2025年2月13日木曜日

上場ゼネコン大手4社/24年4~12月期決算、3社増収・好採算案件で利益率も改善

 上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、清水建設、大成建設)の2024年4~12月期の連結決算が12日に出そろった。大型工事の進捗や設計変更などを獲得するなどして3社が増収。本業のもうけを示す営業利益は好採算案件への入れ替わりと利益率改善を要因に3社が前年同期を上回った。業績の先行指標となる単体受注高は2社が増加した。
 連結売上高は4~12月期で鹿島、大林組、大成建設が過去最高となった。鹿島は海外関係会社が押し上げた。大林組は国内の大型工事や海外子会社が売り上げに貢献。大成建設は首都圏の大型建築工事が最盛期を迎え増収となった。
 営業利益は、大林組と大成建設が土木や建築の利益率改善で増益となった。鹿島は施工初期段階の大型工事が多く建築事業の減収が要因で減益となったものの、単体の完成工事総利益(粗利益)率は2桁を維持した。同社は「建設コストの動向を見極めつつ、生産性向上や原価低減に向けて取り組む」姿勢だ。大林組も2桁を確保。清水建設は前年同期に低採算な大型工事の計上があった反動で建築工事の粗利益率が改善した。
 単体受注高は、大林組と大成建設が増加した。大林組は「施工の平準化や受注時採算の確保を重視した取り組みが奏功している」。大成建設は国内土木の大型官公庁工事や複数の建築大型工事を受注した。鹿島は国内外で高水準だった前年同期の反動減となったが高水準を維持した。
 通期の連結業績予想は、鹿島と大林組が上方修正した。堅調な建設事業や手持ち工事の順調な進捗、採算性の改善などを考慮した。今後「スライド条項の適用など建設物価の高騰を適切に価格転嫁していく」(大成建設)。
 今後の海外事業の業績については「トランプ氏が米大統領になり関税政策に伴うインフレや金利高、移民政策による労働力不足が発生する可能性には注視する必要がある」(鹿島)。一方、米国内で減税や規制緩和による経済の押し上げ効果によって、建設や不動産市場の活性化に期待が高まる。大林組も建設需要への期待を示すものの「グリーンエネルギー関連に対する政策は衝撃的。北米での投資が限定的になるかもしれない」と見通す。
 貿易相手国と同様の関税を課す「相互関税」では鉄鋼とアルミニウムなどを現地調達している社が多く、今後の動向を注視することになりそうだ。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=171377
via 日刊建設工業新聞

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