建築家・丹下健三の代表作である「国立代々木競技場」の世界遺産登録を目指す推進協議会(隈研吾代表理事)らは2日、東京都港区の六本木アカデミーヒルズでシンポジウムを開いた。同協議会が本格的に活動を始めるキックオフイベントで、Docomomo(ドコモモ)の国際会議と合わせて開催。世界各国にも配信し、今後の展望や課題を議論した。
Docomomo Japan(ドコモモ・ジャパン、代表理事・渡邉研司東海大学教授)やドコモモ国際会議実行委員会(実行委員長・山名善之東京理科大学教授)との共催。
国立代々木競技場は、1964年の東京五輪で水泳とバスケットの競技会場として建設され、今夏の東京五輪・パラリンピックでも会場となっている。意匠設計を丹下健三が担当。第1体育館は清水建設、第2体育館は大林組が施工した。つり構造を用いて屋根・観客席を支えている外観が特徴で、内部には伸び上がるような壮大な空間を創出している。5月には国の重要文化財に指定されている。
隈代表理事は「高度成長の日本の勢いを建築のデザインに写しとった世界的な傑作だ。明治神宮の森があって建物があり、建築が単体ではなく都市と一体にある」と説明。戦前の練兵場から戦後のワシントンハイツ、さらに東京五輪会場へと移り変わった変遷に触れ、「変化を含めて世界遺産にふさわしい」と述べ、早期登録への期待を示した。建築家の槇文彦氏は、丹下研究室でやりとりを振り返り、「フリーディスカッションの議論を最重要視していた。常に世界で何が起きていたかも興味を持たれていた」と語った。
工学院大学の後藤治理事長は「20世紀に初めて登場した大空間建築構造として日本を代表する物だ。東京五輪はアジアで最初の五輪であって、世界で象徴的な出来事となる。難しい物を完成させた日本の建築生産体制が結実している」と評価し、「海外のいろいろな方の応援をいただきたい」と呼び掛けた。シンポジウムに続いて、DOCOMOMO国際会議の閉会式が行われた。
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