2025年2月12日水曜日

三菱商事/鉄筋品質証明書電子化で建設業対象サービス開始、ラベルとの照合時間大幅減

 三菱商事は鉄筋の品質証明書を電子化するシステムで、建設業を対象としたサービスを1月に開始した。現場に納入された鉄筋のラベルをスマートフォンで読み込み、電子証明書類と自動でひも付けできるようにする。既に準大手ゼネコンなど6社が10現場で導入。一部の現場では照合時間を約80%削減する効果を確認した。各ゼネコンが業務効率化を模索する中、有力な選択肢として売り込みを強化する。
 鉄鋼メーカーが鋼材を販売する際、品質が検査済みであることを証明する「ミルシート」と呼ばれる書類を発行する。流通過程で鋼材とともに引き渡され、品質を担保している。一方で、ミルシートの年間流通枚数は約7000万枚と試算され、関連書類を電子化する機運が高まっている。
 三菱商事はミルシートを電子化するシステム「ミルボックス」を2023年に開発。電子受け渡しなどの利便性が評価され、商社や鉄鋼メーカーなど200社以上に導入された。サプライチェーン(供給網)の川上と川中で電子化が進む中で川下のゼネコンを対象とした機能を充実させていく。
 建築現場にはミルシートとは別に、鉄筋の寸法や長さを示したラベルが同時に納入される。これらのラベルをスマホで読み込み、ミルシートと自動でひも付ける機能を実装した。職員がラベルとミルシートを手作業で照合する手間を省き、鉄筋の品質や納品状況を効率的に管理できるようにした。
 中間検査や竣工検査に対応できるよう、ミルシートの一覧表を自動で作成する機能も実装した。準大手や地場のゼネコンが本格導入したほか、複数のスーパーゼネコンでもトライアルを行っているという。
 料金は月額制とし、ラベルの読み取り枚数に応じて変動する。鉄筋の使用量が多い高層建物の現場で、月約2万円程度で利用できるようにする。当面は現場単位で契約し、将来的にはゼネコン単位での契約に切り替えていく方針だ。
 国土交通省の統計によると、RC造・SRC造の2階建て以上の建築現場は年間に約1万2000カ所ある。三菱商事はこれらを対象市場に据え、需要の取り込みを狙う。同社担当者は「資材の品質確保は非常に重要だが、その方法には効率化の余地がある。建設資材に関わる企業として、最終的な消費場面で新たな価値を提供していきたい」と話している。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=171330
via 日刊建設工業新聞

0 comments :

コメントを投稿