18世紀初頭に100万人都市だった江戸。当時、英国・ロンドンの人口が50万人というから、いかに江戸が大都市だったのかが分かる▼そこで暮らす人々の生活を支えていたのが上水道。有名なのは玉川上水と神田上水で、この2大上水からおけに水を入れて担いで売る「水屋」が長屋などを回って供給した。落語の「水屋の富」は、ある水屋が富くじで大金を手にしたことから始まる▼水屋は薄利できつい仕事を辞めたかったが、水がないと客が困るので後任が決まるまでと思い、働き続ける。だが、仕事中も床下に隠したお金が心配で気が気でない。結局お金は盗まれてしまうが、水屋は「これで苦労がなくなった」と▼人々が生きていく上で水の供給(利水)は欠かせない。洪水から身を守る対策(治水)も不可欠だ。水を治める者が国を治めるではないが、利水・治水対策は政治の重要な役目と言える▼政府は今国会に「流域治水関連法案」を提出する。行政単位の枠を越え、河川の流域単位で利水・治水対策を行う。落語の中で水屋は責任感だけで水を配り続ける。そんな気持ちを流域全体で持って施策を進めてほしい。
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