2019年11月19日火曜日

【多機能スタジアムへの改修を後押し】横河システム建築、サッカー場芝ピッチ昇降システム開発

 横河システム建築(千葉県船橋市、大島輝彦社長)は、サッカースタジアムのピッチ全体を上空に持ち上げる「競技場天然芝ピッチ昇降システム」を開発した。

 既存のスタジアムに低コストで導入が可能。Jリーグシーズン中でも芝生へのダメージを気にすることなくサッカー以外のイベントを開催できる。上空のピッチには効果的に日光が当たるため、芝生の育成にもメリットがある。

 スポーツ施設の設計などを手掛けるクーダジャパン(河野久米彦代表)と共同で開発した。屋根のないサッカー場に後付けできる。競技場の上空に複数の鉄骨を設置。鉄骨に取り付けた無数のワイヤとピッチに内蔵したフックをつなげ、上空に持ち上げる。屋根としての役割も果たすため、多少の雨でもイベントを開ける。

 国際的なピッチサイズは縦125メートル、横85メートルほどで、重量は約1万トンに上る。ピッチ昇降装置を取り付ける場合、一般的には概算コストで約200億円かかるという。「競技場天然芝ピッチ昇降システム」は50億~70億円で設置が可能。ピッチの厚さも従来の半分にまで薄くでき、ピッチを納めるピットの深さも半分で済む。ピット整備にかかる費用低減につながる。

 ピッチをつり上げている際に地震が発生した場合、ピッチに伝わる揺れを抑制する免震機能を採用。同機能によって下で支える構造体フレームの軽量化も実現した。拡張展開型スタンド、移動型可動スタンド、日よけ装置などの付属機能も併せて開発した。

 横河システム建築によるとサッカー以外のイベント開催数を増やし、稼働率アップにつなげたいという施設側のニーズが高まっているという。一度イベントを開くと芝生の補修や張り替えに膨大な費用が掛かるため、現在はJリーグのオフシーズン中に開くケースが多い。「競技場天然芝ピッチ昇降システム」を提案することで、サッカー場が抱える課題解決を図る。

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