2021年9月6日月曜日

【回転窓】いつかの3回目のために

  夏の盛りのころよりも空気が澄んで海と空の境がだいぶはっきりしてきた。東京五輪のサーフィンの舞台となった千葉・九十九里浜の南端に位置する一宮町。緊急事態宣言で海水浴場は開設されず、無観客の五輪会場のように静かな夏が過ぎた▼コロナ禍の前は住民が浴衣で関係者を迎えるイベントなどを計画し、「サーフィンと生きるまち」を国内外にアピールする案を練った。「コロナを恨めしく思った」と馬淵昌也町長が広報誌で振り返っていた▼熱戦の続いた東京五輪・パラリンピック。感染症が大流行するさなかの異例の競技会は、躍動した選手の笑顔や涙、記録とともに、挙行を巡る賛否の両論が語り継がれる▼暮らす人や都市の景観、競技会場を整えた建設技術、感染症対策の実態…。日本の今は世界の人々の目にどう映り、どう伝わったか、おもてなしはできたのか。責任者と関係機関にしっかり総括してもらいたい▼千葉県はサーフィン競技の開催が財産として残るまちづくりに取り組むという。願わくば安心・安全で誰もが歓迎する3回目を。開催の価値と教訓を正しく受け止め、後世に正確に残さねばならない。

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