土木学会(谷口博昭会長)の2021年度全国大会が6日開幕した。新型コロナウイルスの流行やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などを念頭に、社会の変化に適応した土木インフラの将来像を発信する。7日からは日本建築学会(田辺新一会長)の21年度全国大会が開幕。ウィズ・アフターコロナへの対応やSDGs(持続可能な開発目標)、BIM、災害対策といった幅広い分野で意見を交わす。いずれもオンライン形式で開催。大会期間は10日まで。
土木学会の大会テーマは「これまでも、これからも生活経済社会の礎を築く土木~市民と連携し、土木のビッグ・ピクチャーを描こう~」。産学官の土木技術者らがテーマに関連した講演や討論会などを行う。9~10日には「第76回年次学術講演会」として多様な分野の研究者による研究発表(講演総題数は約3200件)も予定する。当初は関東支部が中心となり神奈川県平塚市にある東海大学湘南キャンパスでの現地開催を目指していた。大会の様子は動画で生配信。コロナ禍前の通常開催時と同じ3万人程度の参加を目指す。実行委員長は国土交通省関東地方整備局の若林伸幸局長が務める。
谷口会長は8日午前に基調講演する。社会全体を俯瞰(ふかん)するビッグ・ピクチャーとして、長期の視点に立ったプロジェクトの在り方や投資額などを明示した土木インフラの将来像を提唱。社会を取り巻く最新の課題や変化に対応し、経済を支える土木インフラの役割を訴える。
日本建築学会の大会テーマは「つなぐ、集う、楽しむ」。東海支部が中心となり名古屋市昭和区の名古屋工業大学での開催を目指していたが、新型コロナでオンラインに切り替えた。1万人程度の参加を見込む。
田辺会長はホームページに公開したあいさつで、「オンラインでどのような大会ができるのか壮大な社会実験の場でもある。未来に貢献できる建築に関して議論できればと思う」と呼び掛けた。勅使川原正臣大会委員長は「ご協力いただき大会を盛り上げるようお願いする」、井戸田秀樹大会実行委員長は「今後の大会はどうあるべきなのか、一緒に考える大会にできれば」とコメントを寄せた。学術講演会で6027件、建築デザイン発表会は203件の発表を予定。記念行事では「ニューノーマルの建築観:身体・距離・時間・領域」をテーマに、環境デザイン研究所の仙田満会長や建築家の坂茂氏らが有識者と語り合う対談動画を公開している。
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