2020年東京五輪に向け、日本スポーツ振興センター(JSC)が進めている新国立競技場(東京都新宿区ほか)の建設工事で、スタジアムの高さが計画上最高の50メートルに近づいた。
スタンド上部の屋根構築と並行し、内外装の仕上げや歩行者デッキの整備などが最盛期に入る。今秋にはスタンドの観客席設置が始まる見通しだ。
建設地は新宿区霞ケ丘町10の1ほか。S一部SRC造地下2階地上5階建て延べ19万4000平方メートルの規模とする計画で、五輪時は約6万席の観客席数を確保する。着工は16年12月、竣工は19年11月を予定する。
3層構造のスタンドは構築が終わり、スタンド上部に大屋根の根元となる鉄骨が組まれている。スタジアムはほぼ最高高さまで来ている状況だ。
スタンドの床にはプレキャスト(PCa)コンクリートを使用した。屋根部は森林認証を取得した国産のカラマツとスギ、鉄骨を組み合わせたハイブリッド構造。三つのパーツ(ユニット)に分かれ、観客席を覆うように内側に向かってつなぎ合わせていく。
JSCの後藤勝新国立競技場設置本部施設部長は「計9台のクレーン車で屋根を構築中だ」と話す。屋根の全周を108スパンに分け、1スパンずつユニットを組み立てている。18日時点で屋根の一部(2スパン)が3ユニット目に入った。
後藤部長によると、屋根下部には「空の杜(もり)」と呼ぶ全周約850メートルの歩行者通路を設け、開放感を演出する。スタンドの南側と北側には大型映像装置を1基ずつ設置する。1階部分のコンコースなどの施工では現場打ちコンクリートではなく、工場製品を使用し工期短縮を図っている。
スタジアムの内部に風を取り込むため、外周ではアルミ製の「風の大庇(ひさし)」の設置が進む。アルミには木目調の塗装を施し、デザインの一体性を保つ。風の大庇以外の軒庇は、47都道府県から集まった木材を使用して構築する。
基本・実施設計と施工は大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが担当している。現在は約2000人の作業員が現場で働く。最盛期には3000人に増える見込みという。猛暑が続く中、現場には健康相談室を設け、看護師に常駐してもらっているという。定期的に医師も呼び、健康管理に努めている。
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