2019年2月25日月曜日

【建設業の心温まる物語】浦安工業大阪支店(大阪府)・中村進也さん

 ◇設計図を見直した結果が成功に結びついた◇

 私は以前、兵庫県警察学校射撃場換気設備改修工事の監理技術者兼、現場代理人を務めました。拳銃訓練の際、拳銃から発生する硝煙に鉛の成分が入っており、人が吸い込むと有害になるので換気設備の改修工事が必要とのことでした。

 人が硝煙を吸い込むのを阻止するだけでは簡単なことですが、換気設備からの風が強いと拳銃訓練で的を狙う際、弾に影響を与えます。元設計では硝煙の吸い込み防止にはなりますが、換気風が弾に影響を与えかねません。

 「このままではいけない」

 私は設計変更の提案を決意しました。発注金額が変わり、工期が伸びるかもしれず、発注者の了解が得られるよう、一生懸命に考えました。検討の結果、各レーン後ろの吹き出し口が弾に影響を与えると考え、天井内チャンバーにパンチングメタルを連結する工法を提案しました。

 提案が通り、工事を進めることになりましたが、またもや問題が発生しました。天井部の吹き付け材に、アスベストが含まれていたのです。天井材の全面撤去および復旧工事が追加となり工期が大きく伸びるおそれがありました。

 射撃場が使用できない期間が延びれば学校の授業の進捗(しんちょく)が遅れてしまいます。そこで、建物の半分ずつ撤去および復旧をする工程を考えました。学校側にも協力していただき、授業を組み直してくれました。その結果無事、アスベストの撤去および復旧工事が完了しました。

 その他の工事も完了して、あとは試運転調整を残すのみになりました。3次元気流測定器を使ってデータ収集とダクトダンパーの調節で約2週間かかりましたが、合格基準よりも良い数値が出たのです。

 あの時、設計図を見直して提案し、採用していただいたことが今も一番印象に残っています。おかげでその後、表彰されましたし、その他の射撃場工事で採用もされています。

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