東急と都市再生機構は19日、両者が共同施行者となって東京・渋谷の渋谷駅東口の地下に整備してきた雨水貯留施設を報道陣に公開した。
多発する集中豪雨への備えとして、地下約25メートルに約4000立方メートルの雨水を一時的に貯水するインフラを整えた。1時間に50ミリ以上の雨が降った場合に排水を超過する雨水を取り込み、天候の回復を待って既設の下水管にポンプで排水する。
雨水貯留施設は南北約45メートル、東西約22メートルのサイズ。1時間に75ミリの降雨に対応できる。代表者を東急、技術的な事項を担当する同意施行者を都市機構が務める渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者が、駅前広場の整備をはじめとする都の都市計画事業の区画整理の中で建設してきた。「水害に強く安全・安心なまちづくりの実現」を目指した。施工は東急建設・清水建設・鹿島JVが担当した。31日から供用を開始し、東京都下水道局が管理する。
駅周辺はビルが多く、雨水貯留施設は東口周辺の浸水対策として整備が計画された。集水エリアは東口駅前広場から駅東側の宮益坂上交差点までと広範にわたり、雨水はマンホールや取水管から流入する。ドロップシャフトと呼ぶらせん状の水路があり、流入する水の勢いを弱められる。降水量に合わせた貯水が可能で、清掃範囲を限定させられる構造となっている。脱臭、換気設備を備える。工事は2011年2月に着手した。14年8月に掘削を終え、本体の構築を開始。周辺のビル開発の事業者や関係機関と工程を綿密に調整し、地上の交通広場や駅、歩行者デッキに影響が出ないよう慎重に作業を進めてきた。工事はバスや鉄道の運行しない夜間を主体に実施。東急の織茂宏彰渋谷開発事業部開発推進グループ都市基盤整備担当課長は「24時間の安全確保に努めた」と工事のポイントを説明した。
渋谷駅は鉄道8路線が結節し、都内最大級のバスターミナルがある公共交通の拠点ながら、すり鉢状の地形のため雨水がたまりやすい。東京都下水道局の菅野建城計画調整部計画課水質改善事業推進専門課長は、「地下街の浸水対策に役立つ大規模な施設を街づくりと一体的に効率的に整備できた。豪雨への安全が高まった」と語った。区画整理の施行期間は10~26年度。周辺の大規模な再開発事業に併せて、完了した事業が一部ある。
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