2019年2月28日木曜日

【回転窓】シェアリングの波

スマートフォン向けアプリの高度化や高機能化を背景に、物やサービス、場所などを共有・交換して利用するシェアリングサービスの市場規模が急拡大している▼信頼性が高いプラットフォームも必須となるため、国際標準化機構(ISO)で、シェアリングエコノミーの国際規格を開発する技術委員会の設置が承認された。日本からの提案で、6月ころに技術委の第1回国際会議が開かれるそうだ▼既存の物の流通が増えることは、新たな商品を製造販売する事業活動にとって向かい風になるかもしれない。多くの人が新しい物を買うよりも安価なレンタルを選ぶようになれば、経済活動が低迷すると不安視する向きもある▼だが物事はそう単純でもないようだ。三菱総合研究所らの調べでは、スマホアプリで洋服や化粧品を取引する利用者の一部は、より高価格帯の商品を購入する傾向にあるという▼売ったり交換したりする機会が増えれば「安かろう悪かろう」ではなく、値崩れしにくい良質の商品やサービスのニーズが高まるかもしれない。シェアリングの波が広がる中、作る側も変化を意識した対応がより必要になるだろう。

【山手線と京浜東北線の乗り換え、同一ホームで可能に】JR東、品川駅を段階的に改良

 JR東日本が品川駅(東京都港区)の改良計画をまとた。乗り換えの利便性の向上、自由通路の混雑緩和、バリアフリールートの拡充などを段階的に推進。2022年ころには京浜東北線・大宮方面と山手線・外回り(渋谷・新宿方面)に同じホームで乗り換えられるようにする。

 北側コンコースは商業エリアを大幅に増やす。線路の移設やホームの改良で約200億円の事業費を見込む。設計者、施工者は未定。

 品川駅は、JR東日本管内で乗車人員が5番目に多いターミナル駅。北側コンコースは、通勤・通学時間帯に混雑しており、現在は京浜東北線・大宮方面と山手線・外回りを乗り換える際は、階段、コンコースを経由する必要がある。同社は、駅周辺の開発が進み、乗車人員がさらに増加すると判断、乗り換えの利便性向上などのために駅の改良を進めることにした。

 3番線に停車している京浜東北線・大宮方面は今秋をめどに、使用停止中の4番線に停車を変更する。3番線のホームは使用停止にした上で、現在の3、4番線のホーム(9メートル)を3番線側に4メートル拡幅し、2番線に停車する山手線・外回りに乗り換えられるようにする。1番線のホームは、山手線・内回り(東京・上野方面)の専用ホームにする。京浜東北線・大宮方面の停車ホームには20年度第1四半期(4~6月)までにホームドアを整備する。

 27年以降も順次、改札口の新設や通路の拡幅、バリアフリー化に取り組む。北側コンコースの港南口側と高輪口側にそれぞれ改札を新設する。通路は現在の7メートルを18メートルに広げる。さらに横須賀線、東海道線、山手線などのホームの直上には商業施設が入るエリアを設ける。北側コンコースにはエレベーターを8カ所増設し、各ホームと接続させる。

【eスポーツの拠点に】東京・銀座で複合ビル上棟、施工は三井住友建設

 コナミリアルエステート(東京都港区、東尾公彦社長)が東京都中央区で計画している複合ビル「コナミクリエイティブセンター銀座」が27日上棟し、現地で上棟式が開かれた。

 設計監理は櫻井潔建築設計事務所・ETHNOS(櫻井潔社長)、施工は三井住友建設が担当。神事には東尾社長、櫻井社長、三井住友建設の新井英雄社長ら関係者約40人が出席し、玉串をささげて竣工までの無事故無災害を祈願した。

 建設地は中央区銀座1の11(敷地面積2527平方メートル)。建物はS一部RC造地下1階地上12階建て延べ2万2509平方メートルの規模。ネットワークを活用した競技「eスポーツ」の発信拠点として、eスポーツの設備が完備したホールやeスポーツに関する人材を育成するスクールなどが入る予定。11月末の完成を目指す。

 神事を終えた東尾社長は「銀座は映画やイベント、演劇などのエンターテインメントを発信する街であり、さらに伝統とイノベーションの両方を持っている。そんな銀座で新しいエンターテインメントを発信していきたい」と竣工に向けて期待感を見せた。櫻井社長は「建物は銀座通りに対して開放的なデザインにしている。若い人がつくり出すエネルギーを外に発信すると同時に、銀座通りのにぎやかな雰囲気を吸収する建物になる」と設計上のポイントを語った。

2019年2月27日水曜日

【回転窓】橋は「はし」か「ばし」か

橋は「はし」か「ばし」か-。昭和30年代に橋の読み方を巡る論争があったと土木雑誌で読んだことがある▼発端は東京都が1954年に出した橋の「銘板」に関する通達。都は橋梁の新設や改修で取り付ける銘板を統一するため、銘板の大きさや取り付け位置、書体などをルール化した。その中に平仮名で橋名板を取り付けた場合、末尾の字音が濁音の時は「ばし」とせず「はし」と書くとした▼つまり「ひのでばし」は「ひのではし」、「しらさぎばし」は「しらさぎはし」にするよう求めたのだ。これに対し、市民が使い親しんでいる呼び名を役所が勝手に変えるのはおかしいと、反論が続出した▼都は1962年に改めて通達を出し直し、その項目を削除した。清音にするか、濁音にするか。たかだかそれだけと思われるかもしれないが、銘板に刻めばそれこそ次世代にも受け継がれることになる。譲れないところだろう▼各地方整備局は現在、土木構造物の完成時に構造物の名称だけでなく、工事を担当した会社名や技術者名を刻んだ銘板の設置を進めている。ものづくりに携わる建設技術者の励みになるのは間違いない。

【話題の商品】大建工業・ホテル向け木質床材「コミュニケーションタフ防音」

 ◇インバウンド対応で需要拡大◇

 大建工業のホテル向け木質床材「コミュニケーションタフ(コミタフ)防音」の需要が増えている。インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加を追い風にホテルの新築・リニューアル件数が伸び、需要拡大に寄与している。

 今年に入り既に前年比で3~4倍の引き合いがあるという。コストや機能性、室内の雰囲気づくりといった特徴を前面に打ち出し、コミタフシリーズの売り上げを3倍に引き上げる目標を掲げている。

 コミタフ防音は2016年に販売をスタート。外資系の高級ホテルを中心に導入実績がある。岩城克俊市場開発部開発1課長は「インバウンドの増加があり、今年以降の方が需要を見込める」と市場動向を見ている。全国の観光地を中心にホテルの新築や建て替え、リノベーションが東京五輪・パラリンピック後も見込まれるためだ。

 ホテルなどで防音仕様の床工事をする場合、コンクリートスラブの上に厚さ約150ミリの置き床を設置し、床材を敷くのが一般的という。コミタフ防音を使えば、置き床の厚さが15~16ミリで済むという。施工コストが削減でき、工期も短縮できる。床が低くなったことで相対的に天井が高くなり、客室に高級感が生まれる。建物の高さ制限を設けている観光地のホテルでは、建て替えの際などに高さはそのままで階数を増やすことも可能だ。

 床材は、木材組織にプラスチックを注入・硬化させた独自技術(WPC加工)で作られている。防音以外でも強みを持つ。岩城課長は「水に強く、汚れが付きにくい上、付いたとしても取りやすい。ホテルの運営側にとってメンテナンスが楽になる」と話す。キャリーケースの車輪跡や物の落下、ハイヒールによるへこみ傷も付きにくい。導入したホテルからは「『ヒールの跡がなく、とてもきれいだ』と評価された」(岩城課長)という。

 宿泊客のニーズにも応える。海外からの観光客は客室に日本の雰囲気を求めるケースが多い。コミタフ防音シリーズには、素材にスギやヒノキなど白が基調で日本特有の木材もそろえている。一方、日本人の宿泊客は、高級ホテルに和モダンを求めるケースが多いという。じゅうたんや畳ではなく、フローリングでニーズに応えることができる。

 岩城課長は「今はどのホテルもグレード感を高めつつある。高級ホテルでフローリングが採用されるとそれが波及する」と指摘。「今は外資系が主流だが、今後は国内資本のホテルでもフローリングが増えてくるのではないか」とし、市場動向をしっかりと分析し需要を取り込むための営業活動などに生かしていく方針だ。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/20代以下の技能者が増加

建設現場で働く20代の技能労働者の割合が高まっている。統計庁によると、2018年の建設現場で働く技能労働者全体に対する20代以下の割合が5.7%となり、6%だった09年以降で最も高い数値となった。3.7%の15年から増加傾向が続き、この3年間で2ポイント上昇。技能労働者数も18年は8万8441人となり、15年の4万8199人から倍近く増大している。

 建設現場で働く若い世代が増えている主な理由として、若い世代向けのより良い仕事を探すのが難しくなりつつある状況下で、他産業に比べて建設技能者が相対的に高い収入を得られることなどが挙げられる。全国建設労働組合の関係者は「他産業の中小企業に就職すると、1カ月200万ウォン程度稼ぐのにも苦労する一方、建設技能者では300万~400万ウォン程度を稼ぐことができる」と話す。

 若い世代の増加により、40代以上の割合が16年の84.4%から18年には80.8%に低下した。しかし、全産業平均の64.6%に比べると、建設産業の高齢化問題は依然として深刻な状況にある。 

CNEWS、2月12日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/チョーライ第2病院建設で協力

 レ・クアン・フン建設副大臣は20日、JICAベトナム事務所の柿岡直樹次長と会談し、チョーライ第2病院建設プロジェクトへの協力を要請した。

 ホーチミン市のチョーライ病院は、日本の支援により1970年代に改築された。現在、JICAは同病院の管理能力向上へ技術支援を行っているほか、第2病院建設に向けた調査、円借款による病院建設事業に携わっている。

 会談で柿岡次長は「事業推進に建設省の協力をお願いしたい」と述べ、フン副大臣は「建設が予定通りに進むようプロジェクトチームの指導を行う」と答えた。

セイ・ズン、2月24日)

【小島組の浚渫船と技術者が活躍】TC建設プロジェクト(シンガポール)がヤマ場に

 コンテナの積み替えハブ港として世界有数の取扱量を誇るシンガポール港で、大規模プロジェクトが進行中だ。

 シンガポール政府が進めるトゥアスコンテナターミナル(CT)建設プロジェクトは、現在のコンテナターミナルの全機能を将来的にトゥアス地区に移転・集約する。

 その工事の一つ、2015年3月にスタートした第2CT(TTP1)建設事業に伴う浚渫で、小島組(名古屋市港区)が所有する世界最大のグラブ浚渫船「五祥」が稼働している。床掘り浚渫の最大水深は45m、グラブ浚渫量は計4100万m3に上る。6月の完了に向け工事がヤマ場を迎えている現場を訪れた。

 ◇世界最大のグラブ浚渫船「五祥」が活躍◇

 トゥアスCT建設プロジェクトは、ケッペル、ブラニ、タンジョンパガーの3ターミナルで構成する「シティターミナル」と、シティターミナルから西に約10キロ離れた「パシルパンジャンターミナル」の全機能を、シンガポール最西端のトゥアス地区に移転・集約する。まず27年までにシティターミナルの機能を移転し、40年ごろにすべての移転が完了する長期的なプロジェクトだ。1万8000TEU型の超大型コンテナ船にも対応し、完成後の年間コンテナ取扱量は現在の5000万TEUから6500万TEUにアップする。

 シンガポール海事港湾庁が発注したトゥアス第2CT(TTP1)建設事業は、ベルギーに本社を置くゼネコンの現地法人DIAP(Dredging International Asia Pacific)と韓国DAELIMのJVが受注した。

 DIAP社の要請を受けた小島組は最大水深45メートルの床掘り浚渫、目標水深23メートルの航路浚渫と泊地浚渫を行うため五祥(グラブ容量200立方メートル)、第661良成丸(56立方メートル)、最新鋭ハイブリッド船の第381良成丸(23立方メートル)の3隻のグラブ浚渫船を投入。DIAP社にリースするとともに、技術支援として監督をはじめとした人員を派遣している。

 外国人オペレーターの教育、DIAP社に対しての施工計画の改善提案、24時間・通年稼働する機械の管理、消耗・摩耗部品の迅速な調達など、作業の効率化と円滑な施工を実現するため、確かなバックアップ体制で顧客の要求に応えている。

 施工管理にも重点を置く。3隻のグラブ浚渫船には「浚渫施工管理システム」を設置。RTK(リアルタイムキネマテック)GPS(衛星利用測位システム)とサテライトコンパス(GPSコンパス)で、グラブ船を指定作業エリアへ誘導し船の向きを正確に把握、施工位置を確定する。

 浚渫の施工状況は超音波探査で確認できる。自重370トン、容量200立方メートルのグラブバケットを備える五祥には、水中のグラブの方向と位置、前後左右の傾き、深度をモニターで視認できる「グラブバケット水中測位装置」を設置。水深45メートルの大深度浚渫でも、ほぼ1回の掘削で出来形を確保できるようにしている。

 ◇24時間、通年稼働に対応◇

 日本国内の事業と海外プロジェクトでは、規模もそうだが、やはり24時間稼働という点が大きく異なるという。同社の現地法人で、DIAP社との連絡調整や支援技術者のサポートを行っている加古和弘さんは「五祥は特殊な油圧装置でグラブを開閉するが、部品の消耗スピードがとにかく早い。部品の在庫を抱えるのはリスクだが状況を見極め、メーカーの協力も仰ぎながら調達している」と話す。

 このため、こまめな点検整備も欠かせない。五祥では現在、それぞれ約10人が昼夜の2交代制で作業を行っている。国内であれば作業の開始前や終了後に点検整備が可能だが、24時間稼働の同現場では、土運搬船の付け替え時にグラブバケットへの給脂作業やグラブバケットワイヤの点検を短時間で行うなど工夫を凝らして実施。点検整備は外国人作業員が行うため、英語の作業船整備マニュアルを作成し情報共有を図っている。

 同社は今後の事業展開を見据え、10年ほど前に海外事業部を設置。海外での仕事に興味がある人材など、さまざまなルートで人材を確保し、若手の育成に力を入れている。今回のプロジェクトでも、第381良成丸には30~40代の若手を中心に人員を配置し、経験を積ませた。

 作業を円滑に進めるためには外国人作業員とのコミュニケーションづくり、信頼関係の構築が不可欠だが、文化や考え方が違う相手の信頼を得ることは並大抵のことではない。そのため、海外の現場で鍛えられると日本にいるよりも確実に成長が早いという。近年はインドネシアやフィリピンなどアジアの港湾インフラ開発が活発で、同社が活躍するチャンスが広がっている。トゥアスCT建設プロジェクトは、同社の将来を担う若手の教育現場でもある。

【施工はIHIインフラシステム】関空港連絡橋、4月上旬に完全復旧へ

 国土交通省は26日、18年9月の台風21号による強風でタンカーが衝突し、損傷を受けた関西国際空港連絡橋(大阪府泉佐野市)について、4月上旬にも完全復旧するとの見通しを示した。

 現在対面通行規制されているが、復旧後は上下3車線の計6車線となる。その前段として、3月7日朝に上下2車線の4車線を確保する予定。西日本高速道路会社が今月27日夜、中央分離帯や舗装の整備など車線切り替え工事を開始する。

 連絡橋は上部の左右に高速道路上下線(3車線ずつ)、下部の中央を鉄道が通る2層構造。タンカーが直接衝突した高速道路下り線の橋桁2本は鉄道側に最大約4mずれるなどの被害を受けた。

 現在は下り車線の損傷部分を避けるため、従来上り車線として利用している3車線を、上り1車線、下り2車線として活用している。西日本高速会社は連絡橋復旧のヤマ場として、橋桁の架設工事を14日に完了させた。施工はIHIインフラシステムが担当した。

【谷桃子さんと高橋梨子さんが国交省に】ミス日本が石井啓一国交相を表敬訪問

 2019ミス日本の「水の天使」に選ばれた慶応大学4年生の谷桃子さん(写真㊧)と、「海の日」に選ばれた東京大学1年生の高橋梨子さん(写真㊨)が25日、東京・霞が関の国土交通省で石井啓一国交相を表敬訪問し、今後の活動への意気込みなどを語った。

 石井国交相は「国交省には水と海に関係するさまざまなイベントがある。ぜひPRをお願いしたい」と2人の活躍に期待した。

 谷さんは水の広報官として、各地で開催される下水道関連イベントに参加する。表敬訪問では「広報官として、特に子どもたちに水循環のことを伝えたい。そのためにも発信力をしっかり持っていければ」と目標を語った。まずは水循環についてしっかり勉強し知識を身に付けたいという。

 高橋さんは、海の日(7月の第3月曜日)を中心に各地で開催される海洋関連イベントに参加し、海洋業界の役割などを発信する。「最近海に来る若者が少ないと感じる。わたしも学生で若者なので若い方々へのPRに力を入れたい」と笑顔で語った。

2019年2月25日月曜日

【回転窓】もう起きないでほしい

北海道胆振地方で発生した震度6弱の地震から4日が過ぎた。18年9月6日の北海道胆振東部地震の復旧作業がいまだ続く中、この週末も大勢の人が不安な日々を過ごした▼電気やガスといったライフラインが欠かせない極寒の時期に発生した地震である。前回の地震の際の大規模な停電が発生していたなら、人的な被害が拡大してしまった懸念がある▼北海道胆振東部地震だけでなく、18年は豪雨、台風、豪雪などの自然災害が相次いだ。政府は、防災・減災・国土強靱(きょうじん)化の緊急対策を同年12月に決定。3年で約7兆円を投じ、災害への備えをさらに強化する取り組みを始動させている▼19年度の予算案を巡る小紙の記事によると、政府の緊急対策に呼応し、建設事業や災害復旧といった投資的経費を増やした自治体が目立つ。緊急対策を進めようと県債を発行し、歳入を増やしていたり甚大な被害を受けて災害復旧費を前年度の数倍に増やしていたりする自治体がある▼緊急対策の重要性を改めて認識し、対応を急ぐ自治体が多いだけに、切に願いたい。これ以上の災害は起きないでほしい、もう起きないでほしい-。

【MM21に大規模音楽アリーナ】国交省、Kアリーナプロ(横浜市西区)を民間都市再生事業計画に認定

 国土交通省は、不動産会社のケン・コーポレーション(東京都港区、佐藤繁社長)が横浜市西区に計画する大型複合施設「Kアリーナプロジェクト」について、都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画に認定した。

 金融支援や税制上の優遇措置を講じる。世界最大級の音楽アリーナ、ホテル、事務所などを整備する。着工は20年夏ころ、竣工は23年秋ころを予定。設計・監理は梓設計が担当している。施工者は未定。

 同社は1月25日付で認定申請していた。事業の施行期間は20年8月~23年10月末、事業区域が西区みなとみらい6の2の2ほか。敷地面積は計3万1794平方メートル。規模は音楽アリーナが7階建て延べ4万8982平方メートル。

 ホテルが地下1階地上25階建て(塔屋1階)延べ3万5272平方メートル、事務所は21階建て(塔屋1階)延べ2万7853平方メートル。水辺に隣接するペデストリアンデッキ、緑化施設も整備する。

【凜】東京都下水道局建設部設備設計課・中村幸さん


 ◇人に喜んでもらうのが目標◇

 ずっと働いてキャリアを積み上げていきたい-。そんな思いから女性が働き続けやすい環境が整う公務員を志した。2006年度に東京都へ入庁し、本年度で13年目を迎えた。

 今でも心に残っているのは水道局の営繕部門に所属していたころ、奥多摩町にある事務所で新築する倉庫の建築設備の設計・工事監督を手掛けたことだ。知識の少ない中で環境に適した設備を選択。倉庫の完成時に利用者が喜ぶ笑顔を見て手応えを感じた。

 現在は下水道設備の再構築を担う部署で、基本計画の立案や策定を手掛けている。下水道関連の設備に携わる女性技術者はまだまだ少ない。そのため「後進の道を閉ざさないよう仕事に積極的にチャレンジし、女性技術者の後輩たちにバトンをしっかり渡していく」。次のステップとして管理職試験への挑戦を考えている。

 「人に喜んでもらうのが一番の目標」との思いを胸に秘めながら、仕事を含め人生で大切にしてきた言葉が二つある。一つは「自覚、責任、思いやり」だ。「一つの仕事に取り組む自覚と、やりぬく責任、思いやりが加わると人が喜んでくれるような仕事につながる」と説明する。その実現にはもうひとつの言葉「継続は力なり」も重要だ。

 「継続することで余裕が生まれ、思いやりを持てる」。二つの言葉を大切にして、これからも仕事に情熱を注ぐ。

 (なかむら・ゆき)

【建設業の心温まる物語】浦安工業大阪支店(大阪府)・中村進也さん

 ◇設計図を見直した結果が成功に結びついた◇

 私は以前、兵庫県警察学校射撃場換気設備改修工事の監理技術者兼、現場代理人を務めました。拳銃訓練の際、拳銃から発生する硝煙に鉛の成分が入っており、人が吸い込むと有害になるので換気設備の改修工事が必要とのことでした。

 人が硝煙を吸い込むのを阻止するだけでは簡単なことですが、換気設備からの風が強いと拳銃訓練で的を狙う際、弾に影響を与えます。元設計では硝煙の吸い込み防止にはなりますが、換気風が弾に影響を与えかねません。

 「このままではいけない」

 私は設計変更の提案を決意しました。発注金額が変わり、工期が伸びるかもしれず、発注者の了解が得られるよう、一生懸命に考えました。検討の結果、各レーン後ろの吹き出し口が弾に影響を与えると考え、天井内チャンバーにパンチングメタルを連結する工法を提案しました。

 提案が通り、工事を進めることになりましたが、またもや問題が発生しました。天井部の吹き付け材に、アスベストが含まれていたのです。天井材の全面撤去および復旧工事が追加となり工期が大きく伸びるおそれがありました。

 射撃場が使用できない期間が延びれば学校の授業の進捗(しんちょく)が遅れてしまいます。そこで、建物の半分ずつ撤去および復旧をする工程を考えました。学校側にも協力していただき、授業を組み直してくれました。その結果無事、アスベストの撤去および復旧工事が完了しました。

 その他の工事も完了して、あとは試運転調整を残すのみになりました。3次元気流測定器を使ってデータ収集とダクトダンパーの調節で約2週間かかりましたが、合格基準よりも良い数値が出たのです。

 あの時、設計図を見直して提案し、採用していただいたことが今も一番印象に残っています。おかげでその後、表彰されましたし、その他の射撃場工事で採用もされています。

【建設業の心温まる物語】トーシス新潟(新潟県)・釣巻健二さん

 ◇職人さんたちの温かさに救われた◇

 私は電気工事の施工管理をしています。電気工事といっても範囲は広く一般住宅の電気工事から大型施設、道路の街灯などさまざまです。

 私がこの仕事に携わって5年目の時、ある公共施設の改修工事を担当しました。天井ボードの更新に伴う器具の取り替えでした。一見すると簡単な作業に思えますが、お客さまの都合でボードの撤去から器具の取り換えまでを土日の2日間で行わないといけない、という短い工程での作業でした。

 当初は、土曜日までに別業者がボードの張り替えを終え、日曜から私たちが電気器具を取り換えるという予定でした。事前の職長との打ち合わせでも「日曜日1日あれば何とかできるね」と話していましたが、当日の朝、現場に行ったところ、ボードが張りあがっていませんでした。

 私は予定と違う状況に「このままでは作業ができない。どうしよう」とパニックになってしまいました。頭を抱えて悩んでいた時、職長が言いました。

 「大丈夫、なんとかしてやる」

 その後、ボード屋さんに「とりあえず、ここからここまで張ってくれ。そうすれば墨出しができる」と指示をし、現場を動かしてくれました。現場にいたほかの職人さんたちも嫌な顔一つせず、作業に取り組んでくれました。そのおかげでなんとか夕方には作業が終えることができました。

 その時の職長の毅然(きぜん)とした姿は今でも目に焼きついています。私自身、今後この職長のような態度をとらなければならないな、と心改まると同時に、困っているときに助けてくれる職人さんたちの人の温かさを感じた出来事でした。

【建設業の心温まる物語】熊谷組北陸支店(福井県)・川崎翔一郎さん

 ◇衝撃を受けた児童からのメッセージ◇

 ある年の夏、私はとある山奥の小学校の耐震補強工事の現場へ配属になりました。小学校がある場所は宿から車で約30~40分かかり、通勤中には猿やタヌキ、イノシシなどが出てくるほどの田舎町にありました。

 耐震補強の工事は2年間の間に夏休みだけを利用して工事をする内容でした。夏休みの期間40日で解体から耐震補強工事、また内装仕上げまで完了するという過酷な工事でした。40日間土日祝日関係なく、お盆休みまでも仕事をしなればならないということで、私はこの現場に配属されたことが嫌で嫌でたまりませんでした。

 そんな気持ちの中、耐震補強工事前日に小学校の終業式がありました。終業式が終わり、明日から解体工事が始まるので、先輩と児童が忘れ物をしていないか教室を見回りました。そして最後の6年生の教室に入った時、黒板いっぱいに何か書いてあるのを見つけました。それは児童が書いた私たちへのメッセージだったのです。

 「完成とても楽しみにしています」「きれいな学校にしてください」「暑いけどがんばってください」などと書かれていました。あまりの衝撃に立ち止まってしまいました。

 自分は何のために仕事をしているのか、お客さまみんなに感動と幸せを与える、それが自分のやっている仕事だと気づかされました。どんなにつらいことがあってもその黒板のメッセージを思い出し、今日もまた現場に立っています。

【サークル】NIPPOテニス部


 ◇精鋭7人で活動、都実業団1部昇格が目標◇

 部員の多くが全国大会経験者という、粒ぞろいの「NIPPOテニス部」。アマチュアスポーツの振興と会社の広報・宣伝活動を目的に、1991年に発足した会社公認の部。営業部門に所属する男性社員7人で構成する。部員が新潟、兵庫、栃木、仙台などの地方に在籍しているため、日々個人練習に励んで研さんを積んでいる。

 約800社が登録する東京都実業団テニス協会に所属し、1~10部あるうち同社テニス部は2部に位置。5社のリーグ戦を勝ち抜き、1部昇格を果たすことが当面の目標。

 本業である舗装はテニスとも関係がある。「当社は有明テニスコロシアム(東京都江東区)など、数々のテニスコートの施工にも携わっている」と話すのは代表を務める千葉統括事業所営業担当高橋良平さん。「試合で活躍し社の認知度が上がればテニスコートづくりのきっかけにつながるため、より大きな舞台で活躍したい」(高橋さん)との思いが、活動を支える大きな原動力だ。

 さらなるレベルアップを目指し、今年は夏合宿を企画中だ。「若手メンバーの底上げを図り、部を盛り上げていきたい」と高橋さんは意気込みを語る。

【駆け出しのころ】日本電設工業代表取締役副社長・田中均氏


 ◇職場内外で人の輪を広げる◇

 幼少期、身の回りにあったおもちゃの仕掛けがぜんまいから電動モーターに変わり、どのように動くのかを知りたくて分解していたのが、電気の世界に興味を持ったきっかけでした。

 就職活動ではメーカーや銀行関係の電算センターなどを志望する仲間が多かったのですが、現場でスケールの大きな仕事がしたいとの思いが強く、縁あって日本電設工業に入社しました。大学の担当教授からは「建設の世界でも安全や品質管理など緻密さが求められ、スケールの大きさにこだわる考え方は改めた方がいい」とアドバイスされました。

 入社後は設計・積算関連の部署に配属されました。当時は現場が花形で、設計や積算は裏方のイメージが強かったです。しかし最初の2年間で積算・見積もりから受注後の実行予算編成まで一連の流れを把握できた経験は、その後に経験した現場勤務での予算管理に大変役立ちました。

 本格的に勤務した最初の現場は東京都豊島区のサンシャイン60。大現場で過ごした4年間で、社内外の多くの方々にさまざまなことを教えてもらいました。人脈が一気に広がり、後の現場で同じメンバーと顔を合わせることもありました。

 より良いものを作り上げるために会社の垣根を越えて現場が一体になる。他社の人間も厳しく指導してくれる先輩技術者が多かった時代です。厳しさの中に優しさがあり、一人前になるためにさまざまなアドバイスをいただきました。横のつながりが今よりも深い時代だったと思います。

 ある商社の本社ビル建設現場で、施主側の担当役員の方から「皆さんはものすごく幅広い方々と付き合われ、人としても鍛えられる面白い仕事ですね」と言われたのを覚えています。

 工期の長い現場では結束力が一段と強まり付き合いも濃くなります。工事中はもちろん、完成後も電気設備のJV関係者らを中心とした同窓会を定期的に開くほどです。

 仕事とはまったく別の世界で人の輪を広げることも重要です。中学時代から50代半ばまで続けてきた流鏑馬(やぶさめ)は私の人生そのものです。運よく稽古場に近い在京の現場が多かったこともありますが、本気で打ち込める仕事とプライベートの時間を持つことは、人生をより豊かにしてくれます。もちろん両立は大変ですが、いつでも前向きに笑いながら取り組むことで、公私ともにいい効果があると思います。

 これから建設業だけでなく世界が大きく変わろうとする中で、より広く、深い見識を備えた人材の重要性は高まります。特に若い人たちには仕事以外にも視野を広げていろいろな人と知り合い、さまざまな経験をしてもらいたい。

 働き方改革で休みが増え、自由な時間も増えます。その時間をどう使うかで自分の人生も変わります。みんなが夢とプライドを持って楽しく働ける建設業界になるように今後も微力ながら頑張っていきたいと思います。
入社3年目。日光東照宮で流鏑馬を奉納
(たなか・ひとし)1973年上智大学理工学部電気電子工学科卒、日本電設工業入社。東京支店長や北海道支店長、営業統括本部長、常務、専務などを経て15年から現職。埼玉県出身、68歳。

2019年2月22日金曜日

【来年度に事業手法やスケジュールなど検討】愛知県体育館移転・改築(名古屋市中区)、最大収容1・5万人に

フィギュアスケートの世界大会を開催した場合のイメージ
愛知県は、2026年のアジア競技大会までに整備する新体育館の収容規模を1万5000人にする考えを明らかにした。19年度にPFI導入に向け事業方式、スケジュール、公募方法などを検討する。このため、19年度当初予算案に関連事業費1億1500万円を計上した。

 名古屋市中区にある県体育館は1964年の完成。RC造地下1階地上3階建て延べ約1万7000平方メートル。大相撲名古屋場所や国際スポーツ大会などが開かれる県を代表する施設だが、老朽化に伴い、約800メートル北にある北区の名城公園北園野球場周辺に移転する。同野球場は広さ約1万3800平方メートル。

 新体育館の整備に当たっては、現在の約7400席から収容人数を大幅に拡大するとともに、機能の充実を図る。アジア競技大会ではバレーボール会場として使用される予定。事業方式については、PFI方式などの民間活力導入を前提に検討中。基本計画等検討を日本総研・梓設計JV、移転先地質調査を玉野総合コンサルタントが担当している。

【中間貯蔵施設現場など公開】東日本大震災から8年、福島の環境再生進む

 環境省は21日、福島第1原発事故で被災した福島県で進めている環境再生事業の現場を報道機関に公開した。

 放射性物質の除染で出た土や廃棄物などを保管する「中間貯蔵施設」(福島県双葉、大熊両町)の建設工事や、原発周辺で除染などに取り組む復興街づくりの現場を公開し、環境省の担当者らが各事業の進展状況を説明した。

 環境省によると、福島県内にある除染土などの仮置き場は解消しつつあるという。最近までほぼ手つかずだった原発周辺にある「帰還困難区域」の除染で今後発生する土などの見込み量を除き、県内で発生した推定総量1400万立方メートル分の除染土などは、21年度ころまでに中間貯蔵施設への搬入を終えたいとしている。

 原発事故を招いた東日本大震災の発生から3月11日で丸8年。中間貯蔵施設の建設や復興街づくりなどが進み、福島の復興で最優先課題となっている県内外に避難した住民の帰還促進に向け、環境再生に取り組んでいる。

【4種類のデザイン用意、配布は24日から】国交省、天皇陛下在位30年記念ダムカード発行

 国土交通省は天皇陛下在位30年を記念して、特殊デザインの「ダムカード」を発行する。配布対象は、国交省と水資源機構が管理または建設している全国の169のダム。4種類のデザインを用意し、ダムごとに1種類を配布する。期間は24日~5月31日。

 ダムカードは表面にダムの写真、裏面にダムの形式や貯水池の容量、建設の技術などさまざまな情報を凝縮して掲載。カードの大きさや掲載情報などは全国で統一されている。ダムのことをより知ってもらおうと、2007年からダムの訪問者に無料配布している。

 記念ダムカードは、△黄櫨染(こうろぜん)=天皇陛下が宮中祭儀でお召しになる束帯装束の色目を基調としたデザイン△帛(はく)=天皇陛下が神事の時にお召しなる帛の御衣(おんぞ)の「白」を基調としたデザイン△宝物=宝物をイメージしたデザイン△特別列車=天皇、皇后両陛下がお乗りになる特別列車の色を基調としたデザイン-の4種類。配布ダムの一覧などは同省ホームページへ。

【デザイン監修、野老朝雄氏に依頼】東京都府中市、新庁舎のロゴマーク作成へ

 東京都府中市は「おもや」と「はなれ」の2棟で構成する新庁舎の整備に当たり、各棟をイメージしたロゴマークを作成する。

 ロゴマークを通じて、利用者がどちらの棟にいるのか視覚的に認識しやすくする。デザイン監修は、2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムをデザインした野老朝雄氏が手掛ける。

 市は、野老氏が既に完了している新庁舎の設計業務に参画していたことから、ロゴマークのデザインも依頼した。市の担当者によると「庁舎整備事業において、複数棟の区別を図るためにロゴマークを作る取り組みは聞いたことがない」という。19年度予算案に関連経費として2百万円を計上。新庁舎整備事業の周知を図るとともに、ロゴマークの商標登録を目指す。

 新庁舎は現庁舎(宮西町2の24)の敷地約8800平方メートルと、北側の民有地約4400平方メートルを取得・活用して整備する。18年3月にまとめた実施設計によると、拡張した敷地におもや(地下1階地上6階建て)を建設。おもやに庁舎機能を移転した後、はなれ(地下1階地上4階建て)を整備する。総延べ床面積は3万2584平方メートル。柱頭免震構造を採用する。

 基本・実施設計は千葉学建築計画事務所・久米設計JV、設計マネジメントなどを行うCMr(コンストラクションマネジャー)は山下PMCが担当。21年度の着工、27年7月ごろの全体供用開始を見込む。

【積女ASSALだより】二葉積算名古屋支社・廣畠希衣子さん

 ◇楽しく情報共有◇

 構造担当で鉄骨の積算をしています。鉄骨の積算をやる人は少ないようで、担当させて頂いてありがたく思います。積算に携わり2年目ですが、まだまだ分からないことも多いです。鉄骨のことなら安心して任せられると思ってもらえるように技術の向上に努めていきたいです。

 昨年8月に開かれたASSAL東海北陸の会合は2回目の開催で、さまざまな積算に関わる女性と交流を持つことができ、とても良い機会になりました。個人的には普段なかなか業務で社外の方と関わることがないため、積算や建築に関わる女性との出会いはとても貴重です。

 今後も女子会らしく、さまざまなことを楽しく情報共有できる有意義な場として広がっていけたらと思います。

 (ひろばた きいこ)

2019年2月21日木曜日

【回転窓】働き方改革の光と影

今年は皇太子さまが新天皇に即位される5月1日と、即位の中心儀式が行われる10月22日が祝日となる▼祝日に挟まれた平日が休日となり、10連休のゴールデンウイーク商戦は例年を上回る活況になりそう。特に観光業にとって長期休暇による特需への期待は大きい。既に人気の観光地を巡るツアーなどには予約が殺到しているという▼消費増税前の駆け込み需要も重なり、19年度前半は多方面でプラスの影響が見込まれる。一方、特需の受け入れ先では、急増する需要への対応に頭を悩ます業界も少なくない。慢性的な人手不足の中で働き方改革の取り組み強化が求められ、せっかくの商機を逃してしまう恐れもある▼休日が増えることで、サービス産業などでは労働時間が大幅に増えたり、休みたくても休めなかったりする職場もあるだろう。こうした光と影があることを認識しなければ、真の意味での働き方改革は実現できない▼働くことに対する考え方は人それぞれ。みんなが幸せな人生を送るための改革とは何なのか。休みを増やすことは一つの手段であり、最終目的でないと再確認し、改革の道筋を見つけてもらいたい。

【国土強靱化緊急対策が押し上げ】都道府県19年度予算案、投資的経費8兆円

 都道府県の19年度予算案が20日までに出そろった。11道県が知事選に伴う骨格編成または暫定予算となった。

 普通建設事業費などを含む投資的経費の総額は8兆0549億円。災害の復旧・復興に加えて、政府の国土強靱(きょうじん)化緊急対策を受けた取り組みに力を入れる自治体が目立ち、公共事業費・災害復旧費の合計値となっている福岡県を除くと、前年度を下回るのは13道県にとどまった。

 一般会計の総額は50兆7251億円で、投資的経費は約16%を占める。18年度は豪雨をはじめ自然災害が相次ぎ、政府は3年で約7兆円を投じる国土強靱化緊急対策の実施を決めた。19年度の投資的経費については、前年度から10%以上増加するのが16都府県ある。

 2018年7月豪雨で甚大な被害が出た広島県は、増加率が84%に達し、災害復旧費は前年度の約9倍となった。国土強靱化緊急対策を巡っては、群馬県のように同対策関連として149億円を起債し、県債の発行総額を増やしている自治体もある。

 都市基盤やインフラ整備に対する投資も活発化している。富山県は、防災対策に加えて環状道路や立体交差の整備など、佐賀県は23年に国体を控えていることもあり、投資的経費の増加率が2桁に達する。投資的経費が1兆3000億円を超える東京都の増加率は19・3%。豪雨対策など災害に強い街づくりを推進しつつ、20年東京五輪関連の施設整備に重点配分した。

 投資的経費が減少する13道県を見ると、岩手、宮城は東日本大震災の復旧・復興事業の進捗(しんちょく)などに伴って前年度を下回る。熊本県は、熊本地震関連として18年度までに計上してきた予算が8000億円を超えるものの、19年度は地震の復旧事業費が大幅に減少する。沖縄県は、沖縄振興一括交付金の減少が要因という。13道県のうち8道県の予算は骨格編成。知事選を控え、政策判断を伴う事業の計上を見送った自治体もあり、予算編成の行方が注目される。

【採用活動本格化へ】東建ら、都内で学生向け業界研究フェスタ開く

 東京建設業協会(東建、飯塚恒生会長)と東京土木施工管理技士会(伊藤寛治会長)は20日、学生に建設業界や会員企業の仕事の情報を発信する「みんなの建設業★業界研究フェスタ」を東京・丸の内の東京国際フォーラムで開いた。

 会員企業80社がブースを出展。来場した学生に事業内容などを説明するとともに、就職活動の参考にしてもらうための情報を提供した。

 建設業界団体が主催する国内最大級のイベント。大学院、大学、短大、高専、専門学校の建築系や土木系、電気系、設備系、文系の学生約650人が参加登録した。説明会に先立ち行われた講演会では、日経BP社の野中賢日経コンストラクション編集長が「専門媒体だから話せる、建設業界のリアルな現状と今後のトレンド」をテーマに講演した。

 東建の飯塚会長は学生たちを前に「建設業は夢を形にしていく仕事、人々が安心して暮らせる社会を築く仕事、やりがいを感じ誇りの持てる魅力ある仕事だ」と述べ、「たくさんのブースを訪問し、良いきっかけづくりにしてほしい」と呼び掛けた。

【鉄鋼分野で世界最大級の規模】JFEスチール、千葉市内に大型破壊・疲労評価センター

 JFEスチールは、鉄鋼分野で世界最大級の大型破壊・疲労評価センターを千葉市内に開設した。これまで地区ごとに分かれていた一部の試験設備をスチール研究所の千葉地区(千葉市中央区)に集約。造船やパイプライン、建築用厚鋼板などの破壊・疲労分野で研究開発を一貫して行い、研究効率の向上を図る。

 同センターの整備には約10億円を投資した。スチール研究所千葉地区の所在地は川崎町1。開設した同センターは鋼板や鋼管に機械で圧力を加え、どの程度の力にまで耐えられるのか、実際に破壊し製品を評価する。

 建築分野では、より高強度で薄い鋼板を求める声があるという。都市部を中心に再開発などのプロジェクトが活発し、高さ300メートル級の超高層ビルの荷重に耐えられる鋼材が求められている。鋼材の厚さを薄くすることで溶接や搬送にかかる時間をできるだけ短くし、人手不足が深刻な現場で省力化につなげたいというユーザーの要望にも応える。鋼材の厚さを現在の100ミリから70ミリにするための研究や実験、評価を実施するという。

 船舶やガスパイプライン、建築用鋼材を試験する様子を顧客に見せて、製品や技術に対する理解を深めてもらう。鋼材の破壊・疲労に関する研究史や技術情報の展示スペース、会議室も完備。国内外の顧客や研究機関との共同研究、プロジェクトを創出するイノベーションの場としても活用する。

【日本のトイレ、いろいろあります】トイレのピクトグラム、JISで制定

経済産業省は20日、施設用途などを絵文字で表現する案内用図記号(ピクトグラム)のJIS「Z8210」を改正したと発表した。

 トイレに設置される3種類の便器(和風便器、洋風便器、温水洗浄便座)のピクトグラムを追加した。2020年東京五輪・パラリンピックの開催までに想定される訪日外国人旅行者(インバウンド)のさらなる増加を見越し、分かりやすい案内表示に努める。

 便器の3種類をピクトグラムのJISに追加した背景には、海外で和風便器や温水洗浄便座が普及していない状況がある。経産省によると、不特定多数の人が利用する公共施設を中心に、トイレの出入り口やトイレ内の個室に掲示してもらいたい考え。20年東京五輪・パラリンピックの大会関連施設への掲示も期待している。

2019年2月19日火曜日

【回転窓】巡って楽しい工事現場

建築、土木を問わず公共機関がプロジェクトを行う場合、費用対効果などのデータを事前に開示し事業に対する理解を深めてもらう取り組みが定着しつつある▼高速道路の新区間が開通して、目的地にたどり着く時間が大幅に短くなるなど工事が終わった後、効果を実感することは多い。だが工事の最中は「何かを造っているな」とは思っても、気になって仕方がないと思う人はそう多くないだろう▼奈良県にある特別史跡・平城宮跡で工事中の「第一次対極殿院南門」。復元プロジェクトに関心を持ってもらおうと、国土交通省近畿地方整備局の飛鳥歴史公園事務所が現場を覆う素屋根の南側に、完成イメージを印刷した特大のシートを設置した▼南門の本体工事は4月に始まる予定で、シートの前に設けた見学デッキに上れば古代の技法を使った左官や瓦ぶきなどが間近で見られるそう。できるだけ多くの人に事業を知ってもらいたい。さまざまな工夫には同事務所の思いが込められている▼春の訪れにはまだ少し早いが、あとひと月もすれば桜の開花も始まるだろう。春の行楽に今年はぜひ、工事現場巡りを加えてみては。

【9月の都都計審に変更案付議へ】首都高日本橋区間地下化、都市計画変更手続き開始

首都高速道路の日本橋区間(東京都中央区、千代田区)の地下化に向けた都市計画変更の手続きが始まった。

 東京都と首都高速道路会社が、地下化区間を含む神田橋ジャンクション(JCT)から江戸橋JCTまでの約1・8キロを対象とした都市計画変更素案を作成した。周辺で計画されている再開発事業と足並みをそろえ事業化を目指す。

 9月ころに開かれる都都市計画審議会に2件の再開発関連都市計画とともに付議される見通しだ。

続きはHP

【事業費3000億円見込む】JR東、羽田空港アクセス線の環境アセス手続き着手

JR東日本は、東京都心部と羽田空港を結ぶ「(仮称)羽田空港アクセス線」の環境影響評価(環境アセス)手続きを進める。

 計画している3ルートのうち、「東山手ルート」のJR山手線田町駅付近(港区)~東京貨物ターミナル付近(品川区)の約7・4キロと、3ルートの共通区間となる「アクセス新線」として同ターミナル付近~羽田空港(アクセス新線、大田区)の約5・0キロの計12・4キロが対象。事業費は約3000億円を見込んでいる。

 東山手ルート、東京貨物ターミナルからJR山手線・大崎駅(品川区)方面の「西山手ルート」と、りんかい線・東京テレポート駅(江東区)方面の「臨海部ルート」の3ルートを計画中。東山手ルートと共通区間について、都の環境アセス条例に基づく手続きに入り、環境アセス調査計画書を5~6月にまとめる。

 整備事業は、手続き・工事で約10年を想定している。羽田空港には、現在の第1、2ターミナル間に羽田空港新駅を設置する。環境アセス手続きの対象には含めていないが、羽田空港新駅から国際線ターミナルまでの新設路線の整備も計画している。東山手ルートとアクセス新線の事業費、事業期間には、西山手ルート、臨海部ルートを含めておらず、両ルートの整備に当たっては関係機関との協議が必要になるという。

 環境アセス手続きへの着手は、日本記者クラブが15日に開いた講演で深澤祐二社長が表明。「羽田空港はまだ利用者が増える。さまざまなアクセスをつくるのは社会的に意義がある」と実現に意欲を見せた。

2019年2月18日月曜日

【回転窓】ル・コルビュジエ誕生前夜を味わう

「団塊の世代」の名付け親で、経済企画庁(現内閣府)長官も務めた作家、評論家…。先日亡くなった堺屋太一氏は先見の明を持つ、多才な人だった▼「一芸に秀でた人」ではなく「多才な人」には顕著な業績を残している人が少なくない。建築界の巨人ル・コルビュジエ(1887~1965年)もその一人。若いころ本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレとして、キュービスムの流れをくむピュリスムの絵画制作に打ち込んだ▼雑誌に「ル・コルビュジエ」のペンネームで建築論を連載し、著述活動を通じて思想を大きく進化・発展。絵画や彫刻にとどまらず出版やインテリア・デザイン、建築設計、都市計画と幅広い領域で芸術活動を展開した▼建築を近代的な芸術に高めるという理念の下、建築と絵画・彫刻による総合的な芸術空間を創造した。画家ジャンヌレは建築家コルビュジエへと生まれ変わった▼コルビュジエ誕生前夜を紹介する展覧会「絵画から建築へ-ピュリスムの時代」が19日に東京・上野公園の国立西洋美術館で始まる。コルビュジエが創り出した世界遺産建築を堪能しながら彼の原点を味わいたい。

【人気ガールズバンドとコラボ!!】高松建設、就活生向けにPR動画制作

 高松建設は、就職活動に入る学生向けに企業紹介のプロモーション動画を制作した。大阪を中心に活動している女性ハードロックバンド「ガールズロックバンド革命」とコラボレーションしている。

 建設現場などで実際に活躍する若手社員の仕事風景を、重厚で疾走感のある楽曲「CHANGE」に合わせて、ミュージックビデオ風に描いている。若い世代にインパクトを与え、「仕事がきつい」「男性社会」というイメージを払拭(ふっしょく)。建設業が格好いい仕事だと感じてもらう狙いだ。

 動画は同社の主要業務である施工管理と設計、コンサルティング営業の三つに焦点を当てている。実際に活躍する若手社員が出演。仕事の様子や、全部門が同じベクトルを向きプロジェクトに挑んでいく姿を撮影した。

 ガールズロックバンド革命は、若い世代で注目を集めている。同社は昨年101年目を迎え、次の百年へ向けた転換期に入ったこともあり、CHANGEというタイトルの曲を選んだ。

【凜】山下PMC事業統括本部事業統括部・野崎文香さん

 ◇発注者から指名される存在に◇

 さまざまな工程に分かれている建築物をすべて自分で手掛けてみたい-。この思いを実現するため、コンサルタント業界に飛び込んだ。

 学生時代は設計制作だけでなく、土地の取得から設計・施工者を選定する「コーポラティブ住宅」の研究に没頭。卒業後は官庁プロジェクトをメインに手掛けるコンサルタント会社に入社したが、「もっと実務に触れたい」と強く感じ、転職を決意した。

 山下PMCに入社したのは約5年前。事業統括部でPMr(プロジェクトマネジャー)をサポートしながら、発注図書や計画づくりなどを担う。

 発注者支援は「多くの関係者と複雑に絡み合ったプロセスを経て、最適解を導き出す仕事」と強調。発注者の要望に真摯(しんし)に対応していく中でやりがいを実感する。

 自身も参加した横浜市庁舎(横浜市中区)の移転整備や日本サッカー協会の「夢フィールド」(千葉市美浜区)、官民連携による多目的アリーナ「フラット八戸」(青森県八戸市)が着工を迎え、「自分が担当したプロジェクトが日の目を見る」と胸を弾ませる。

 判断に迷った際は「賢人さん」と呼ばれるベテラン社員に指導を仰ぐことも。仲間と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、「発注者から担当を指名される存在になりたい」と夢を語る。

 (ヴァイスプロジェクトマネジャー、のざき・ふみか)

【中堅世代】それぞれの建設業・221

自治体職員は公共事業の最前線に立っている
 ◇住民の窓口として耳を傾ける◇

 地方自治体の職員として働く佐藤弘さん(仮名)は、本年度から街づくりを推進する部署の課長に就いた。周辺で都市基盤整備事業を控えた駅前の街づくりを担当。「1年生で分からないことが多い」と不安はあるものの、それでも「なんとか事業を軌道に乗せたい」という思いを胸に、「住民の窓口」としてさまざまな人の声に耳を傾けている。

 緑豊かな郊外で生まれ幼いころから、生き物などと触れ合うことが好きだった。将来は自然を守る仕事に就きたいと考えるようになり、大学で造園などを学んだ。就職活動を始めたころ、何げなくテレビを見ていて目に留まったのは、住宅が立ち並ぶ人口の多い地域に整備された親水公園の映像。多くの人と自然が共存する「地元にはない光景」に心を奪われた。整備した自治体は水辺の多い景観を重視し、公園などの整備を進めていた。「この事業に携わりたい」。そう考え、現在の自治体に入ることを決めた。

 最初に配属されたのは道路保全などを担当する部署。「工事してすぐに、目に見えて道路がきれいになっていく」過程に面白さを感じた一方で、厳しい工期や夜間作業の多さに戸惑った。現場監督を務めた夜間工事で、予定の明け方までに作業が終わらず、上司に「これまでの人生の中で一番きつく怒られた」ことを、今でも思い出す。

 数年後に異動となり、念願だった水辺の景観整備を手掛ける仕事に就くことができた。担当したのは河川両岸に遊歩道を整備する事業。護岸整備に併せて遊歩道を設け、景観と調和する桜並木を作る計画だった。完成後、満開の桜並木を多くの人が行き交う光景を見た時の喜びはひとしおだった。

 道路や河川といった土木部門で約10年キャリアを積んだ後、建築部門への異動を命じられた。配属されたのは都市計画などを扱う部署。「用途地域、建ぺい率、容積率についてさえよく知らなかった」当時は、慣れない言葉や業務に悪戦苦闘した。問い合わせに的確に答えられず、「厳しい言葉もいただいた」。それでも「自分の視野を広げるチャンス」と勉強を重ね、5年以上担当することができた。

 現在担当している街づくりの業務は、「道路保全とは違い、すぐに結果が出ない」。長期間にわたって取り組まなければならないところに事業の難しさを感じている。心掛けているのは「こちらの一方通行」で事業を進めないこと。丁寧に話を聞き、住民がどういった街を求めているのかを正確に把握し、事業に反映することが大切だと考えている。

 部署ごとで業務内容に違いはあるが、「事業の最前線に立って、住民の声を聞く」ことは変わらない。住民とのつながりが深まり、事業完了後に喜びの声が直接届いた時が、「自治体職員としての最高の喜び」だという。3歳になる自身の子どもにも、職員としてこのうれしさを体験してほしいとひそかに願っている。

【サークル】西松建設硬式庭球部


 ◇秋の団体戦で優勝めざす◇

 ベテラン社員によると昭和30年代から活動しているという。約140年に及ぶ会社の歴史で、約半分の年月をともに歩んできたことになる。伝統ある会社公認の部として、精鋭約20人(1月時点)が活動中だ。

 活動モットーは「継続は力なり」。建設業17社で構成する「建設業硬式庭球連盟」に所属しており、春と秋の大会参加が主な活動内容だ。

 当面の目標は、11月に開かれる秋の団体戦での優勝。栄冠獲得を目指して練習を重ねている。前回の大会は1部リーグで優勝を果たした。実力は折り紙付きだが、部長を務める山下和也開発事業第一部企画課課長は「前回大会では力は拮抗(きっこう)していた。次回はどんな結果になるか分からない」と気を引き締める。

 「最近は同業他社も若手職員が数多く大会に顔を出すようになってきた」と山下課長。社内で日ごろ接点のない職種の人や、同業他社と関われることもクラブ活動の利点の一つ。「若い人でも年長の人でも、仕事もテニスも頑張れる人は、自薦・他薦を問わずぜひ参加してほしい」と新規部員獲得に意欲を見せている。

【駆け出しのころ】前田道路取締役執行役員営業本部副本部長・大西國雄氏

 ◇逃げずに日々研さんを◇

 高校・大学時代はとにかくラグビー漬けの毎日でした。しかし、同じ夢を持ち、厳しい練習を逃げずに必死で耐えた仲間と過ごした時間は、人生で最も貴重な財産です。今でもラグビーを通じて多くの人とつながりがあります。何より前田道路に入るきっかけも、ラグビー関係者から体を動かし、額に汗して働く建設業が向いていると強く勧められ、入社を決意したことを覚えています。

 本社採用でしたが、東北出身で方言が抜けきらなかったからなのか、入社後31年間は東北勤務が続きました。営業所は家族意識が強く人間関係も温かい雰囲気がありましたが、日々仕事に追われ、苦労したのを覚えています。特に北国の東北では冬場の舗装作業が難しくなります。11~12月の忙しさを乗り越えるため、学生時代のラグビーの合宿を思い出しながら必死で仕事に励みました。

 若い頃は、先輩に「仕事は教わるのではなく、盗むものだ」と言われ、早く会社の一員として戦力になりたいとの思いを強く抱き、休むことより仕事を優先して頑張ったものです。しかし、そんな中でも大雨で作業を中断せざるを得ない、急な休みの時には仲間と酒を酌み交わしながら英気を養うこともありました。社会人になってからも30代前半まで地域のラグビーチームに参加していました。

 昨年、東京都内で行われたニュージーランドのラグビー代表チームであるオールブラックスと日本代表チームの試合を観戦しましたが、人混みがすごくてラグビーはプレーするものだと思いました。今年はワールドカップが開催されますが、テレビ観戦で応援しようと考えているところです。いつでも、どんなに仕事に追われていようとも、仕事のオン・オフの切り替えは不可能なことではないと思っています。

 昨今の働き方改革が推進される中、会社と社員は生産性の向上と業務の簡素化の狭間で少々難題も抱えていますが、若い社員のマンパワーは必要不可欠です。日々研さんを重ね、より良い環境づくりと向き合い仕事をやり遂げたいと思います。

 建設業は地味で厳しい仕事と思われがちですが、自分が携わる仕事が形となり、目にすることができます。社会的な役割と責任も非常に大きく、完成時に味わう達成感は格別で、次へのやりがいにつながります。

 健全なる精神は健全なる肉体に宿る-。企業に置き換えれば、「健全なる人材は健全なる会社に宿る」と言えるのではないでしょうか。地道な努力、訓練を重ねて自らを高める一方で、出会った方々との和を大切にすることも忘れてはいけません。

 信頼されて任された仕事で期待以上の成果で応えながら、仕事の輪も自然と広がっていくような持続的な事業環境を創出することに一層注力していきたいと思います。先人たちが築いた会社とその精神を継承し、さらなるレベルアップを図り、次代に引き継いでいくことが、これからの責務だと考えています。
入社8年目。社会人チームで参加した東北国体予選での一枚
(写真中央が本人)
(おおにし・くにお)1986年法政大学経営学部経営学科卒、前田道路入社。東北地方の営業所や合材工場、支店勤務などを経て2011年に東北支店長。18年から現職。青森県出身、56歳。

2019年2月14日木曜日

【回転窓】若者が切り開く海外旅行

空港方面に向かう電車でスーツケースを引いた若者たちを見かけた。2月中旬という時期から察すると、卒業旅行なのかもしれない▼JTB総合研究所によると、日本の海外旅行市場に変化が起きているという。年代別の出国率を見ると、主流だったシニア世代が減少している一方で、20代前半が上昇する傾向にある。雇用環境の改善や給与所得の上昇などが背景にあると考えられ、これからは若者が海外旅行のけん引役になると分析している▼自分が20代に旅したころは、拙い英語で尋ねながら目的地を探す場面が多かった。インドの山奥をバスで移動した時、「どこを走っているのかわかれば、もっと面白いのに」と思ったことも▼今はスマートフォンなどの普及で現在地や目的地が正確に把握できる。場所を記録できれば再訪も容易だ。知り合った相手とメールアドレスなどを交換すれば、リアルタイムでやりとりもできる▼そうしたツールは旅の在り方を変えるはず。世界に旅立つ若者は、今までとは違ったつながりや足跡を海外に残してくるのだろう。新たな事業や社会貢献が始まるような若者たちの出会いに期待したい。

【総延べ13.5万㎡、20年春開業めざす】大和ハウス工業、沖縄県豊見城市に水族館併設大型複合施設

 大和ハウス工業は、沖縄県豊見城市に水族館を併設した大型複合商業施設「(仮称)沖縄豊崎タウンプロジェクト」を建設する。

 総延べ約14万平方メートルの規模で、水族館を併設した大型複合商業施設は、県内初となる。大林組の設計・施工で昨年12月に着工した。環境デザインはスペースが担当している。運営は大和情報サービスが行う。20年4月のオープンを予定している。

 計画地は豊崎3。那覇空港から約6キロに位置している。同市はビーチリゾートとして発展しており、建設地は「豊崎タウン」として開発しているエリア内となる。敷地面積は7万1499平方メートル。建物規模はS造4階建て延べ13万5000平方メートル。

 マルシェとレストランを組み合わせた「フードホール」や大型スーパーマーケットを中心とした店舗、大型家電量販店、ファッション、インテリア、アミューズメントパークなど約170店舗が出店する予定。ミニチュアテーマパークや、屋上のバーベキューエリアなども設ける。駐車台数は約3100台を計画する。

 施設は「DMMかりゆし水族館」が併設される点が特徴。水族館の事業主はDMM RESORTSで、最新の映像表現や空間演出を駆使した施設にする予定という。大和ハウス工業は、同地区での開発に積極的に取り組んでいる。2002年には商業施設「沖縄アウトレットモールあしびなー」を開業させている。

【GWまでの完全復旧めざす】関空連絡橋、橋桁の架設作業開始

工事関係者が見守る中、大型クレーン船で吊り上げられる橋桁
(2月12日深夜、大阪市泉佐野市の関空連絡橋で)
西日本高速道路会社は12日深夜、18年9月の台風21号の強風でタンカーが衝突、損傷した関西国際空港連絡橋(大阪府泉佐野市)に新たな橋桁を架設する作業を開始した。

 橋桁(約188メートル)の設置は2回に分けて行われ、13日未明には関空島側のA1~P1間(89・8メートル)の架設が無事に完了。残るP1~P2間(97・8メートル)の工事も13日深夜から14日未明にかけて実施される。被災から約5カ月という異例の早さで桁架設にまでこぎ着けた。3月中には対面通行規制を解除する予定だ。

 タンカーが衝突した連絡橋の空港島付近は上部の左右に高速道路上下線、下部の中央を鉄道が通る2層構造。タンカーが直接衝突した高速道路下り線の橋桁2本は鉄道側に最大約4メートルずれるなどの被害を受けた。

 西日本高速道路会社では、昨年9月12~14日に損傷した橋桁を2ブロック(A1~P1間、P1~P2間)に分けて撤去。損傷した橋桁はIHIインフラシステム堺工場(堺市)と、高田機工和歌山工場(和歌山県海南市)に搬入され、解体、桁製作、塗装、組み立てなどを経て1日に完成した。

 IHIインフラシステムは損傷が大きかったP1~P2間の橋桁(858トン)を新たに製作。高田機工が担当したA1~P1間(790トン)は損傷が軽微だったため、6割程度を再利用している。

 架設作業は深田サルベージ建設のフローティングクレーン(FC)船を使用し、A1~P1間を先行して実施。12日の昼間から桁をつり上げた状態で待機していたFC船は、関西空港A滑走路の運用が終わる午後11時30分ごろに作業位置への移動を始めた。鉄道の運行が終了した後、13日午前0時30分ごろには架設位置の上空まで移動。そこから微調整を行いながらゆっくりと橋桁が下ろされ、同日未明に作業を無事完了した。

 P1~P2間でも同様の作業を13日深夜から14日未明に行う。その後、舗装や照明設置等の工事が順調に進めば3月中に対面通行規制を解除、上下各2車線の4車線を確保する。今春の大型連休までに上下各3車線の完全復旧を目指す。

2019年2月13日水曜日

【回転窓】雪かきを支えるのはだれ

先週末、大寒波が北日本を襲った。北海道では観測史上最も強い寒気が入り、陸別町で氷点下31・8度を観測するなど氷点下30度を下回る地点が相次いだ▼極寒地では思わぬ自然現象が起きる。その一つに「木花(きばな)」がある。寒い日の朝、零度以下に過冷却された霧粒が空中を漂い、木や電線にぶつかって氷結して白い花のような装いを見せる。気温が上がると一陣の風で落ちてしまうのだが、昔の人はつらい寒さの中でも一瞬の美しさを見逃さない余裕があったのかもしれない▼北国で暮らす人にとって、寒さと同時に大変なのが雪かきだろう。雪の多い地域に転勤した人がまず口にするのが雪かきのつらさ。雪国の人には申し訳ないが、雪のない地域で生活してきた人には毎朝の日課となる雪かきの大変さを実感するのが難しい▼雪かきをおろそかにはできない。そのまま放置すれば家から出入りができなくなるだけでなく、雪の重みで家がつぶれることもある▼高齢化社会が進む中で、除雪作業や地域の人たちの雪かきを担う地域建設業者の役割はますます重要になる。その意識が多くの人に浸透することを願う。

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/新年に合わせ日本の桜が開花

 ハノイ市のホアビン公園では、日本のパートナーから贈られた桜が見頃を迎えている。2013年から植樹が行われ、現在は1000本以上がそろう。市民に日本文化を伝えるほか、両国の友好関係の象徴となっている。

 植えられた桜は旧正月を前に開花し、新年を迎える市民の目を楽しませている。桜の植樹はベトナムに出店するイオングループが実施した。ベトナムは日本と気候・土壌が違うため、現地の環境に合った桜の種類が選ばれ、栽培方法も工夫されている。

セイ・ズン、2月3日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/労働時間短縮で弾力的対応を

大韓建設協会(ユ・ジュヒョン会長)は1月28日、労働時間短縮改善法案を議論している経済社会労働委員会に対し、建設現場の実態に合わせた改善方策を早期に具体化するよう建議した。

 政府と労使関係者が対話する同委員会では当初、昨年末までに現場への影響を考慮し弾力的に対応できる同法案を固める計画だった。

 改正労働基準法による労働時間短縮に対する処罰猶予期間が終わろうとする中、協会関係者は「ただでさえ工期や工事費が不足した状況下で、急激な労働時間短縮まで重なり、現場は非常に混乱している」と現状を説明した。

 議論中の改善方策の内容も見えず、「建設業者は今年の工程計画を立てられないでいるのが実情だ」と訴える。業界側が要求する主な改善方策は、弾力的労働時間制の単位期間の拡大や要件緩和、18年7月1日の施行前に発注された工事の対象除外など。

CNEWS、1月29日)

【運営時の経済波及効果は年7600億円】大阪府・市、IR基本構想案策定

 大阪府と大阪市は12日、大阪市此花区夢洲への誘致を計画しているカジノを含む統合型リゾート(IR)の基本構想案を取りまとめた。

 IR施設第1期を建設するのは夢洲の北部エリアで面積は約60ヘクタール。投資規模は9300億円。施設の総延べ床面積は100万平方メートル。このうち複合MICE施設は1万2000人に対応する国際会議場と、10万平方メートルの展示場で構成する。

 宿泊施設は3000室規模を計画。府はIR事業者の計画に関する検討を加速させるため3月にもIR施設コンセプトの公募手続きに着手する。

 府市は舞洲で「世界最高水準の都市型IR」の実現を目指す。年間延べ利用者数は2480万人を見込む。このうちカジノを利用するのは590万人。カジノによる年間収入3800億円を含む年間売り上げは4800億円と試算している。

 施設建設時の経済波及効果は1兆2400億円、運営時の年間経済波及効果は7600億円と試算。年間雇用創出効果は建設時が7万5000人で、運営時は8万8000人。

 この日、大阪府・市が開いた副首都推進本部会議で、IR区域整備に関する基本協定書案について了承。IR整備法に基づく申請や夢洲地区への警察署設置は府が、関連インフラ整備と消防署整備は市が行い、その他の事業・対策は府市が共同で行い費用も折半することになった。

 IR整備法に基づき国のIR基本方針が今夏にも策定される見通し。その後、実施方針策定や事業者公募・選定、区域整備計画作成、区域認定申請・認定を経て、20年度中ごろに着工、24年度中の開業を目指す。