2019年2月25日月曜日

【建設業の心温まる物語】熊谷組北陸支店(福井県)・川崎翔一郎さん

 ◇衝撃を受けた児童からのメッセージ◇

 ある年の夏、私はとある山奥の小学校の耐震補強工事の現場へ配属になりました。小学校がある場所は宿から車で約30~40分かかり、通勤中には猿やタヌキ、イノシシなどが出てくるほどの田舎町にありました。

 耐震補強の工事は2年間の間に夏休みだけを利用して工事をする内容でした。夏休みの期間40日で解体から耐震補強工事、また内装仕上げまで完了するという過酷な工事でした。40日間土日祝日関係なく、お盆休みまでも仕事をしなればならないということで、私はこの現場に配属されたことが嫌で嫌でたまりませんでした。

 そんな気持ちの中、耐震補強工事前日に小学校の終業式がありました。終業式が終わり、明日から解体工事が始まるので、先輩と児童が忘れ物をしていないか教室を見回りました。そして最後の6年生の教室に入った時、黒板いっぱいに何か書いてあるのを見つけました。それは児童が書いた私たちへのメッセージだったのです。

 「完成とても楽しみにしています」「きれいな学校にしてください」「暑いけどがんばってください」などと書かれていました。あまりの衝撃に立ち止まってしまいました。

 自分は何のために仕事をしているのか、お客さまみんなに感動と幸せを与える、それが自分のやっている仕事だと気づかされました。どんなにつらいことがあってもその黒板のメッセージを思い出し、今日もまた現場に立っています。

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