2025年2月25日火曜日

中部整備局新丸山ダム工事と大林組/堤体打設へケーブルクレーン自律運転の実証実験

 中部地方整備局新丸山ダム工事事務所と大林組・大本組・市川工務店JVは20日、施工中の新丸山ダム(右岸・岐阜県八百津町八百津、左岸・御嵩町小和沢)で、コンクリート打設のケーブルクレーン自律運転の実証実験を公開した。ローカル5Gの高速通信環境やセンサーを活用し、揺動を制御しながら運搬容器(バケット)の移動や材料の放出を行った。今春、堤体打設に着手する予定で、段階的にDX技術を導入。最終的には締め固めを行う建設機械とも連動し、一気通貫の自律型コンクリート打設の実現を目指す。
 あいさつで同工事事務所の松原克彦副所長は「生産性、安全性の向上を目指して施工している。土木の現場でDXが進んでいることを伝えたい」、大林組の渋谷仁執行役員ロボティクス生産本部長は「重要なのは継続的に技術開発を進め、進化・高度化させること。国土交通省と協力し、未来の現場に一歩一歩近づきたい」と話した。
 同ダムのコンクリート打設量は約130万立方メートル。運搬は、18トンつりの弧動式片側走行ケーブルクレーン2基で行う。右岸側にコンクリート製造設備やクレーン固定塔があり、バケットの発進地となる。左右岸の径間は537メートル。揚程は160メートル。
 バケットは谷を渡る際、加減速で大きく横振れする。コンクリート放出時も荷重が抜けて跳ね上がり、安全面や材料の混ざり具合など品質面に影響を及ぼす。従来のオペレーター操作でこれらに対応するためには、放出地点の合図者との連携や振れを打ち消す操作など熟練した技術が必要。長時間、極度の緊張状態の作業が求められるとともに、ヒューマンエラーの課題もある。
 自律運転では、ケーブルからバケットをつり下げるトロリ・フックに設置したセンサーが振れ幅や位置情報、残量を検出。システムが振れや跳ね上がりを相殺する動作を自動で加えて制御する。実験では、自動でバケットが巻き上がり発進。毎分400メートルのスピードで水平方向に移動し、左岸側に向かった。目標地点との距離を逆算しながら減速・巻き下げし、到達後に材料を放出。再度巻き上がり、右岸側に戻ってきた。一連の動作は揺動を抑制しながらスムーズに行われた。1往復の時間は3分ほど。
 大林組はこれまでも同現場で、複数建機の自律運転の連携など、DX技術の実証実験に取り組んできた。今後着手する打設では、バケットの自動運搬、自律放出、放出位置の自律修正と段階的にシステムを運用。最終的には打設機械のバイバックなどとも連携し、全機械作業の自律運転を目指す。
 新丸山ダムの建設では、既存の丸山ダム下流側に新たな堤体を構築する。堤高は118メートル、堤頂長は340メートル。洪水調節容量は7200万立方メートルに増強する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=171640
via 日刊建設工業新聞

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