2021年9月9日木曜日

【屋内自転車競技施設に採用】清水建設、独自の屋根構造形式を実用化

鉄骨トラスで楕円形のドーム屋根を構成した(報道発表資料から)

  清水建設は独自の屋根構造形式「リングシェル」を開発し、「千葉JPFドーム」(千葉市中央区)で実用化した。単層の鉄骨トラスを組み合わせ、楕円(だえん)形ドーム屋根の骨組みを構成している。リングシェルの適用によって鉄骨構造で軽やかな、膨らみを抑えた楕円形の屋根を実現した。千葉JPFドームの大屋根は無柱の大空間として千葉県内最大という。10月2日に供用を開始する。

 千葉JPFドームに適用したリングシェルでは鉄骨トラスの剛性と耐力を高めるため、大屋根外周部に72本のケーブルを配置した。ケーブルは鉄骨トラスの外周部と大屋根中央下部に設けた直径84メートルの鋼製リングを放射状に連結。緊張されたケーブルで鉄骨トラスが外側に広がる力を低減し、大屋根の骨組みトラスを構造的に完結・独立させる。施工に当たっては鉄骨精度の確保が課題となったが、計測管理を徹底することでスパン119メートルに対して最大56ミリのたわみに収めた。

 千葉JPFドームはJPFが千葉公園内に民設民営事業として整備する自転車競技施設。約2500席の観客席を備え、周長250メートルの木製トラックは世界選手権仕様となっている。個性的なデザインのドーム大屋根を、シンプルな鉄骨構造で表現している設計が特徴。大屋根は総重量約1000トン、直径198メートルの球の表面を楕円に切り取った形状をしており、薄く軽やかなつくりで観客席と木製トラックを包み込む。

 施設はS一部SRC造地下1階地上4階建て延べ約1万4300平方メートルの規模。設計・施工は清水建設が担当した。

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