2021年1月25日月曜日

【凜】千葉県県土整備部道路整備課・来栖敬真さん

  ◇大事故を経験し成長の糧に◇

 千葉県庁に入庁したのは2009年。土木系の女性職員が増え始めた最初の世代だった。初めて配属されたのは銚子整備事務所。周りは40~50代の男性ばかりで土木系女性職員は1人、新人が配属になったのは約10年ぶりという状況だった。2年目から銚子大橋の架け替え工事に携わった。

 未経験の中で大きな事業に携われたが、今でも苦い記憶として心に残っているのは、11年9月に起こった工事中の事故だ。撤去中だった古い橋桁が突如、川に落下した。3年目にして担当工事で事故が発生。労働基準監督署への状況説明に追われる中、「これからどうなってしまうのか」と不安が渦巻いた。原因は受注者の施工手順ミスだった。

 インフラ整備は社会に大きな影響を与える仕事。一瞬でも気を抜けないと心に刻むきっかけになった。事故で学んだのは「受注者が年上ばかりで指示が出しづらくても、言うべきことはしっかりと言う」こと。道路環境課で県道の維持管理を担当していた時、維持管理の重要性を予算折衝で訴え除草予算の増額という成果も出した。

 同僚の誰もが認める職場のムードメーカー。「子どもができてもインフラ整備に携わる一人の女性として一生懸命働きたい」と土木職一筋を志す。趣味はバスケットBリーグの観戦。休日にはブースターとして夫とアリーナに通い、お気に入りチームを応援する。

 (県道班副主査、くるす・よしみ)

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