◇後輩育てる意識が全員に◇
鉄建建設は鉄道工事をはじめとする交通インフラ整備を得意とするゼネコン。1944年の創業以来、鉄道関係の土木・建築工事を中心に発展を遂げてきた。現在ではトンネルや高架橋、アンダーパス工事などの一般土木、マンションなどの一般建築も幅広く手掛けながら成長中だ。
そんな鉄建建設が求める人物像は「前向きな人」「自立した人」「やり遂げる人」。創立以来受け継がれてきた技術を継承・発展させ、共にものづくりを支える人材を積極募集している。
採用に当たっては出身大学の研究室にいる学生などを対象に補助的な採用活動を行う「リクルーター制度」を活用。リクルーター制度の場合はリクルーター面接を含む3回の選考過程で採否を決めるという流れだ。大学の先輩から話が聞けることで学生に安心してもらい、より同社への理解を深めた上で選考に臨んでもらう狙いがある。
採用対象は大卒を中心としているが、昨年度からは採用人数が少なかった高卒枠にも門戸を広げた。採用を担当する管理本部の金森明彦人事部長は「年齢が若い分基礎能力が高い」と高卒社員を評価。今後も積極的な採用を継続する方針だ。
昨年度から新入社員を対象とした研修制度を強化した。研修期間を10日程度から3カ月に延長。入社後の4~6月は基礎知識を学び、7月から配属となる。研修期間の長期化を実施してまだ2年目だが、既に効果は実感しているという。その一つが離職率の改善だ。研修期間を長期化して以降、早期退職する新入社員が減少。その理由について「長い研修期間を共に過ごす仲間ができたことで、『辞めたい』と思う気持ちに歯止めが掛かるのでは」(金森氏)と分析している。
研修制度を強化する一環として、千葉県成田市にある研修施設の建設技術総合センターをリニューアルした。女性社員の増加に伴い女性専用の研修施設を増築するとともに、施工管理を担当する社員の早期育成を目的に実習用の実物大模型も新設した。ボックスカルバートトンネルや建築工事の躯体部分、足場や型枠などを実工事同様に再現。今年の新入社員研修から活用している。
配属後の教育は各職場で選任される「新入社員トレーナー」を中心にOJT形式で実施する。その後も入社半年、2年次、3年次と定期的に研修を実施し、若手社員のさらなるレベルアップを図る。「社員育成の制度は整っているが、制度だけでなく人を育てる社風がある」と金森氏。「後輩を育成するという意識が全社員に根付いており、この意識は他社にも誇れることだ」と強調する。
就職活動中の学生に対しては、「時には苦しいこともあるが、自らが関わった成果が世に残り続けることの喜びは何物にも代え難い。はつらつとしてやる気に満ちあふれた皆さんと巡り会い、将来ともに歩むことができる日を楽しみにしている」と期待を込める。
《新卒採用概要》
【新卒採用者数】男性73人(うち技術系67人)、女性13人(7人、17年度実績)
【3年以内離職率】25・8%(15年度新卒)
【平均勤続年数】男性18・2年、女性14・3年(18年3月末時点)
【平均年齢】43・6歳(18年3月末時点)