2024年11月18日月曜日

100年に一度への貢献-パシコンと渋谷大改造・1/鉄道再編が懸案解決の契機に

 ◇公平な最適解を求める姿勢で
 東京を代表する繁華街の一つ、渋谷駅周辺が変貌を遂げている。約20年前から構想されてきた駅周辺5街区の建築計画のうち、最後に着工したShibuya Sakura Stageが7月に全面開業し、全貌が見えつつある。建物に注目が集まりがちだが、「100年に一度」と評される大改造は交通基盤の整備・再編が起点。膨大な調整と検討が求められる中、多くの業務を手掛けたのがパシフィックコンサルタンツ(パシコン)だ。建設コンサルタントの視点から渋谷大改造をひもとく。
 大改造は、東京メトロ副都心線の開業に併せて、東急東横線の渋谷駅周辺区間が地下化され、相互直通運転を始めることがきっかけだ。東横線渋谷駅跡地という巨大空間が生まれることから、未来に向けた基盤整備や街の魅力を高める民間開発を進めることとなった。
 東京都や渋谷区、都市再生機構ら公的機関、地域住民、JR東日本や東京メトロ、東急電鉄ら関係者は緊密に連携。「渋谷駅周辺整備ガイドプラン21委員会」(2001~03年)や、現在も続く「渋谷駅中心地区まちづくり調整会議」などさまざまな検討組織を通じて議論を重ねてきた。
 有識者として参画してきた岸井隆幸氏(計量計画研究所代表理事、日本大学名誉教授)は「渋谷は谷地形で大雨時に浸水する。昔の基盤を相当造り替える必要があった」と説明する。中心部を流れる渋谷川の浸水対策はもちろんのこと駅施設の老朽化への対応や交通機関間の乗り継ぎの改善も課題だった。安全性、利便性、快適性のすべてで抜本的な対応が必要だった。
 パシコンは、渋谷駅周辺の地下から地上4階の高さに至る基盤部分を中心に多数の業務を受託してきた。久保寿社会イノベーション事業本部総合プロジェクト部長は「最適な形を考えるために何度も街を歩いた」と振り返る。生かすべき魅力や解決すべき課題を考えるため、渋谷を知ることから仕事は始まった。
 「未来を支える都市基盤の再編・整備を支援するため、公平に最適解を求める気持ちで臨んできた」。小脇立二社会イノベーション事業本部総合プロジェクト部拠点まちづくり室渋谷エグゼクティブプロジェクトマネージャーは自らの立ち位置をこう説明する。建設コンサルタントは、業務ごとに1者の発注者を支えるのが一般的だが、同社が網羅的に手掛けられるが故に、官民の垣根を越えて多くの業務に取り組んだ。
 「ある発注者の投げ掛けを、別の発注者の立場で自ら受け取るようなこともあった」(小脇氏)。シビアな検討や協議は今も続く。それを支える技術力と調整力こそが、建設コンサルタントの真骨頂とも言える。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168998
via 日刊建設工業新聞

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