JR東日本が東京都港区で計画する「品川開発プロジェクト」の区域内で見つかった「高輪築堤」。近代日本の鉄道の歴史や土木技術を伝える遺構として、現地保存や移築を検討している。
8日に現地で取材に応じた伊藤喜彦事業創造本部品川まちづくり部門担当部長は、築堤の調査を継続しつつ「(従前の計画通り)2024年度末の完成を目指していく」方針を示した。
保存や移築の在り方は、有識者らで組織する「高輪築堤調査保存等検討委員会」(委員長・谷川章雄早稲田大学教授)を立ち上げて議論している。伊藤担当部長は「(建築物の敷地に)一部重なってくる部分がある。築堤のどこを現地保存するのかが、これからの重要な検討事項になる」と説明した。
移築について伊藤担当部長は「石積みや地層の一つ一つを記録し、移築先でそのまま再現する手法が基本的」との考えを示した。現地での保存や移築先で公開展示などを通じ、「地域の歴史の価値向上に貢献したい」考えだ。
JR東によると高輪築堤は、1872(明治5)年に国内初の鉄道路線として開業した新橋~横浜(現桜木町)区間の一部として整備された。当時海上だった場所に線路を通すため、石などで構造物を造った。延長は現在のJR田町駅北側から八ツ山橋付近までの約2・7キロ。
2019年4月に品川駅改良工事の現場から石積みの一部が見つかった。同11月の品川駅付近の線路切り替え工事完了後にレールを撤去したところ、20年7月にも高輪築堤の一部とみられる遺構が出土した。これまで出土した部分の総延長は約770メートル。橋梁が架けられていた場所や、橋梁の下に陸地と海を行き来できる空間も見つかった。当時の海底部分には、土砂を防ぐ杭があった。出土箇所は点在しており、今後さらに調査が進めば、新たな遺構が見つかる可能性もあるという。
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