2018年7月30日月曜日

【建設業の心温まる物語】金城興業(兵庫県)・前中崇文さん

 ◇もっと学校が好きになりました◇

 私は足場を組み立てるとび職をしています。ある中学校で外壁リニューアル工事のため、外部足場を組んでいた時の話です。外部足場は5段、6段、7段と組み立てていくと教室の高さになり、生徒さんとの距離が近くになります。すると休み時間になると、私たちに話しかけてくる生徒さんがいました。

 「私の父さんもとびなのです」

 私は「へえー」と驚いて返事をすると、その生徒さんは続けて話してくれました。

 「私のお父さんは毎日高いところでお仕事しているんだよ。とびさんは働く人の安全のために、足場をつくっているってお父さんから聞いて知っているよ」

 私は「この子は、家でお父さんと何でも話せる、いい家庭の子なんだなぁ」と感心しました。それからというもの、毎日教室から「おはようございます」「今日もありがとう」と言ってくれるようになり、うれしくて現場に行くのが楽しくなりました。

 リニューアル工事も終わり足場も解体が進み、この現場も、もう明日で終わりだなと思っていたところ、運動場を走っていたいつもの子が、「学校をきれいにしてくれてありがとうございました。もっと学校が好きになりました」とわざわざ伝えに来てくれました。うれしくて涙がでそうになりました。感謝される仕事に就くことができて本当によかったと思いました。

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