2014年11月30日日曜日

高砂熱学工業/女性技術者コンビ奮闘/都内の高層住宅棟空調設備工事で

 ◇「人物本位で仕事の結果を見てほしい」  東京・紀尾井町のグランドプリンスホテル赤坂跡地で進む再開発事業のうち、住宅棟を建設するプロジェクトの空調設備工事で、高砂熱学工業に所属する2人の女性技術者が奮闘している。現場代理人を務める入社7年目の豊岡真奈美さんと、同じく3年目の吉田英美さん。今年4月からコンビを組み、来春以降に本格化する工事に向け、準備に追われる。最盛期には50人を超す技能者を指揮する豊岡さんは「性別に関係なく、人物本位で仕事の結果を見てほしい」と話す。  西武プロパティーズ(埼玉県所沢市、安藤博雄社長)が進める「紀尾井町計画住宅棟新築工事」は、都内有数の規模を誇るグランドプリンスホテル赤坂跡地の再開発事業のうち、免震構造を採用したRC造地下2階地上21階建て延べ2万2700平方メートルの住宅棟を建設するプロジェクト。日建設計が設計・監理を担当し、西武建設・大林組・前田建設JVが施工を担当する。高砂熱学工業は空調設備工事を受注し、吉田さんは昨年6月、豊岡さんは今年4月に現場に配属された。  豊岡さんが現場代理人を務めるのは今回が初めて。高等専門学校の電気工学科を卒業し、技術者として入社した08年から6カ所目の工事で、現場を指揮する大役を任された。吉田さんは12年春の入社から2カ所目の現場。「竣工を待たずに今の配属が決まったので、この現場ではぜひ、竣工の瞬間に立ち会いたい」と話す。  産業界全体で女性の活躍にスポットが当たり、建設業界でもこれまで以上に女性が働きやすい環境づくりを進める機運が高まっている。「仕事をする上で性別を意識することはほとんどないし、世の中の流れも気にならない」と豊岡さん。これまで赴任した現場では「先輩方が働きやすい環境づくりにずっと取り組んでくれていた」と感じることも多かった。  現在は、空調設備工事の本格化に向け準備作業の真っ最中。豊岡さんは「工事が始まる前にどれだけ頑張れるかが勝負所。日々つらいことも少なくない。けれどもそれを乗り越えるていくのが仕事の醍醐味(だいごみ)だと思う」と話す。一方、「現場で技術者としての経験を積み、将来は設計業務にも携わってみたい」という希望を持つ吉田さんは、頼りになる先輩所長と二人三脚で仕事と向き合いたいという。  「決して女性技術者は特別な存在ではない。けれどもいつかは『自分を見て入社を決めた』と言ってくれる後輩ができたらうれしい」。豊岡さんは吉田さんと共に、周囲の期待に応えたいと強く願っている。
「現場ではコミュニケーション能力が何よりも大切」と話す豊岡さん㊧と吉田さん

2014年11月28日金曜日

千葉県印西市、JR東日本/成田線小林駅新駅舎が利用開始/南北アクセス改善

 千葉県印西市とJR東日本が整備を進めていたJR成田線小林駅の新駅舎=写真=が完成し、市民の利用が始まった。新たな駅舎はS造2階建て延べ1028m2の規模で、改札口と南北自由通路を橋上に設けた。自由通路の北側と南側にはそれぞれエレベーターとエスカレーターを設置し、バリアフリー化を図った。設計はジェイアール東日本建築設計事務所、施工は東鉄工業が担当した。
 小林駅の所在地は印西市小林。橋上駅舎にすることで南北のアクセスを改善し、利便性を高めた。2階コンコースには水平の連続窓を設け、豊かな田園風景を眺められるようにした。自由通路の南北2カ所の階段は仮設のため、今後は本設階段を新設するとともに、既存地上駅舎や乗り換え用陸橋を解体する。
 現場を管理する東鉄工業の山田英彦所長は「無事に供用開始の日を迎えることができた。非常に厳しい工程だったが、全員のチームワークで乗り切った。工事に携わった大勢の方の努力と頑張りにも感謝している。地域社会に貢献できたことが一番うれしい」と話している。

大成建設ハウジング/お絵かきコンテスト審査結果発表/HPで受賞作品紹介

 大成建設ハウジングが主催する第3回「お絵かきコンテスト」の審査結果が発表された。応募82作品の中から最優秀賞に愛知県の女の子(10歳)が描いたカラフルでにぎやかな作品を選んだほか、優秀賞3作品、パルコン賞5作品、特別賞3作品を選出した。
 同コンテストは、幼児から中学生までを対象に住んでみたい同社製品「パルコン」や「夢のお家」を募集するもので、12年から毎年開かれている。
 各受賞作品と審査コメントは同社のホームページ(http://www.palcon.jp/oekaki)で30日まで紹介している。

建設技術研究所/在宅勤務制度を導入/15年4月に地域・職務限定社員制度も

 建設技術研究所は、多様な働き方が可能な職場環境を実現する取り組みの一環で、在宅勤務制度の運用を開始した。育児などを行う社員を対象に週1回を限度に自宅での勤務を認める。情報漏えいなどのリスクを回避するため、在宅勤務に当たっては使用する情報通信機器などであらかじめ会社の承認を受ける。
 同社は、仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス=WLB)の実現を経営課題の重要項目に位置付ける。育児や介護などと仕事の両立を図るため、社内で勤務制度や職務規程のあり方を検討。実施施策の一つとして9月に在宅勤務規定を制定し、11月に運用を開始した。
 在宅勤務以外にも15年4月の制度化を目指し、転勤がない地域限定勤務や特定の専門領域を極める職務限定勤務といった働き方の導入を計画している。制度の具体的な内容は13年4月に立ち上げた生産構造改革本部が検討中。新しい社員制度への移行に合わせ、同社は処遇のあり方や名称なども詰めていく。

2014年11月27日木曜日

大阪府、大阪市立大学/都市基盤維持管理で包括協定/地域維持管理連携PF発足

 大阪府都市整備部と大阪市立大学大学院工学研究科は25日、大阪市住吉区の同大学で、都市基盤施設の維持管理などに必要な技術的助言や調査研究で相互協力する包括協定を締結した。また同日、泉北地域と泉南地域の府の出先事務所と市町、同大学は、維持管理技術の情報共有や人材育成などを共同で取り組む地域維持管理連携プラットフォーム(PF)を発足。地域を限定した官学連携の都市基盤PF構築は全国でも珍しい。今後、府内他地域でのPF組成を進めていく。
 締結式には府と同大学、PF参加市町、近畿地方整備局、堺市の関係者が出席。竹内廣行都市整備部長と同大学大学院の日野泰雄工学研究科長が協定書に署名し、協定を締結した。
 竹内部長は「学識者に参加いただいている大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会から行政の枠を越え、大学と連携した都市基盤施設の取り組みが必要との答申を踏まえ、協定を締結した。PFの場で助言いただくと共に、府市町のインフラを新技術開発などのフィールドとして活用いただきたい」、日野科長は「府や市町とともに活動できることをうれしく思う。都市基盤施設は都市生活者にとって大きな財産なので、行政の取り組みにできるだけ対応したい。新しいものを生み出せる可能性もある」とあいさつ。
 宮野道雄副学長も「PFの中で、本学教員が課題解決に役立つと大変うれしい」と期待を表明した。
 続いて泉北地域と泉南地域のPF合同設立式を開催
 各PFの構成機関は次の通り。
 【泉北PF】府鳳土木事務所、府南部流域下水道事務所、府堺泉北港湾事務所、泉大津市、和泉市、高石市、忠岡町、大阪市立大学、堺市(オブザーバー)
 【泉南PF】府岸和田土木事務所、府南部流域下水道事務所、府阪南港湾事務所、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町、大阪市立大学。
。今後、PFは維持管理ノウハウの情報共有と蓄積、維持管理・更新に役立つ職員研修実施、テクニカルアドバイザーの選定・相談、維持管理業務の地域一括発注に関する調査研究などに取り組む。

13年の水害被害額、4千億円に/台風18号・26号が影響/国交省調査

 2013年に全国で発生した洪水などの水害による被害総額は約4000億円に上ることが国土交通省の調査で分かった。全壊・流失などの被害が出た建物の総数は約4・4万棟。被害総額・棟数とも過去10年で4番目に大きかった。被害総額の大半を京都市の嵐山地区周辺に浸水被害をもたらした台風18号(被害額約1500億円)と、伊豆大島に大規模土砂災害をもたらした台風26号(約400億円)が占めた。
 被害総額3970億24百万円の内訳は、一般資産等1900億88百万円、公共土木施設1925億70百万円、公益事業等143億66百万円。被災建物4万4228棟の内訳は、全壊・流失341棟、半壊1169棟、床上浸水1万1877棟、床下浸水3万0841棟。浸水区域面積は3万5409ヘクタールで、うち宅地が1万5462ヘクタール、農地が1万9947ヘクタールだった。
 被害額を都道府県別に見ると、台風18号の影響で京都(625億4百万円)が突出して高く、岩手(332億31百万円)、島根(292億92百万円)、山口(273億62百万円)の順で続いた。

2014年11月26日水曜日

首都高速会社/積雪・凍結対策の出陣式開く/対策車両パレードも

 首都高速道路会社は25日、14年度積雪・凍結対策の出陣式を首都高新木場補修基地(東京都江東区)で開いた。菅原秀夫社長をはじめ、同社の幹部やグループ・協力会社の職員ら約140人が参加。対策期間中(12月1日~15年3月31日)の安全・安心で快適な利用環境を提供することを確認した。期間中約130台を投入する対策車両のパレードも行われた。
 出陣式に先立ち、安全祈願祭が行われ、菅原社長、安藤憲一常務執行役員、高村栄二執行役員、子会社の社長らが玉串をささげ、本年度の対策が安全に行われるよう祈った。
 出陣に当たり、菅原社長は「首都高は交通量が非常に多く、首都圏だけでなく、日本全体の経済活動を支えている。自然災害が多発しているので、気を引き締めて対策に当たろう」とあいさつ。続いて渡辺久東東京管理局長と首都高メンテナンス東東京の寺村昭彦現場代理人が出陣に当たっての決意を表明し、グループ・協力会社が一丸となって対策に取り組むとした。
 パレードでは「交通パトロールカー」「塩水散布車」「塩化ナトリウム散布車」「湿塩散布車」「スイーパー」など10種類の対策車両が1台ずつ紹介された。同社は、13年度までの経験を踏まえてまとめた積雪・凍結対策の方針「大雪対応時の心構え」と題する小冊子を、同社と子会社などの積雪・凍結対策に取り組む部署の職員に配布した。

回転窓/まち・ひと・しごと

 ある地方の街を所用で訪ねた。東京都心から電車を乗り継いで2時間余。駅を出ると、土曜の昼下がりというのにほとんど人の姿がない。人待ち顔のタクシーが2台ばかり。駅前広場に面した店舗はすべてシャッターを下ろし、駅前通りも絵に描いたような「シャッター通り」である▼「店があるのはバイパス沿いだけ。駅前は土地も動かない」と地元の不動産屋。通りの所々に歯が抜けたようにある空き地の雑草が晩秋の斜光を浴びて痛々しい▼地方の至る所でこうした光景が見られるようになって久しい。再生がさんざん叫ばれながら衰退に歯止めが掛からないのは、政策が間違っているのか、それとも衰退・消滅が避けられない運命なのか▼衆院が解散した先週末、地方創生関連法が駆け込みで成立した。「まち・ひと・しごと創生法」。地方の駅前から失われたものをその名に並べたこの新法が再生の切り札になるのかどうか▼用を終えて戻った東京は数時間前に見た光景とは打って変わって人、人、人の波。選挙で政権がどう変わろうと、地方再生の重要性は変わるまい。今必要なのは理念より実行だろう。

長野県北部で震度6弱/インフラ復旧に全力/テックフォース派遣や道路応急修繕

 長野県北部で22日夜、最大震度6弱の地震が発生した。死者は出なかったが、住宅の倒壊被害が目立ったほか、各地で道路に陥没や段差が発生。土砂崩れで線路が埋まったため鉄道も一部で寸断している。国土交通省関東地方整備局と地元の長野県建設業協会は、インフラの復旧に全力を挙げた。
 今後の降雨の状況によっては土石流などの二次災害が発生する可能性もあるため、関東整備局は緊急災害対策派遣隊(テックフォース)などを現地に派遣し、地盤が緩んだ山間部で危険箇所の調査を急いでいる。長野県建設業協会からは会員企業らで組織するJVが出動。陥没した道路の応急修繕など機動的に対応している。
大きな揺れに見舞われた地域では住宅の倒壊被害が目立つ(長野県提供)

2014年11月25日火曜日

建コン協/年齢構成40代が突出、「将来大きな問題に」/技術者実態調査結果

 建設コンサルタンツ協会(建コン協、大島一哉会長)は、会員428社を対象に行った技術者実態調査の結果をまとめた。人材不足が深刻化する中で、各社が雇用する技術者の人数や年齢構成などを調査。回答した174社の技術者総数は4月1日時点で合計2万0801人で、年齢構成は40代が7260人と34・9%を占めて最も多く、20代と30代を合計した6980人を上回った。建コン協は「いびつな年齢構成は将来、大きな問題になる」(大島会長)と危機感を募らせている。  調査は、会員各社に在籍する技術者の実態、特に若年層や女性の採用・登用状況を把握する目的で実施した。調査時期は6月、回収率は40・7%だった。  技術者総数の内訳は男性1万9221人、女性1580人で、女性技術者の割合は7・6%と10%に満たなかった。  男性技術者の年齢構成を見ると20代2268人、30代3697人、40代6817人、50代4408人、60代2031人と40代が突出して多い。コンサル各社は1990年代後半、政府が景気対策などで公共事業予算を積み増ししたことを背景に採用人数を大幅に拡大。その後の予算縮小や市場環境の悪化を受け急激に採用を手控えたことが、いびつな年齢構成を招いた。  過去10年の技術者数を5年後ごとに調査したところ、回答した96社の合計は04年が1万3625人、09年が1万2716人、14年が1万2396人と漸減傾向で推移。全国規模で事業展開する広域コンサルでは04年1万1073人、09年1万0438人、14年1万0022人と10年間で1000人以上減少していた。  公共事業予算の減少に伴い、コンサル業務の発注量も減少傾向にあったが、東日本大震災の復旧・復興や既存インフラの老朽化対策、相次ぐ自然災害への対応などでここ数年は業務発注量が急増。これに伴い技術者の負担も増えており、長時間労働の是正や職場環境の改善が以前にして大きな課題になっている。  調査では女性管理職の割合が1・7%とごくわずかなことや、新卒採用者の総数と女性の採用が増加傾向にあることなども分かった。建コン協は来年度も引き続き女性技術者の実態などを把握する調査を行う計画だ。

熊本建産連/イメージアップへテレビCM/11月21日から県内で放送

 熊本県建設産業団体連合会(熊本建産連、橋口光徳会長)は、建設産業のイメージアップに向けたテレビCMを制作した。建設業が果たす役割をPRし、若年者の入職促進や定着につなげるのが狙い。21日から県内民放4局で放送を開始する。  テレビCMは国の地域人づくり事業の基金を活用し県から委託された「熊本県建設産業雇用拡大事業」の一環で制作。  「つくる編~みらいをつくる建設産業」「つなぐ編~笑顔をつなぐ建設産業」「まもる編~くらしをまもる建設産業」の3パターンがあり、熊本市街地の建築工事や天草地域の長大橋工事、阿蘇地域の砂防工事の現場で実際に工事に携わっている若手技術者や女性技術者らが働いている様子が映し出される。県内民放4局で各局1日1~2回、15年3月末までに600回程度放送する予定。  同会では「未来へつながるイメージを持ってもらえるような映像にした。誇りを持って建設業の現場で働いている人たちが地域の発展や防災を支えていることが伝われば」と期待している。

上智学院/四谷キャンパスで新棟着工/ソフィアタワー、16年12月末竣工へ

 上智学院(東京都千代田区、高祖敏明理事長)は、東京・四谷の上智大学四谷キャンパス内の新棟「ソフィアタワー」=完成イメージ=の建設工事に着手した。設計は日建設計、施工は大成建設が担当。16年12月末の竣工、17年4月の供用開始を目指す。  建設地は東京都千代田区麹町6の1の1ほか(敷地面積5900平方メートル)。麹町大通りに面する。  計画によると、建物はS一部SRC造地下1階地上17階建て延べ3万9700平方メートルで、高さは77メートル。赤茶色のテラコッタ調れんがを壁や床に採用し、地域の街並みと一体化したキャンパスの整備を目指す。防災性の向上のため、建物には制振ダンパーや非常用発電機、被災度判定システムも導入する。  大学施設として、全学部の言語教育を担う「言語教育研究センター」、学部横断的なグローバル教育を担う「グローバル教育センター」が入る。入学定員の増加に対応するための教室やホールを兼ねる大教室(800人収容)も設ける。  7~16階の高層部には、賃貸オフィスが入る。同校はオフィス部分の商品企画などを行うプロジェクトアドバイザーとして三井不動産に業務を委託。完成後は三井不動産がオフィス部分を借り受け、テナントリーシング、運営管理を行う。テナント収益は、海外からの留学生などを支援するための奨学金として活用されるほか、今後のキャンパス整備の財源とする予定だ。

宮城県/長沼ダム命名権でパシコンと契約/「パシコン長沼ダム」に

 宮城県は、長沼ダム(登米市迫町北方)=写真=の施設命名権(ネーミングライツ)のスポンサー企業をパシフィックコンサルタンツに決め、21日に契約を締結した。同ダムの愛称は「パシフィックコンサルタンツ長沼ダム」、略称は「パシコン長沼ダム」になる。
 契約期間は、12月1日からの5年間。ダム本体や入り口、周辺道路案内看板に愛称が表示される。ネーミングライツ料は年間30万円(税別)。
 長沼ダムは、洪水調節などを目的に同県が建設を進め、今年3月に試験湛水が完了、同5月に完成していた。同社は堤体などの設計を担当していた。

設計事務所スキー会/スキー大会参加者募集/15年1月31日まで参加受付

 ◇15年2月28日~3月1日に長野・黒姫高原で
 全日本設計事務所スキー会は、15年2月28日、3月1日に長野県信濃町の黒姫高原スノーパークで開く「設計事務所スノーフェスタin黒姫高原スノーパーク(第27回全日本設計事務所スキー大会)」(日刊建設工業新聞社など協賛)の参加者を募集している。締め切りは1月31日。
 大会は「Harmony & Network」をキーワードとし、「和と輪」を大切に、競技を通じて参加者の親睦を深めることが目的。設計事務所13社で構成する全日本設計事務所スキー会の会員が運営するイベントだ。会員以外でも建築設計業務に携わる人やその友人で、大会趣旨に賛同する人なら年齢・経験を問わず参加できる。
 競技種目は、ジャイアントスラローム(スキーまたはスノーボード)2本でのタイムレース。会場は、からまつコース(全長約678メートル、標高差約150メートル、平均斜度14度、最大斜度24度)。参加費は1種目5000円、2種目8000円、前夜祭2000円。2月28日に開会式・練習会・競技会・後夜祭、3月1日に表彰式などを開く。
 問い合わせは、大会相談窓口の安井建築設計事務所・岩間浩二氏(電子メールkouji-iwama@yasui-archi.co.jp)へ。

記者手帖/インフラツアーを楽しもう

 社会資本整備や建設産業への理解を深めてもらおうと、全国各地でさまざまな趣向を凝らした現場見学会が開かれている。中国地方でも毎週のように催されているが、中国地方整備局が企画する「インフラツーリズム」も楽しい◆民間の旅行会社などが行う観光ツアーにダムなどの見学・体験を組み入れたものだ。日本が世界に誇る土木技術や特徴あるインフラ施設を観光資源として活用しようという取り組みで、これまでに4回実施。ツアー参加者はもとより、地元住民からも地域の活性化につながると好評だ。この11月も、橋の点検体験も加え2回予定されている◆「国のお仕事を知る」「ちょっぴり大人な教育の旅」「ラビリンスな苫田ダム見学」「夏休みだ! ダム探検に行こう」―。ツアー会社のキャッチコピーにも、子どもから親の世代まで幅広い客層の心をくすぐる工夫がある。こうしたツアーが民間の事業として成り立つとは、少し前までは考えられなかった◆最近は女性が活躍する現場も増えてきた。今後は働く「人」を見学するツアーを組んでみてはどうだろう。(高)

2014年11月20日木曜日

土木学会/100周年記念イベント開幕/新宿駅西口広場で、11月22日まで

 土木学会は19日、100周年記念事業の一環として、東京都新宿区の新宿駅西口広場イベントコーナーで展示会「土木コレクション HANDS+EYES 2014in 新宿西口」を始めた。22日まで。19日にはオープニングセレモニーが行われ、磯部雅彦会長や東京都の横溝良一技監ら関係者がテープカットをして開幕を祝った。
 磯部会長は「これまでに土木学会の8支部、延べ15カ所で展示会を開き、約15万人に見てもらった。こうした機会に一般の人も土木の構造物について知り、理解を深めてもらいたい」と呼び掛けた。横溝技監は「展示されているのは、単なる土木構造物というよりも芸術作品に近く、今でも使われているものがたくさんある。2020年東京五輪に向け、われわれも将来に残せるレガシーを土木技術者の視点からつくっていきたい」とあいさつした。
 土木学会が保有する歴史資料、図面、写真など64点を「土木コレクション」として展示。東京都建設局による「東京の橋パネル展」も同時開催し、建設局が所有する橋の図面や写真、模型などを展示している。

飛島建設・佐藤利明氏/第56次南極観測夏隊に参加/作業は隊員の安全最優先で

 飛島建設首都圏建築支店建築部の佐藤利明さん(39)が、第56次南極観測隊(夏隊)に派遣されることが決まった。出発を前に18日、本社で記者会見し、「風力発電装置の建設など課せられた使命に全力で取り組む」と決意を表明した。25日に日本をたち、帰国は来年3月21日の予定。昭和基地での活動は57日間を予定している。
 佐藤さんは支店の建築部に所属。南極観測隊への参加は前回の第55次に続いて2回連続となる。汚水処理関連工事や防水工事など、前回からの継続作業が多いことなどから、経緯を知る佐藤さんへの連続参加の要請があったという。
 自身は機会があれば参加したい気持ちが強かったので「家族に理解してもらうことが大変だった」と語る。南極での活動を心配する家族も、最後は「応援してくれました」とほっとした表情を見せた。
 56次の建築・土木部門の作業計画は、汚水中継小屋建設・放流管埋設、風力発電装置建設、第2車庫兼ヘリ格納庫建設、自然エネルギー棟オーバースライダー改修、コンクリートプラント運用(第2車庫基礎、基本観測棟捨てコン)、光学観測棟防水、コンテナヤード補修など多岐にわたる。他の隊員に手伝ってもらいながら、自身も作業員として期間内での工事完了を目指すことになる。
 今回は高所作業も多く「手伝ってもらう隊員の安全を最優先に、効率的な工程管理に努めたい」と話す。前回に続いての参加となるため知っている隊員が多く、「良好なコミュニケーションなど円滑な作業環境が期待できる」ことも利点になりそうだ。
 同社は国立極地研究所の要請を受け、1994年から毎年、設営部門に技術者を出している。今回の派遣で16人目(延べ21人)となる。

ダンプが足りない-工事増加で危機感/台数減り運転手高齢化

 首都圏を中心に、建設工事に欠かせないダンプトラックの不足を懸念する声が出ている。工事量の増加にダンプの数が追い付かなくなるとの不安だ。運転手の高齢化も進み、労働環境の劣悪さから若手の減少も続く。首都圏ではこれから、東京外かく環状道路都内区間やリニア中央新幹線、2020年東京五輪関連の施設整備など大規模工事がめじろ押し。関係者の間には、現場でダンプの奪い合いが始まると危惧する声もある。  埼玉アスファルト合材協会(島村健理事長)が10月末にさいたま市で開いた会合。会員会社から「工事への対応に強い危機感を持っている」と訴える声が上がった。埼玉県内で今秋以降、ダンプトラックの不足が一段と深刻化することが懸念されているからだ。同協会が8月、会員企業を対象にアスファルト合材の運搬車両の手配状況を調査したところ、いずれの支部でも、繁忙期の今年1~2月は施工者からの搬送要請に対して手配できたのは7割台にとどまった。現在も顧客に工期の調整や限定台数での施工を要請。早朝・夜間や祝日の配送などで対応しているという。  同県内の普通ダンプトラックの台数(自動車検査登録情報協会統計)は、04年の1万5257台から13年は1万2911台へと15・4%減少。約200社が加盟する埼玉県ダンプカー協会の島田松夫会長は「廃業が続き、会員はピーク時の半分ほどに減少した。新規に開業しようにも新車は1台1500万~1600万円もする。燃料費も高騰している」と厳しい現状を指摘する。国土交通省の資料によると、全国のダンプの台数は、ピークの07年には17万1800台(営業用6万5607台、自家用10万6193台)あったが、11年には16万3477台(営業用6万3132台、自家用10万0345台)に減った。台数が減っても工事が少なければ問題はなかったが、東日本大震災の復興工事や、経済対策で公共工事や民間工事が増えた影響でひっ迫感が強まった。  ダンプ運転手の高齢化も深刻だ。ダンプ労働者が加盟する全日本建設交運一般労働組合(建交労)全国ダンプ部会(廣瀬肇事務局長)が13年12月~14年1月に行ったアンケートによると、運転手の年齢で最も多かったのが60代の40・6%、次いで50代の27・6%。70代以上も9・2%あった。一方、20~30代はわずか3・8%にとどまる。燃料代などの経費を差し引いた昨年の純所得の平均は283万円。日給制や歩合制の事業所が多く、賃金も変動しやすい。業界を所管する国交省は女性活用も含めた入職促進策を進めているが、就労環境が厳しいため、状況の好転はすぐには期待できないのが実情だ。  公共工事の設計労務単価では建設ダンプ関係の単価も工事と同様に引き上げられたものの、廣瀬事務局長は「実際に単価が上がったという回答は27・8%。変化がないという回答が64・2%もあり、引き上げの浸透が不十分」とみる。需要が増加していることから、「いったん廃業した事業者が再開する例も皆無ではないが、状況は厳しい。業界の構造的な問題が大きい」と指摘している。

2014年11月19日水曜日

北陸整備局/HPに現場見学ガイド「冬号」掲載/冬を感じられる34カ所紹介

 北陸地方整備局は、「北陸地整がススめる!現場見学ガイド」第2弾の「冬号」をホームページに公開した。数ある現場の中から北陸ならではの冬を感じられる34カ所を掲載している。
 代表的なものでは、川の中にそびえるピラミッドのように見える富山県黒部市の浦山低水護岸工事=写真、長野県大町市の日向山第1号上流床固工工事、新潟県聖籠町の新潟港(西港地区)航路泊地附帯施設本体工事、管内各地の除雪基地などを紹介している。

清水建設/深海未来都市構想を発表/海底に資源工場

 ◇深海の可能性に着目/建設費3兆円
 清水建設は18日、深海での未来都市構想「OCEAN SPIRAL」を発表した。大気、海面、深海、海底を垂直につなぐ構造物=イメージ図=によって、深海にある資源やエネルギーなど地球再生に役立つポテンシャルを引き出す。産学や企業間連携で2030年までに実現に必要な技術を確立。30~50年にも先端産業の集約拠点とする。
 08年11月の環境未来都市「GREEN FLOAT」、09年6月の月面太陽発電「LUNA RING」に続く未来構想シリーズの第3弾で、今回は海洋の8割を占める深海の可能性に着目した。
 深海都市は水深3000~4000メートルの平たんな海底を想定。建設費は3兆円、工期は5年と試算している。海面付近の直径500メートルの球体、球体から海底にらせん状に伸びる構造体、資源工場となる海底施設で構成。球体にはホテルや住居、研究・実験施設などが入り、5000人を収容する。全長15メートルのらせん状構造体は中空で人や電気、海底鉱物資源などを供給・運搬する。外径1500メートルのリング状の海底施設では二酸化炭素をメタンガスに転換したり、レアメタルなどの資源を回収したりする。

仙台市/地下鉄東西線、15年12月6日に開業/残り1年で完成へ

 仙台市交通局が建設を進めてきた地下鉄東西線の開業目標日が15年12月6日に決まった。18日に奥山恵美子市長が会見を開き明らかにした。06年度に着工した10年越しの大型事業が、残り約1年で完成することになった。
 現在、車両基地で実施している試験走行を来年3月から本線に広げる。最後の建築工事となる仙台駅の駅舎建築工事と、最後の設備工事となる青葉山変電所の工事をそれぞれ8月をめどに終える。準備期間を経て12月に開業する計画だ。
 地下鉄東西線は、西の起点となる動物公園駅から仙台駅を通過し東の荒井駅に至る延長13・9キロの路線。約2300億円の事業費を投入し、15年度の開業を目指し工事を進めてきた。
 東日本大震災の影響で半年程度工事が止まったが、その後工期を短縮して巻き返した。昨年7月に最後のトンネル区間となる(仮称)仙台駅から一番町駅にかけての掘削工事が完了。06年度の着工から約7年で全線を貫通させた。

2014年11月18日火曜日

建設業剣道大会が開催されました


 11月16日の日曜日。東京都台東区にある東京芸術大学体育館で「建設業剣道大会」が行われました。日刊建設工業新聞社が後援している大会で、今年で35回目になります。10連覇中の強豪、伊田テクノスの牙城を崩そうと、17社24チームが挑んだ団体戦では、予選リーグ、決勝トーナメントを勝ち進んだ清水建設が11年ぶりの優勝を果たしました。初参加を含めた9人の女子剣士が参加した個人戦では、シンドウ工業の中満真紀選手が2連覇を達成。団体戦、女子個人戦ともレベルの高い試合が繰り広げられました。

 秋深まる休日の上野の森に建設業剣士の気合いが響き渡った大会の模様をリポートします。

  午前9時。全選手が参加して行われた開会式で伊田雄二郎実行委員長(伊田テクノス)は、「剣道の技は美しく、感動するもの。勝ち負けよりも中身が大切です。きょうは充実した1日を過ごしてください」とあいさつしました。

  来賓として出席した日刊建設工業新聞社の水野谷博之取締役は、参加各社の日頃のご愛顧に感謝するとともに、「皆さんには建設業界、そして日本の剣道界を支えるような存在になっていただきたいと思います」と激励しました。

  団体戦は、予選トーナメントを経て、決勝トーナメントに清水建設A・Bチーム、大成建設Aチーム、伊田テクノス、鹿島Aチーム、鹿島道路、安藤ハザマ、竹中工務店Aチームの8チームが進出。二刀流剣士として剣道界でも名が知られている和田満芳選手(7段)を擁する清水建設Aチームは、準決勝で伊田テクノスを撃破。決勝戦の相手となった竹中工務店Aチームにも圧倒的な強さを見せつけ、優勝を勝ち取りました。

  試合後、大将を務めた清水建設剣道部の田代浩平監督(4段)は、「平均年齢の高いチームでしたが、今回新入社員のメンバーも加わり、元気を付けたことが優勝につながったと思います。来年も胸を借りるつもりで試合に挑み、ぜひ連覇を成し遂げたいです」、剣道部を率いる西崎健一部長は、「なかなかまとまって稽古する時間も取れないのが課題ですが、今回は道着も新しくしたことで気合いが入りました」とともに喜びを語りました。

  女子個人戦は予選リーグを経て、NIPPOの本橋舞、橋本紋奈、シンドウ工業の中満、松本絵里の4選手が決勝トーナメントに進出。決勝戦で本橋選手を下した中満選手が2連覇を成し遂げました。

  閉会式で中田琇士審判長(関東管区警察学校名誉師範、江戸川区剣道連盟副会長)は、「内容的にも素晴らしい試合を数多く見ることができました。中には不適切な行動で取り消しされた試合がありましたが、大切なのは試合後に反省することです。それが次の備えにもなるはずです。剣道だけでなく、社会生活にもそのことが生きてくるでしょう」と述べられました。

  今大会の幹事は、伊田テクノスと大林組の2社が担当されました。大変お疲れ様でした。

  来年は鹿島と鹿島道路の2社が幹事を務められるとのこと。ぜひ、大会を盛り上げてほしいと思います。選手の皆さん、お疲れ様でした。
(岩本英司)
団体優勝の清水建設Aチーム

団体準優勝の竹中工務店Aチーム
団体3位の伊田テクノス

団体3位の鹿島道路
女子個人戦入賞者(右から松本、中満、本橋、橋本の4選手)

宮城県/被災離島結ぶ気仙沼大橋に着工/東日本最大のアーチ橋

 宮城県が東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトの一つに位置付ける気仙沼市の離島・大島と本土を結ぶ「気仙沼大島大橋」(気仙沼市)の架橋工事が始まった。  橋長356メートルのアーチ橋で、アーチ支間長は297メートル。完成すると東日本で最大、全国で3番目のアーチ支間長になるという。施工はJFEエンジニアリングJVが担当する。  県は本土と大島を結ぶ大島架橋事業(全体事業費約206億円)の一環として、17年3月の大橋完成を目指す。15日の着工式で愛称が「鶴亀大橋」と発表された。

山形いのちの電話が20周年記念式典/本間利雄氏が設立時から支援

 建築家も含めさまざまな人が参加し、自殺を未然に防ごうと活動している社会福祉法人「山形いのちの電話」(古澤茂堂理事長)が設立20周年を迎えた。設立時から一貫して支援を続けているのが、後援会会長で理事の建築家・本間利雄氏。山形市内でこのほど開かれた記念式典=写真=の実行委員長も務めた。
 記念式典で本間氏は、「こうした式典も大事だが、地味な運動が社会的に認知されることが大事。この問題は経済だけでは解決できないが、経済人にも重要性を知らしめていきたい。経済優先社会の中で、いのちの電話の存在価値はますます高まる。次代へ向け、新たに出発してほしい」と述べた。さらに「建築家はこうした運動に関わることでその背景にある社会のあり方が見えてくる。建築は特定の人だけにあるものではなく、世の中のことに広く関心を持つことも必要だ」と話した。
 「いのちの電話」は、悩みを抱えた人からの相談を電話で受け付けるボランティア活動。相談する側、受ける側も匿名が特徴で、現在、全国で49のセンターが活動している。このうち「山形いのちの電話」は94年10月に設立された。

横浜建協非常勤広報担当・横浜ケンジロー/全力で業界PR

 11月14日に開かれた横浜建設業協会(横建協)の安全大会で、土志田領司会長から「非常勤広報担当」を委嘱された協会のマスコットキャラクター「横浜ケンジロー」。これまでも市のイベントに積極的に参加し、業界のPRに努めてきたが、今回正式に委嘱を受けたことで「業界を知ってもらえるよう今まで以上にPR活動にまい進したい」とやる気をみなぎらせている。
 横浜ケンジローは「横浜で生まれ育った賢いアーキテクト・アシカ」。見る人を和ませるという意味では「ゆるキャラ」の範囲に入るが、ミリ単位の精度にこだわる建設業界人として「仕事に関してはゆるさを容認しない」。キリっとした眉は仕事への厳しいこだわりの表れだ。
 09年10月に横建協港北区会が地元商店街と開催したイベントで「皆から喜んでもらえる住みよいまちづくりに貢献したい」とデビュー。以来、市内で行われる区民まつりや防災訓練、横浜開港祭などに積極的に参加、地元でも人気を集める。
 その親しみやすさを生かし、子どもに台風などの災害発生時に活躍する建設業の地域貢献活動を話して聞かせている。建設業を志す若者を増やす重大な役割を担う新たな広報担当に寄せられる期待は大きい。
 10月8日生まれ(協会創立記念日と同日)。身長は160センチ程度で体重は「計ったことがない」。好きなものは魚(丸ごと食べる)。横浜市出身。人間年齢でいうと25歳。

岩手県大船渡市立吉浜中学校/仙台市で写真展開く

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県の大船渡市立吉浜中学校の生徒が県外の中学生らと交流するイベントが11月15日、仙台市青葉区のニコンプラザ仙台で開かれた。吉浜中の生徒による写真展の会期に合わせ、防災教育の一環として行われたもので、吉浜中の生徒が東京都や福島県郡山市などから来た中学生らに発災当時の状況などを詳しく説明した。
 震災を経験していない県外の中学生に地域の様子を知ってもらおうと、生徒会長の山内颯太君(吉浜中2年)が震災当日に避難した時の思いや復興道路に設置されるトンネルの貫通式の状況などを話した。
 震災後に花を咲かせたひまわりの種をあしらった手づくりのタオルハンガーを県外の生徒らにプレゼントし、早期復興への思いを共有した。
 写真展のタイトルは「1000年後に伝えよう-東日本大震災・吉浜のこと」。11日から21日まで行われている。展示の問い合わせはニコンプラザ仙台(電話022・715・1490)まで。

2014年11月17日月曜日

凜/YKKAP開発本部商品開発部東京商品開発室・飯田留美さん/プロフェッショナルに

ハウスメーカー、工務店向けの商品開発に携わっている。決められた納期の中、顧客の要望を基に既存商品をカスタマイズし、ニーズに細かく応える。「幅広く知識を吸収してさらにスキルアップし、プロフェッショナルになること」が今の目標だ。
 学生時代は建築学を専攻し、床材の研究などをした。学んできたことを生かし、ものづくりに関わりたいとの強い思いから、メーカーへの就職を決めた。入社9年目。「できる限り続けていきたい」と、ものづくりへの積極的な姿勢と仕事への情熱は入社当時から変わらない。
 初めて自分が開発した商品がカタログに載った時は「達成感と感動があった」。企画から設計、最後の製造に至るまで担当しただけでなく、既存品にないものを作ったことで苦労も多かったが、「道を切り開いて商品化したことにやりがいを感じた」という。
 顧客のニーズにしっかりと応えるためには、「スピード感が重要」とも。家に帰れば一児の母でもある。子どものため、時短勤務を利用していることもあり、「いかに仕事を効率よくこなすか」を常に考えている。仕事と子育てを両立する毎日だが、周囲の協力に感謝を忘れず、「気を引き締めてこれからも頑張りたい」とやる気十分だ。(いいだ・るみ)

サークル/日本道路硬式テニス部/「楽しく、けがのないように、できれば勝利!」

 1974年、全天候型ハードコート(ソフトステップ)の商品開発の一環として、東京都大田区の技術研究所にコート1面を建設。これに合わせて結成されたのが「日本道路硬式テニス部」だ。部員はここ数年、本社や関東エリア(東京支店、北関東支店)の社員を中心に女性を含め十数人ほど。所属はばらばらで、超ベテランから新入社員まで幅広い世代が集まっている。ただ転勤の多い職業柄、若手部員の確保と定着が難しい。
 活動のモットーは「楽しく、けがのないように、できれば勝利!」。建設業硬式庭球連盟が主催する「建設業硬式テニス大会」(後援・日刊建設工業新聞社)の春と秋の大会に向け、夏には1泊2日の合宿を毎年実施(今年8月の修善寺合宿には13人が参加)。定期練習会も大会前を中心に年数回行っている。
 代表の早川喜代志さん(安全環境品質部担当副部長)は、「かつては技術研究所のコートを活用し、ラケットの握り方から始めて大会の主力選手が育ち、活躍したこともあったが、現在は大会、合宿、定期練習以外は部員個人ごとの活動が中心になっている。テニスコートを商品として扱う企業として、社内でも今後、テニスへの関心が高まるよう活動を盛り上げていきたい」と意気込む。

中堅世代-それぞれの建設業・73/土木リニューアルの可能性を信じて

 東川達之(仮名)さんは、建設会社で土木構造物のリニューアル事業に関わる専門部署に配属されて10年以上がたつ。既存インフラの老朽化が進み、更新需要は高まっている。しかし東川さんは「手間がかかり、利益が薄いリニューアル事業の会社への貢献度はまだまだ低い」と冷静に分析する。
 建設会社にとって主流のビジネスモデルは、依然として新設工事。リニューアル工事で稼ぐ難しさを痛感している。最近は震災復興事業や経済対策による公共事業の増加も影響し、会社からは「リニューアルの仕事をやるならもうかるものにしろ」と言われる日々が続く。それでも「リニューアルが将来のわが社はもちろん、日本の社会・経済を支える重要な仕事になる」との信念は揺るがない。
 大学で土木工学を専攻し、20年以上前に土木を主力事業にする現在の会社に入った。最初は臨海部の現場を中心に経験を積んだ。一時期、外部の研究機関に出向し、研究員として他の技術者らとの交流を深めた。その後、本社の設計本部に戻って間もなく、阪神大震災が発生。先輩の指導を受けながら、被災した岸壁などの復旧・復興工事の設計業務をいきなり任された。
 「厳しい状況下で苦労はしたが、設計の側から現場を見られたのはいい経験になった。今のリニューアルの仕事にも生かされている」と当時を振り返る。
 調査・診断から具体的な対策の提案、工事の実施、維持管理の支援といった川上から川下まで一貫して構造物に関わるリニューアル事業では、多様で総合的な能力が求められる。
 さまざまな職場経験を持つ東川さんのキャリアに会社幹部も目を付け、新設間もない土木リニューアルの専門部署への異動を命じた。
 当時は、新設の建設投資が先細りし、従来のビジネスモデルには限界が来ると感じていた。異動前の幹部との面談では、メンテナンス市場で事業を拡大する重要性を説き、「これまで以上にリニューアル事業に力を入れるべきだ」と熱弁を振るった。
 東日本大震災や中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故など、社会全体がインフラの価値を見つめ直す出来事を経て、幹部に伝えた当時の言葉に間違いはなかったと確信している。
 それだけに、リニューアル事業に対する会社側の対応には不満を感じている。事業量の増加で全社的に人材が不足し、土木リニューアル部門の人員増強の要求は認められない。それどころか、今いる人材を引き抜かれる始末だ。
 にわかに増えた今の仕事を消化してしまえば、その後はリニューアルなど既設インフラの老朽化対応が建設会社の主戦場の一つになることは確実だ。にもかかわらず、経営戦略上のリニューアル事業の位置付けが「総論賛成、各論不透明」という中途半端な状況にあることがもどかしい。
 リニューアル分野の人材育成には戦略的に取り組む必要がある。東川さんは体制強化の必要性を今後も幹部に訴え続けるつもりだ。
 「土木リニューアル分野に東川あり」。社内外でそう認められる存在になる夢を抱く。自身の後継者も育てたい。現実とのギャップにもがきながらも、リニューアル事業の可能性を信じ続ける。

駆け出しのころ/清水建設専務執行役員・今木繁行氏/一つの上の立場で考える大切さ

 入社して構造設計部に配属されたのですが、本当は現場でものづくりに直接携わることを望んでいました。でも、「石の上にも3年」の心境で設計の仕事を覚えようと頑張りました。  大きな転機は28歳の時。結婚が決まり、上司の部長に披露宴に出ていただきたいとお願いした際に、「今度一緒に食事をしよう」と誘ってもらいました。その食事の席で「会社はどうかね」と聞かれ、「現場に出たい」とお願いしたんです。部下からいきなり異動したいと聞かされては嫌がられるかと思いましたが、意外にも「それはよいことだ」と言っていただけたのです。度量の大きい方でした。  そうして現場に出たのが、結婚3カ月後のことです。大学院を出て設計の仕事をしていたとはいえ、現場では何も分からず、苦労しました。「自分はこんなにも仕事ができないのか」。そう痛感して相当に落ち込んだものです。  それに自分の願いはかなったものの、「設計部の今木さん」と結婚したはずの女房は、私が現場で働くことなど考えもしていなかったようです。現場に出ると、帰りは遅く、休みもほとんどない。「約束が違う」などと言われもしましたが、自分が望んだ道でしたので、「5年は待ってほしい」と頼みました。  次に担当した宇都宮市内の建築現場は、かなりの突貫工事でした。その時もまだ現場経験は浅かったのですが、とにかくやらなければいけなかったので、何とか知識だけでも深めたいと仕事が終わってからもいろいろ勉強したのを思い出します。  実はこの現場で、大きな失敗をしました。私の判断ミスで工期を遅延させてしまったのです。この時に発注者であるメーカーの方から、「自分の立場ではなく、一つ上の立場になって考えると判断を間違わない」と教えていただきました。今でも大きな教訓であり、同じことを会社の若い人たちにも言っています。  例え設計図が同じでも、現場所長によって造り方はいろいろあるものです。無地のキャンバスに描くというクリエーティブな仕事ではありませんが、施工者には、どう造るかというアレンジャーとしての面白さがあります。  私は入社後すぐに現場に出ていたら努力はせず、普通に仕事をしていたかもしれません。遅れて出たので努力せざるを得なかったのだと思います。今も仕事漬けの日々は変わらず、家では「もう30年も待っている」などと言われています。  (いまき・としゆき)1980年京大大学院工学研究科建築学第二専攻修了、清水建設入社。東京支店工事長、07年執行役員建築事業本部東京建築第三事業部長、08年人事部長、10年北陸支店長、13年常務執行役員などを経て、14年4月から現職。滋賀県出身、59歳。
新人時代に構造設計を担当したが、いつか現場でものづくりに携わりたいと思っていた

2014年11月14日金曜日

東急不/東京・銀座5丁目プロジェクトの概要公表/銀座の文化・情報の発信地に

 東急不動産は13日、東京・銀座で建設中の大型商業施設「(仮称)銀座5丁目プロジェクト」=完成イメージ=の開発概要を公表した。伝統工芸の「江戸切子」をモチーフとした外観デザインとし、銀座の新たなシンボルとなる施設を目指す。建物内部や屋上ににぎわいを創出するパブリックスペースも設け、文化・情報を発信する。同プロジェクトは設計・監理を日建設計、施工を清水建設が担当し、15年度の開業を予定している。
 建設地は、東京都中央区銀座5の2の1(敷地面積3766平方メートル)。東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅直上の数寄屋橋交差点に面している。
 建物はS一部RC・SRC造地下2階地上11階建て延べ約5万平方メートルの規模。全フロアにアパレル、雑貨、物販、飲食など約120店舗の出店を予定。東急ハンズ(東京都新宿区)の新業態店の出店を検討しているほか、外国人観光客向けに都内最大の免税店を誘致する。商環境デザインはインフィクスが担当している。
 施設内のパブリックスペースでは、東急文化村(東京都渋谷区)との提携の上、ファッション、アート、カルチャー、音楽などの情報発信も行う。

フジワラ産業/火山の爆発未然防止、ガス抜き工法の開発着手/共同開発者を募集

 水処理装置・防災設備機器メーカーのフジワラ産業(大阪市西区、藤原充弘社長)は、火山で起きる大規模な水蒸気爆発を未然に防ぐ「FM式ガス抜き工法」の開発に着手した。山体に差し込んだパイプを通して、爆発前に膨張した水蒸気やガスを外に逃がし、内部の圧力と温度を下げて大規模爆発を防ぐ仕組み。実用化に向けて共同開発者を募集している。  死者・行方不明者63人を出した9月の御嶽山の噴火は、マグマだまりの熱で地下水が熱せられて水蒸気となり、その圧力で土砂とともに噴き上げられる水蒸気爆発だった。  新工法では、火山内部の状況を地震計や全地球測位システム(GPS)などで把握した上で、火口周辺や斜面から山体にパイプを複数差し込み、爆発前に膨張した水蒸気やガスをパイプから逃がす。内部に空気を送り込むパイプと、内部の水蒸気などを外に出す排出用のパイプを設置。山体表面の数カ所で分岐させ、バルブの開閉によって水蒸気などの放出を制御する。パイプ取り付け口は、高圧の水蒸気などに耐えられるよう、重量型基礎を採用して高耐圧性を確保するという。  水蒸気爆発以外に、水蒸気マグマ爆発とマグマ爆発が懸念される火山では、マグマだまり近くまでパイプを差し込んで水や空気を送り込み、水蒸気などによる小規模爆発を誘導。マグマの通り道を作ることで小さな爆発を繰り返し発生させ、大規模爆発の要因を取り除くこともできるという。  同社は噴石などから身を守る鋼鉄製シェルターも開発中。噴火危険地域の住宅や宿泊施設の避難設備、災害派遣職員用の設備として製品化を急ぐ。

回転窓/かつて「3K」アイドルがいた

 建設業界でも女性の活躍を推進する取り組みがこの1年でかなり進んだ。「ドボジョ」「なでしこ」「けんせつ小町」などのネーミングを耳にすることも多くなった▼昨年11月7日、首相官邸で開かれた「経済の好循環実現に向けた政労使会議」。出席した日本建設業連合会(日建連)の中村満義会長は女性の活用促進策を検討すると表明。それが始まりだ▼その後、安倍政権が「女性が輝く日本へ」と掲げたことも手伝い、現場で働く女性が一般のマスコミにも何度も取り上げらるようになった。国土交通省も業界団体と一緒に行動計画を作り、女性が活躍できる環境整備に本腰を入れているが、実は20年ほど前にもこうした動きはあった▼業界のイメージアップも兼ねた取り組みとして、建設を表現する際に使われる「3K」(きつい、危険、汚い)をもじったアイドルグループも誕生。駆け出しのころイベント取材に駆り出され、写真撮影したのを覚えている。ただ当時のことが話題となることは、まずない▼20年後、今の状況はどう語られるか。「誰も覚えてない」といったことにならないよう願うばかりだ。

協和エクシオ/観光アプリの実証実験開始/醍醐寺(京都市)と連携し情報提供

 世界文化遺産に指定されている京都市伏見区の醍醐寺で、スマートフォンやタブレット端末を活用した観光情報提供の実証実験が行われる。協和エクシオが開発した観光案内アプリを活用し、境内にある建築物や文化財、お勧め観光ルートなどを来訪者に紹介。秋季夜間拝観が行われる15日から12月7日までの約1カ月間、本格運用に向けた実証実験を行う。  「京都醍醐寺ナビ」の実証実験では、境内散策時の利用状況やシステムの満足度などを調査。寄せられた意見を基にアプリを改良し、本格運用に備える。日本語と英語の2カ国語に対応し、実験期間中は醍醐寺の2カ所の受け付けに無料Wi―Fiも用意し、境内でのアプリの高速ダウンロードも可能にする。  同社は収益源の多様化を図るため、ICT(情報通信技術)やソフトウエア開発のノウハウを活用したビジネスの開拓を進めている。観光や防災を切り口にしたアプリの開発・提供は成長が見込める有力分野の一つ。栃木県日光市から自社開発の観光防災総合アプリを使った業務を受注し、先月下旬から「日光街歩きナビ」として配信を始めている。

2014年11月13日木曜日

東北測量設計協会/東北工業大学と協定締結/授業や就業体験で人材育成


 東北測量設計協会(東測協、鵜沼順二郎会長)と東北工業大学(宮城光信学長)は11日、東北地方での地域社会と建設関連業界の持続的発展を図る狙いから、連携・協力に関する協定を締結した。連携は、▽教育・研究▽地域社会・地域産業への貢献▽学生のインターンシップ(就業体験)など両者が必要と認める事項-の三つが柱。測量設計業界の重要性を認識してもらうとともに、インターンシップといった機会を通じて、入職促進へとつなげていく狙いだ。東測協がこうした協定を大学と結ぶのは、これが初めて。
 締結式には、東測協から鵜沼会長ら幹部が、同大からは宮城学長ら幹部が出席した。協定を踏まえ、東測協と同大による意見交換や、東測協会員と同大学生との間で就職意識に関する意見交換を行っていく。建設現場の見学会や、東測協の協力による授業の実施、東測協会員企業でのインターンシップ、研修会・講習会の開催なども予定している。
 締結式で宮城学長は、人材育成の観点から協力を要請。鵜沼会長は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)をはじめとする担い手3法なども踏まえて、若手技術者の育成や技術の継承に積極的に取り組んでいる状況を紹介した上で、「東北の国土は私たちが守っていくことを前面に掲げ、懸命に努力している。(同大との)交流を通じて、土木技術者が災害時や緊急時に国土を守る基盤業務であることを啓発させていただきたい」と語った。
 東測協は、担い手確保・育成の観点から教育機関との連携を強化している。東北大で地形測量・実習の講座を昨年度からスタートさせているほか、本年度から八戸工業大、東北学院大、福島高専で出張講義などの取り組みが始まっている。


改正土砂災害防止法が成立/危険箇所公表を義務付け

 8月に広島市北部で起きた大規模土砂災害を教訓に住民の避難誘導の迅速化などを目指す改正土砂災害防止法が12日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。公布から2カ月以内に施行する。都道府県に土砂災害リスクの高い箇所の公表を義務付けるほか、国による自治体への対策支援や関与を強める。
 改正案の柱は、▽土砂災害の危険性のある区域の明示▽円滑な避難勧告などの発令に資する情報の提供▽避難体制の充実・強化-の3点。
 都道府県には、住民の避難態勢を整備する「土砂災害警戒区域」を指定する際に行う基礎調査の結果公表を新たに義務付け、災害リスクが高い箇所の周知を徹底する。基礎調査を適正に行っていない都道府県には国土交通相が是正を求める。改正法に合わせて作る基本方針には、国が都道府県から基礎調査の進ちょく状況の報告を受け、その結果を公表することを盛り込む。
 都道府県が気象庁と共同で発表する「土砂災害警戒情報」も法律に明記し、知事に市町村長への通知や住民への周知を義務付ける。市町村が避難勧告を解除するタイミングなどについて助言を求めてきた場合、国交相と都道府県知事が必要な助言を行うことも義務付ける。
 国には自治体が行う土砂災害対策に対し、情報収集・提供や助言など必要な支援を講じる努力義務を課す。市町村には地域防災計画で土砂災害警戒区域内にある避難場所やその経路を明示するよう求める。
 全国には土砂災害危険区域が約53万カ所あるが、土砂災害警戒区域と、宅地開発などを規制する「土砂災害特別警戒区域」に指定されているのは合わせても約35万カ所にとどまる。国交省は改正法成立を契機に都道府県に区域指定を急ぐよう促す。
 国交省は、負担が増す都道府県の取り組みを支援するため、各都道府県と「土砂災害防止推進会議」を順次設置し、国が所有する地形データの提供などを行う。防災・安全交付金も重点配分し、都道府県が行う基礎調査を今後5年以内に完了させたい考えだ。

小学生が作った「ボール紙の橋」作品展/11月18日から茨城県つくば市で

 国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)と土木研究所は、「ボール紙でつくる橋コンテスト」=写真は昨年度の受賞作品=で茨城県つくば市内の小学5年生434人が作った力作を紹介する作品展を18~30日に同市のイーアスつくばで開く。 「ぼくのはし、わたしのはし」をテーマに工作用ボール紙2枚で、1キログラムの重りに耐えられる橋を募集したところ、388作品の応募があった。  会場には、最優秀など受賞作品18点を展示。全作品を写真で紹介する。


2014年11月12日水曜日

新潟市/秋葉区文化会館がグッドデザイン賞受賞

 新潟市が建設した秋葉区文化会館が、日本デザイン振興会主催の14年度グッドデザイン賞を受賞した。
 特に評価されたのは大胆で空間性にあふれた複雑な形状が、高密度で計画され、高精度で実現されている点。作品実現の支えになった設計技術も高く評価された。
 施設規模はSRC一部S、RC造2階建て延べ2997・36平方メートル。建設場所は新潟市秋葉区新栄町4の23。
 設計は新居千秋都市建築設計、施工は大成建設・田中組・伸晃建設JVが担当した。

中国整備局/「中国地方ダムマニア認定書」が好評/交付500枚超える

 中国地方整備局が、管内の直轄ダムや県管理ダム(補助、利水)のダムカードを集めた枚数に応じて交付している「中国地方ダムマニア認定書」が好評を得ている。7月の開始から10月末時点で交付した数は534枚。現在も増加中のため、同整備局では交付期限を12月末に継続するとともに、新たに配布を始めた坂根堰・芦田川河口堰のダムカードも対象カードとすることを決めた。
 ダムマニア認定書は、ダムカード収集を目的として各ダムを訪れてもらい、ダムファン(ダムマニア)の裾野を広げ、興味を持ってもらうとともに、幅広い層へのPRを行おうと、ダム広報関連イベントとして開始した。
 現在、ダムカードを配布しているダムなどは56カ所。ダムマニア認定書はダムカードを50種類以上集めたレインボー(超級)コース、20種類以上のゴールド(上級)コース、10種類以上のシルバー(中級)コース、5種類以上のブロンズ(初級)コースを設定している。
 認定書は、開始から約3カ月でレインボーコース86枚、ゴールドコース145枚、シルバーコース145枚、ブロンズコース158枚を発行。
 広島、岡山など中国地方はもとより、北海道や東京、三重、京都、兵庫、福岡、沖縄など全国各地から訪れており、女性の認定者も多く、7月の開始時から現在まで継続して多くの人が申請している状況だ。
 認定書の交付は同整備局管理の11ダムで実施している。郵送(中国整備局河川部河川管理課宛)でも交付する。

2014年11月11日火曜日

道建協/足元からの『おもてなし』/五輪見据え舗装技術PR活動強化

 日本道路建設業協会(道建協、三好武夫会長)は、2020年東京五輪を見据え、日本の舗装技術に関するPR活動を一段と強化する。舗装技術を一般の人にも知ってもらうための広報ツールと、発注者などに提供する技術資料の作成を10日までに完了させた。「足元からの『おもてなし』」をキャッチフレーズに、安全性に優れ、ヒートアイランド対策などにも効果がある日本のさまざまな舗装技術の情報を国内外に広く発信する。
 作成したのは、「世界の方々へ 足元からのおもてなし 東京の未来に向けた道路舗装の適用技術」と題した広報ツールと、技術資料。技術資料には、会員20社の技術リストをはじめさまざまな情報が盛り込んであり、一部には販売していく方針だ。
 五輪は日本のインフラをアピールする絶好の機会になることから、道建協は「東京を訪れる世界の人々に、世界に誇る日本の舗装技術を通じて安全で快適な都市空間を提供したい」との方針に基づき、車道系と歩道系それぞれの技術の情報を分かりやすく発信する。
 広報ツールでは、車道系の▽遮熱性▽保水性▽排水性・透水性▽カラー▽インターロッキングブロック―の各舗装、歩道系は▽天然芝・人工芝▽木質系▽ゴム弾性▽自然石脱色アスファルト▽型押しアスファルト―の各舗装とユニーバーサルデザインの事例を紹介する。
 技術資料には、広報ツールで紹介している舗装技術を含め34種の技術情報をまとめた。一般的な施工例、施工手順とともに、「工法リスト」として、会員企業が保有する工法・技術を収録した。さらに「新たな舗装技術の適用事例」も収録。路面温度の上昇を抑制する効果があり、マラソンコースや観戦者の足元に適した遮熱性舗装や、景観生の向上とともに交差点やバスレーンなどの識別が容易になる明色舗装、衝撃吸収性に優れ、遊具回りなどへの採用が増えているゴム弾性舗装など、競技施設や選手村、観戦者を意識した技術を列記してある。
 広報ツールは、シンポジウムなどのイベントで一般市民に配布。技術資料は、発注者や設計者、コンサルタント会社などに提供する一方、舗装技術に関する豊富な情報を収録してあるため、施工会社などには販売することも想定している。

全国さく井協会/東京・新宿で「いい井戸の日」イベント開く

 全国さく井協会(脇雅史会長)は10日、「いい井戸の日(11月10日)2014in中央」を東京・西新宿の新宿西口広場イベントコーナーで行った。中央支部正会員らによる技術情報を紹介するブース展示や、井戸や地下水のメリットをPRするパネル展示のほか、温泉マイスターの牧野光子氏による「温泉の恵みで健康に」という記念講演が行われた。
 東日本大震災では東北6県にある井戸の94%以上で機能が維持されていたり、飲料に加えて消火や融雪にも役立っていたりしたという。井戸への関心、理解を深めてもらおうと、広場を行き交う人々に熱心にPR活動を行った。

日本女子大学/目白キャンパス(東京都文京区)再整備/妹島和世氏がデザイン

 日本女子大学は、創立120年を迎える2021年度に向けて目白キャンパス(東京都文京区)の再整備に乗りだす。従来から設置している家政学部、文学部、理学部の3学部に加え、西生田キャンパス(川崎市多摩区)に設置していた人間社会学部を移設し、大学の全4学部と大学院の全5研究科を目白キャンパスに統合する。新たなキャンパスのグランドデザインは同校出身の建築家の妹島和世氏が担当する。
 10日に発表されたグランドデザインのコンセプトによると、新たなキャンパスは、既存の建物と新しい建物が混在した計画とする。街路樹など緑を多く取り入れるほか、キャンパスの至るところに自主学習の場「ラーニングコモンズ」を設け、教室の中だけでない学習環境を構築する。21年3月の全体竣工を目指す。
 目白キャンパスの所在地は文京区目白台2の8の1。道路を挟んだ場所にある付属小学校・幼稚園の敷地を除き、大学・大学院関連施設の敷地面積は5万2865平方メートル。1906年に竣工した成瀬記念講堂、創立100年の2001年に竣工した百年館など十数棟の建物が並び、建物の総延べ床面積は7万1536平方メートルに上る。
 一方、西生田キャンパスには、大学・大学院関連として総延べ5万2086平方メートル規模の施設がある。同校によると、人間社会学部が目白キャンパスに移設してからも西生田キャンパスの大学・大学院の機能は一部残すという。

2014年11月10日月曜日

東急不HD/20年度までの経営計画策定/3カ年で8200億円投資

 ◇東京・渋谷駅周辺再開発など推進
 東急不動産ホールディングス(HD)は、14~20年度のグループ中長期経営計画を策定した。14~16年度の3年間で総額8200億円の投資を計画。東京の渋谷駅周辺の再開発事業などを推進する。
 新計画では都市・住宅・管理・仲介の四つのコア事業を中心に収益力を強化。再開発などによる優良資産の開発や、ストック関連市場から獲得する外部資産など、グループで関与する資産の拡大と価値向上に注力する。営業利益を16年度に730億円、20年度には1000億円にまで高める。
 3カ年の投資総額の内訳は、稼働・開発型事業に2000億円、都市事業系に3100億円、住宅事業系に2100億円など。  都市事業では、東京都心部の渋谷・青山・表参道・恵比寿を中心とした「広域渋谷圏」を最重要エリアとして継続的に事業を進め、業界トップの地位確立を目指す。銀座や竹芝など都内他地区で計画している大型開発案件も着実に進める。
 住宅事業ではグループ連携による複合型の再開発事業を積極展開。多様化する顧客ニーズに対応した商品企画にも力を入れる。ヘルスケア事業領域の拡充やリゾート関連事業の拡大も図る。  このほか、企業合併・買収(M&A)などの戦略投資に450億円、インドネシアを中心としたアジアや北米地域での海外事業に550億円を充てる。

駆け出しのころ/鹿島常務執行役員海外事業本部長・越島啓介氏

米国留学を終えて帰国したころの一枚。誕生日に職場の仲間がケーキで祝ってくれた。

 ◇自分で考え工夫するのが楽しい
 入社して最初に配属されたのは東京・赤坂の建築現場です。ここで担当した仕事はかなり泥臭く、一生懸命にやりつつも、「これはやりたかったことではない」と思い、会社を辞めようかとも考えていました。一方で「働いてお金をもらうとはこういうことか」とよく分かりもしました。現場所長は社内で「鬼所長」と言われていた方でしたが、私をよくかわいがってくれました。
 そうした国内の現場で経験を積み、入社5年目に米国の現場へ赴任しました。私は新しい世界に放り込まれて、自分でジタバタしながらやるのが好きです。だから「海外に行くか」と言われ、二つ返事で「行きます」と答えたのを覚えています。それに米国は行ったことのない憧れの地でした。
 ロサンゼルスで1年ほど中小規模の現場に携わった後、オレゴン州ポートランドに赴任しました。NECオレゴン工場の現場でプロジェクトマネジャーを務めるためです。何でも自分で考えなければならないのは大変でしたが、非常に良い経験となりました。
 1年半後、今度はロサンゼルス美術館のパビリオン建設でプロジェクトマネジメントを担当しました。特殊なデザインで、設計図面通りでは施工が難しい建物でしたが、国内の現場経験が大いに役立ちました。
 この現場が終わると、会社の留学制度を利用させてもらい、MBA(経営学修士)を取得する米国の経営大学院に進みました。会社で施工部門の社員が経営大学院に留学するのは前例がなかったのですが、この時も新しい世界に飛び込んでいくことに迷いはありませんでした。ですから、会社に入ってからの私は常に駆け出しのようなものでした。
 最初から「これはこうやるんだ」と決めてしまったり、言われたことだけをやったりしていては、自分の頭を使わず、面白くもありません。自ら考え工夫する中にこそ面白さがあると思っています。
 私の若いころは、経験・勘・度胸の「KKD」は悪いものだと言われ始め、マニュアルで仕事をするのが広まり始めた時期と重なります。ですが、きちんとしたものに裏付けされたKKDは絶対に必要です。それが無ければ新しい挑戦などできず、予期せぬことが起きた時にも対応ができません。
 若いころは泥臭い仕事でも我慢して頑張り、やすきに走らない。そして好奇心を持ち、自由に発想する。これが若い人たちに伝えたいことです。一生懸命に仕事をしていれば、必ず見えてくるものがあります。
 (こしじま・けいすけ)1978年東大工学部建築学科卒、鹿島入社。91年スタンフォード大経営大学院修了。03年カジマインターナショナル社長、05年カジマUSA社長、09年鹿島執行役員、10年海外事業本部長、12年常務執行役員。石川県出身、58歳。

凛/パシフィックコンサルタンツ事業戦略部・前田真帆子さん/仕事も趣味も全力で

経営計画で設定した目標の達成に向け、事業戦略や行動プランを立案するのが所属部署の仕事。大学卒業後に入った会社を辞め、パシコンに入社したのは約3年前。「営業職の募集で入ったのに、配属されたのは経営企画部門。最初は戸惑ったけれど、新事業の種を探す仕事はとてもやりがいがあって充実している」。
 モットーは、仕事とプライベートのバランスをしっかりと取ること。「仕事はもちろん好きだし、楽しさも感じている。けれども『仕事だけ』の生活は絶対に嫌だった」。自分磨きの一つとして5年前から、横浜にあるフラのハラウ(教室)に通っている。「小さいころから音楽や踊りが好きで、触れ合う機会も多かった。週末と、水曜か木曜はフラの日。目標がはっきりしていると生活にめりはりができて仕事にも集中できる」。
 仕事のスキルアップを目指して7~9月の3カ月間、社内制度に応募してビジネススクールに通った。マーケティングと経営戦略の基礎を学ぶカリキュラムは盛り沢山の内容。水曜夜、仕事が終わってから学校に通う生活は、予習・復習が大変だったが、「クラスメートにはマインドの高い人が多く、刺激になった。新しい出会いはきっとこれからも仕事に役立つはず」という。
 仕事もプライベートも「楽しむことが何よりも大切」。前向きな心を持ち続け「まだ知らない自分をたくさん見つける」ことが今の大きな目標だ。(まえだ・まほこ)

サークル/日本設計スキー部/「スキー、スノボ好きが集まる気さくなサークル」

 1993年3月に開かれた第5回全日本設計事務所スキー大会(現・全国設計事務所スキー大会)に参加するため、スキー好きの社員に呼び掛けて92年に発足した。今年10月時点で、正社員のほか、契約社員、関連会社社員、OBなどを合わせると総勢約30人が所属している。
 活動のモットーは「組織も年齢も技術も関係なくフラットで気さくなサークル。スキーやスノーボードが好きなだけで気軽に集まれること」。毎年開かれる全国設計事務所スキー大会に、13年は応援を含めて20人が参加した。事前の練習会(前回は14人参加)や春スキーツアー(前回は9人参加)も実施している。来年はサマースキーとバーベキューをする夏合宿も企画中だ。
 キャプテンの阿部一博さん(第一建築設計群)は、「世のスキー情勢とは裏腹に、近年は仲間が増え、若手も少しずつ参加してくれるようになって充実した部活動を行うことができている。この勢いで次の大会も優勝を狙いたい」と意気込む。

中堅世代-それぞれの建設業・72/我慢比べでは何も変わらない

 建設会社で土木営業を担当する植田憲次さん(仮名)。プロジェクトを受注するための戦略づくりや提案業務などに追われる日々だ。「会社全体が一丸となって工事の受注に取り組める入札契約システムの普及拡大には大賛成だ」と話す。
 公共工事の受注環境はこの10年余りで大きく変わり、建設会社の営業戦略もそうした変化に対応できるように見直されてきた。変化の一つが、公共工事の入札で価格だけでなく、企業の技術提案も含めて落札者を決める総合評価方式の普及だ。
 発注機関が総合評価方式の採用を拡大する動きに合わせ、建設業界では技術面での他社との差別化をより強く意識するようになった。
 技術提案で高い評価を得ようと、各社が本来求められる性能・品質をはるかに超えた技術や工法、環境対策を提案することも少なくない。こうしたオーバースペックの提案は、企業側にとってはコスト負担が増し、提案資料を作成するための業務量も増大する。
 それを総合評価方式のマイナス効果と指摘する声も強いが、植田さんは「例えば数十億円の工事を取るため、技術提案に経費をかけたり、人手を割いたりするのは当たり前のこと。他産業では技術開発や生産ラインへの設備投資など、稼ぐためには膨大な人材と資金を投じている。建設業もこの程度で弱音を吐いてはいられない」と意に介さない。
 一方で、「発注者にも入札契約システムを最善、最適なものに改善・改良する責務がある」とも。植田さんが課題の一つに挙げるのは、技術を提案する企業側と審査する発注者側との「コミュニケーション不足」。官製談合事件などを受けて発注機関のコンプライアンス(法令順守)の取り組みが強化され、発注側の担当者が関連業者との接触を必要以上に避けるようになってきたからだ。
 「受・発注者の関係は希薄化する一方だ」と植田さん。より良いものを工期内に安全に造るためには、「発注者と建設業者の間で技術提案の内容を十分に議論できる場を設ける必要がある」と考えている。
 ここにきて建設業界では、働く人の確保・育成に向けた取り組みが活発化し、発注者が若手や女性技術者を活用する企業を評価する動きも目立ってきた。総論では賛成の立場を取る植田さんだが、発注者の対応には不満もある。
 「若手や女性職員を現場に配置することで、これまでは必要のなかったコストが発生する。建設業界の人材の確保・育成を政策目標に掲げるなら、発注者がそのコストも負担するという対応策をきちんと明示してほしい」。
 「受注量が増えているとはいえ、いまの利益水準ではいずれ社員の給料も十分に払えなくなる。このままでは受注者側の我慢比べが続き、建設業界から人が離れていってしまう」。時々そんな不安に襲われる。
 公共事業の入札契約制度改革がより良い方向に進み、民間事業も含めた建設市場に本当の意味で明るさが取り戻せるよう願う毎日だ。

2014年11月7日金曜日

JIA宮城地域会/被災者向け住宅プラン集発刊

 日本建築家協会(JIA)宮城地域会は、東日本大震災で自宅を失った被災者向けの住宅プラン集「JIA BOOK Miyagi vol.1」を発刊した。会員企業が住宅の自力再建を目指す被災者のための住宅プランを持ち寄り、冊子にした。
 協会として東日本大震災の復興支援に取り組んできた経験を踏まえ、一戸建てを中心に地域産材や地元工務店の活用を想定した提案を盛り込んだ。
 営業ツールとして冊子を活用し、2万戸を超えるとみられる県内の自力再建需要を取り込む。当面は沿岸にある23の被災自治体を通じ、1万5000部を配布する。

北陸整備局/越の里山館(新潟県長岡市)が竣工/山古志の古民家を移転・新築

 新潟県の山古志地域を代表する古民家が新たな命を得て生まれ変わった-。北陸地方整備局は1日、越後丘陵公園(新潟県長岡市)里山ミュージアムの新たな目玉施設「越の里山館」の竣工式を現地で開いた。
 式典には、来賓の長島忠美復興副大臣、菊田真紀子衆院議員をはじめ梛野良明国土交通省公園緑地・景観課長、野田徹北陸整備局長、施工を担当した大石組の大石保夫社長ら約60人が出席。来賓祝辞、山本義則北陸整備局国営越後丘陵公園事務所長による事業報告の後、テープカットとくす玉開披で竣工を祝った。
 越の里山館は、木造2階建て延べ405・47平方メートル。10年前の新潟県中越地震で被災した山古志村(現長岡市)の旧家で明治10年代完成の星野家邸宅の部材を活用して建設した。
 星野家は山古志村を代表する名家で邸宅は長岡市が歴史的建造物として保管、調査していた。それを、北陸整備局が譲り受けて里山ミュージアム内に移転・新築した。旧邸宅の面影を残しつつ、展示物の見学や休憩所での利用を考慮して大きな間取りとした。1階には昭和30年代ごろの茶の間を、2階には昔の越後の里山の暮らし、山古志地区でかつて盛んだった養蚕業を再現した展示物を配置している。
 施工を担当した大石社長は「設計変更が多く苦労したが、旧家の面影を残す施設を仕上げることができ満足している。工事費は2億円ほどかかった」と話した。昨年7月発表の入札調書によると落札金額は8900万円、予定価格は9492万円だった。施設の設計はエーシーエ設計、修正設計は像設計事務所が担当した。

東北整備局/津波観測情報をメール配信/岩手県宮古市ら4市と協定締結

 東北地方整備局は、GPS波浪計でとらえた津波観測情報を沿岸自治体に電子メールで配信する取り組みを開始した。東北の沖合で30センチ以上の津波が発生した際に、自治体のメールサーバー宛に自動で津波情報を送信する体制を整えた。同局はメールでの配信を始めるに当たり、岩手県宮古市、釜石市、大船渡市、宮城県気仙沼市との間で協定を締結した。
 同局は昨年3月にGPS波浪計を利用して波の動きを捉える「東北地方津波防災支援システム」を構築し、ウェブで津波の観測情報を公開していた。今回、津波情報を電子メールで配信する仕組みを整えたことで、住民がより素早く避難行動に移れるようになる。
 東北の沖合には10基(太平洋側7基、日本海側3基)のGPS波浪計を配備している。これらの計器が捉えた津波情報を沿岸自治体の防災担当者のパソコンなどに電子メールなどで伝達し、沿岸住民に迅速な避難行動を促す。
 GPS波浪計の観測潮位差が30センチを超えた場合に、気象庁の津波注意報・警報と連動し自治体のメールサーバーに情報を送る。試験配信の結果、波浪計が津波を感知してから60秒程度で情報を伝えられることを確認した。
 同局は昨年12月、システムの信頼性を高めるための検討業務を沿岸技術研究センターに委託。情報配信機能の補強や自治体をバックアップする体制の検討などを行った。今後も信頼性を高めるための技術的な検討に取り組むとしている。

2014年11月6日木曜日

JR東日本/鉄道博物館(さいたま市大宮区)に新館建設/本館も全面改修へ

 JR東日本は、さいたま市大宮区にある鉄道博物館のリニューアル事業に着手する。既設の本館を全面改修するとともに、本館の南側に新館を建設する計画。展示面積は約1万4800平方メートルとなり、現在の約1・5倍に広がる。総事業費約80億円を投じて、博物館開館10周年、同社設立30周年の節目となる17年10月ごろのリニューアルオープンを目指す。冨田哲郎社長は5日の会見で「新しい博物館では最新の音響、映像、IT技術を積極的に導入し、鉄道産業の歴史・文化と未来の姿を発信していく」と述べた。
 鉄道博物館の所在地は大宮区大成町3の47。JR大宮駅の北側に近接し、埼玉新都市交通ニューシャトルの鉄道博物館駅と直結している。
 07年秋に開業した本館はS造4階建て延べ約2万8300平方メートル(展示スペース約1万平方メートル)の規模。新たに整備する新館はS造5階建て延べ約8500平方メートル(同約4800平方メートル)。新館と本館リニューアルの設計は、JR東日本上信越工事事務所が担当。施工者は未定。着工時期など詳細を今後詰める。
 新館では全館を貫く吹き抜け空間を生かした環境負荷低減システムを導入。トップライトや壁面から自然光を多く取り込むことで照明の消費電力を低減するとともに、空間上部にたまる暖気を排気・回収して空調の負荷低減につなげる。シースルー太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーも積極的に活用する。
 新館の1~4階に鉄道の「仕事」(運転士・車掌や設備メンテナンスの仕事などの体験型ミュージアム)、「未来」(未来の鉄道世界に入り込む創造型ミュージアム)、「歴史」(明治から平成までを六つの時代に区分し、鉄道の姿を解き明かす発見型ミュージアム)、「旅」(食や風景など鉄道の旅を疑似体験できる実感型ミュージアム)をそれぞれテーマにした展示ゾーンを配置。5階にレストランを設ける。
 本館には「車両」(最新のICT技術を用いた体感型ミュージアム)と「科学」(鉄道のしくみをわかりやすく理解できる実験型ミュージアム)の展示ゾーンを配する。
 両館は2階に連絡通路を設置。本館では大型の鉄道模型ジオラマを全面的に作り直すほか、キッズスペースやカフェテリアを新設する。
新館の完成イメージ

パナソニック/配線器具に無線機能搭載/スマホで家中の照明一括操作

 パナソニックは、デザイン性・操作性に優れた配線器具「アドバンスシリーズ」に、無線機能を搭載したリンクモデルを新たに追加する。スマートフォンやタブレット端末を使い、スイッチのオンオフや調光を無線で行えるのが特徴。一度に20回路分の操作が可能なため、家中の照明を一括で消すといったこともできる。15年1月21日発売予定で、15年度の販売目標はシリーズ全体で9億円。
 リンクモデルは、スイッチに電波受信・送信機能を搭載している。家庭にあるWi―Fiと無線アダプターを有線でつなぎ、操作は無料の専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレット端末で行う。
 各部屋に接続された照明器具を個別に操作できるのに加え、現在の点灯状態の確認も可能。外出前や就寝時に照明をまとめて消灯することもできる。食事や映画鑑賞など生活シーンに合わせた調光を最大8パターン記憶することができ、ワンタッチで再現することもできる。タイマー操作も可能で、時間に合わせて消灯することで省エネにもつながる。
 ターゲットとするのは、20~40代でスマートフォン操作に慣れた世代。大手ハウスメーカーを中心に、主に新築物件での標準採用を狙う。
 同社はアドバンスシリーズを今後さらに進化させる方針。ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)と連動して、HEMS用端末で照明を操作できるようにしたり、電力を使い過ぎている場合は自然に調光したりする機能を搭載した商品を14年度中に開発する予定だ。

建設業の夏ボーナス、10・0%増/7年ぶり2桁の伸び、2年連続増

 厚生労働省は5日、14年夏に支給された1人当たりの賞与額が、建設業では前年比10・0%増の39万3283円だったと発表した。2桁の伸び率は07年以来7年ぶり。2年連続の増加で、固定給に対する割合は0・91カ月(前年0・84カ月)だった。建設需要の増加を受け企業業績が回復していることに加え、労働需給のひっ迫で企業が技術者や技能者の処遇改善に取り組んでいることも増額要因になったとみられる。
 同省は毎月勤労統計調査の一環として賞与額を調べている。対象は5人以上が勤める企業。賞与を支給した事業所の割合は65%で、前年より2・2ポイント上がった。賞与を受け取っていない人も計算には含まれているため、実際の支給額は調査結果よりも多い。
 全産業ベースでは前年比3・1%増の37万0550円。産業別で見ると、建設業の伸び率は、鉱業・採石業(36・0%増)、不動産・物品賃貸業(11・8%増)、製造業(10・5%増)に次いで4番目に大きかった。
 2桁の伸び率を記録するのは1991年に調査を開始して以来、これまで91年と07年の2回しかなかった。昨年も5・4%増と大幅に伸びており、2年連続で5%以上上昇したのは初めて。ただ、11年が4・1%減、12年が12・5%減と減少傾向にあったため、金額ベースで見ると、00年以降で最も高かった10年の水準(40万7262円)までには回復していない。
 30人以上が勤める事業所に絞ると、12・1%増の52万6324円で、95%の事業所が賞与を支給していた。固定給に対する割合は1・21カ月だった。

2014年11月5日水曜日

復興庁/9月末の災害公営住宅整備実績/岩手・宮城両県合わせ整備率13%

 復興庁は4日、東日本大震災の被災者向けに整備する災害公営住宅について、今年9月末時点の整備実績を公表した。計画戸数に対して供給済み戸数は岩手県で15%(899戸)、宮城県で12%(1794戸)だった。
 両県合わせた整備率は約13%。供給戸数はこれまで年度ごとに公表しており、年度途中の実績を示すのは今回が初めて。今後は四半期ごとに整備実績を公表していく。
 14年度末の整備率は岩手県で28%(1680戸)、宮城県で42%(6467戸)に高まる見通し。最終的には岩手で5946戸、宮城で1万0419戸を整備する。
 福島県の計画戸数が確定していないため同県の整備率は示していないが、供給戸数は9月末で949戸だった。
 自治体が行う土地区画整理事業や防災集団移転促進事業などで供給する民間住宅用宅地の整備率は岩手県で6%(462戸)、宮城県で9%(959戸)。14年度末には岩手で14%(1150戸)、宮城で24%(2495戸)となる。

三菱地所、中小機構/東京・大手町にビジネス交流拠点開設/新事業の創出促す

 三菱地所と中小企業基盤整備機構(中小機構)は10月31日、東京・大手町に起業支援・ビジネス交流拠点「TIP*S/3×3Labo」を開設した。全国各地の中小企業らと、大手町・丸の内・有楽町地区の企業らが双方の技術・ノウハウを持ち寄り、新事業の創出を促す。
 設置場所は、三菱地所が所有する日本ビル内(千代田区大手町2の6の2)。最大150人を収容できる大会議室をはじめ、個別のプロジェクトの検討などに利用できる専用ルーム、交流スペース「カフェライブラリ」、デジタル地球儀や特設スタジオなどで構成する環境教育ゾーン「触れる地球ミュージアム」=写真=を配置している。開設期間は16年3月末まで。
 中小機構が運営する「TIP*S」では、起業や新事業に挑戦したい個人や中小企業の取り組みを支援する。ビジネスのヒントを得るための学びの場として、ワークショップなど参加型プログラムを通じて事業アイデアの具体化を後押しする。
 三菱地所が運営する「3×3Labo」は、ビジネス交流拠点として設立した登録制オープンスペース。延べ1万人が通う市民大学「丸の内朝大学」などで形成する人々と、丸の内の大手企業を結び付け、さまざまな業種業態が連携しながら新たなビジネスの創出につなげる。

日本大学生産工学部/風力発電コンペ/最優秀賞に山形県立村山産業高校チーム

 日本大学生産工学部は2日、風力発電装置の発電量などを競い合う第7回「風力発電コンペWINCOM2014」を千葉県習志野市の津田沼校舎で開いた。全国の高校や大学などから36のチームが参加。最も高い発電量を記録したチームに贈られる最優秀賞は山形県立村山産業高校3年生のチーム「凩」(こがらし)が受賞した。  今年は、高校部門に20チーム、オープン参加分門に13チーム、エネルギー利用部門に3チームが参加した。各チームが趣向を凝らして製作した風力発電装置のプロペラを、用意した送風機による風で動かし、発電量を競い合った。  最優秀賞の凩は、プロペラの回転数を増やすため、3枚羽と6枚羽のプロペラを並列して設置。プロペラの両脇には壁を取り付け、発電効率を向上させた。受賞した清野智史さんは「(最優秀賞を)取れると思ってなかったのでびっくりしている」、樋田収平さんは「3カ月かけて取り組んだので(受賞できて)感動している」と喜びを語った。  最優秀賞を除く他の受賞者は以下の通り。システム名=所属先または氏名。敬称略。  【優秀賞】  ▽Brand New Wind 2014 TypeB=足利工業大学付属高校▽SHIMOFUSA WIND―POWER’14=千葉県立下総高校▽マワレ・カゼガキタIII号=北見弘  【デザイン賞】  ▽激風力君=千葉県立下総高校▽Yonezawa All Blacks「TRY」=山形県立米沢工業高校▽INSMAX03=山形県立山形工業高校  【アイデア賞】  ▽J=千葉県立流山南高校▽とある僕らの小型風車II=東京都立小石川中等教育学校  【日本大学生産工学部校友会賞】  ▽いその☆すゐへい=日本大学生産工学部機械工学科  【日本風力エネルギー学会賞】  ▽FootPrint2014=吉田幸宏。

2014年11月4日火曜日

振興基金/担い手コンソーシアム専用ページ開設/地域連携活動など随時拡充

 建設業振興基金は10月31日、ホームページ内に「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」専用ページ(http://www.kensetsu-kikin.or.jp/ninaite/)を開設した。
 若年者の入職促進・育成に向けた事業を具体化し、実行するコンソーシアムの事業内容や活動情報などを随時更新しながら提供していく。建設産業団体、行政、教育機関、工業高校生の保護者らを想定したページ構成で、野丁場系の技能者に重点を置いた活動をPRする。
 振興基金を事務局とするコンソーシアムは同29日に発足。担い手確保の実績、知見、能力を持ち、それをさらに推進していこうとする意思を持った関係者が一体となって活動を展開していく。
 専用ページには、建設業界団体や教育訓練機関、行政機関が参加して同日開かれた最初の企画運営委員会で配布された資料などを掲載。設立趣旨や14年度下期から15年度までに実施するアクションプログラム(第1版)などを見ることができる。
 年内に立ち上げるプログラム・教材等ワーキンググループ(WG)の成果や職業訓練校の紹介、地域連携ネットワークに有益な情報や先進事例などの情報も随時掲載。意欲を持ってコンソーシアム活動に参加する機関が出てくることを期待している。

宮城県沿岸4市町/任期付き職員募集/11月15~16日に4カ所で合同説明会

 宮城県の沿岸4市町(石巻、気仙沼、女川、南三陸)は、土木・建築など技術系の任期付き職員を募集する。県内市町合同の任期付き職員の募集活動は初めて。15、16日に仙台、東京、名古屋、大阪の4カ所で合同説明会を行う。採用予定人数は4市町合計で72人程度。任期は15年4月1日から17年3月末までの2年(5年の延長もあり)。
 東日本大震災の復旧・復興事業を円滑に進めるため、県が技術者不足に悩む各自治体のニーズを踏まえ、このほど市町合同による職員募集を企画した。手続きは4市町が行う。申込期間は6日~12月5日。問い合わせ先は県総務部市町村課行政第二班(電話022・211・2334)。試験や説明会の情報を県のホームページ(http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/sichouson/)で確認できる。
 職種ごとの採用人数は土木40人(うち石巻25人、気仙沼10人、女川2人、南三陸3人)、建築20人(うち石巻13人、気仙沼1人、女川3人、南三陸3人)、電気4人(石巻2人、気仙沼1人、南三陸1人)、機械4人(石巻3人、気仙沼1人)、保健師4人(石巻2人、気仙沼1人、南三陸1人)。
 説明会の開催日時・場所は次の通り。
 ▽仙台会場(15日午後1時30分~4時)=宮城県自治会館2階202・203会議室(仙台市青葉区上杉)
 ▽東京会場(16日午後1時30分~4時30分)=都庁第二本庁舎1階二庁ホール(東京都新宿区西新宿)
 ▽名古屋会場(15日午前9時30分~11時30分)=名古屋都市センター14階第3・4会議室(名古屋市中区金山町)
 ▽大阪会場(16日午後1時30分~4時30分)=國民會館12階武藤記念ホール(大阪市中央区大手前)。

ゼネコン各社/ZEB化技術に磨き/20年照準、CO2排出ゼロや都市型追求

 ゼネコン各社が、技術研究所などに実証施設を設け、建物単体で年間の1次エネルギー収支ゼロを目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の実現に向けた技術開発に力を入れている。省エネや創エネ、蓄エネなどの技術を最適に組み合わせ、環境への影響を最小限にするのが目的。エネルギー消費量の多い都市部に特化したZEBを追求する社や、エネルギー収支のバランスに加え、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に一段と力を入れる社もある。  ZEBは、1次エネルギー消費量を省エネ性能の向上やエネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギー使用などにより削減し、年間消費量を正味(ネット)でゼロまたはおおむねゼロを達成する建築物。  政府が4月に閣議決定した第4次エネルギー基本計画では、2020年までに新築の公共建築物など、30年までに新築建築物の平均でZEBの実現を目指すことが明記された。建築に求められるスペックが省エネから「ゼロエネ」に移行する中、各社とも対応技術の開発に余念がない。  大成建設は、横浜市戸塚区の技術センターにZEB実証棟(RC一部PCa造3階建て延べ1277平方メートル)を5月に完成させた。環境負荷の大きい都市部でZEBを実現する「都市型ZEB」の初弾。適用した技術・システムの性能を検証すると同時に、快適性やコストパフォーマンスの向上を図り、都内で実建物での都市型ZEBの検討を進める。  大林組は、東京都清瀬市の技術研究所本館「テクノステーション」(S造3階建て延べ5535平方メートル)で、年間を通じてCO2排出量をゼロにするソースZEB化に向けた工事を終えた。ZEBを前進させた試みで、省エネなどによる実質的なCO2削減対策を再生可能エネルギーの利用などで補い、CO2排出量をゼロにする体制を構築した。  清水建設は、山梨県北杜市で設計・施工を手掛けた「生長の家 森の中のオフィス」(総延べ8154平方)でZEBの取り組みを具体化。自然通風などの活用で消費電力を大幅削減すると同時に、太陽光発電や間伐材を利用したバイオマスプラントなどで消費電力を賄っている。  ZEB化に必要な要素技術の開発も進む。戸田建設は、太陽光パネルで発電した直流電気を照明器具などにそのまま供給し、電流変換ロスを抑えるシステムの開発に取り組んでいる。  五洋建設は、東京都文京区の本社ビル別館(RC一部S造4階建て延べ1661平方メートル)に導入した省エネ技術を検証中。西松建設は、東京都世田谷区に建設した高齢者施設(RC造5階建て延べ2829平方メートル)をフィールドに、ZEBの設計技術の確立に向けた空調システムの検証を進めている。  低コストの汎用技術で高効率の省エネを追求するのは鹿島。東京都調布市の技術研究所本館研究棟(RC造地下1階地上5階建て延べ8914平方メートル)では、低い照度でも明るさ感を確保できる照明計画や、ひさしによる日射制御などで高いCO2削減効果を生み出している。竹中工務店は、CO2排出量を抑制する次世代型省エネオフィスルームを考案した。  民間の市場調査会社は、国内のZEB市場が2030年度には竣工ベースで7000億円を超えると予測している。省エネに比べ創エネは設備の導入コストがかさむとされ、いかに安く効果の高い技術を開発していくかが市場拡大のカギとなりそうだ。