト開発課リーダー(かみや・ゆりえ)




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168799
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東京都/交差点の渋滞緩和に注力、24年度内に次期「交差点すいすいプラン」策定

 東京都が交差点の渋滞緩和にさらに力を入れる。渋滞対策を推進する現行の「第3次交差点すいすいプラン」(2015~24年度)が期限を迎えることから、次期計画を年度内に策定。交差点付近の道路脇の土地を取得し、新たに右折専用車線を設置することで右折待ち車両が原因の渋滞を減らす。年内にも都建設事務所の担当者らが参加する会議を開き、整備箇所を洗い出す。次期計画は25年度から10年間を予定している。
 次期計画での対象交差点を選定する過程で部の有識者からも意見を聞く。選考フローなどが適正かチェックしてもらい、事業の信頼性を高める方針だ。
 都は1994年度に交差点すいすいプランの初弾を策定。以降、2次、3次と続いている。主に多摩地域での渋滞緩和が目的だ。3次プランで掲げた整備箇所は76カ所(多摩部71カ所、区部5カ所)で総事業費は393億円。通過する時間が2分以上かかり、ほかの事業の実施対象となっていない交差点を整備対象として選定している。
 事業の推進に当たっては、土地を取得する時に地権者との交渉が長引き、完成までに時間がかかるケースもあるという。3次プランの対象交差点76カ所のうち、新規が33カ所の一方、2次プランからの継続が43カ所だった。
 整備が完了または一部完了した交差点は1994年4月から2024年9月までで118カ所。都によると、瑞穂町の栗原新田交差点では、渋滞の長さが120メートルから20メートルに縮小したという。車線数の増加に加え、歩行が安全に通行できる空間も確保している。
 交差点の改修による交通の円滑化は経済活動にもメリットがある。都は今後も渋滞緩和に積極的に取り組む構えだ。




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愛知県知多市/西知多道路金沢IC周辺広域交流拠点整備、具体化へ対話調査実施

 愛知県知多市は、西知多道路に設置される金沢IC(仮称)周辺に計画している広域交流拠点の実現に向け民間事業者を対象とした対話調査を実施する。秩序ある開発とするため建物用途や高さ、色などのルールや制限を定める市街化調整区域内地区計画を設定した事業化を前提に、事業内容や土地購入の条件、市への要望事項などを把握する。27日まで申し込みを受け付ける。
 事業候補地は、名古屋都市圏と中部国際空港を結ぶ西知多道路の金沢IC周辺。面積は1~6ヘクタールを想定している。昨年度に実施した対話調査では、ターゲット層や施設機能など市と民間事業者の方向性が合致していることを確認した。一方、PFI方式や民設民営などで事業化した場合、官民の役割の明確化や市の支援などの部分をさらに検討する必要性が明確になったため再度、調査する。
 対話では、市街化調整区域内地区計画での事業実施の実現可能性や旭公園などとの連携、事業内容、事業に適している用地、必要面積などを把握する。民間事業者が土地を購入して開発する手法を想定しているため、購入条件や地区計画を設定する際の条件、事業者公募までのスケジュール感、市に期待する支援内容なども把握する。
 対話調査は12月4日から13日にかけて実施する。2025年1月ごろに結果の概要を公表する予定。申し込み、問い合わせ先は都市整備部都市計画課(電話0562・36・2668)。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168792
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清水建設/有筋構造部材自動造形技術を実工事に初適用、材料噴射で3Dプリンティング

 清水建設は材料噴射型の3Dプリンティング技術を活用し、鉄筋内蔵の有筋構造部材を自動造形する技術を実際の工事で初適用した。対象現場は堺市西区にある日本製鉄の瀬戸内製鉄所阪神地区(堺)内での製鉄設備建設工事のうち、設備の基礎となるRC柱2体の施工。1体当たりの施工時間を在来工法に比べ約4割短縮した。今回の適用に合わせ、新たにロボットアーム型のモバイルプリンターと自動材料製造装置も開発した。
 同技術は人の腕と同等に動かせるロボットアーム型の3Dプリンターを活用し、プリント場所に配置した鉄筋の側面から内部に向けて、プリント材を吹き付けていく。鉄筋の外周を旋回するロボットアーム先端のノズルからプリント材を斜め下方に噴射し、鉄筋内部への充填が完了した後、表層全体に重ねて吹き付ける。
 今回の現場適用では、ロボットアーム型のモバイルプリンターと自動材料製造装置を10トントラックで運搬。断面積0・4平方メートル、高さ2メートルの有筋構造部材を計画位置で直接施工した。材料噴射から表面仕上げ完了までにかかった時間は在来工法に比べ約4割短い1体当たり2時間50分だった。
 清水建設によると、材料噴射型の3Dプリンティング技術で造形した構造部材は、在来工法で施工したRC部材と同等以上の耐力や靱性を持つ。RC構造物の施工に利用されてきた木製型枠の使用量が減り、環境負荷の低減も見込める。
 今後は造形精度のさらなる向上や複雑形状に対するプリンティング技術の確立を目指す。新設構造物だけでなく既設構造物の補修や補強、応急復旧への適用も視野に入れ技術開発を進める。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168803
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2024年11月8日金曜日

建設技術展2024近畿が開幕、11月8日まで/本社など主催

 日刊建設工業新聞社と近畿建設協会が主催する「建設技術展2024近畿」(特別共催・土木学会関西支部)が7日、大阪市住之江区のインテックス大阪で開幕した=写真。224の企業・団体・学校が約600の先進技術を紹介する。会期は8日まで。=10面に詳しく
 開会式では主催者らのあいさつに続き、国土交通省近畿地方整備局の高橋伸輔企画部長が開会を宣言。主催者と共催者の代表がテープカットし開幕を祝った。
 初日には関西ライフライン研究会の地震防災フォーラムが行われ、国土技術政策総合研究所(国総研)上下水道研究部能登上下水道復興支援室の山上訓広室長が講演。建設コンサルタンツ協会近畿支部・NPO法人あすの夢土木によるシンポジウムも開かれた。
 2日目は橋梁模型製作コンテストの載荷試験をはじめ、「関西のインフラ強化を進める会」のシンポジウムなどを予定している。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168708
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中部整備局、四日市港管理組合/臨港道路幹線検討会開く、霞4号線延伸ルート案提示

 中部地方整備局四日市港湾事務所と四日市港管理組合は6日、「四日市港臨港道路幹線に関する検討会」の2回目の会合を三重県四日市市の四日市港ポートビルで開催した。臨港道路霞4号幹線「四日市・いなばポートライン」の南側延伸計画について4ルート案を示し、関係者で意見を交わした。今後は各ルート案のメリット・デメリット、実現可能性、コストなどを比較検討。最適ルートを選定し、最短で2025年度中の港湾計画改定を目指す。
 第1ルート案は海上を通過し、霞ケ浦南ふ頭の海側エリアと石原地区を結ぶ。第2ルートは、霞ケ浦地区の霞4号幹線を起点とし、霞大橋を通過。海沿いの各エリアを結び、塩浜地区に到達する。第3ルートも霞4号幹線が起点。内陸側を進み、塩浜地区の内陸部を終点とする。第4ルートは、第3ルートとほぼ同じルートだが、一部区間で現道を活用し塩浜地区に到達する。各ルート案の延長や事業期間、経済性などは非公表。
 3月に策定した四日市港長期構想には、臨港交通体系の充実・強化を示し、南北軸確立に向けた新たな道路のイメージを盛り込んでいる。新たな臨港道路幹線の事業実施には、港湾計画への位置付けが必須。整備効果や環境への影響について調査検討、評価、整理し関係行政機関や住民、企業と協議した上で、地方港湾審議会や国土交通省の交通政策審議会港湾分科会の諮問などの手続きを踏む必要がある。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168719
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清水建設/ダム堤体コンクリ急勾配を効率的に運搬、つり下げ構造ベルコン導入

 清水建設は、45度の急勾配であってもダム堤体コンクリートの高速運搬が可能な密閉・つり下げ構造のベルトコンベヤーを現場に導入した。福井県池田町で国土交通省近畿地方整備局が進める足羽川ダム本体建設工事(施工=清水建設・大林組JV)に適用。袋状に丸めた搬送ベルトにより、通常使用される固定式ケーブルクレーンの2・8倍の量を運搬する。生産性を高めて、働き方改革と着実な施工を両立する。
 ダムコンクリート運搬設備「SCプレミアムベルコン」は、海外で実績がある袋状ベルトコンベヤー技術を応用し、古河産機システムズの協力を得て開発した。コンクリート製造設備(バッチャープラント)で製造したコンクリートを、袋状に丸めた搬送ベルトで包み込みながら運搬する。
 約45メートルの高低差を降ろした先にあるホッパーの上で、搬送ベルトを開いて放出。ホッパーからダンプトラックに積み込み、打設箇所に運ぶ流れだ。放出後の搬送ベルトは、当初の格好にして元の位置に戻り、連続的に作業できる。
 同ダムは洪水調節用の流水型ダムで、構造は重力式コンクリートダム。堤体積67万立方メートルの規模。工期は2028年3月までを予定する。
 放流設備などが入る部分はELCM工法(コンクリートダムの合理化施工法の一つ)で施工していたが、その上部はRCDコンクリート(セメント量を少なくした超硬練りのコンクリート)を打設する。10月から同ベルコンを用いたRCDコンクリートを運搬している。1時間当たり最大280立方メートルを運搬できるが、バッチャープラントの製造能力に合わせて180立方メートルとしている。
 当初設計では固定式ケーブルクレーン2台を用いた打設となっていたが、同ベルコンを加えることで施工能力を高める。ケーブルクレーン1台を資機材搬出入に活用できるため、土曜日に行っていた雑運搬作業がなくなり、土日を完全に休工できているという。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168713
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大阪母子医療センター/建て替え基本設計公表、完成イメージ初公開

 大阪府和泉市に位置する大阪母子医療センターの建て替えに関する基本設計概要が6日に公表され、新しい施設の完成イメージが初めて公開された。設計コンセプトは母と子どもに優しい配置計画や安全で効率的な動線、高度な医療支援を目的としたゾーニングが特徴だ。
 新施設は敷地内の高低差を生かし、東側は1階、西側は3階が地上と接する設計となっている。感染症の流行に備えた専用の出入り口も設置し、院内感染防止を徹底する。施設内には新生児集中治療室(NICU)や新生児回復治療室(GCU)、母性病棟、小児病棟のほか、支援学校、リハビリ施設、栄養管理、薬局、放射線部門などを配置。患者と職員の動線を明確に分離することで、快適で安全な医療環境を提供する。
 1階エントランスホールや小児外来待合のデザインイメージも公開した。
 運営する大阪府立病院機構によるとセンターは開院から40年以上が経過し、老朽化が進んだため、地域の周産期・小児医療の拠点病院として機能を強化し、現在地で建て替える。
 新センター棟の計画地は和泉市室堂町。敷地面積は6万8077平方メートル。施設規模はS一部SRC造地下1階地上10階建て延べ3万6967平方メートル。病床数は347床。診療科数は29科。今後、設計・施工一括(DB)方式で事業者を募集・選定し、2025、26年度に実施設計、27~29年度に工事を行い、30年3月の完成を目指す。
 基本設計の説明会は12日を予定している。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168701
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東京都/水管橋点検にドローン活用、見落としゼロ・作業の安全性も確保

 東京都が本格導入したドローンによる水管橋点検が効果を発揮している。これまで目視が難しかった橋の頂上部などを、ドローンに搭載したカメラで撮影。小さな傷なども確認できるようになり、見落としゼロにつなげた。点検時の高所作業がなくなり安全性も確保した。対象の水道橋は水面から非常に高さがあるなど目視検査の難しい9橋。5年に1回の定期点検でドローンを継続利用する。
 水管橋の点検は人が歩廊を使って近くまで行き、目で見て確認している。足場がない上部のアーチ材などは見ることが難しい。水管橋の下部も船上から目視で確認するが、見えない箇所がある場合、長い棒の先にカメラを付けて撮影し、画像で状態をチェックしている。水面から高い位置にある水管橋は棒が届かないケースもあった。
 対象の9橋は区部が5橋で多摩部が4橋。水面から相当な高さがあり、点検が困難な施設を選んだ。周囲に人がいないなどドローンを安全に飛ばせる環境が整っていることも考慮した。2022年度の試行を経て、23年度に本格導入した。
 ドローンによる点検は現場で水管橋の状況を撮影した後、事務所などで録画した映像を確認する。画面には録画した映像のほか、撮影位置をピンで表した航空写真も表示。ドローンで撮影した映像と位置情報を結び付けることで画面上を自由に移動しながら、点検結果をチェックできる。
 ドローン点検の導入に当たり苦労したのは規制や施設管理者との調整だ。航空法、電波法など法令順守はもちろん、例えば水管橋の近くに鉄道や高速道路が通っている場合、それぞれの管理者と協議し、許可を得る必要があった。
 水管橋の損傷は断水につながる可能性があり、都民生活への影響が大きい。点検での見落としをなくすことで大きな事故の防止も期待できる。




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2024年11月7日木曜日

兵庫県/福良港で津波防災施設完成式典開く、西日本初のフラップ式水門採用

 兵庫県が淡路島の福良港(南あわじ市)で進めてきた津波防災インフラ整備事業が完了し、4日に現地で完成式典が開かれた。湾口に新設した3基の水門や防波堤、かさ上げした防潮堤などによる二重防御で、堤内地の浸水被害縮減に大きな効果が見込まれる。式典は服部洋平副知事や守本憲弘南あわじ市長のほか、来賓の国会議員や県議会議員、市議会議員、国土交通省、設計・工事関係者などが多数出席。地域防災の新たな一歩を盛大に祝った。
 同事業は2015年度に着手。沿岸の延長3・3キロにわたって既存防潮堤を約3メートルかさ上げ、一部の未整備箇所に防潮堤を新設し、陸閘も整備した。湾口部では離島を介した延長約1・1キロで、既存防波堤の改良と防波堤の新設で湾内の防護壁を構築。船舶航行用の航路2カ所と「煙島水門」(幅25メートル)、水質環境維持で通水用の「洲崎水門」(幅10メートル)、「既存防波堤水門」(同)を設置した。
 煙島水門は海底に沈めた扉体が浮力で起き上がり、港の開口部を閉鎖する「フラップ式ゲート水門」を採用。西日本で初の採用例となる。新設3基を含む水門と陸閘の計48基で閉鎖操作が自動で行われる。
 津波防災施設の完成によって、数十~数百年に1回程度発生する(レベル1)津波が発生した場合、堤内地の浸水面積を約60%縮減。木造家屋の全壊はほとんど生じず、浸水深を1メートル未満程度に低減する。南海トラフ巨大地震で予測されるような最大クラスの津波(レベル2)では浸水面積を約30%縮減。住民の主体的な避難と合わせて効果を発揮する。総事業費は約140億円。
 式典で主催者代表の服部副知事は「福良港は県内でも優先度の高い津波浸水想定域だった。南あわじ市は住民の防災意識が高い先進地域。今回のハード整備と合わせて一人一人が正しい知識を持って行動につなげてほしい」と話した。
 地元中学生による演奏に続き、関係者によるテープカットとくす玉開披が行われた。




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回転窓/若者を見守る社会に

 「担い手を確保したければコツコツやらないと駄目だ」。先日、取材先で専門工事会社の社長が口にした言葉である。人材確保は経営者にとって悩ましく、地道に取り組んでいくしかないと話す▼リクルート活動の一環で工業高校などに出向き、卓越した技術を教える出前授業が各所で開催されている。ベテランや若い職人が高校生らと触れ合う姿はほほ笑ましくもあり、1人でも多くが業界の仲間になってほしいと願う▼高額報酬を謳(うた)った闇バイトが社会問題になっている。若者が心理的に追い詰められ、凶悪犯罪に手を染めてしまう事件が後を絶たない。闇バイトに申し込んでしまった人に対して警察庁は専用ダイヤルを開設し、勇気を持って相談するよう呼び掛ける▼加害者の多くは金銭的な理由から凶行に及んだとされる。決して許されることではないが、無職や非正規雇用の増加などに伴う貧困化が背景にあると指摘する専門家もいる▼先の経営者の言葉はこう続く。「社会が若者をほったらかしてはいけない」。そうした社会であるにはどうすればいいのか、相次ぐ闇バイト事件の報道に触れて考えさせられる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168665
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国交省/都道府県らとブロック監理課長会議スタート、市区町村への支援強化訴え

 国土交通省は都道府県・政令市の担当者と入札契約制度や建設業行政の課題を議論する2024年度下期「ブロック監理課長等会議」(入札契約担当課長会議)を7日の近畿地区を皮切りに全国8ブロックで開く。時間外労働の罰則付き上限規制の適用などを踏まえ、地方自治体発注工事の週休2日や工期の適正化に重点を置く。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づき小規模自治体の発注体制を強化するため、これを機会に都道府県などと連携した市区町村への支援・働き掛けを強める。
 主要議題は▽持続可能な建設業に向けた制度的対応▽公共発注体制の強化▽公共工事の円滑な施工確保-の三つ。これまでオブザーバーとして参加していた各ブロックの政令市を今回から正規の構成員とする。
 直近の制度的対応として第3次担い手3法の運用について説明。発注体制の強化として都道府県による管内市区町村への入札契約適正化の働き掛け状況を把握し、優良事例の水平展開を図る。自治体発注工事の法令順守の徹底も改めて訴える。円滑な施工確保に向け、施工時期や業務の履行時期の平準化も要請。円滑な価格転嫁の取り組みも推進する。
 日程は▽7日=近畿(開催地・大阪市)▽11日=九州・沖縄(北九州市)▽12日=北陸(新潟市)▽13日=北海道・東北(仙台市)▽18日=中国(広島市)▽19日=四国(高松市)▽22日=関東甲信(さいたま市)▽12月5日=中部(津市)。




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さいたま市/新庁舎(大宮区)基本設計、アール・アイ・エーJVに

 さいたま市は6日、「さいたま市新庁舎整備基本設計業務」の委託先をアール・アイ・エー・環境デザイン研究所JVに決めたと発表した。委託額は6億5084万2500円(税込み、以下同)。公募型プロポーザル方式で選定し、1日に契約した。プロポには3者が参加。同JVは新庁舎ビル横に設ける「屋根付き市民広場」を市民活動の場として具体的に提案した点などが評価された。事業費限度額は6億6871万6400円。履行期間は2026年4月30日まで。
 新庁舎の建設地はJRさいたま新都心駅のバスターミナル周辺(大宮区北袋町1の603の1ほか、敷地面積約1・7ヘクタール)。基本設計先行型の実施設計・施工一括(DB)方式を採用し、新庁舎ビルと民間ビルを分けて建てる。
 南側敷地に新庁舎ビル、北側敷地に民設民営の民間ビルを置く。新庁舎ビルは高層の行政部分をセットバックさせ、低層の議会部分が基壇部となる。ビル横に屋根付きの市民広場を設け、さいたま新都心駅と接続する。
 総延べ面積は約5万平方メートル。うち行政部分は約4万1000平方メートル、議会部分は約3600平方メートル、駐車場は約5300平方メートルとなる。概算事業費は約400億円。このうち予定工事費に371億円を見込む。26年度にDB事業者を決め、27年度以降に実施設計に着手する。工期は28年4月1日~31年2月28日の予定。
 市は基本設計業務の選定に先立ち、9月に「さいたま市新庁舎整備基本設計等発注者支援業務」の委託先を日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)に決定している。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168674
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日特建設/のり面吹き付けを遠隔操作で大容量・省力化、家庭用ゲーム操作機も使用可能

 日特建設はのり面吹き付け作業を大容量化、省力化するロボット施工技術「スロープセイバー」の遠隔操作システムを構築し、5日に福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールド(RTF)で初公開した。最新型式ではない建設機械にも遠隔操作機器が後付けできる汎用(はんよう)性の高いシステムを実現。家庭用ゲーム機「プレイステーション5」のコントローラーによる操作も可能にした。
 スロープセイバーは、吹き付けアタッチメントとバックホウを用いたのり面吹き付け工のロボット施工技術として実際の現場で展開中。LiDARを用いたのり面施工システムも併用することでリアルタイムでの吹き付け厚計測ができる。人力施工に比べ最大70%の工期短縮、同80%の省人化を実現する。新たにインターネット経由の遠隔操作システムを構築することにより、のり面工の担い手不足・高齢化を補完し多様な働き方や安全リスクの高い災害現場などでの施工を後押しする。
 スロープセイバーの遠隔操作システムは、建設現場のDX化を支援するARAV(東京都文京区、白久レイエス樹代表取締役)の遠隔操作・自動運転システム「ModelV」を取り入れた。Wi-Fiなどのネット環境を確保すればバックホウの運転席やコントローラーに遠隔操作機器を簡単に後付けでき、いつどこにいても吹き付け作業を行うことができる。
 同日公開した遠隔操作システムの実証では、担当者がゲームコントローラーで操作しながら人力吹き付け作業の最大5倍程度となる植生基材の大容量吐出を行った。日特建設は21日に東京都中央区の本社でゼネコン関係者らを対象に行うシンポジウムで、同システムの特徴を説明する予定だ。福島RTFの現場公開に立ち会った菅浩一常務執行役員技術開発本部長は、若者が建設業に魅力を感じるようなツールとしての活用や役割にも期待を示した。




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2024年11月6日水曜日

国交省ら/和歌山港などで大規模津波防災訓練、120機関2000人参加

 5日は国連が定めた「世界津波の日」。国土交通省は4日、南海トラフ地震を想定した大規模な津波防災総合訓練を実施した。大阪府、和歌山県、堺市、和歌山市との共催。和歌山市の和歌山下津港西浜地区をメイン会場に、すさみ、串本両町や堺市のサテライト会場で行い、約120機関から官民合わせて約2000人が参加。情報伝達や道路啓開、ライフラインの応急復旧など発災後の対応を確認した。
 訓練には近畿整備局や大阪管区気象台、警察庁、海上保安庁、陸・海・空各自衛隊、関西電力送配電、大阪ガスネットワーク、NTT西日本のほか、日本建設業連合会(日建連)や日本道路建設業協会(道建協)、日本埋立浚渫協会(埋浚協)など多くの建設関連団体が参加した。
 開会式で斉藤鉄夫国交相は「南海トラフ地震が発生すれば、紀伊半島を含めて広域的に甚大な被害が発生し、国難とも言える極めて深刻な影響が生じる。訓練の成果を踏まえ、今後も関係機関との連携を一層強化させる。国民一人一人が防災・減災対策の取り組みを強化してほしい」と呼び掛けた。
 訓練は午前9時50分ごろに遠州灘沖でマグニチュード(M)8の地震が発生し、その35分後に四国沖でM8超の地震が発生、太平洋側の広い範囲で大津波警報が発令されたと想定した。訓練が始まると、津波警報のサイレンとともに防災行政無線スピーカーやヘリコプターなどで高台への避難を呼び掛け、水門の閉鎖や高速道路の通行を規制。航空自衛隊や和歌山県などは航空機やヘリコプターで被災状況を調査し、気象台は津波情報を発表した。
 能登半島地震の教訓を踏まえ、バイク隊や全天候型ドローンによる被害状況調査訓練、人工衛星通信機器を使った現場映像の伝送訓練、巡視船から陸上の給水車への給水支援訓練などを実施。クレーン船で重機を輸送し、道路啓開を行う訓練も行われた。




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回転窓/身近な国土強靱化

 学生と一緒に災害時の支援活動を行っている民間団体の宮崎猛志さんが、「被災地で最初にするのは信頼してもらうこと」と話していた。「だから災害が起きる前からの情報の共有が大切」とも▼宮崎さんは「せたがや防災NPOアクション」(東京都)の代表者。内閣官房国土強靱化室が先月始めた2024年度国土強靱化ワークショップに講師として招かれた。学生と被災地入りするのは「経験を生かして(非常時の)リーダーになってほしいから」と説明する▼同団体は、地域で活動する市民団体のネットワークづくりに取り組んでいる。被災を想定し防災分野から始めた活動は、生活支援や子育てなどの領域にも広がった。さまざまな団体や関係者とのコミュニティーが複数組成されている▼この取り組みは、同室がまとめた24年版「国土強靱化民間の取組事例集」に掲載されている。毎年作成される事例集は今年が記念の10冊目となり、53の事例を紹介する▼ハードもソフトも重要になる国土強靱化。「防災と肩肘張らずに地域の人と付き合ってほしい」と宮崎さん。事例を参考に、身近にできることから備えを進めたい。




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改正業法で契約前通知義務化/資機材・労務のリスク対象に、12月中旬施行

 改正建設業法で規定する契約変更協議の円滑化措置などが12月中旬に施行されるのを前に、受注者から注文者への事前通知を義務化する「恐れ(リスク)情報」の対象とする事象や通知方法を国土交通省が提示した。主要な「資機材」と特定工種の「労務」の二つを対象に価格高騰や供給不足・遅延が生じるリスク情報を書面に記載し、契約前に提出する見積書に添付するなどの対応を求める。同じく12月施行分として創設する現場配置技術者の兼任制度とともに、関係規定の政省令案の意見募集を開始した。=2面に関連記事
 業法施行令・施行規則を改定し規定する。意見の受け付けは12月1日まで。明確な施行日は決まっていないが、同13日の期限前には公布・施行となる。
 改正業法ではリスク情報の通知を受注者に義務付け、それに基づく契約変更の協議の申し出に注文者が誠実に応じる努力義務を課す。資機材や労務のリスクが契約後に顕在化した場合、請負金額や工期の変更協議が円滑に行えるようにする。法施行に合わせ「建設業法令順守ガイドライン」を改定し、具体的な運用上の留意点をまとめる。通知内容は既に把握する範囲で足り、根拠は公表資料を用いることなどを明記する方向だ。
 監理技術者や主任技術者の兼任制度は、同省の有識者会議が2022年5月に策定した「技術者制度の見直し方針」をそのまま踏襲し要件を定める。請負金額1億円(建築一式2億円)未満の工事を2現場に限り兼任可能。現場状況の遠隔監視や施工体制の確認が可能なICTの導入なども要件とし、これらを満たすレベル感や留意点を「監理技術者制度運用マニュアル」に法施行まで整理する。営業所専任技術者も同条件で1現場を兼任可能とする。
 公共工事で義務化されている施工体制台帳の提出をICTで代替可能とする改正公共工事入札契約適正化法(入契法)の措置も同時施行。入契法施行規則の改定案では台帳記載事項を閲覧できる適切なシステムを利用し発注者が施工体制を確認する場合に適用すると規定し、具体例として建設キャリアアップシステム(CCUS)を明記した。




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三井不/東京都日野市のDC3棟総延べ16・2万平米に、設計は鹿島

 三井不動産が東京都日野市の日野自動車日野工場跡地で計画しているデータセンター(DC)の概要が明らかになった。建物は3棟総延べ16・2万平方メートルの規模で計画。設計を鹿島が担当している。施工者や着工・竣工の見通しは明らかにしていない。三井不は現在、同市と相模原市の2カ所でDCの開発を計画。受電容量は合計260メガワットの規模になる予定だ。
 計画地は日野台3の1の32ほか(地名地番、敷地面積11万4118平方メートル)。JR中央線日野駅から約1・2キロに位置する。過去には日野自動車日野工場を構成する敷地で、三井不が2023年に取得していた。日野自動車が計上した譲渡益は約500億円。
 敷地で「(仮称)日野市日野台3丁目計画」を推進する。建物はS造5階建て延べ6万3620平方メートルの規模が2棟、S造3階建て延べ3万3620平方メートルの規模が1棟となる。計画は三井不のロジスティクス本部が担当している。
 同本部は7月、現在計画している開発8件を発表した。内訳は物流施設6件、DC2件。
 発表会で篠塚寛之執行役員兼ロジスティクス本部長は、DCに関し「かなり大きい開発になる」と表現した。AIや5Gが普及する中、「さらなる大きな需要を感じ取っている」とも言い、今後も積極的に用地取得を続けていく姿勢を示した。




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竹中工務店/大規模・高層建物に導入できる木質耐震壁を開発、波形鋼板×CLT

 竹中工務店は、CLT(直交集成板)と波形鋼板を組み合わせた耐震壁「KiPLUS WAVY」を開発した。波形鋼板をCLTとL字形の補剛材(山形鋼)で挟むように取り付けることで地震時の座屈や変形を抑え、従来と同等の耐震性能を実現。10月に日本建築総合試験所の技術性能証明を取得した。大規模・高層建物や壁の配置場所が限られる建物に適用しやすく、需要が高まる中高層建物の木造化の可能性を広げる。
 RC造やS造の架構の一部に木をあらわしで使いながら、遮音・耐震性能などを補完する設計技術体系「KiPLUS」シリーズの第4弾。これまでの技術と同様に、建物の用途や構造にかかわらず導入できる。「WAVY」は波形鋼板と周辺の柱・梁フレームで構成する耐震壁で、2007年の開発以降に70件超の採用実績がある。
 新技術では波形鋼板の片面にCLTをランスクリューボルトで固定し、CLTが傷んだ際には表面だけを交換可能。CLTを木のあらわしとして使うため、これまで見栄えに優れず目に触れない位置に設けていた波形鋼板の耐震壁を、居室空間や建物外観に配置し、豊かな木質空間を創出できる。現在、特許を出願中。
 「KiPLUS WAVY」は、竹中工務店が設計・施工する「神戸学院大学有瀬キャンパス1号館計画」(神戸市西区)に適用予定。建物規模はS造3階建て、工期は10月15日~26年3月31日。今後、別物件にも採用を検討している。




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2024年11月5日火曜日

回転窓/防犯対策のコツを知る

 鍵の修理・交換会社に「玄関に付ける安全な鍵は何かありますか」と聞いたことがある。会社のスタッフいわく。「ご近所付き合いが一番の防犯対策です」▼予想外の答えだが確かにその通りとうなずけた。高齢化に伴ってお年寄りの1人暮らしや空き家が増えると、住民同士の交流も以前のようにはいかない。今後も警戒が必要なのは高齢者を狙った強盗や詐欺などの犯罪だ▼先月には首都圏を中心に相次ぐ強盗事件を巡り、埼玉県内の事件で逮捕された容疑者が特殊詐欺事件にも関わっていたとして再逮捕されている。電話で息子に成り済まし、高齢女性から高額の現金をだまし取るなどした疑い▼犯罪被害を防ぐにはどうすればいいのか。一般社団法人日本防犯学校の梅本正行学長、桜井礼子副学長が監修した『シニアの命と財産を守る 実家の防犯110のコツ』(ナツメ社)は注意点などを分かりやすく解説している▼同書では今まで被害に遭わなかったので大丈夫だという根拠のない自信が、防犯対策への一歩を遠ざけてしまっていると指摘する。防災とも通じる大切なことは、自分事としてもしもにどう備えるかだろう。




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警視庁創立150年-本部庁舎の変遷・上/旧津山藩邸の一部を利用、関東大震災で全焼

 1月に創立150年を迎えた警視庁は事件や事故だけでなく、自然災害の発生時も最前線に立って都民の安全を守っている。警察業務の拠点となる庁舎には安心感や信頼感を表し発信する役割も求められる。震災や戦災、老朽化などさまざまな局面をくぐり抜け、改修や建て替えを繰り返してきた。150年の歴史をひもときながら、皇居の桜田門前に立つ現庁舎への変遷をたどる。
 警視庁庁舎は1874年の東京警視庁の創立とともに設置された。場所は現在の千代田区丸の内1。当時は旧津山藩邸が立っており、一部を改修し利用した。その後、老朽化に伴い新庁舎を建設。82年に同じ場所で木造2階建て延べ約9700平方メートルの「鍛冶橋第二庁舎」が誕生した。
 90年代に東京駅の建設計画が立ち上がり、庁舎の敷地が駅の用地として編入されることになった。このため、現在の第一生命日比谷ファーストなどが立つ場所(千代田区有楽町1)に移転。1906年に着工し、煉瓦(れんが)造り3階建て延べ約9900平方メートルのモダンな「日比谷赤煉瓦庁舎」が11年に竣工する。設計は建築家辰野金吾の指導の下、技師の福岡常次郎が手掛けた。
 庁舎完成から12年後の1923年、関東大震災が発生した。元警視庁施設課の大蔵広明氏は「地震で壊れなかったが、延焼によって3日目に燃え落ちた」と説明する。震災1カ月後に大蔵省が臨時営繕局を設置。現在の馬場先門から和田倉門にかけた皇居前広場に、長さ150メートルの仮設庁舎を半年かけて建設した。建設資材は国が購入し、工事業者に支給。当時は建設資材を集めるのにかなり苦労したという。
 震災復興に向け大蔵省に設置した中央諸官庁建築準備委員会が、優先的に整備する庁舎として総理官邸や警視庁庁舎を選定した。大蔵氏は「当時は治安が悪かったので最優先で造ったのだろう」とみる。
 建設地は千代田区霞が関2。現在の警視庁が立っている場所だ。江戸時代に諸大名の宅地として使われた土地を国が管理していた。震災後、一時的に資材置き場や乗合自動車の車庫になっていた。
 26年に着工し、31年にRC造地下1階地上5階建ての新庁舎(旧桜田門庁舎)が完成する。1階の外壁は豆州産横根沢石で、2階以上は茶褐色のスクラッチタイルを採用した。庁舎正面に配置した塔は、上部をドーム型にする予定だった。その役割について大蔵氏は「図面も残っていないので分からないが、明かり取りだったんじゃないか」と想像する。ところが、当時の国会議員が隣接する皇居を見下ろすことになると問題視。結局、鉄骨まで組み上がっていたが、ドーム部分をなくすことになった。
 戦中の44年末ごろ空襲に備え、屋根を改修。既存のクリンカータイルの上に、厚さ約50センチのコンクリートによる「耐弾層」を打設した。
 戦後、本部職員の数は徐々に増加する。旧桜田門庁舎が完成した31年は1800人だったが、72年には5800人に拡大。通信指令室、交通管制センターも増設したため、庁舎内が手狭になっていた。建物の老朽化も進行していることから、建て替えに向けた動きが本格化する。




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政府/「防災庁」設置準備室が発足、本気の事前防災進める

 石破茂首相が設立を表明してきた「防災庁」の設置準備室が1日、内閣官房に発足した。室長は阪田渉内閣官房副長官補、室長代理を長橋和久内閣官房復旧・復興支援総括官が務める。同日、石破首相と、設置準備を指示された赤沢亮正経済財政・再生担当相が東京・永田町の中央合同庁舎8号館内に看板を掛けた。
 発足式で石破首相は「防災立国を早急に構築することが求められる」と訓示した。2026年度中の同庁設置、専任大臣の配置、「本気の事前防災のための組織」の整備を進める考えを示した。地方創生関係交付金で、防災の先進的な取り組みを支援する枠組みを整える考えも明らかにした。
 準備室は20人体制。内閣官房、内閣府の担当者らで構成。国土交通省水管理・国土保全局防災課の担当者が参事官補佐を務めるなど関係省庁の職員が役職を兼務したり常駐したりする。




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大建設計/人に優しい設計目指し新経営計画、HP刷新し“大建らしさ”発信

 大建設計は、新たな経営方針を策定した。大きな柱に環境や生命、人に優しい設計を目指す「Design for Life & Human」を掲げ、3カ年の経営計画を決定。この方針に沿った形で1日にホームページ(HP)を刷新した。「やさしい」など平易な表現を取り入れるとともに、手掛けた作品の利用の在り方が伝わるような動画を前面に打ち出した。部門紹介では業務概要に加えて、部門長の写真や思いも盛り込んでいる。同社で働く人の姿をより積極的に伝えることで採用力強化を狙う。
 同社は、3カ年を対象とする「行動計画アジェンダ」を経営の指針に掲げてきた。これを踏襲しつつ総括した上で、新たに経営方針2024「大建らしさを大切に、未来へ進む-環境はもとより、生命、そして人に優しい設計を目指して」を打ち出した。
 人に優しい設計の実現へ向けて、▽やさしい▽つづける▽こころを込める▽やってみる▽ささえ合う-という5項目を設定。利用者に寄り添い、所有者を支える建物づくりを目指すことや、蓄積してきた技術を磨いて未来につながる価値を築く方向性を示した。社員幸福度の充実も盛り込んだ。今後は3~4年をめどに経営方針を改定していく。
 刷新したトップページには、同社が手掛けたさまざまな作品に人が訪れて、笑顔で利用する様子の動画を掲載した。本社以外の事業所も写真を含めて紹介したり、役員の紹介では略歴に加えて、手掛けた作品、趣味を掲載したりするなど、同社の姿がより伝わるよう工夫した。
 菅野尚教社長は「ライフ&ヒューマンが感じられる面白くて温かい“大建らしさ”を社内外により理解してもらう。実績だけではなく、当社の人も分かってもらい採用に役立てたい」と狙いを話す。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168576
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名古屋市/アスナル金山エリア再整備の事業協力者を募集、11月12日に要項説明会

 名古屋市は1日、市有地と民有地の共同開発を計画しているアスナル金山エリアの再整備事業を具体化するため事業協力者の募集手続きを開始した。12月19日まで応募登録を受け付ける。提案書類の受け付け期間は2025年2月6日から12日まで。同3月下旬以降に審査結果を公表する予定。市は募集要項説明会を12日に開く。参加希望者は7日までにメールで申し込むことが必要。
 参加資格は単体か企業グループで、▽14年度以降に完了した地区面積1・5ヘクタール以上の第1種市街地再開発事業で事業者(参加組合員、特定建築者、特定業務代行者、共同施行者含む)としての参加実績▽14年度以降に供用開始した大規模建築物(業務施設を含む複合用途で高さ100メートル以上、または延べ5万平方メートル以上)の設計、施工または発注の実績▽1日当たり5万人以上の駅に隣接した区域での開発、設計または施工の実績▽14年度以降、500席以上の劇場の設計、または施工の実績。企業グループの場合は構成員全体で要件を満たせばよい。
 アスナル金山再整備は、中区金山1のアスナル金山街区の市有地と12番街区の民有地の土地を交換し、市街地再開発事業で開発することを想定している。整備内容の詳細検討や事業性などの検証段階から民間事業者の技術やノウハウを取り入れ、2カ年かけて再整備基本計画をまとめる。
 提案対象範囲は、アスナル金山街区と金山1丁目12街区で構成するアスナル金山エリアと周辺道路を含めた約3・6ヘクタール。このうち宅地は市所有分が1万4200平方メートル、民間所有分は2605平方メートル。業務内容は導入機能の検討・市場調査、駅前複合施設計画案の作成、道路や交通ターミナルなど公共施設再整備検討、事業スキーム案作成など。
 今後の想定スケジュールは、本年度に再整備実施方針を策定する。25~26年度で再整備基本計画を策定するとともに、26年度に民間事業参画者を公募、選定する。順調に進めば32年度以降の事業着手を目指している。
 募集要項などは市ホームページに掲載。資料の提出、問い合わせ先はアスナル金山再整備事業事務局(住宅都市局まちづくり企画課、電話052・972・4224)。




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2024年11月1日金曜日

建築へ/上智大学1号館が東京都選定歴史的建造物に、れんが調の重厚な外観

 上智大学のシンボル校舎「1号館」(東京都千代田区、1932年竣工)が東京都選定歴史的建造物に選ばれた。スイス人建築家が設計したれんが調の学校建築。竣工当時はエレベーターも設置されるなど、最新の設備と重厚な建築で知られた。戦時下の東京大空襲による被害もなく、残存しているケースが少ない貴重な建物だ。四谷キャンパスの正門近くに位置し、現在も大学のランドマークとして親しまれている。
 東京都選定歴史的建造物は、築50年を経過した歴史的な価値を持つ建造物のうち、景観上重要な建物。都知事によって選定される。
 1号館の所在地は紀尾井町7の1。RC造地下1階地上4階建て延べ4518平方メートルの規模となる。日本で数多くのカトリック教会を手掛けた建築家マックス・ヒンデル(1887~1963年)が設計した。
 外壁は1階が花こう岩のルスティカ積みを採用。表面を滑らかに加工せず、自然な凹凸をあえて残しているのが特徴だ。2階以上は赤色二丁掛けタイル貼りで変化を持たせている。各階の窓の上下には突起状のリブを配置し、水平線を強調した印象的な外観を生み出している。
 上智大学はカトリック修道会の一つ、イエズス会が中心となり、1913年に創立した。18年に大学令が公布されると大学への昇格を目指すようになる。当時の学校関係者が大学に昇格した時、いろいろな施設や教室が必要になるであろうとの思いから、1号館の建設に向け動き出した。
 建設の背景には世界規模でのドラマと善意があった。資金の確保に尽力したのはドイツ人のブルーノ・ビッテル神父。ドイツのケルンに募金事務所を設置し同国内だけでなく、オランダやフランス、米国などのカトリック教会や学校に募金を呼び掛ける書面を送付。多くの人が募金に応じた。
 募金活動を展開する中、大きな影響を与えた人物の1人がローマ教皇ピオ11世だ。校舎建築のため募金する人に対し、「大いなる愛と父親としての感謝の念を込めて教皇祝福を与える」と発信し、全世界からの寄付につなげた。
 32年6月12日に1号館が完成。地下は学生食堂や浴室、機械室、1階には事務室や図書館などを配置。2~4階は大小さまざまな教室が入った。当時としては珍しいエレベーターも完備した。
 校舎西側の2、3階には約310人が収容できる講堂(398平方メートル)を設け、入学式や卒業式、ミサ、講演などの会場として使った。71年に体育館が造られると学校行事の会場は体育館に移行した。同年、講堂は劇場に改造。壁や柱をペンキで黒く塗り、照明装置も設置した。現在も学生の演劇活動の場として活用。「上智小劇場」と呼ばれている。
 1階の廊下の天井には竣工時からある時計がつり下げられている。上智大学総務局の栗原康行さんによると「卒業式などで学生がよく写真を撮っており、フォトスポットになっている」という。現在は1階の廊下にあるが、建物完成時は全階か、2階の廊下だけに設置していたと見られている。
 上智大学は1号館を改修する時に外観のイメージを壊さないよう、行政と協議を行う。例えば窓枠は鉄製からアルミ製に変更しているが、竣工当時の風合いを再現した。内部も昔のままを維持する一方、安全性確保などの観点から必要な改修や設備の導入を行っている。
 2008年度には耐震改修を実施した。新型コロナウイルスが流行した時は「昔の建物なのでコロナの時の換気基準を満たしていなかった」(総務局・松崎憲隆さん)ため、全ての教室の窓に換気扇を設置することになった。その際、建物裏手に設置したため、表側の景観は何も変わっていないという。
 今後の1号館の在り方について、栗原さんは「上智大学のシンボル的な建物である一方、教室として今でも使っている。学生の思い出の場所になるよう、現在の状態を維持して将来の世代に引き継いでいきたい」と展望する。




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東保証/23年度財務統計指標、総資本経常利益率が3年連続低下4・06%

 東日本建設業保証(東保証、栗田卓也社長)は10月31日、中小建設会社の経営活動実態を分析した「建設業の財務統計指標(2023年度決算分析)」を発表した。収益の総合指標にしている総資本経常利益率は前年度から0・26ポイント低下の4・06%と3年連続で低下した。資材価格の高騰や賃金のアップなどで経費が増加し、利益が圧迫されていることが要因と見られる。地区別では新幹線工事で全体的に売り上げが伸びていた北陸地区が5・18%と最も高かった。
 調査は公共工事前払金保証を扱った中小建設会社の経営活動実態を把握し、合理化の参考にしてもらう目的で行っている。23年度版は23年4月期~24年3月期の決算書を受け取った東日本にある企業のうち、2万0574社を対象に調査した。
 経常利益を総資本で割った総資本経常利益率は、業種別で電気が5・38%で最も高く、建築が2・55%と最も低い。地区別では北陸が最も高いのに対し、最低は東北の3・15%だった。収益性は「ここ数年、東北の低さが全体の足を引っ張っている」(東保証)状態が続く。福島県での除染工事など、震災関連工事が減少する中で、24年度以降は東北の動きや能登半島地震による北陸への影響などが注視される。
 資金の流動性を表す「当座比率」は、東日本全体の平均で前年度比8・06ポイント低下の401・30%で、業種別では電気の482・10%が最高で、土木建築が341・59%と最低だった。
 財務の健全性を示す自己資本比率は、東日本平均で1・33ポイント上昇の42・90%。業種別では電気が52・55%で最も高く、最低は34・17%の建築だった。
 労働生産性の代表指標になる1人当たり付加価値は、東日本平均で17万円増の1171万円。業種別では土木建築が1289万円と最も高く、管が1040万円と最低だった。都道府県別では東京が1347万円で最も高く、岩手県の929万円が最も低い。東京は生産性向上の効果が出やすい大型工事が多く行われている影響で1人当たり付加価値が高まっていると見られる。




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大阪府/茨木寝屋川線を阪急京都線と立体交差、400億円投じ25年度事業化

 大阪府都市整備部は茨木市から寝屋川市に至る都市計画道路・茨木寝屋川線街路事業のうち阪急京都線との立体交差部を含む未着手の約1・5キロ区間について、2025年度に事業化する対応方針案(事前評価)をまとめた。約400億円を投じ、39年度の完成を目指す。10月31日に開いた府建設事業評価審議会都市整備部会で事業目的や費用対効果、整備スケジュールを説明。説明資料を一部修正の上で「事業実施を同意する方向」という結論を得た。
 対象区間は阪急茨木駅大住線との分岐点(茨木市大住町)から茨木鮎川線に合流する地点(寺田町)までの延長約1500メートル。両側に自転車道などが付く片側1車線道路。計画区間は両端が一般部、中央部が掘割とボックスカルバートからなる地下構造物となる。平面道路の一般部を経て掘割区間で傾斜を付け下り、阪急京都線や府道高槻茨木線、牟禮神社直下をボックスカルバートでアンダーパスする。幅員は一般部21・5~24・5メートル、阪急京都線を挟んだ北側の掘割部24・5~55・0メートル、南側掘割部21・5~23・5メートル、ボックスカルバート部15・1~17・9メートルを見込む。北側の掘割部は両側に歩車道と路肩で構成する側道が連結する。
 全体事業費は396億5000万円。内訳は調査・設計費が8億8000万円、工事費171億1000万円(道路築造工160億6000万円、電線共同溝工10億5000万円)、用地費216億6000万円を概算する。
 今後は府民から意見を募集し、25~28年度に測量・設計、28~37年度に用地買収、31~39年度に工事を予定する。事業が実現した場合の費用便益比(B/C)は1・39。
 資料の修正で委員からは「平面交差ではなく立体交差させる必要性をしっかり示すべきだ」「渋滞の状況と解消する効果をもっと詳しく説明した方がいい」といった意見が出た。
 同日は「国道170号高槻東道路道路改良事業」の再々評価も実施したが、審議継続となった。




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関東整備局利根川水系砂防ら/浅間山火山砂防で遠隔降灰調査実証実験

 ◇内閣府SIPと連携
 関東地方整備局利根川水系砂防事務所が直轄火山砂防の対象となっている浅間山で、最先端技術を導入した防災の取り組みを展開している。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)と連携し、遠隔で操作する降灰調査ロボットなどの社会実装を進め、革新的な土砂災害防止の実現を目指す。10月30日、浅間山中腹にある東京大学地震研究所浅間火山観測所(長野県軽井沢町)で実証実験の様子を公開した。
 火山噴火の危険性が高まると火口周辺の立ち入りが規制される。噴火後は降灰による土石流や火山泥流の危険性を調べるため、直ちに降灰量の調査が定められている。ただ危険な立ち入り規制区域内での降灰量調査が必要になるため、ドローンやロボットを使った遠隔での調査手法の確立が急がれている。
 内閣府のSIP(第3期、2023~27年度)では、「スマートインフラマネジメントの構築」の1課題として「人力で実施困難な箇所のロボット等による無人自動計測・施工技術開発(火山砂防)」を挙げ、遠隔降灰調査技術の開発に取り組んでいる。開発は工学院大学(羽田靖史准教授)、国際航業らのグループが担当している。
 同グループが開発した降灰厚計測計測デバイスは、ドローンにより山中に運ばれ降灰計測後に回収される。同日公開された機体は3号機。23年度の実証実験で使用した2号機はアルミ製だったが、3号機はカーボン製に素材を変更。これにより機体重量を大幅に軽量化(5・5キロから3・8キロに)した。
 回転するブラシで灰をかき、3Dカメラで撮影することで降灰厚を計測する仕組みは変更ない。3Dカメラに市販のiPhoneを使うことで操作性が向上し、内部機構も単純化できたという。量産を含めた社会実装を見据え、入手が容易な市販品を多用し、メンテナンス性、耐水性、防じん性を高めた。
 同日の実証実験では降灰厚調査に用いる降灰マーカーや降灰スケールのほか、開発中の降灰サンプリングデバイスや可搬型雨量計なども紹介した。これら技術を組み合わせ、噴火後、迅速に火山灰の状況を把握。取得したデータを国土交通省の火山噴火リアルタイムハザードマップに入力し、土石流や火山泥流の危険性をいち早く把握して周辺住民の早期避難につなげるのが狙いだ。
 利根川水系砂防事務所では、噴火時の緊急調査を想定した遠隔無人での降灰計画策定を目指している。




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大林組ら/石川県輪島市の啓開工事で現場状況をデジタルツイン化、ドローンを遠隔運航

 大林組とKDDIスマートドローン(東京都千代田区、博野雅文社長)は、石川県輪島市の国道249号啓開工事に自動充電ポート付きドローンを常設し、現場状況を日々デジタルツイン化する取り組みを始めた。全長約3キロにわたって切り土・盛り土から舗装までを行う工事で、日ごとに広範囲の土量計算や工事出来高管理などの計測作業を実施。広範囲の自動計測ができる充電ポート付きドローンの遠隔運航により、迅速に現場状況を把握できる。関係者へ情報共有し、現場作業の効率化に貢献している。
 ドローンは月~金曜日の毎日、都内にあるKDDIスマートドローンのオフィスで遠隔運航。撮影した写真を低軌道衛星通信(スターリンク)経由でクラウドにアップロードし、写真から3Dモデルとパノラマ写真を生成して現場状況をデジタルツイン化する。
 2022年度に実施した検証事業で現場監理業務を80%削減できることを確認しており、今回の啓開工事の監理業務でも同程度、作業を効率化している。自動充電ポートを活用しない一般的なドローンによる測量と比較した場合も、現場までの移動時間や現場での準備やデータ処理などにかかる時間(1日当たり約75分)の削減を確認している。
 9月21日に発生した能登豪雨でも、自動充電ポート付きドローンの運航を継続。3Dモデルを生成することで、迅速な現場の被害状況把握に活用した。工事現場のデジタルツイン化で現場状況を把握するだけでなく、ドローン撮影で得たデータとさまざまな工事情報を組み合わせて活用し、建設機械施工の自動化などにつなげる。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168525
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