ゼネコンなどに勤務する女性社員の有志で運営する「ゼネコン女性交流会」は10月31日、東京都港区の「東京都庭園美術館」で見学会を開いた。
17回目の開催で、今回は戸田建設が幹事を務めた。同社が改修・改築工事を手掛けた本館や新館を見学し、文化財保護の観点で工夫を凝らした施工方法などの説明を受けた。50人が参加した。
同美術館の建物は「朝香宮邸」として1933年に竣工した。施工は戸田組(現戸田建設)が手掛けた。当時の欧米で流行したアール・デコ様式を全面的に取り入れており、本館や茶室、正門などが国の重要文化財(重文)に指定されている。
建築デザインの特徴を紹介した樋田豊次郎館長は「アール・デコの内装や家具は多いが、1棟の建物に採用された例は本場フランスでも見当たらない」と貴重さを指摘。ただし必ずしもかっちりと統一されたデザインではないとも話し「アール・デコとは当時の新しい文化のことだった。いろいろなものが混じり合っている」と鑑賞のポイントを挙げた。
改修・改築工事に携わった戸田建設の池脇剛志所長は施工のポイントを説明した。本館改修に当たっては、可能な限り建設当時の材料を使用。外壁改修では保存されていた外壁片を基に材料を調合し「外壁リシンかき落とし」という特殊な工法で当時の独特な風合いを再現した。池脇所長は「文化財なので傷付けられない。床のワックスを除去するにも少しも削れない」と難しさを強調。熟練職人に依頼し、丁寧な作業を心掛けたという。
参加者らは、きれいに再現された建物の内外装をはじめ、庭園や茶室などを見学。竣工当時に近づけるため努力したエピソードを池脇所長から紹介され、感嘆の声を上げながら細部まで建物を見入っていた。
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