日本工営は、ラオスで既設ダムの堤体に穴を開け発電所を増設するリニューアル事業を展開している。施工は安藤ハザマが担当し、日本工営・電源開発・ラオコンサルティンググループの3者JVが詳細設計・施工監理を担う。発電用の水を供給する既設ダムに発電用の取水口を取り付け、容量40メガワットの電力を増産する。完成は20年2月を予定している。
同国は急速な経済発展により、世帯電化率が2005年の48%から15年は91%に上昇した。ピーク需要も05年の313メガワットから15年に760メガワットまで急増。民間電力会社は国内需要を満たすため、渇水期に隣国のタイや中国、ベトナムから電力を輸入している。輸入量は05年の330ギガワット時に対して、15年には2050ギガワット時まで増大しているという。今回のプロジェクトは、電力不足を解消する政府による新規電源の開発として進んでいる。
事業名称は「ナムグム第1水力発電所拡張事業」。国際協力機構(JICA)の円借款事業として17年6月に着手した。総工事費は55億4500万円。ナムグム第1水力発電所は日本工営の創業者である久保田豊が60年前に実施設計・施工監理を担当した。現在はダムからの取水で1~5号発電所(総容量155メガワット)が稼働している。
現場では、既設の1~5号機と洪水吐きの間の堤体部に6号機を新設するためダム堤体を削孔し、水路部となる取水口と水圧鉄管を施工する。横杭(水路部)の幅は6・7メートル(水圧鉄管径5・5メートル)。稼働中の発電所に影響が出ないようにするため、堤体貫通前に取水口ゲートを完成させ貫通後はダム湖側の堤体の一部を残して、バルクヘッド(湖側の堤体壁に設置する仮締め切りの耐圧ふた)と取水口ゲートで二重に水路部を閉鎖した状態で坑内工事を実施。最後にバルクヘッドを外して通水する。
経済成長が進む東南アジア各国では新設ダムの建設とともに、既設の発電用ダムを更新して増強する案件も徐々に増えている。日本工営はラオスでの工事実績を広くPRし、類似工事の受注につなげる考えだ。
0 comments :
コメントを投稿