2024年11月18日月曜日

建専連/全国大会で寸劇や鼎談、サブスクで元下契約のアイデアも披露

 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)が14日に東京都内で開いた全国大会で、若年層から選ばれる魅力的な産業への変革が求められる建設業界の今後を展望する寸劇と鼎談(ていだん)が行われた。改正建設業法に基づく「労務費に関する基準(標準労務費)」の勧告を契機に、賃金原資となる適正な労務費の確保と行き渡りに期待が集まる中、業界に根付いた旧来的な商慣行など課題は多い。専門工事会社の経営者や職人、元請の所長それぞれの苦悩を寸劇で表現し、それらの立場を超え業界関係者全員で取り組むべき方向性について討論した。
 寸劇は建設工事の下請となる専門工事会社の立場で、標準労務費の必要性を訴える内容だ。アンケートや取材で専門工事業界の生の声をストーリーに反映させ、建専連傘下団体の会員企業の経営者などが自ら演じる。請負価格が仕事量の繁閑に左右される実態などをリアルに表現。発注者を含むサプライチェーン(供給網)全体で適正な労務費を行き渡らせるにはどうすればいいか、問いを投げ掛ける。
 鼎談には平田研国土交通省不動産・建設経済局長と蟹澤宏剛芝浦工業大学建築学部教授、浜田紗織ワーク・ライフバランス取締役が参加。いずれも標準労務費が発注者から一人一人の働き手まで参照できる「相場観」として機能することの意義を語った。
 平田氏は寸劇で描かれた元請との価格交渉について言及し「(下請には)現場で改正業法の条文を示して武器にしてもらいたい」と呼び掛ける。労務費ダンピングや価格転嫁拒否を禁じる新たな規制措置を、交渉時に無理を要求された際に盾として活用してほしいと訴える。
 交渉の中で元請に相見積もりをされる場面に触れ、蟹澤氏は品質や待遇が優良な企業とそうでない企業が「玉石混交の中で比べられるのはおかしい」と指摘。改正業法に基づき見積もりを行うことが浸透することで「フェアトレード」に近い形になり、こうした取引環境の変化を「もっとエンドユーザーに訴える必要がある」と話した。
 実際の職人への取材を基に、寸劇では年単位などの定額料金を支払う「サブスクリプション」で元下契約を行うアイデアも披露した。コンスタントにタイミング良く仕事を受注できれば元下双方のメリットになる仕組みだ。蟹澤氏は技能者が今後も減少する中、元請側が施工力を常時確保したい思惑から「実際にサブスクのような発想も出てくるのではないか」と予測。建設キャリアアップシステム(CCUS)をベースに企業間で社員を「貸し借り」できるような制度も繁閑調整に有効として「業界で制度化に向け声を出してみては」と提言した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168993
via 日刊建設工業新聞

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