竹中工務店と竹中土木は14日、米ボストン・ダイナミクスが開発した四足歩行ロボット「Spot」を使った現場管理の実証実験で、自動巡回と遠隔操作機能の有効性を確認したと発表した。
工事記録写真の撮影や工事進捗(しんちょく)管理など、現場管理業務の負担を10%程度削減できたという。搭載機器のユニット化などに取り組み、2024年の実用化を目指す。
実証実験は19年10月から複数の建築現場や土木現場で行ってきた。自動巡回の実証では3Dレーザー測域センサーを利用し、Spotの背中に全天球撮影カメラ(360度カメラ)を搭載。現場環境が日々変化しても自分の位置や経路を把握し、工事進捗管理などに必要な写真を取得できることを確認した。建物1階からスロープや階段を利用し、4階のフロアを巡回して戻るといった日常運用を想定した実証実験にも成功した。複数の大規模な建築現場で自動巡回の有効性を確認した事例は国内初という。
遠隔操作機能の実証では両社が開発した首振り台座付きタブレット端末や小型プロジェクター、通話装置、小型コンピューター、バッテリーを搭載。LTEモバイルルーターで遠隔通信を行った。遠隔地からパソコンなどで操作し現場の作業を確認できる。現地の作業員らとモニターなどに投影された資料や図面を共有しながら打ち合わせも可能。測量機を搭載すれば遠隔地から寸法や精度管理業務なども行える。
今後は搭載機器のユニット化やオペレーションシステムの開発を進める。搭載ユニットは他の移動ロボットへの応用も検討し、開発中の「建設ロボットプラットフォーム」との連携を目指す。両社はSpotの実用化に向け20年12月から鹿島を加えた3社で共同研究を開始。実証の成果を3社連携にフィードバックし、現場の働き方改革などにつなげていく考えだ。
0 comments :
コメントを投稿