新年の風物詩である百貨店などの初売り。人気の福袋で客を呼び込み、冬のセールと合わせた大型商戦となるが、今年は福袋のインターネット販売や発売時期の前倒しで、店側も「密」の回避に力を注いでいる▼福袋は本来、いろいろな商品を混ぜ入れ、中身を分からないようにして買い物客自身に選び取らせる。ネット販売では何が入っているかを事前に見せたり、教えたりするなど、ネタバレのものも多い。これでは運試しや開封するまでのワクワク感といった楽しみは薄れる▼福袋の争奪でごった返す店内の熱気といったリアルな空間も、消費意欲の喚起に一役買っていた。新型コロナウイルスの感染防止で様変わりする商慣習が、ポストコロナ時代に定着するかは分からない▼新年は福を招き入れる習わしが多い。神社やお寺への初詣は、足を運んでお参りするから御利益があると思っていたが、コロナ下でインターネットや郵送で祈願を受け付ける寺社もあるという▼旧来の慣習や価値観が大きく変わろうとする中、新たな日常にはまだ違和感が残る。経済だけでなく、文化や風習との両立もコロナ対応では肝要だろう。
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