2021年9月15日水曜日

【自然に寄り添う建築追求】高松宮殿下記念世界文化賞、建築部門はグレン・マーカット氏に

グレン・マーカット氏(撮影・Anthony Browell)

  日本美術協会(総裁・常陸宮さま)は14日、世界の優れた芸術家に贈る第32回(2021年)「高松宮殿下記念世界文化賞」の受賞者4人を発表した。建築部門はオーストラリアのグレン・マーカット氏(85)が選ばれた。受賞者にはメダルや賞金1500万円などを贈る。10月に式典などを予定していたが、新型コロナウイルスの流行を踏まえ中止する。

 マーカット氏は英国で生まれ、若くしてオーストラリアに移住した。先住民族アボリジニの言葉「大地に軽く触れる」をモットーに、個人住宅を中心に450件以上の設計に従事。地元の木材や波形鋼板、石、ガラス、コンクリートなど簡素な素材を使い、自然に寄り添う建築を生み出してきた。

アーサー&イヴォンヌ・ボイド教育センター
(1999年完成、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州、
撮影・Anthony Browell、画像提供・TOTO出版)

 出世作となった高床式家屋の「マリー・ショート/グレン・マーカット邸」は、二重屋根の天窓や壁のルーバーで日差しや風の向きや量を調整でき、空調に頼らず快適に過ごせる。代表作には「アーサー&イヴォンヌ・ボイド教育センター」などがある。

 特別な場合を除き1人ですべての設計作業をこなす。コンピューターは使わず鉛筆で克明な図面を描くという。02年に同国で初めて米プリツカー賞を受賞。09年に米国建築家協会(AIA)ゴールドメダルを獲得した。08年には日本で展覧会が開かれた。

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