16年4月に発生した熊本地震で被災した家屋の解体廃棄物処理業務を熊本市から受託した鴻池組・前田産業・前田環境クリーン・九州産交運輸・味岡建設連合体は、市内で発生した災害廃棄物総量147・9万トン(推計)のうち、受託分約98・1万トンの中間処理を完了した。リサイクルが困難な粘土瓦や石綿含有建材などが多く発生する中、分別解体と広域処理を積極的に推進し、リサイクル率75・7%を達成した。
同業務では、解体廃棄物を市内6カ所の仮置き場に搬入した。粘土瓦は当初、安定型埋め立て処分を計画していたが、17年4月に熊本県内で粘土瓦の再利用が始まったのを受け、民間のコンクリート殻中間処理施設に搬出。破砕して適量混入し、再生砕石としてリサイクルした。廃石こうボードはフレコンバッグに梱包(こんぽう)した状態で仮置き場に搬入。石綿が含有されていないことが確認されたものはリサイクルした。
解体廃棄物は膨大な量となるため、中間処理後は熊本県内のリサイクル・処分施設をはじめ、全国約80カ所の施設に搬出した。約4割が熊本県内、約3割は熊本県を除く九州内、残る約3割が九州を除く全国の施設という。
大型トラックによる陸送に加え、木くずはコンテナによる鉄道輸送とともに、ふるい下残さを含め船舶による海上輸送を行った。16年12月下旬に搬出を開始。中間処理を17年1月上旬に前事業者から引き継ぎ、今年6月30日にすべての受け入れと処理を完了した。
鴻池組は今回の業務で得られた知見や経験を関係学会での技術発表などを通じて積極的に公表。自然災害対応の技術継承を図っていく。同時に、人工知能(AI)を使った分別システムの開発により、分別精度の高度化と省人化を目指す。
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