2019年2月27日水曜日

【回転窓】橋は「はし」か「ばし」か

橋は「はし」か「ばし」か-。昭和30年代に橋の読み方を巡る論争があったと土木雑誌で読んだことがある▼発端は東京都が1954年に出した橋の「銘板」に関する通達。都は橋梁の新設や改修で取り付ける銘板を統一するため、銘板の大きさや取り付け位置、書体などをルール化した。その中に平仮名で橋名板を取り付けた場合、末尾の字音が濁音の時は「ばし」とせず「はし」と書くとした▼つまり「ひのでばし」は「ひのではし」、「しらさぎばし」は「しらさぎはし」にするよう求めたのだ。これに対し、市民が使い親しんでいる呼び名を役所が勝手に変えるのはおかしいと、反論が続出した▼都は1962年に改めて通達を出し直し、その項目を削除した。清音にするか、濁音にするか。たかだかそれだけと思われるかもしれないが、銘板に刻めばそれこそ次世代にも受け継がれることになる。譲れないところだろう▼各地方整備局は現在、土木構造物の完成時に構造物の名称だけでなく、工事を担当した会社名や技術者名を刻んだ銘板の設置を進めている。ものづくりに携わる建設技術者の励みになるのは間違いない。

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