2018年7月24日火曜日

【働き方改革で経済波及効果も】都市機構やデベ各社、在宅勤務や時差出勤推進

 2020年7月24日に開かれる東京五輪の開会式まで2年を切った。政府は大会期間中の公共交通機関の混雑緩和に向け、ICT(情報通信技術)を活用しオフィス以外の場所で勤務するテレワークの普及に力を注ぐ。

 街づくりを担う都市再生機構やデベロッパー、鉄道会社などは働き方改革の一環で、テレワークや時差出勤などの実現・拡大を目指している。テレワークによる通勤時間の削減で経済効果が生まれるとの見方もある。

 総務省らがテレワークの普及・促進に向けて実施している「テレワーク・デイズ」(23~27日)には建設や不動産関連企業を含む1390者以上(今月20日時点)が参加している。

 働き方改革が叫ばれる中、テレワークに必要なインフラや制度などを整備した企業は多いものの、利用は道半ばなのが実態だ。NTT都市開発と都市機構はテレワーク・デイズへの参加を契機に、インフラや制度の活用促進を狙う。NTT都市開発は期間中1回以上の在宅勤務を全社員に推奨。都市機構は管理職を対象に、平時から取り組んでいる時差出勤の実施と、テレワークの1回以上の試行を義務付けている。

 時短勤務など柔軟な働き方が既に浸透している東急不動産もテレワーク・デイズに参加する。在宅勤務のほか、自社で展開している会員制サテライトオフィス「ビジネスエアポート」の利用を社員に呼び掛け、「会社以外で働ける体制づくりをさらに強化する」(広報担当者)。

 デベロッパーの立場からテナント企業の働き方改革を後押しするのが三井不動産だ。テレワーク・デイズの趣旨に賛同し、同社が展開している法人向け多拠点型シェアオフィス「ワークスタイリング」のうち、複数拠点の料金を24日限定で無料にする(契約企業の登録会員が対象)。時差出勤の促進では、鉄道会社として東京メトロと東京急行電鉄が早朝に臨時列車を運行している。

 デベロッパーらがテレワークや時差出勤の普及を目指す大きな目的は働き方改革の実現だが、現段階から実績を増やしていくことで、東京五輪会期中にテレワークや時差出勤にスムーズに対応するもくろみもある。

 テレワークの導入効果は働き方改革や公共交通機関の混雑緩和にとどまらない。みずほ総合研究所の調査によると、テレワーク人口が政府目標(20年に15・4%)を達成した場合、削減した通勤時間を労働時間に換算すると、国内総生産(GDP)を約4300億円上乗せできるという。多方面での効果が期待されるテレワーク。時差出勤の導入を目指す取り組みは、官民を挙げて今後もますます広まりそうだ。

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