2019年2月8日金曜日

【回転窓】統計不正とデータ改ざん

新聞と統計とは深い関わりがある。さまざまな機関がそれぞれの視点で集める各種統計データは、論旨の裏付けや解説記事の論拠となるだけでなく、統計に表れた数字自体が記事の材料となる▼厚生労働省の「毎月勤労統計」の調査方法に不正があったことが発覚。その後の総務省の点検で、56の基幹統計のうち実に24の統計で不適切な処理が見つかり、社会全体に波紋が広がっている▼統計法に基づき総務相が指定する特に重要な統計が「基幹統計」であり、政策立案の根拠となるものだ。国土交通省が所管する基幹統計は建築着工統計や建設工事統計など九つあり、そのうち七つに問題があったという▼これらの統計を基にした少なくない数の記事もまた「不正」であるのは避けられない事実であり、偽りの数字を間違えないよう注意しながら、せっせと記事にしていた行為に徒労感を覚える▼予算が削減され人員も不足している中で納期だけは延ばせない。生産現場で相次ぎ発覚したデータ改ざんと一連の統計不正には、背景に相通じるものがあるような気がする。少なくともガバナンスが揺らいできているのは間違いない。

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