2019年2月18日月曜日

【回転窓】ル・コルビュジエ誕生前夜を味わう

「団塊の世代」の名付け親で、経済企画庁(現内閣府)長官も務めた作家、評論家…。先日亡くなった堺屋太一氏は先見の明を持つ、多才な人だった▼「一芸に秀でた人」ではなく「多才な人」には顕著な業績を残している人が少なくない。建築界の巨人ル・コルビュジエ(1887~1965年)もその一人。若いころ本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレとして、キュービスムの流れをくむピュリスムの絵画制作に打ち込んだ▼雑誌に「ル・コルビュジエ」のペンネームで建築論を連載し、著述活動を通じて思想を大きく進化・発展。絵画や彫刻にとどまらず出版やインテリア・デザイン、建築設計、都市計画と幅広い領域で芸術活動を展開した▼建築を近代的な芸術に高めるという理念の下、建築と絵画・彫刻による総合的な芸術空間を創造した。画家ジャンヌレは建築家コルビュジエへと生まれ変わった▼コルビュジエ誕生前夜を紹介する展覧会「絵画から建築へ-ピュリスムの時代」が19日に東京・上野公園の国立西洋美術館で始まる。コルビュジエが創り出した世界遺産建築を堪能しながら彼の原点を味わいたい。

0 コメント :

コメントを投稿